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Esplendor Geométrico “Fungus Cerebri: Selected Tracks From Cassettes 1981-1989”
久しぶりに出ました!スペインの至宝Esplendor Geométrico (以下EGと表記)の1980年代初期音源からのトラックをコンパイルした2枚組アルバム”Fungus Cerebri (「真菌[カビ]の生えた脳」の意味ですね)”です。しかも、元音源は1981年〜1989年に作製されたカセットとしてリリースされていた作品からのセレクトになっています。なので、レアトラックも含まれています。また、私の持っているのは黒盤なのですが、灰盤と赤盤とから成るスペシャル・エディションが100部の超限定でもあります。EGのバイオグラフィーは、以前に一部は書いてありますが、まだまだ未完なので、先ずはそちらから紹介しておきます。1980年に、スペインMadridのシンセ・ポップ・バンドEl Aviador Dro y sus Obreros Especializados (「Aviator Droと彼の特殊な職人達」の意で、同級生だったArturo LanzとServando CarballarがThe ResidentsやT.G.に影響を受けて1979年に結成)のメンバーであったArturo Lanz, Gabriel Riaza, Juan Carlos Sastreによって結成されたGeometric SplendorがEGの母体になっています。このネーミングは伊の未来派F. T. Marinettiの文章”Geometric and Mechanical Splendor and the Numerical Sensibility (原文では、Lo splendore geometrico e meccanico e la sensibilità numerica)”から取られたとのこと。それで、彼等は最初のシングル"Necrosis en la Poya"を1981年にスペインの自主制作レーベルTic Tacからリリースし、続いてデビューアルバム”Héroe del Trabajo / El Acero del Partido”を1982年にリリースしています。これらを配給していた英国インダストリアル・レーベルSterile Recordsでは「スペインの機械偏執狂」と広告されており、また、EG自身も1980年初期の国際的カセット・テープ・シーンで活発に活動しており、特に独Datenverarbeitungからリリースされたカセット・アルバム”Eg1”で、国際的にも高評価されます。彼等の音楽は、リズミックな電子音から成る実験的なもので、その10数年以上後に、雨後の筍のように現れるテクノイズを先取りしていました。1982年に、Juan Carlos SastreはEGを脱退していますが、アートワークなどで、EGと関わっています。1985年には、彼等自身のレーベルDiscos Esplendor GeométricoをAndrés NoarbeとGabriel Riazaが運営開始し、セカンド・アルバム”Comisario de la Luz / Blanco de Fuerza”をリリースしています。その後、1989年に、Riazaはレーベルを去り、1995年にはEGも脱退して、音楽界からも足を洗って、イスラム教に改宗して、名前もGabriel-Jairodínに改名してしまいます。その代わりに、1990年に、Romaでのライブにヘルプで出演したSaverio Evangelistaが新メンバーとなって、Lanzとのデュオ体制でEGを現在まで継続しています。なお、Lanzは現在、パートナーの関係で、上海に住んでいます。1991年に、彼等のレーベルは、Discos Esplendor GeométricoからGeometrikに改名し、現在に至ります。その間も、EGはコンスタントに作品を出してはいますが、活動が鈍っていた時期もあります。しかし、1997年にアルバム”Polyglophone” で復活し、翌年には、CoilやChris & CoseyらによるEGの曲のリミックス・アルバム”EN-CO-D-Esplendor”もリリースされます。その後、2002年には新録アルバム”Compuesto de Hierro”がリリースされ、2005年には、過去作をセルフ・コンピ2枚組CD”Anthology 1981-2003”もリリースされ、インディー・シーンでヒットしています。現在も新譜”Cinética”(2020年)を出したり、過去のカセット音源をリマスターしたCDやLPで再発していたりと活発に活動を続けています。ザックリとEGの流れは上記のようになります。 それで、今回、ご紹介する”Fungus Cerebri”は、EGの初期の音源から選出されたトラックをコンパイルした2枚組アルバムで、2016年にリリースされています。それで、この時期のメンバーは、Arturo Lanz, Gabriel Riaza (1980-1989年), Juan Carlos Sastre (1980年-1981年)となっています。各曲についてですが、各面4曲ずつ収録されてします。A1 “2-TI-2”, A4 “Comisario De La Luz VI”, B1 “Llamada Del Afropoder”, B2 “Bleno Boca”, B3 “Tarikat”, C3 “El Resto Atrás”, C4 “Uasat”, D2 “Celda De Agua”, D3 “Autolesión”は 1991年にスペインのLinea Alternativaからリリースされた2本組カセット”Diez Años De Esplendor”から、A2 “Cuarenta Años Nos Iluminan”とA3 “Fungus Cerebri”は、1982年に、西独のDatenverarbeitungからリリースされた国際コンピ・カセット”Sinn & Form”収録曲で、B4 “Allo Terre?”は1987年のライブ録音で、同年に、自身のカセットレーベルEGKからリリースされた”En Directo: Madrid Y Tolosa”から、C1 “Trans-Umma”とC2 “Atlas-Yも1989年のライブ録音で1990年にLinea Alternativaからリリースされた”Madrid Mayo'89”から、D1 “Neuridina”も1986年のライブ録音で、1996年にEGKからリリースされた”En Roma”からセレクトされています。内容なんですが、EGの音楽は、基本的にリズムマシンの進化に伴って変わっていったと言う感じなので、この1980年代はアナログのリズムマシンが主たる楽器として使われており、それに同期したり或いは非同期のシーケンスやシンセ(Korg MS-20など)による電子音とテープ音やヴォイス(D3 “Autolesión) などを最小限に散りばめた音楽形態を取っています。なので、余り、どの曲にも大きな変化はありません。基本、エフェクトなどを掛けられたリズムマシンがドコドコと鳴っています。あとスネアの音とかをシンセのホワイト・ノイズで付け加えており、それが誇張されて、レッドゾーンを越えて録音されているので、かなり暴力的な音楽に聴こえますね。そんなところも、初期EGの特徴だと思います。多分、エフェクトも単純なディレイとかアンプのリバーブとかで、あとはシンセの外部入力にリズムマシンの出力を直接入れて変調していたり、リング・モデュレーターを掛けたりもしてます。まあ、リズムマシンで有りとあらゆる実験をしていると言っても良いでしよう。個人的には、コンピ・カセット”Sinn & Form”をリアルタイムで聴いていたので、A2 “Cuarenta Años Nos Iluminan”とA3 “Fungus Cerebri”と、カセット作品”En Roma”に入っていたD1 “Neuridina”なんかは懐かしかったですね。それにしても、この頃のEGの音楽はパワフルで、駆動力があって、凄まじいです。それを再認識しました。この後、アラビックな方向へと行き、音自体は洗練されていきます。まあ、それらについてはまたの機会にして、この作品は、初期EGの実験性・機械性・駆動力・野蛮さなどが詰まった良質のセルフ・コンピですし、収録曲も殆どが再発されていないレアトラックなので、彼等の音楽を語る上でも重要な資料でもあります。なので、インダストリアルに興味のある方は是非とも体験してみて下さい‼️ A2 “Cuarenta Años Nos Iluminan” https://youtu.be/3gRe2RJvWEk [full album] https://youtube.com/playlist?list=OLAK5uy_lPqFxulOi8-pFstYSTL9cXC_Qn_oC24LY #EsplendorGeométrico #FungusCerebri #SelectedTracksFromCassettes1981-1989 #Geometrik #Spain #Industrial #Technoise #ElAviadorDroYSusObrerosEspecializados #RhythmMachines #Electronics #Voice #Tapes #ArturoLanz #GabrielRiaza #JuanCarlosSastre #DiezAñosDeEsplendor #Sinn&Form #EnDirecto:MadridYTolosa #MadridMayo89 #EnRoma
Industrial / Technoise Geometrik 2100円位Dr K2
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Bene Gesserit “Another Cup of Blood” c/w “.. Son Petit Magasin ...”
ベルギーの古参にして最重要レーベルInsane Musicのアーカイブ・ボックス”The Insane Box”の最後に紹介するのは、オマケのBene Gesseritの7㌅シングルです。Bene Gesseritについては、前回や他の作品でも紹介していますので、そちらをご参照ください。A面”Another Cup of Blood”は、いきなりドライブする生ドラムとギターで押し進み、それに力強い女性ヴォーカルが叱咤激励するように入ってくると言う、今までにない感じです。一方、B面”.. Son Petit Magasin ...”は、Benedict Gのシアトリカルな女性ヴォーカルと言うか語りとストリングス・オルガンと足踏みオルガン(?)が段々と盛り上げ、そこにヴァイオリンのような音がメロディを奏でる曲で、やはりLP1”(Sweet Sour) Belgians From Outer Space”での音楽とは異なるアプローチです。クレジットにデータはありませんが、恐らく、2000年代の新録ではないでしょうか?とは言うものの、Benedict Gの語りのようなヴォーカルは健在ですね。とにかく、これも面白いです‼️ https://youtu.be/or01XwUEJbc #BeneGesserit #AnotherCupOfBlood. #SonPetitMagasin .. #TheInsaneBox #VinylOnDemand #Single #NewRecording??? #B.Ghola #BenedictG #AlainNeffe #NadineBal
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Subject “The Light Side Of Life” & I Scream “Prehistoric Madness” in box set “The Insane Music”
“The Insane Music”ボックスセットもいよいよ大詰めになってきました。G面はSubject “The Light Side Of Life”で5曲、H面はI Scream “Prehistoric Madness”で5曲が、それぞれに収録されています。Subjectは、Daniel Malempré (B, G)とAlain Neffe (Synth, Strings Organ, Vocoder, Rhythm Box)のデュオに、Mirella Brunello (Vo [G3])とIsabelle Guillemon (Vo, Text [G1, G5])をが客演しており、1981年〜1984年に8トラックレコーダーで作成されています。なお、G2 “Mistake”はカセットコンピ”Insane Music For Insane People Vol. 4”に、G4 “What Happened To You?”はカセットコンピ ”Integration”に収められています。Subjectは多重録音によるポップミュージックを演るユニット名で、それ程、Alain Neffeは熱心には活動していなかったようで、スプリット・シングル1枚しか出していませんね。 それで、各曲を紹介していきましょう。 G1 “Don't Be Blind”は、Roland TR-606のリズムに乗って、シンセとギターが極上のポップを奏で、加えてGuillemon嬢のフィメール・ヴォーカルも聴くことが出来るシンセ・ウェーブです。G2 “Mistake”は特徴的なシンセと単純なリズムボックスを中心に、ベースがメロディアスなリフを刻むインスト曲で、ポップです。G3 “Be Careful! 2nd Mix”も一部、Human Fleshも想起するストリングス・オルガンと規則正しいリズムボックスを中心としたシンセ・ウェーブで、Brunello嬢の囁くようなフィメール・ヴォーカルも聴かれます。G4 “What Happened To You?”ではリズミックでミニマルなシーケンサーとリズムボックスのビートに乗って、ヴォコーダー・ヴォイスとギターのリフから成る曲です。G5 “Strange Girl”ではDR-55のリズムで始まり、ベースのリフやGuillemon嬢のフィメール・ヴォーカルの囁きで持っていくアンビエント・ポップで、後半にはTR-606のリズムボックスも代わってます。G6 “Elegant Void”でもミニマルなベースラインとギターにピロピロしたキッチュなシンセからなっていますが、途中でディレイを利用したブレイクが入るインスト曲です。 これだけ聴いてみると、1980年初頭から始まったシンセ・ウェーブな極上のポップ・ミュージックを演奏するのが、Subject名義であったのだと分かりますね。これはこれで、面白いと、個人的には思いましたので、このまま、続けていってもらいたかったです。 一方、I Screamは1972年ー1978年の間に、2台の古いオープンリール・テープマシン(要するにピンポン録音)にて、ベルギーTrazegniesに住んでいたNeffeの寝室で、録音された極初期の音源であり、Alain Neffe (Synth, Ring Oscillator, Organ. 旧式のRhythm Box, Tarang, Strings Organ, Electronics, Vo, G, Tapes, Radio)の初期のソロユニットです。なお、H3 “Take Your Headphones And Dance !”とH4 “Tarang ?”は、カセット作品”Tomorrow Is Another Day”に、 H5 “Dracustein's Revenge”はカセットコンピ”Insane Music For Insane People”に収録されています。こちらも、それ程、活発に活動していた訳ではないですが、ベルギーのGrafika Airlineから1本のカセット・アルバムと伊のf:A.R.とのスプリット・カセットを出しているのみです。 それでは、各曲を紹介していきましょう。H1 “Pink Dreams”は、重厚なストリングス・オルガンに導かれて、シンセのピロピロした音とディレイ処理されたオルガンの音の波状攻撃からなりますが、次第に落ち着いて、Brian Enoのようなビートレスでアンビエント感もある曲調へと変化していきます。H2 “Nothing To Do 2nd Version”では、いきなりラジオ音のコラージュから始まり、ランダムパルスなシンセなどが絡んで、背後からリズムが聴こえてくる実験的な曲です。シンセを買ったら、絶対、こう言う感じの音を出すだろうなと言う感じです。H3 “Take Your Headphones And Dance !”ではキュルキュルしたシンセのLFOによる反復音とバックのリズム(音自体は小さい)から成る小曲です。H4 “Tarang ?”でもストリングス・オルガンの持続音に微音のリズムボックスの音、それれの上で、ギターやシンセを自由に弾きまくっています。H5 “Dracustein's Revenge”では、スローなメロディを奏でるシンセ(? ストリングス・オルガン)から成る曲で、そのバックには、台風のようなシンセの音が鳴っています。やがて、その風のような音のみになり、再び、ホワイト・ノイズとディレイでぐちゃぐちゃになって、この面を締めています。 このI Screamが、Alain Neffeの最も初期の音源で、最も実験的(?)な音楽を演っていますが、これは、恐らく、シンセとかを買ったら、誰でもこう言う音を出して面白がるよなぁと言う音から、曲へと昇華させた音楽ユニットなのだと思います。なので、一番プリミティブな音楽だろうと感じました、 いやー、それにしても、今まで聴いてきた”The Insane Box”、5つのユニットが収録されていましたが、どれもそれぞれに特徴があって、かつその完成度も高く、それをAlain Neffeを中心にやっていたことは、彼の才能なのでしょう。なので、皆さん、このボックス・セットをもし見かけたら、即買いなので、お勧めです‼️ G5 “Strange Girl” https://youtu.be/sT2aVlkiPW4 H2 “Nothing To Do 2nd Version“ https://youtu.be/HTy2OanWcgc はは H5 “Dracustein's Revenge” https://youtu.be/HTy2OanWcgc #Subject #TheLightSideOfLife #IScream #PrehistoricMadness #VinylOnDemand #TheInsaneBox #LP4 #Primitive #ExperimentalPop #Electronic #Synthesizers #StringsOrgan # #DanielMalempré #AlainNeffe #Duo #MirellaBrunello #IsabelleGuillemon #AlainNeffeSoloUnit
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Pseudo Code “Life On Stage” in box “The Insane Box”
さてさて、これが本命でしようか?ベルギーの実験レーベルInsane Musicのアーカイブから、今回はPseudo Codeを紹介します。タイトルは”Life On Stage”で、E/F面5曲ずつが収録されています。Pseudo Codeはこのレーベルの中では、1番バンドらしいバンドで、メンバーは、Xavier S. (Vo, Text), Guy Marc Hinant (Pianet, G, Perc, Casio, Text, Sound Effects), Alain Neffe (Synth, Strings-Organ, Sax, Piano, Vocoder, Flute, Rhythm Box, Sound Effects, Text, Radio)から成り、3人が固定メンバーです。本作品に収録されているのは、1981年〜1982年にBrusselsとBruggeにて2トラック・レコーダーで録音されたもので、その内、E1 “Introduction: Surrounding”, E2 “Monarch In My Kingdom”及びR4 “The Crook Of Your Heart”はカセット作品”Remains To Be Heard Vol. 1”から取られています。どうも全部ライブ音源みたいです。それでは各曲を紹介していきます。 E1 “Introduction: Surrounding”は2分間弱のシンセとピアネットの合奏です。ピアネットの旋律が美しい。E2 “Monarch In My Kingdom”は、混沌の中から、ダブ処理されたリズムボックスとXavierの粘着質が語りように歌うスタイルのヴォーカル及びオルガンの不協和音が立ち上がり、次第にギターノイズも加わり、不定形へと拡散していきます。E3 “Keep Smiling!”ほ、一定のリズムを刻むリズムボックスはあり、バックのシンセも楽曲のようにフレーズを弾いてはいるのですが、結構、ノイジーで、ヴォーカルも字余りです。またオルガンの不協和音も聴こえます。E4 “The Crook Of Your Heart”は、不気味なシンセの通奏低音の上で、ヴォーカルがゆっくりと語り出し、不穏で強迫的な曲になっています。またディレイを使ったエフェクト処理もそれに輪を掛けています。当然、ビートレスです。E5 “No More Groans”は、安物のリズムボックス(エレクトーンに付いているような)と適当なパーカッションとフルートとが混ざり合い、憂鬱なヴォーカルも相まってダウナーな曲に仕上がっています。 そしてF面にいきます。F1 “Forgive Me”は単調なリズムで始まり、不協和音気味のストリングス・オルガンとXavierの語り口調のヴォーカルが、聴く者を憂鬱にさせます。フェイドアウトすると見せかけて、再びサックスのダルな演奏を伴って、フェイドインしてきます。F2 “Such A Long Time”も3拍子のカシオトーンのリズム隊による単調な演奏に纏わりつくXavierのヴォーカルと、恐らく即興と思われるシンセのメロディとオルガンのクラスタ奏法が、何故か聴く者の不安を煽ります。F3 “Who Betrays The Other”はやや調子の良いリズムに、ムーディーなサックスとオルガン及びピアネットが合わせてきますが、やはり字余りのヴォーカルが「陰」な感情を刺激してきます。「まるで嘘つきだ!」と唱える歌詞もダウナーな感情を刺激します。F4 “Salaam”では、何と生ドラム入りです!弾いているのはHinantでしょうか?そして、この曲は奇数拍子です。それにサックスとヴォーカルが乗ってくる、やや短い曲です。F5 “Even Americans Can Cry”は涅槃のような曲で、ポロンと弾かれるベースとシンセとが鳴り、その上に、全てを観念したかのようなヴォーカルが乗ってきます。淡々とした中に諦念を感じます。 それで、思ったのですが、これは、1981年〜1982年と言う時代性も考慮すると、世界中に飛び火したインダストリアル・ミュージックを彼等なりに解釈して演っていたのではないかと言うことです。そして、Alain Neffeの他のユニットの中で、一番サイキックで実験的な音楽をやっていたと確認できます。ただ、Neffeがマルチ奏者だったこともあり、世の数多の屑インダストリアル・バンドには陥らなかったのでしょう。一方で、欧州的なデカダンスも感じられますが、それはPseudo Codeだからの化学反応だと思います。貴重なライブ音源なので、是非聴いてみて下さい‼️ それにしてもXavierのヴォーカルは凄いです! E3 “Keep Smiling” https://youtu.be/6joHck_PTJE E4 “The Crook Of Your Heart” https://youtu.be/YVzS1ygXcNI #PseudoCode #LifeOnStage #TheInsaneBox #VinylOnDemand #LP3 #TrioGroup #LiveRecording #Experimental #Electronic #StringsOrgam #Synthesizers #Vocal #Guitar #Brussels #Brugge #2TrackRecorder #XavierS. #GuyMarcHinant #AlainNeffe
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Human Flesh “Young Flesh” in “The Insane Box”
1980年代に活発な活動をしていたベルギーのレーベルInsane Musicのボックスセット”The Insane Box”より、今回はHuman Fleshをご紹介します。タイトルは”Young Flesh”で、前回も書きましたが、このHuman Fleshは、レーベル主催者でもあるAlain Neffeの個人的プロジェクトで、知り合いなどから、音源を送ってもらったりして、彼がそれらをTEAC 8トラックレコーダーに入れていき、最終ミックスしていくと言う方法論で、ノイズ・ミュージックではなく、実験的ポップミュージックを作成しています。本作品は1981年〜1986年の期間で作成された曲を集めています。バイオグラフィーは以前紹介しましたので、そちらをご参照下さい。今回、参加しているのは、Alain Neffe (Strings Organ, Rhythm Box, Sax, Tapes, Synth, G, Organ, Casio mini-Kbd, Text)を中心に、Daniel Malempre (B, G), Xavier S. (Vo), Cor Gout (Vo, 蘭語訳), Lydia Tomkiv (Vo), Mirella Brunello (Vo, Jew’s Harp), Paula Jesgarz (Vo, 独語訳)も其々参加したいます。 それでは、各曲を紹介していきます。C1 “Sons Of God?”は、いきなりアジる演説のテープで始まり、一定のビートで突き進みますが、サックスとシンセとが交互に挿入されます。気怠いサックスの音色に酔います。C2 “This Is A Slow, Slow World”はカセット作品”Life In Reverse”及び”Eternal Scream Of The Human Soul”からですが、今度は、逆回転の男性の語りと歌がメインの曲になります。ついでにギターもシンセも逆回転です。この曲が収録されていた作品”Life In Reverse”は、収録曲の殆どの要素が逆回転になっています。C3 “Wij!!”は、もの凄くカッコ良いマシンビートをシンセやギターがサポートして、掛け声や呟くようなヴォーカルが乗る疾走感溢れるニューウェーブな曲ですね。C4 “Organic Feeling”は、またまた逆回転の女性ヴォーカルに、ゆったりしたサックスの音が、不思議な趣きを醸し出しています。ビートレスです。C5 “Alone, 3rd Part”は、カセット作品”Tecnologie Del Movimento II”からの曲で、女性の語りから始まり、そのバックにはポロンポロンしたエレピや穏やかなオルガンが調べが聴こえてきて、更に段々とギターノイズがフェイドインしてくるも、再び、Eyeless In Gazaのような穏やかで美しい曲調へと収束していきます。C6 “My Fears Are My Only Friends, 2nd Mix”は、単調なリズムボックスのビートに、断片的なストリングス・オルガンやギター音の破片が挿入され、段々と盛り上がっていくと同時に、ウィスパー・ヴォーカルも絡んでくる曲で、Human Fleshに対する、私の最初の印象に近い音作りです。C7 “Hymn For A Dark Future”は、コンピLP”Ohrenschmalz”からの曲で、Neffeがギターだけを多重録音しています。ノイジーな感触が堪らないですね。当然、ビートレスです。 D “Langsam”は、片面を占める長尺の曲で、カセット・コンピ”Insane Music For Insane People Vol. 3”から取られています。この曲も如何にもHuman Fleshらしいです。スローテンポで単調なリズムボックスのビートに、断片化されディレイ処理されたストリングス・オルガンが絡みついていき、その背後にはギターやシンセが必要最小限のリフを刻むと言う曲で、19分36秒もある大作です。このストリングス・オルガンの使い方が最も特徴的ですね。また、この曲では、テープ音やスクラッチ音、そして女性の独語の語りも挿入されています。このアレンジは欧州的ロマンティシズムに感じられます。 個人的には、C6やD面は白眉でしたね。「これぞ!Human Flesh」と言う感じで。多重録音によって、音楽的にも数段複雑で細部に気を使った音楽が可能になったのではないでしようか。Alain Neffeのセンスが光ります‼️マストですね!因みに、Human Fleshは2017年に突然、再始動し、新録作品”Another Red Planet (Guitar Music For An Imaginary Series)”を出して、リスナーやファンを驚かせました。 C2 “This Is A Slow, Slow World” https://youtu.be/cbcaRZyRkNE C3 “Wik !!” https://youtu.be/PT5Y8I781Sg C4 “Organic Feeling” https://youtu.be/PDg1Hjr01Rw D “Langsam” https://youtu.be/mpbZfW3fngM #HumanFlesh #YoungFlesh #TheInsaneBox #VinylOnDemand #LP2 #Compilation #SoloProject #TEAC8TrackRecorder #ExperimentalPop #Electronic #Synthesizers #Sax #RhythmBox #Guitar #Reverse #Collaborators #AlainNeffe
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Bene Gesserit “(Sweet Sour) Belgians From Outer Space” in “The Insane Box”
今回は、1980年代初頭から活動しているベルギーの実験ポップ・レーベルInsane Musicのアーカイブ・ボックス・セット”The Insane Box”4LPs&7inchを1枚ずつ紹介していきます。Insane Musicは、ベルギーのマルチ奏者でもあり、多くのユニットのメンバーでもあるAlain Neffeが運営していた、主にカセット作品をリリースし、当時のメール・アート&ミュージック・シーンで活動したレーベルです。そこに所属する5つのバンド(ユニット)の1980年代初頭の音源をそれぞれに分けて、1ユニットずつコンパイルしたものです。Insane Musicは、名物コンピレーション・カセット”Insane Music For Insane People”を第26巻までリリースしています。この名称はThrobbing Gristle(実はMonte Cazazzaが発案)のスローガンIndustrial Music For Industrial Peopleを文字ったものですが、1981年から2014年までリリースされていたものです。 それで、今回は、最も長く続いて活動しているBene Gesseritの”(Sweet Sour) Belgians From Outer Space”を紹介します。Bene Gesseritについては、以前に別の作品を紹介していますので、バイオグラフィーなどはそちらを参照して下さい。このLP1”(Sweet Sour) Belgians From Outer Space”は、1981年〜1986年の間に、ベルギーCharleroiのThe RoomやFontaine L'EvèqueやNivellesのThe Caveと言った場所で作製された音源をコンパイルしたもので、この時のメンバーは、 Benedict G.ことNadine Bal (Vo, Texts, Casio VL Tone)とB. GholaことAlain Neffe (Synth, String Organ, Rhythm Box, Texts, Vo, S.10, G, Bells, Perc, Tarang Radio)で、ゲストとして、Daniel Malempre (B, G)でA5 “Halloween”とB4 “Postcards (2nd Version)”に参加しています。因みにNadine BalはAlain Neffeの奥さんです。 各曲について紹介していきます。A1 “Russian Thanks”はコンピ・カセット”Beneden De Grens”からで、恐らくRoland TR-606のリズムボックスと可愛らしいシンセ音と悪戯好きそうな女性Voからなります。A2 “La Chanson D'Ugly”はコンピLP“Fashion Is A Dirty Word”からで、下品な笑い声が特徴のエレ・ポップ・ソングです。A3 “Courou Coucou Coucou Coucou Coucou”は、何かの擬態語から来ているのでは?と思います。A4 “Je Veux Ma Maman ! (2nd Mix)”では、基本的にはミニマル・ウェーブな勢いですが、ここでも笑い声が使われています。A5 “Halloween”も余り明瞭なメロディのない曲なんですが、これは恐らくエフェクトを掛けた女性ヴォーカルによると思われます。A6 “Quiet Life / Grey Life”はコンピ・カセット“Gut Level One: A Compilation”からですが、特徴的なストリングス・オルガンが使われています。歌はやや控えめ。A7 “Que Lit Lilly?”はコンピ・カセット”Insanités”からで、ここではリズムボックスはBOSS DR-55が使われています。次にB面にいきますね。B1 “White Men (1st Version)”でも、DR-55のリズムボックスとギターとシンセが使われていますが、語りのような女性ヴォーカルと歌い上げるヴォーカルからなります。B2 “Broken Toy”はコンピLP“Terra Incognita I”及び独コンピ・カセット”West To East”からで、ミニマルなシンセのリフに、絞り出すような女性ヴォーカルか特徴的な曲です。B3 “Épinoches”はヴォイスの早回しとエフェクトによる短い曲で、B4 “Postcards (2nd Version)”は、逆回転のリズムボックスに、珍しくベースのリフ、更にはストリングス・オルガンなどが被ってきます。ちょっとしたミックスのギミックもあります。B5 “Do What You Have To Do!”はコンピ・カセット“Postcards From Arrakis”から取られていますが、ややプリミティブな曲で、リズムボックスはDR-55でしようか?B6 “Middle Class Madness”では、リズムボックスはTR-606で、そこにシアトリカルなヴォイスが自由に交雑してきます。最後にはギターも。B7 “Ti Amoooo”は、ゆったりとしたテンポのCasioのリズムボックスに、これまたお下劣な女性ヴォイスやテープ音が絡んできますが、曲としてはちゃんとしています。B8 “Mon Poisson Rouge... (Jinge For Belgian National Radio)”は女性ヴォーカルの鼻歌のみです。 以上が本LPの内容ですが、Alain Neffeが、元々はレーベルInsane Musicの雑用を担当していたNadine Balに歌ってみないか?とふざけて、声をかけたところから、このユニットは始まっているようで、結果として、Alain Neffeのヘンテコなアレンジの曲に、彼女が自由奔放に声を駆使すると言うスタイルになっていったようです。また、先述の通り、Insane Musicの中でも、最も息の長いユニットになっています。しかしながら、各曲に感じられる「音の外し方」が特徴なのですが、好き嫌いは分かれるかもしれませんね。でも、ベルギー地下音楽を知りたいのであれば、一度は体験してみた方が良いでしょう‼️ A2 “La Chanson D'Ugly” https://youtu.be/riJ8jSaRrVs A3 “Courou Coucou Coucou Coucou Coucou” https://youtu.be/0GvaXLKGN6w B5 “Do What You Have To Do!” https://youtu.be/EPgWDHRSA-E #BeneGesserit #(SweetSour)BelgiansFromOuterSpace #TheInsaneBox #LP1 #VinylOnDemand #ExperimentalPop #Electronic #Synthesizers #Vocal #BenedictG. #NadineBal #B.Ghola #AlainNeffe #DanielMalempre
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Pere Ubu “Carnival Of Souls”
忘れた頃にやってくる。そうです、あのPere Ubuの何枚目(リリースが多過ぎる。単独アルバムとしては25枚目?)かのアルバム”Carnival Of Souls”を、今回は紹介したいと思います。Pere Ubuのバイオグラフィーは、以前から書いていますので、それらをご参照下さい。今回のメンバーは、David Thomas (Vo, XioSynth), Michele Temple (B), Darryl Boon (Clarinet), Steve Mehlman (Drs, Perc, Roland Drum Pad, Back-Vo), Gagarin (Digital Electronics), Keith Moliné (G), Robert Wheeler (EML Electrocomp 101, Theremin, iPad)の7人です。まあ、何か凄い担当楽器になってますね。それで、このアルバムの内容は、A面が7曲、B面が6曲、収録されており、その内、”Strychnine”と言う1分程度のギターのリフを変調した音や短波ラジオの音が、5曲分含まれていますが、その意義/意味はよく分かりませんでした。因みに、このアルバムは、レーベルFire Recordsの30周年記念にも含まれているようです。それで、内容なんですが、もうA1 “Golden Surf II”からして、ぶっ飛ばしていて、ノリノリで、カッコいいです。A3 “Drag The River”ではクラリネットの飄々たる旋律とドコドコしたドラムが曲を盛り上げます。A5 “Visions Of The Moon”ではマーチのリズムにオルガンやシンセのコードが淡々としていますが、途中で乱入するギターと電子音がカッコいいです。A7 “Dr. Faustus”はThomasのヴォーカルもそうなんですが、何か不穏なものを感じ、初期の頃の「病んだ」感じがします。それで、B面に行きます。B2 “Bus Station”もThomasのヴォーカルとMehlmanのドラムが凄いですが、これはStephen Hagueによって録音されています。続けてB3 “Road To Utah”ではギターのリフが印象的で、オルガンのコード進行がThomasのヴォーカルの呟きに似た歌を引き立てます。またクラリネットも良い塩梅です。そしてまたまた続いてB4 “Carnival”ですが、ジャケの絵を想像させるようなThomasのある種不気味なヴォーカルの上を、電子音とクラリネットが漂流しており、不協和音が美しいです。B6 “Irene”はアメリカン・バラード調の曲で、しっとりとこのアルバムの最後を締めます。今回、思ったのは、初期の頃のように、敢えての不協和音や痙攣ギターなんかは直接使わずに、全体としてはゆったりした雰囲気の中に、何か「毒」を仕込んでいるのでは?と感じました。また、クラリネットが結構良い仕事をしていますね。それと、これだけ電子楽器を使っているのに、全然、エレクトロニックにならないで、「生楽器」的にまとめているのは凄いですね。やはり、David Thomasがプロデュースもやっているのと関係があるかも。これからもPere Ubuは聴き続けます。 A1 “Golden Surf II” (4:10) A2 “Strychnine 1” (1:05) A3 “Drag The River” (4:01) A4 “Strychnine 2” (1:00) A5 “Visions Of The Moon” (3:33) A6 “Strychnine 3” (1:01) A7 “Dr. Faustus” (4:22) B1 “Strychnine 4” (1:01) B2 “Bus Station” (4:28) B3 “Road To Utah” (4:20) B4 “Carnival” (5:01) B5 “Strychnine 5” (1:00) B6 “Irene” (4:13) B2 “Bus Station” https://youtu.be/xz5_kGXlJeQ [full album] https://youtube.com/playlist?list=OLAK5uy_n3Qx30mDfINOsGocvndaQU8C6zo_56VzQ #PereUbu #CarnivalOfSouls #FireRecords #16ThStudioAlbum #Avant-Rock #ArtRock #StrychnineInterludes #Clarinet #DavidThomas #MicheleTemple #DarrylBoon #SteveMehlman #Gagarin #KeithMoliné #RobertWheeler
Avant-Rock / Art Rock Fire Records 不明Dr K2
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Genocide Organ “Leichenlinie”
出ました!Genocide Organの不屈の名作、ファースト・アルバム”Leichenlinie”を紹介します。Genocide Organのバイオグラフィーは前回、書きましたので、そちらをご参照下さい。私の持っているのは、再発の再発で、Tesco Organisationの30周年記念としてリリースされたものです。ジャケの「屍体写真」と言い、裏ジャケに記された”Der Tod ist ein geradliniger Prozess (死とは当たり前のプロセスである)”との文言、インナーノーツに含まれている独Wehrmachtでの「戦死者の身分証(?)」のカード、全て完璧です。流石、独逸パワー・エレクトロニクスの代表作です。また、Jason Mantisによるリマスタリングに当たって、A6 “This Is No Lie”とB5 “Amazade Y Negri”の2曲が付け加えられています。それで内容なんですが、「これぞ、正しくパワー・エレクトロニクス」と言うべきもので、ビビ割れた低音電子音に、張り裂けんばかりの叫び声のようなヴォーカル、更には、曲によっては不明瞭なリズムマシンとシーケンサー或いはナレーションのテープ音も使用されており、全ての音が歪んでいます。既に、ファースト・アルバムにて、Genocide Organの音が確立していた感があります。なお、A面には6曲、B面には5曲、収録されていますが、これらの曲は、1987年と1989年に、観客無しで、Strebelwerk /Mannheimでライブ録音(要するに一発録り)されていると言う訳です。それ故、テンションの高さは申し分無いです。私は、1990年代に彼等が初来日した時のライブ・パフォーマンスを観ていますが、4人のメンバーは皆、フェイスマスクを被り、軍服姿で、Korgのシンセやメタル・ジャンクなどを演奏し、Wilhelmがアジテーション・ヴォイスを放射、バックには戦争や犯罪などの映像が流れると言うトータルに「本場のパワ・エレ」を初めて体感しました。やはり、独逸人らしい重く陰鬱な空気に支配された「硬い音楽」ですね。本アルバムも同様の音楽なのですが、個人的に特に気に入っているのは、不明瞭なリズムと悲鳴のような電子音それにメタル・ジャンクの乱打音が入り混じり、雑然としたB1 “Stalins Orgeln”や、全ての要素に力強い音を体現しているB5 “Amazade Y Negri”なんかですね。最後に、この時のメンバーは、D.A.X.ことRickey Kramer, Doc M. Riot, Roland FreislerことWalter Adam von Dewitz, Wilhelm Herich, P. Eckertの5人で、D.A.X.以外の4人が全員ヴォーカルも担当しています。また、D.A.X.とWilhelm Herichの2人が曲を作っているようです。そんな、独パワ・エレ界の帝王Genocide Organの最初のアルバムを体験することは、彼等の音楽やその向こうに見え隠れする政治的態度を読み解く上で、重要だと思われますので、是非、この機会に聴いてみて下さい❗️ B1 “Stalins Orgeln” https://youtu.be/VnAL2IPWtb0 [full album] https://youtube.com/playlist?list=OLAK5uy_n8E6acd1cPHP77GXUjrJLaM6Mo7hYT19I #GenocideOrgan #Leichenlinie #TescoOrganisation #Reissue #Remastering #30thAnniversaryEdition #PowerElectronics #Electronics #Agitation #Vocal #MetalJunks #Tapes #German #FirstAlbum #1989年-2019年 #D.A.X. #DocM.Riot #RolandFreisler #WilhelmHerich #P.Eckert
Power Electronics / Industrial Tesco Organisation 不明Dr K2
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Ruins “New Record”
今回、ご紹介するのはRuinsです。でも、あの超絶ドラマー吉田達也氏の方ではなくて、伊の2人組の方です。このバンドは、 1978年9月にAlessandro Pizzin (Kbd)によって結成されたバンドです。その時のメンバーは、Alessandro Pizzin (Kbd)に加え、Franco Moruzzi (Drs)とGirogio Salvedego (B)及びAlex Masi (G)でしたが、その編成に、時々、マルチ奏者Alessandro Montiが加わっていました。バンドは直ぐに伊地下音楽界に参入していきます。1979年春に、Masiが脱退し、1980年初頭に、Piergiuseppe Cirannaが新たに加入します。この頃、CirannaとPizzenの中心に、実験的電子音楽バンドRuinsが活動し始めます。彼等は、Gianni VolpatoとAlessandro Rigatoによる写真やファインアートからの着想で、電子楽器とメディアミックスに焦点を当てて、オリジナルな非ダンスミュージックやダークなポスト・プログレと言ったポップソング傾倒していきます。1981年5月に、Ruinsは”Elegant Shout”や”Short Wave”と言った新曲を録音しますが、これらが彼等の丁度分岐点になります。同年6月初旬に、Ruinsは、”Restless House”と言う短編映画の劇中歌や”Short Wave”と言うビデオ作品や16mmフィルムに集中しますが、結局、これらの映像作品はうやむやになってしまいます。1980年9月4日にArt Retro Ideasが、伊のコンピ・アルバムに彼等の曲を加えたり、同年11月21日には、Ruinsのファースト・シングル”Short Wave” c/w “You’re Like A Cigarette”をリリース、共に良い評価を得ます。それで、1981年に、彼等は新曲の為にオーディションを行い、1982年初頭には、CirannaとPizzinに、Franco Moruzzi (Drs), Massimo Bertatto (B), Moreno Barbazza (Perc, Back-Vo)を加えた新ラインナップで活動します。1983年にはバンドはメジャーレーベルと契約し、シングル”Fit of Nerves” c/w “Stoll of Girls”をの同年1月に録音、リリースしています。一方、PizzinとCirannaはサイドプロジェクトを始動し、伊のプログレバンドLe Ormeのアルバム”Ad Gloriam”のカバーをやっています。しかしながら、5人体制だったバンドは突如解散してしまい、CirannaとPizzinのデュオになります。1983年に、Fricchetti Productionは、限定版のテープとブックレット作品”Side Raids”をリリースしますが、これには彼等の実験的な面とよりポップな面/未発表ソロなどの面が含まれています。その後、バンドは、2つのプロジェクトを開始します。一つはDevoやThe Residentsに影響を受けたもの、もう一つはラテン・アメリカン・ソングを電子楽器で演奏するものです。Ruinsの方はPippo Monaro (B)がヘルプで加入しますが、あくまでもデュオの形は崩しません。その後、Ruinsはドラムマシンとシーケンサーを導入し、ヘビーなKorg MS20 シンセのベースラインがリズムセクションを担当します。バンドは、independent management company (BSR)とコンタクトを取って、Ruinsをプッシュしてもらい、彼等のフィースト12㌅EPをリリースします。そんな中、ヴェネチアの画家Luigi Violaの作品とのタイアップなリリースの機会を得、アルバム”Merea / Tide”を1984年11月にリリース、BSRはこの中の”Fire!”と言う曲を米国ビデオ会社にプッシュし、ビデオが製作されます。1985年9月に全国O.I.L.協会の25周年祭の際、最早、デュオとしては演れなくなり、Ruinsは同年10月1日に解散しています。Alessandro Pizzinはその後、プロの音楽家としてHakkah and Hexのようなバンドもやりつつ、1980年代後半に新しいRuinsをも立ち上げています。Piergiuseppe Cirannaもまた違った方向性でプロとして活動してしています。 ちょっと長くなりましたが、これが伊のRuinsの略歴です。今回、ご紹介するのは、Ruinsとしては、カセットアルバムを含めると、5枚目にして最後のアルバム”New Record”です。ここでは、先述のように基本的には、CirannaとPizzinのデュオの形態を取っています。Piergiuseppe Ciranna (G, ARP Synth, B, Casiotone, Vo, Tapes, Drum Machine)とAlessandro Pizzin (Kbd, Fender Rhodes 88 e-Piano, Korg MS-20, Pizzynth, Tapes, Drum Machine)が参加しており、B5ではFranco Moruzzi (Drs)、A4ではClaudio Cerroni (Vo), B2では、Francisco Calabro (B)が客演しています。ここに収録された曲は1981年初頭〜1983年初頭に録音されたもので、その一部はかつて”Side Road”と言う限定版でもリリースされています。なお、B2 “The Try”は1981年1月のライブ音源です。全体の印象は、所謂、1980年代の欧州で見られたシンセ・ウェーブなんですが、何ともチープなところに味がありますね。ドラムマシンって言っていますが、これは一番安いDR-55でしょ(私もずっと愛用してました)? Voパートはあるものの、どちらかと言うとインスト曲が中心なのかな? それとあんまり音を重ねていないようで、スカスカなシンセウェーブですね。まあ、録音が初期のものだからと想像します。それと基本的にミニマルですが、シンセ音だけでなく、ギターやベースなんかの音も効果的に使っています。また、インスト曲が多いこともあって、シンセによるSE的な曲や、B2 “The Try”などの即興演奏的な曲(特に冒頭のピアノなど)も含まれており、全体的に短い曲が多くても、飽きさせません。どちらかと言うとA面は習作的で、B面は実験的な印象も持ちますが、世界中に溢れていたシンセ・ウェーブの一端を担っていたRuinsも聴いてみませんか❗️ A7 “I Love You” https://youtu.be/c2fHFG__T4U A5 “New Record” https://youtu.be/3i9YvMGqBq0 B5 “Freak Song” https://youtu.be/p28FpLZyWl0 #Ruins #NewRecords #MothballRecords #Italian #Duo #SynthWave #DR-55 #MinimalWave #Experimental #PiergiuseppeCiranna #AlessandroPizzin
New Wave Mothball Record 不明Dr K2
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Marla Hlady “Playing Piano”
これも謎レコード。今回、調べてみて、漸くちょっと分かりました。Marla Hladyはカナダのキネテイック・アーティストかつサウンド・アーティストでインスタレーションもやるバリバリの芸術家です。彼女は日常品を使って、それを電気的あるいは電子的に動かす手法を多用しているようで、しばしば、社会的なメッセージを含んでいるとのこと。彼女の作品は動かすシステムによって作曲すると言うスタンスで、主な作品に”Gut Machines” (1994-95)や”Waltzing Matilda” (2000) そして今回紹介する”Playing Piano” (2008)があります。そして彼女は、1987年にVictoria大学から芸術学士を、1990年には芸術修士を授与されています。Marlaは、トロントで行われたG76でキネティック・インスタレーション「不安を中和する感覚」で注目され、その後もソロの個展”Beauty”をJohn Massierのキュレーションで、1992年にKoffler Galleryで行ったりしています。2012年にはNYのBuffaloにあるHallwallsで大きなソロ個展をやっています。とまあ、現役のバリバリはキネティック・アーティストてなんですよ。 それで内容ですが、プリペアード・ピアノのその先を行くキネティック・ピアノ(改造ピアノ)の2008年のYYZ Outletでの演奏の記録から成ります。まあ、改造と言う位ですから、 もう無茶苦茶ですね。1台のコピー機を改造して、2つの弦をかき鳴らすアームを取り付け、更にその音を各弦に取り付けたコンタクト・マイクで増幅。また2台のパイ焼き用のプレートも使い、その音もコンタクトマイクで増幅。さらに汽笛マシンを装着して、ピアノの「呼吸音」を拾い、紙の筒とコンデンサーマイクでらこの音を増幅すると言う仕掛けです。さらに41個の振動センサーを弦に取り付け、PCで制御しています。更に1台ののテンポ・マシンが取り付けられ、出来るだけゆっくりと音を鳴らすようにセットされています。と言う魔改造を施されたアップライト・ピアノ写真参照)の自動演奏の記録ですね。ゆっくりと爪弾かれるピアノの音に何かティンゲリー的なカタカタ言う音が混じり合い、それこそ、一種の生命体としての「生きた」ピアノの音を聴くことができます。それ程、激しい作品ではありませんが、非常に面白い音楽ですね。ジャケを見てもらえると、分かると思いますが、かなり手の込んだ仕掛けが施されています。それを見るだけでも楽しいです。皆さんも機会があったら、どうか聴いてみて下さい(でも自分家のピアノではやらないように❗️)。 https://youtu.be/_g6rqj_TZ8E #MarlaHlady #PlayingPiano #SquintPress #Installation #SoundArtist #AcousticPiano #PreparedPiano #Canada #FineArt
Experimental Squint Press 不明Dr K2