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V. A. “Vidal Benjamin Presents: Uprooted #1 Vladimir Ivković“
これを見つけた時は震えた!何せ、CHBBの音源がオフィシャルで入っているからだ!しかも、ジャケの作り1980年代前半っぽいモノクロで、中々センスが良い。と言う訳で飛びついた訳ですが、一応、スプリット・シングルなので、それぞれのアーティストについて調べてみました。それから、これは、Vidal Benjamin Presents Uprootedと言うシリーズものらしいのですが、まだこの1作しか出ていません。 それで、A面のRex, Goran & Milanですが、 全員ルーツが東欧です。Rex Ilusiviiは、本名Mitar Subotić "Suba"で、セルビア生まれで、ベルグラード大学で電子音楽の研究を続けており、ユーゴスラビアでは、1980年代にはその国のニューウェーブ・バンドのミックスやプロデュースを沢山行っており、それ故に電子音楽の第一人者と称されています。彼は、Elik SatieやBrian Enoに興味を持っていたようです。1986年には、電子音楽とユーゴスラビアの民族音楽を融合したりして、UNESCOからの資金で、3カ月間、ブラジルのリズムの研究員としてブラジルに行きますが、そこでブラジルの音楽に惚れ込んで、サン・パウロに移住してしまいます。そこで、Milan MladenovićのプロジェクトAngel's Breathに参加、アルバム”São Paulo Confessions”の制作にも参加しています。それで、1999年11月2日に、彼の新しいパートナーBebel Gilbertoのアルバムのポストプロダクションを行っていたところ、煙草の火が原因で、スタジオから出火、彼はBebelと彼女の新作を何とか救い出そうとして、亡くなってしまいます。 一方、Milan Mladenovićは、1982年に結成された、ユーゴスラビアのアートロック・バンドEkatarina VelikaのVo/Gかつフロントマンで、最初はハードロックが好きだったようですが、その内、Elvis Costello, Paul Weller, Andy Partridge (XTC)に好みが移っていき、1981年末に、Mladenović (Vo, G)は Limunovo drvo Gagi Mihajlović (G)を誘い、更にMargita Stefanović (Kbd), Bojan Pečar (B), Ivan Vdović Vd (Drs)を加えてKatarina IIを結成し、セルフタイトルのアルバムを出しますが、その後、Gagi Mihajlovićが脱退します。それで、バンド名をEkatarina Velikaと改名し、1985年にまたもやセルフタイトルのアルバムを出します。その後もセカンドアルバムを出しており、ユーゴスラビアでは重要かつ人気のバンドになります。1992年に、Mladenovićは、戦争反対プロジェクトRimtutitukiを結成し、1枚のシングルを出していますが、1994年春に、古い友人のRex (Mitar Subotić)とブラジルで、アルバム”Angel’s Breath”を録音しています。しかしながら、1994年8月に、膵癌が見つかり、同年11月5日に亡くなっています。 Goran Vejvodaは、英国生まれのセルビア人作曲家/サウンド・ヴィジュアル・アーティスト/ パフォーマンス・アーティスト/ 写真家/作家/役者で、主に仏で活動しています。1980年代初頭に、Vejvoda (G)は、ガールフレンドのBebi Dol (Vo), Slobodan Trbojevic (B), Vd (Drs)でAnnika Rougeと言うバンドを組んでいましたが、何もリリースはしていませんでした。その後、彼は、Bebi Dolのソロ・シングル”Mustafa”や”Rudi”を出し、彼女のアルバム”Ruze i krv”も出しています。その後、Vejvodaは、ユーゴスラビアのニューウェーブ・バンドやシンセ・ポップバンドと一緒に仕事をしています。その途中で、Mladenovićが、電子音響音楽を学びに、1985年に、パリにやってきた時、Vejvodaは、彼とコラボ・アルバム”The Dreambird, in the Mooncage”を制作し、1986年〜1992年の間、ユーゴスラビア、イタリア、ブラジルの主要都市でラジオ放送されています。 そんな東欧にルーツを持つ3人が、1984年、ベルグラードで録音したトラックを一部が、本シングルに収録されています。その3人が組むことになった経緯は判然としませんが、多分、この時期に、ユーゴスラビアに3人共いて、偶々、録音されたものではではないでしょうか。 それから、B面のCHBBですが、このデュオは、元DAFのChrislo Haasと元Mania D.のBearte Bartelと言う男女で、名前の頭文字を取ってCHBBとしています。このデュオは、後に、あの超重要かつ超有名な独エレクトロ・バンドLiaisons Dangereusesの前身でもあり、50本限定の10分カセット作品4種類(赤、青、銀、黒)しか公式の音源は無く、過去にもブートレッグが出たりしており、マニア誕涎の貴重なアイテムです。内容の一部は、今はYouTubeでも聴くことができますが、Korg MS-20を中心に作ったハード・エレクトロニクスな作品です。恐らく、Haasのシンセ偏執狂的志向が反映されているものと考えられています。と言う訳で、今回の狙いは、B面のCHBBなのですが、調べてみると、A面も非常に興味深いですね。それでは、各曲を紹介していきましょう。 ★A1 Rex, Vejvoda, Milan “Untitled”は、淡々と続くミドルテンポのDrsと単調なリフBに、恐らくシンセらしき音と過剰エコーを掛かった女性Voが被ってくる曲で、やがてGのカッティングが入ってきます。 ★B1 CHBB “NBKE”は、重く激しいキックとホワイトノイズのスネアのリズムを中心に、Bearteの呪文のようなVoや民族的歌うようなVoが被ってきて、そのバックには不明瞭な電子音が聴取できる曲で、次第に電子音は無くなって、リズムとVoだけになり、曲もフェイドアウトしていきます。 どちらかも抽象的な音楽なのですが、A面はロックの基本構成成分によって形成されているのに対して、B面のCHBBは、ほぼほぼ電子音と人声だけで形成されているところが違う点でしようか? 意外とどちらも面白かったです。それにしても、CHBBの音源が正規のルートで発表されたのは喜ばしいです。これを機に、4種類のカセット作品のリイシューとか未発表音源の蔵出しとかをやって欲しいですね。また、旧ユーゴスラビアの音源とかも珍しいので、また、規模を拡大して出して欲しいものです。このアイテムはある種コレクターズ・アイテムになるかもしれないので、買うなら今のうちですよ! A: Rex, Vejvoda, Milan “Untitled” https://youtu.be/8YkCSc5U9Ww?si=UmxGpdbYktgYmfGI CHBB “Go Go Go” [“NBKE”はYouTubeに無かったので代わりに] https://youtu.be/C4wC4LvA8T0?si=8N7prkrvZbLx6ca3 #RexIlusivii #MitarSubotićSuba #GoranVejvoda #MilanMladenović #Untitled #CHBB #ChrisloHaas #BeateBartel #NBKE #VersatileRecords #EastEurope #YugoslavianUnderground #1984年 #GermanUnderground #1981年 #VidalBenjaminPresentsUprooted #Experimental #PostPunk #JamSession #Electro #Synthesizers #KorgMS-20
Experimental / Post Punk Versatile Records 1144円Dr K2
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Der Deutsche Adel “s/t”
私は、このDer Deutsche Adelって全然知らなかったのですが、ヤフオクを眺めていて、ジャケで「これだ!」と思って思わず、ポチりました。Discogsで見ても、その素性は良く分かりませんでしたが、少し、調べてみました。先ず、Der Deutsche Adelと言うのは「独逸の貴族」と言う意味らしいです。それで、バンドの方は、1980年代に結成されて、独Düsseldorfで録音し、ミックスして、1984年に仏レーベルDivineよりリリースされたらしいのですが、今までCD再発などは全くされていないとのこと。メンバーは、Douglas Taylor (Vo), Milan Pistek (G, Back-Vo), Bruno Kieven (Kbd), Leon Kieven (B, Back-Vo, Perc), Jiri Douda (Drs, Perc)で、全員独逸人と思われていましたが、Pistekは、チェコ人で、Doudaは、恐らくハンガリー人らしいです。彼等の音楽は、Cold WaveとかGothic New Waveとか言われていたようですが、まぁそれは感じ方が人それぞれなので、重要ではないです。それで、本作品についてですが、ジャケ写は、オーストリアの俳優Erich von Stroheim (エンリッヒ・フォン・ストロハイム)の写真で、Jean Renoir監督の映画”La Grande Illusion”(第一次世界大戦の時の物語りだとか)から取られています。バンドの歌詞も、Stroheimの役の人物のセリフからの影響があるようです。端的に言うと、戦争が起こると、男は戦場に行くため、恋人と別れることになると言う心象風景を歌っているようです。この位しかDer Deutsche Adelについては分かりませんでしたが、実は、本作品を出した翌年1985年に、彼等は、 Le Printemps de Bourgesと言う仏のフェスで演奏しています。その後、Leon Kieven (B)とJiri Douda(Drs)は、Montanablueと言うバンドに加入、Milan Pistek (G)は、Sanov 1と言うバンドに加入して、アルバム”Konec Sveta”も作製しているとのことです。 と言う訳で、本作品について紹介していきましょう。と言うか、Der Deutsche Adelの作品はこれしか無いんです。しかも、結成とかに関する情報もありません。まぁそれはそれとして、各曲についてご紹介していきますね。 ★A1 “Unfurled Flags” (3:10)は、シーケンサーとシンセの絡みがやや仰々しいですが、劇的な展開を見せるニューウェーブな曲で、それぞれのスキルの高さがよく分かります。 ★A2 “Build Those Fires” (4:15)は、ミドルテンポの曲で、割とGのリフとDrsのパタンで曲が進行する感じで、ちょこっとだけ中近東風のリフが聴けます。サビではBが唸りますね。 ★A3 “Dive” (2:35)は、鈴の音で始まり、唸りまくるBが曲を引っ張っていく感じで進行しますが、サビの静かな所でのシンセも良い塩梅です。Voにもう少し個性があったら、素晴らしいと思います。 ★B1 “Sometimes” (3:55)は、切羽詰まった感じのする緊張感溢れる曲で、Gのリフやコーラスも含めて、結構キャッチーだと思います。間奏で静まる構成はメジャーっぽいですね。 ★B2 “Sally Oh Sally” (4:35)では、柔らかいシンセにGのリフが被って始まりますが、Voは一曲全部コーラスワークで進行します。何となくメジャー臭がするアレンジですねぇ。 ★B3 “Guess Works” (3:35)は、硬い音色のDrsとリリカルなピアノを中心にVoが悲し気に歌う曲ですが、メロディには希望が含まれており、救われます。 このバンドは、時期的にはNDWなんでしょうが、どうもその本質は、メジャー予備軍のようなニューウェーブ・バンドではないかと思います。それが良いか悪いかは別として、この一作で消えたのが惜しいかなとも思います。個人的には、もっとシンセとかをバンバン使って欲しかったですね。あと、Voにももう少し個性が欲しかったですね。そうしたら、もう少し人気も出たかも? https://youtu.be/qBIuM_GHRAM?si=J-yZb7PMTD-eWZ-F #DerDeutscheAdel #Divine #Mini-Album #FirstAlbum #1984年 #NewWave #GermanNewWave #DouglasTaylor #MilanPistek #BrunoKieven #LeonKieven #JiriDouda
New Wave / NeueDeutscheWelle / German New Wave Divine 2090円Dr K2
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Einstürzende Neubauten “Rampen (APM; Alien Pop Music)”
Einstürzende Neubautenの新譜が出た(2024年4月現在)! これは思わず買ってしまいますよね?って私だけ? と言う訳で、約40年以上も、独NDW(正確には”Festival Genialer Dilletanten)から独自の道を歩み、メタル・パーカッションなる「楽器」を定着させ、更に自作ノイズ装置を楽器として使いながらも、ポップソングのように歌う、しかも通常のドラムもドラムマシンも無しだ。こんなバンド、他に無いだろう。しかも、パトロン制やサポーター制で独自の配給も行っています。ノイズ・ミュージックが世間に馴染んできたからこそ、その特異性が際立つと言うものだと思うんですよ。そんな訳で、丁度今、NDWにハマっている私には朗報でした。まあ、彼等のバイオグラフィーは今まで散々書いてきましたので、ここでは、省略させて頂きますが、現在のメンバーだけ紹介しておきます。Blixa Bargeld (Vo, Piano, others), Alexander Hacke (B, others), N.U. Unruh (Meral, Noise), Jochen Arbeit (G, others), Rudolph Moser (Per, Metal, others), Felix Gebhard (Synth, others)となっています。更に、ライナーを読むと、2022年のツアーの頃から録り始めていた即興演奏の部分から23個のピースを集めて、そこから、ベルリンのスタジオ内で再度作り込んでみて、何度も編集やオーバーダブをして、15曲分のベストテイクを選んだらしいです。それについては、Blixaは、「The Beatlesと同じ作り方だろ?」とコメントしています。如何にもBlixaらしいですね。と言う訳で、各曲についてご紹介ししていきましょう。 ◼️LP1 ★A1 “Wie Lange Noch?” (5:17)は、プラ・パイプとメタパーでのリズムに、BとBlixaの抑圧的な歌が乗る曲で、サビに向かって盛り上がりますが、突如ブレイクが入ります。 ★A2 “Ist Ist” (3:49)では、ゴリゴリのBが曲を引っ張り、そこにメタパーやノイズが乗りますが、Blixaは自然体で色んな唱法を試しており、それらを多層化しています。 ★A3 “Pestalozzi” (5:10)は、微かなドローンにBlixaの歌で始まり、バックでメタパーやキックが聴こえます。また、コーラスワークともバッチリですが、この曲は英詞なんですね。 ★A4 “Es Könnte Sein” (3:20)は、微かな呟くようなVoとアコギのアルペジオで始まりますが、鐘の音やコーラスの後にいきなり盛り上がり、ちょっとぐちゃぐちゃになりますが、最後に向かって、反復し続けます。 ★B1 “Before I Go” (4:19)も、微かなリズム音と呟くようなVoで始まり、やがて様々な音が混じってきます。この曲も英詞ですね。途中で山場があり、その後は可愛らしいピアノや弦楽器のサンプリング音も聴取できます。 ★B2 “Isso Isso” (4:54)は、キック音で始まり、呪文のようなVoと共に、やがてBも入って来ると、独特のグルーヴが生まれます。表題は”That’s Right”と言う意味です。Blixaの引き攣るような唱法も聴けます。 ★B3 “Besser Isses” (4:48)の始めは、微かなシンセ音に殆どBlixaの独唱なのですが、Bが入ってくると、俄然曲っぽくなってきます。ここら辺の盛り上げ方は本当に上手いですね。 ★B4 “Everything Will Be Fine” (4:48)も、ガサゴソした音をバックに呟くように語るVoが暫し続きますが、オルガン?が入って来ると、そこでBlixaも盛り上がり、メタパーやコーラスも入ってきます。この曲は独英詞ですが、違和感は無いです。 ◼️LP2 ★C1 “The Pit Of Language” (4:31)では、静寂から始まり、Bのリフと共にVoも入ってきます。その後もシンセやマリンバも加わります。なお、これも英詞です。 ★C2 “Planet Umbra” (8:44)では、Bとオルガンの反復で始まり、やがてキックと共にVoが入ってきます。これも英詞なんですが、Blixaにしては珍しくちょっとSFチックな内容ですね。メタパーも遠くで聴こえますが、得体の知れない音が時々挿入されます。 ★C3 “Tar & Feathers” (5:15)は、ずっと続くコーラス?のバックに何かの楽器によるリフが微かに聴こえる曲で、やがてその空気を捻じ曲げるように、BlixaのVoが入ってきます。この曲も英詞ですが、短い歌詞で、曲も直ぐに終わります。 ★D1 “Aus Den Zeiten” (5:13)では、比較的直線的なBラインに、演劇的な語り口なVoとキックが入ってきて、更にホワイトノイズのスネアが入って来ると、曲は沸点を迎え、一度クールダウンしますが、再び盛り上がってきます。 ★D2 “Ick Wees Nich (Noch Nich)” (3:13)では、何とも怪しい音の中、Voや変調したメタパーのリズムやBのリフ等が折り重なり、高揚していきますが、最後は諦念でしょうか? ★D3 “Trilobiten” (6:16)では、アコギのアルペジオをバックにBlixaが1人語りのように歌いますが、ここでは珍しくハキハキと歌っています。やがて、キックとBも入ってきて、曲は盛り上がります。 ★D4 “Gesundbrunnen” (5:15)では、プラ・パイプのリズムとBのリフのバック遠くで、Blixaの声が聴こえますが、直ぐに前面に出てきます。それに混じって、色々な音が聴こえてきます。Blixa独特の唱法の後、一旦、曲は静まり返りますが、やがて立ち上がり、そのまま終わります。 もう、ここまで来ると、大御所としての「E. Neubauten節」と言うか、「Blixa節」を堪能させてもらった感がありますね。C2でのBlixaの新境地の歌詞もちょっとビックリしましたが、それよりも何よりも、あんなガラクタだらけの「楽器」で何故、こんなに繊細な音楽が演奏できるのか?そちらの方の「成熟度」に興味が移ってしまいました。これって、最早、彼等にしか出来ない伝統芸能なのかもしれませんね。完璧なアンサンブルです❗️まぁ大御所なので、曲の展開なんかは、初めから分かってしまうのですが、分かってしまっても、最早、そこが良いとも思ってしまいます。若い時の彼等も知っているので、その変遷具合にビックリしてしまいますが、彼等が奏でる静かな音楽も、私は良いと思いますよぉー! [live “Rampe” in Vienna, 2022] https://youtu.be/brQsak_8Cd8?si=7U1DTzzkHnpPkcix [full album] https://youtube.com/playlist?list=OLAK5uy_lbiOjP2TZSvaa5IK1JwwxwosRY5iMtcBo&si=qeOqGmrfZf_0_FKu #EinstürzendeNeubauten #Rampen #APM;AlienPopMusic #Potomak #2LPsAlbums #GermanRock #ExperimentalRock #Improvisation-Based #Rework #Edit #BlixaBargeld #AlexanderHacke #N.U.Unruh #JochenArbeit #RudolphMoser #FelixGebhard
Experimental Rock Potomak 5940円Dr K2
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Butzmann & Kapielski “War Pur War”
やっと入手できました。早熟の天才Frieder Butzmann (ブリーダー・ブッツマン)と独のマルチ・アーティストThomas Kapielski(トーマス・カピールスキ)のコラボ・アルバム”War Pur War (ヴァル・プール・ヴァル)”です。Frieder Butzmannについては、以前にバイオグラフィーを書いてありますので、今回のコラボレーターThomas Kapielskiについて、ちょっと調べてみました。Kapielskiは、1951年9月生まれで、BerlinのCharlottenburg地区生まれの作家/文芸批評家/ビジュアル・アーティスト/音楽家と言う多彩な顔を持つアーティストです。彼は、1970年代には、Freie大学ベルリン校に入学して、地理学、文献学、哲学を学んで、そこから総合的芸術活動に参入します。彼は日常的な物事に潜んだ不条理や異常な側面に注目したオブジェや写真、絵画を作製しています。1980年代には、今回のコラボの相手でもあるFrieder Butzmannと知り合い、彼と共に、日常の騒音やノイズや言葉をミックスした作品を作り始めます。1981年にベルリンで行われた有名なイベントFestival Genialer Dilletantenでは、演奏の機会/時間をも与えられています。1984年には、Der bestwerliner Tunkfurmという活動家関係の雑誌を出版、その中に、Helmut HögeとSabine Vogelと共に「こんにちは、地獄へようこそ」との文章を書いてたり、アナーキスト系雑誌にも「唯一無比と開始宣言: 中くらいの損失」なる文章も寄せています。また、1988年には、「ベルリンのバーDschungelは満杯のガス室だ」との記事も書いています。1990年代には、Zeit紙やFAZ紙或いはFrankfurter Rundschau紙から本を出版しています。また、ミュンヘンのValentin-Karlstadt美術館に、彼の作品の写真・目録展を開催し、1999年度のIngeborg-Bachmann賞を受賞しています。その後も、2011年にはKassel文芸賞を、2010年には文学館賞も受賞しています。そして、彼はダダやFluxusからの流れを組み、既存の美学を洒落た気で破壊するような表現を行うマルチ・アーティストでもあり、オーバークロイツベルク鼻笛オーケストラ(Oberkreuzberger Nasenflötenorchester)も率いています。と言う訳で、Thomas Kapielskiは、どちらかと言うと音楽家と言うよりも総合芸術家みたいな人物みたいです(Wikiが独語なので訳するのツラい!)。 と言うバックボーンを持った天才2人が、1987年に作り上げたのが、本作品”War Pur War”です。まぁ、このバックボーンを知っていれば、大体、音も想像出来ると思いますが、何処までも逸れていくミニマルエレクトロ、寸劇交じりのコラージュ工作など、Die Tödliche Dorisあたりを彷彿とさせる曲が、2曲のボーナス・トラック(B8, B9)を含んで、18曲詰め込まれています。2人の担当等の情報は記載されていないです。因みに、ジャケ写は、Thomas Kapielskiの代表作にもなっているスリッパクリーチャーとのことです。それでは、各曲について紹介していきましょう。 ★A1 “Freebeer” (2:44)は、割と自由に弾いているシンセBとホワイトノイズのスネアによるアンサンブルで、前者はメロディも兼ねています。そこに変調した人声が入ってきます。 ★A2 “Damit Des Ergetzens Auf Erden Kein Ende Seyn Möge” (1:25)では、加工しまくった具体音と叫び声に、シンセの電子音が渦巻き状に絡みつきます。 ★A3 “Die Luftmatratze” (0:29)では、細かいシーケンスとそれに同期したシンセが、やがて異形のメロディへの昇華していく小曲です。 ★A4 “Der Garagenschlager” (1:16)は、性急なリズムボックスと掻きむしられるGに変調Voが乗る曲で、何とも言えない焦燥感を感じます。 ★A5 “Pavel From Prague” (0:58)は、重いホワイトノイズのスネアに様々に変調したVoと電子音の断片から成る小曲です。 ★A6 “Incendio (Versione Per Danza)” (4:36)では、怪しげなシーケンスとドラムマシンが反復する中で、淡々とした変調Voが語り出し、更にディレイも掛けられます。バックにも怪しげなシンセのメロディも流れています。 ★A7 “Do The VoPo” (4:25)は、A6に連続して始まり、強靭なドラムマシンと硬質なシンセBのシーケンスに、SE的な音や時に変調Voも聴取できるミニマルな曲です。後半では少しだけメロディも聴取できます。 ★A8 “Zweitstimme” (0:40)は、語り口とラジオのコラージュ及びシンセのSE音から成る小曲です。 ★A9 “Wunderbar” (1:46)は、微かながらもゆったりとしたゆり籠に乗せられたような曲ですが、後半にはやや盛り上がりかけます。 ★B1 “Wurmberg” (4:10)は、パンを振られた石を引き摺るような音に、ひび割れた電子音が加わる、何とも不気味なリズムレスの曲です。突発性に電子音や時に少女合唱団やSEシンセ音も挿入され、最後は電子持続音へと収束します。 ★B2 “Rolle Der Frau” (3:17)は、ジャズ演奏のサンプリングや電子SE音や人声が高速コラージュされた曲で、2人の宣言や微かにリズムボックスも含まれます。 ★B3 “Qua Pur Qua” (0:28)は、美しいシーケンスに不定形の電子音が上下しつつ絡んでくる小曲です。 ★B4 “Con Fermezza” (1:00)は、低速再生されたような既存の音楽をループにした曲ですが、これにはギミックがあるようです。 ★B5 “Haacke & Gross” (3:14)は、モーターのような物音系ノイズと通奏低音から成るリズムレスな曲で、フィードバック音は段々上がっていきます。 ★B6 “Kurzstück” (0:20)は、シンセ音と人声などのコラージュから成る小曲です。 ★B7 “Ein Beglockendes Rauschen” (5:13)では、ショートディレイをかけたリズムマシンと単調なシンセB及びシンセのリフが骨格を成し、不定形の電子音やホワイトノイズ、または同期した新しいシーケンスなどが加わっていきます。更に、大胆なシンセのメロディも。 ★B8 “Akron, Ohio” (0:41)では、チューニングのズレたアコギを掻きむしる音に、意味不明のVoやシンセ音も加わります。 ★B9 “Kojote” (2:29)では、シンセによる基本メロディ(途中、ダレたりもする)と、そのバックに人声や犬の鳴き声やらが薄っすらと入っています。 とまぁ、やりたい放題なのですが、聴く前に想像していた程の無茶苦茶さは無いように感じました。そして、一つ気付いたことがあります。個々の曲の面白さもありますが、アルバム全体としても、「サウンド・コラージュ」の様相を呈していることです。ご紹介の都合上、個々の曲の解説文も書きましたが、全体として聴いてみると、マクロでも各々の曲がコラージュされて、配置されており、A面/B面それぞれが一つの作品になっているのではないでしょうか? それから、全体的に流れる一種の「ユーモア」みたいな雰囲気があって、それが、本作品を堅苦しい音楽ではなく、柔軟で柔和な音楽にしていると思います。まぁ、この手の「ユーモア」は、NDWの多くのバンドに共通しているところから想像するに、独逸人気質なのかもしれませんね。この作品の面白さは、とにかく、アルバムを聴いてみることで初めて分かることなので、気になるリスナーさんは是非ともご購入して、堪能して下さい❗️ A7 “Do The VoPo (Panoptique Ajustement)” https://youtu.be/KCgT7pxW66o?si=MjH3tQEFBMgVEboO [full album] https://youtube.com/playlist?list=OLAK5uy_l15GOVTX4eMdBld59wWcHJqQ13TTdiiPg&si=_QK48HlMzdHgzdr5 #FriederButzmann #ThomasKapielski #WarPurWar #ButeauB #2020年 #Reissue #Remastering #Zensor #1987年 #Experimental #Avant-Garde #Dada #Fluxus #SoundCollage #ConceptualAlbum
Neue Deutsche Welle (German New Wave) / Experimental Bureau B (Zensor) ¥3010Dr K2
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The Serfs “Half Eaten By Dogs”
私は、このバンド、全然知らなかったのですが、試聴して良かったので、即購入しました。なので、先ず、The Serfsについて調べてみました。The Serfsは、元々、オハイオ州シンチナティで、2010年代後半に結成された3人組で、メンバーは、Dylan McCartney, Dakota Carlyle, Andie Lumanですが、それぞれが別のサイド・バンド(The Drin, Crime of Passing, Motorbike)を並行してやっており、この地域の新しいアングラ・シーンには欠かせない存在です。それで、彼等は、最初のカセットアルバムを2019年に独のミニマルシンセ・レーベルDetriti Recordsからリリース、その後2022年に、シアトルのレーベルDreamから彼等のファーストLP”Primal Matter”をリリースしています。そうして、2023年に、本作品であるセカンドLP”Half Eaten By Dogs”をシカゴを拠点とするTrouble In Mindから出しています。その作品は、モダニスト達が、Total ControlやCold Beat等の未来指向のバンドを米国中西部へグッと引っ張り上げるようなもので、ポスト・インダストリアル或いはインダストリアル・ロック・バンドであるSkinny Puppy, Dark Day, This Heat, Factrixによるグライムと同様の衝撃があったようです。 調べてみましたが、この位のことしか分かりませんでした(すまん!)。過去の作品を聴いてみると、ポストパンクと言うよりも打ち込み系ロック、即ち、インダストリアル・ロックと言う方がしっくりくる感じでした。それで、本作品についでの文章がありましたので、引用します。「この作品は、スカスカの異教徒のヴィジョンに焦点を当てており、それは、氷のようなシンセのハーモニーが、滲み出すケミカルなリズムとボコボコに穴の空いたロックの様式に統率しているようなもので、そうすることで、サイケな憂鬱さも体現できます。そう言うのは抽象的な歌詞にも反映されており、その内容は、自然的厄災と超自然的厄災とが運命的に決まっていることも、また、より可視化された音楽シーンの運命も含んでいると言うことです。」とのこと。実際、彼等は、陰気なドラムやギターとインダストリアルなシンセの予定調和を越えて、方向転換していますし、この作品ではSaxやハーモニカ、Fluteなんかも使っています。まあ、つべこべ言わずに聴いてみましょう。本作品の参加メンバーは、Dylan McCartney (Vo, Perc, G, B, Drs, Synth, Electronics, Harmonica, Flute), Dakota Carlyle (Programming, Electronics, Synth, B, G, Vo), Andie Luman (Vo, Synth)で、ゲストとして、Eric Dietrich (Sax [A5]), Luke Cornett (G [B4]), Bradley Kennedy (Perc [A2])も参加しています。また、内容も両面とも5曲ずつ収録されています。それでは、各曲について紹介していきたいと思います。 ★A1 “Order Imposing Sentence” (3:08)は、いきなりサーフ系ロック・アンサンブルで飛ばすチューンで、カッコ良すぎます。時に入ってくるSE的シンセ音やオルガンも最高です! ★A2 “Cheap Chrome” (3:37)は、性急なマシンリズムとミニマルなシーケンスに、シンセによるメタ・メロディと複数のVoが重なる曲で、ちょっとだけSuicideを想起しますね。 ★A3 “Suspension Bridge Collapse” (4:10)は、LFOシンセとディレイを掛けたマシンリズムから始まり、ミニマルなシーケンスとドリーミーなメロディそしてインダストリアルなシンカッションに、深いエコーを掛けた単語切りのVoから成る曲で、甘くも硬派な印象です。 ★A4 “Beat Me Down” (3:30)は、反復するシンセのリフに、生DrsとGが加わり、ミニマル・ロックな曲で、VoはJesus & The Mary Chainのようで、結構、カッコ良いです。 ★A5 “Spectral Analysis” (4:35)は、A4と連続して、マシンリズムが淡々と流れる中、Bと共に、緩やかなシンセのメロディとディレイを掛けた語り口調とVoが乗ってくる曲で、郷愁を誘うSaxと共に「新しい工業音楽」を感じさせます。 ★B1 “Club Deuce” (5:30)では、シンセで作ったリズムのシーケンスとミニマルなB-Synthに加えて、シューゲイザー風女性Voがメインに入ってきます。微かな男性の語りもワンポイントで。何処かポップになり切れないインダストリアルを感じます。 ★B2 “Electric Like An Eel” (3:47)は、ロック調のマシンリズムに、不思議なシーケンスと地を這うB-Synth、そこに突き放すようなVoが乗る曲ですが、曲はミニマルで、シンセの音色もグーです! ★B3 “Ending Of The Stream” (3:00)では、フランジャーの掛かった低音持続シンセに、土俗的生DrsとVo、それに流れるようなシンセとGが加わり、シンセ版ポストパンクのような曲に仕上がっています。 ★B4 “The Dice Man Will Become” (4:07)は、アップテンポな生DrsとBかつドリーミーなパワーポップな曲で、ノリも良く、シンセも秀逸で、思わず踊りたくなります。 ★B5 “Mocking Laughter” (4:28)は、直線的なキックとBで始まり、ポストパンクなVoが乗ってくる曲ですが、脇を固めるGやシンセが嘗てのFactory系のバンド・サウンドを想起させると同時にドリーミーさも感じます。 私的には、凄く好みのサウンドで、インダストリアルと言う程、悪意や攻撃性は無く、寧ろ、セカンドの頃のSuicideの淡い感情や1980年代のポストパンクやパワー・ポップ或いはガレージのロックっぽさを上手く自分達のテイストとして消化していると感じました。なので、確かにミニマルな曲は多いですが、シンセ・ウェーブよりももっと「ロック」に近いとも思えますし、インダストリアルともインダストリアル・ロックとも全く異なる「歌心」があるように感じます。そう言う意味では、結構、掘り出し物でした❗️多分、好きな人にはピッタリハマると思いますので、先入観無しで聴いてみて下さい!ありそうで無かったサウンドです。 https://youtu.be/_nX6wZz7uLU?si=qQKplt2sOsJc_HWh [full album] https://youtube.com/playlist?list=OLAK5uy_nQmflopNqtRhxj1Xe2wOVqaSoPGanSn9g&si=SpkBrPrVQDfGDDO2 [BandcampのURLも貼っておきます] https://theserfsmusic.bandcamp.com/album/half-eaten-by-dogs #TheSerfs #HalfEatenByDogs #TroubleInMindRecords #3rdAlbum #USA #CincinnatiUnderground #SynthPunk #PostPunk #MinimalWave #PowerPop #Garage #打ち込み #Shoegazer #Synthesizers #DylanMcCartney #DakotaCarlyle #AndieLuman #Guests #EricDietrich #LukeCornett #BradleyKennedy
Synth Punk / Post Punk / Minimal Wave Trouble In Mind Records 2900円Dr K2
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V. A. “7Ai9”
これは、始め、なんだぁ?と思った謎物件でしたが、どうも、フィンランドのレーベルが出したコンピレーション・アルバムのようで、それをキュレーションしたのが、レコード・コレクターにして1980年代にパンクファンジンPölyを弟と一緒に出していたPiitu Lintunen (ピーツ・リンツネン)みたいです。彼は、1980年代〜2000年代まで、MerzbowやGenesis P-Orridgeともコンタクトがあり、この時代のインフルエンサーでもあったようです。それで選出されたメンツをザッと見てみると、1980年代から活動しているグループから比較的最近出てきた北欧のグループも混じっているようで、所謂、ノイズ〜アヴァン系なのかな?と期待は膨らみます。なお、A1, A2, A3, A4, B3, B4のトラックは、1980年代にキュレーター兼ソロユニットNeljän Seinän JumalatでもあるPiitu Lintunenの所に送られてきた「デモテープ」からセレクトした音源であるとのことで、1982-1986年に録音されています。それ以外は、B2が1992年に録音で、A5, B1, B5が2022に年録音された音源と言うことです。なお、A1は1983-1984年辺りに録音されたものですが、今回、収録に当たり、2021年録音のロングヴァージョンになっていると言うことです。それでは、 各曲を各アーティストと共に紹介していきたいと思います。因みに、ジャケは、先述のファンジンPöly4号のカバーから取られています。このファンジンを出していたのが、今回のコンピのキュレーターであるPiitu Lintunenです。 ★A1 DDAA (仏) “Now It's Time Now” (3:23)では、Sylvieの淡々とした朗読と物音系Percに、BだかGだか良く分からない弦楽器やシンセ持続音が絡まっていきます。正にアヴァン・ポップな1曲です。 *DDAAはDéficit Des Années Antérieuresの略称で、1977年にJean-Luc André, Jean-Philippe Fée, Sylvie Martineauで仏で結成されたアヴァン・ポップ・バンドです。 ★A2 Konstruktivists (英) “Opening Singns” (4:51)は、不明瞭なシンセ音が多層化していく曲ですが、後半には高周波リズムが聴取できますし、どうもシーケンスもあったようです。 *Konstruktivistsは英国のGlenn Michael Wallisかわ1982年から始めたインダストリアル・ユニットで、嘗てはHeuteとしても活動しています。 ★A3 Ramleh (英) “Black Ark” (2:08)は、いきなりの爆音電子ノイズで始まり、テープ音も時に聴こえます。音の潰れ方が正しく正統派のパワ・エレですね。 *RamlehはノイズレーベルBroken Flagを運営していたGary Mundyを中心としたパワー・エレクトロニクス或いはギターノイズ・バンドです。 ★A4 Neljän Seinän Jumalat (芬) “TV-Orgasmi” (4:43)は、怪しげな低音シンセと一見、合ってなさ気なリズムに、鳥声らしきシンセ音とCabsのようなBが被る曲で、後半はホワイトノイズが唸る中に、テープ音やSE的電子音が散りばめられます。 *このコンピの首謀者Piitu Lintunenが1980年代にフィンランドでやっていたソロ実験音楽ユニットです。 ★A5 Corum (米) “Hecate's Swaying Garden” (5:37)では、ウニョウニョした電子音がリズムレスにのたうち回ってますが、その内、3拍子のリズムボックスや明瞭なメロディの無い電子音とVlnらしき弦楽器のリフが入ってきます。 *Corumは米国人Grant Corumのソロユニットで、2010年代から活動しています。 ★B1 Clair (米) “Magick Garden Rebirth” (5:31)は、フルートとシンセ(?)の静かで落ち着いた雰囲気で始まり、そして柔らかいシンセのメロディも加わったオーケストレーションになっていき、最後にはVoらしき音も聴取できます。 *Clairも米国人Clair Crawfordのソロユニットで、2020年代から活動しています。 ★B2 Jimi Tenor (芬) “Ainon Kyynel” (4:00)では、ヘンテコな音/ピコる音のシーケンスが弾け、やがてマシンリズムや同期した別シンセ音も加わります。一番、テクノかも? *Jimi Tenorは本名Lassi Lehtoで、1990年代から活動しているフィンランドの実験的ジャズ・ミュージシャン名義です。 ★B3 Tasaday (伊) “Il Rito” (3:34)では、ポリシンセの反復で始まり、その内、ドラムマシンも入ってきて、更に、アジるVoやら打楽器やら電子音やらの断片が無作為にインしてきます。 *Tasadayは、伊Brianzaで、1982年に結成された不定形実験音楽/インダストリアル/ノイズ・バンドで、仏のForm & Nulla Iperrealeと関係があります。 ★B4 Odal (蘭) “Flaming Piano” (3:33)は、デロデロのテープで録音したピアノを古い壊れ掛けの機材で再生したかのようなLo-Fiな「テープ音楽もどき」です。 *Odalは、蘭のPeter Zinckenのソロノイズユニットのことで、1986年から活動しています。 ★B5 Pekka Airaksinen (芬) “Untitled” (3:34)は、闇の中から、様々な電子音が立ち上がってくる曲ですが、やがてマシンリズムとSynth-Bのシーケンスと上物のシンセによるメロディも出てきて、ちょっと安心します。 *Pekka Airaksinenは、フィンランドで、1967年にThe Spermとして活動したり、又は1000体の仏陀に捧げる曲を使ったりしてきた古参の実験電子音楽の作曲家で、2019年5月に他界しています。 このコンピのコンセプトに関しては、分からない訳ではないんですが、出来れば、コンパイルする音源を、1980年代にLintunenが受け取ったデモテープだけからか、フィンランドのアーティストだけからかのどちらかにして欲しかったです。この手の電子音楽って機材の進化にかなり左右されるところもあるので、年代が離れ過ぎた曲を1枚のコンピにするのはちょっと反則だなぁと思いました。しかしながら、フィンランドのこう言うアングラ・シーンの一端を垣間見れたのは貴重な体験でした❗️ノイズだと、フィンランドと言えば、Miko AspaのGruntとそのレーベルFreak Animal Recordsを思い出しますが、それじゃないアーティストのことも知ること出来て良かったです。 [今回、YouTubeには、アルバムとしてまとめてあったサイトが無かったので、各曲を別々に貼っておきました。なお、BandcampのURLも貼りましたので、まとめて聴きたい方はそちらからアプローチしてみて下さい。] A1 DDAA “Now It's Time Now” (3:23) https://youtu.be/LivrD3IJchk?si=1d8xRC3kWJqKeMtW A2 Konstruktivists “Opening Singns” (4:51) https://youtu.be/IJqq5vEREvc?si=jEd8qR4yrWtNRK3H A3 Ramleh “Black Ark” (2:08) https://youtu.be/Vd_7LRtV6rE?si=6V6VxTjgBxPRrWnD A4 Neljän Seinän Jumalat “TV-Orgasmi” (4:43) https://youtu.be/L7pmzpRhy9g?si=qkTk8-z5fQxPUjMn A5 Corum “Hecate's Swaying Garden” (5:37) https://youtu.be/7z9KYIC3KPs?si=wiugzQbGOj1CdhHt B1 Clair “Magick Garden Rebirth” (5:31) https://youtu.be/X_XzVPGVGDY?si=Pxlz_au_NEBUR_Al B2 Jimi Tenor “Ainon Kyynel” (4:00) https://youtu.be/UGBHZgmOKvQ?si=Za6C0g6EPMLp8oap B3 Tasaday “Il Rito” (3:34) https://youtu.be/tdLCavYiAF8?si=APZR_Kwh5S7G-kIp B4 Odal “Flaming Piano” (3:33) https://youtu.be/poug3ljnT9o?si=Ye3oOFz49loP2Fcr B5 Pekka Airaksinen “Untitled” (3:34) https://youtu.be/UPpko3NP_zM?si=vWpmNhBDURNtrHgr [BandcampのURLを貼っておきます] https://sahkorecordings.bandcamp.com/album/7ai9 #VariousArtists #7Ai9 #SähköRecordings #InternationalCompilationAlbum #Finland #1980年代 #DemoTapes #2022年 #Curation #PiituLintunen #PunkFanzine #Pöly #RecordCollector #Influencer #Industrial #Experimental #Noise #Avant-Pop #DDAA #France #Konstruktivists #UK #Ramleh #UK #NeljänSeinänlJumalat #Finland #Corum #USA #Clair #UK #JimiTenor #Finland #Tasaday #Italy #Odal #Holland #PekkaAiraksinen #Finland
Industrial / Experimental Sähkö Recordings 3530円Dr K2
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a.P.A.t.T “We”
a.P.A.t.T.と聞いて、ピーンとくるリスナーさんは少ないかと思います。私自身も、何でこのアルバム、買ったのか?良く覚えていません。まぁ謎物件な訳です。それでちょっと調べてみました。a.P.A.t.T.というのは、どうも、英国リバプールで、2002年に結成されたアヴァン・ポップとマルチメディアの為のアンサンブルのことみたいです。このアンサンブルには、Kling KlangやZombinaのメンバーが関わっているようです。詳しい結成までの経歴やメンバー等は良く分かりませんが、失敗と成功を繰り返しながら、凡ゆる方向へ向かって成長してきたらしいです。なので、音楽だけではなく、映像やその他の表現分野に渡る活動をしてきており、単にアヴァンギャルドや現代音楽というだけではなく、ライブ・バンドとしての活動にも重きを置いています。そのような背景もあるのか?関係あるかどうか分かりませんが、2016年〜2022年間のメンバーは、Ana Crusis, Boss A Nova, Boss DR-5, Col Legno, Commodore 6/4, Dorothy Wave, Ed Room Dyasono, Empress Play, General MIDI, Mic Lead, Mr Phil, Oscar Later, Private Dancer, Relative Minorと言うように偽名(しかも機材の名前を文字っているお茶目さ)だらけで、曲によって、その組合せは変わることもあり、リスナーや観客を困惑させ続けてきており、チャートとは無関係な立ち位置で活動していたらしいです。ただ、メンバーの中で、General MIDIなる人物がメインに作曲を担当しているので、この人が恐らくリーダー的存在ではないかと思われます。それで、彼等は、1970年代のアートロック~1980年代のシンセポップ〜ポストロック〜硬派なチェンバー・ミュージックまで取り込んで、最終的にモダン・サイケでコーティングされたようで、どこか人を食った様相も見せるキッチュでストレンジなぶっ飛びポップ・サウンドを毎回、作品に刻み込んできました(人を食った様相は、メンバーの名前からも想像できると思います)。特に、2008年にリリースしたアルバム” Black & White Mass”は、ポップ・ミュージックのギリギリの線で留まったアヴァンギャルドな作風として名を馳せ、BBC Radio 1では「今週のアルバム」として毎日放送されていたとのこと。そんな意味で、彼等は、The Beatles, Pink Floyd, Cardiacs, Radioheadと同様の大いなるアイデアを持って、それを実践できるバンドであると評価されています。彼等は、主にBandcampで作品を発表していますが、その中でも、本作品は、フィジカルになった作品の内、6作目に当たります。そして、今回は、米国CA出身女性シンガーDyasonoをゲストとして迎えて、a.P.A.t.T.流の捻くれスウィートな女性ポップス曲”It Keeps Going”を筆頭に、これまでに無かった新味も加わって、端から端まで自由に行き来しています。そんな彼等の”We”は前作から8年振りでリリースされました。そんなa.P.A.t.T.の各曲を紹介していきたいと思います。 ★A1 “The Great Attractor” (7:50)は、BとDrsで始まり、そこにエレピが乗ってきて、ヒステリックなVlnやGが絡んできます。途中で雰囲気が変わり、複数のVoによる歌物になりますが、レコメン系に近い音作りをしていますね。マーチのリズムや性急なテンポやらに代わっていく複雑な曲構成がスリリングです。 <General MIDI作> Bossa Nova(Drs), Private Dancer (Vln), Boss DR-5 (Fretless-B, E-Piano, Vo), General MIDI (Vo, G, Distorted-B, E-Piano, Synth), Dorothy Wave (Vo), Empress Play (Sax, Piccolo) ★A2 “It Keeps Going” (3:01)は、バックはGeneral MIDIが演奏していますが、軽快なポップスになっており、DyasonoのキュートなVoを上手く活かしています。 <General MIDI&Dyasono作> Dyasono (Vo), General MIDI (All Instruments) ★A3 “I Sigh: You Sigh” (3:37)は、逆回転で始まり、正確無比なDrsとシーケンサーとBがイントロとなって、クラリネットも加わり、変調男性VoやVlnが入ってくる複雑な曲です。最後にダレますが、直ぐ復活します。 <Dorothy Wave, General MIDI, Bossa Nova, Mark Greenwood作> Dorothy Wave (Synth), Bossa Nova (Drs), General MIDI (Synth, Vo), Empress Play (Clarinet), Ana Crusis (Vln), Mark Greenwood (Vo) ★A4 “Porca” (2:53)は、ブローするSaxやVlnなんかも含む欧州ラテン系の熱い演奏で、スパニッシュな女性Voが乗っていると思ったら、急に曲調が代わり、ピアノとストリングス・シンセのしっとりとした演奏になります。 <General MIDI&a.P.A.t.T.作> Bossa Nova (Drs), Boss DR-5 (B), Private Dancer (Vln), General MIDI (Vo, Piano, Farisa-Organ, 5-String-B), Empress Play (Vo, Sax), Dorothy Wave (Clarinet) ★A5 “Solipsisim” (3:04)は、語り調のVoのイントロから、クラリネットとアコーディオン様のシンセの合奏になったり、エレピや女性Voのパートに代わったり、戻ったりと忙しない複雑な曲です。最後にはVlnも絡んできます。 <Oscar Later&General MIDI作> Oscar Later (Vo), General MIDI (Drs, Upright-B, Synth), Dorothy Wave (Clarinet), Col Legno (Vln), Relative Minor (Vo) ★B1 “Cigarettes And Margerine” (4:05)は、一聴すると、エレポップのようなシンセを多用した曲で、メジャー級女性Voをメインにしている為か、かなり本格的な雰囲気で、可愛らしい出来になっていますが、SE的シンセ音も散見されます。 <Empress Play作> Empress Play (Vo, Synth), Bossa Nova (Drs), General MIDI (Vo, Synth), Boss DR-5 (G) ★B2 “Study/Relax To Mid-Fi Chill/4am Beats To” (1:36)は、一転して、指パッチンのリズムとピアノの弾き語りから成る小曲で、何となく物憂げで寂しげです。 <General MIDI作> General MIDI (Synth) ★B3 “Plump In The Mud” (3:17)は、シンセBと生ドラムとストリングス・シンセのバックに、朗々と歌う男性Voが乗る大らかな曲ですが、後半には、SE的シンセ音やGソロも聴取できますが、いきなりアップテンポに変わります <Boss DR-5&General MIDI 作> Bossa Nova (Drs), General MIDI (Vo, Synth, Perc), Boss DR-5 (G, Synth), Dorothy Wave (Vo), Empress Play (Synth) ★B4 “Walking Around Proper Looking At Things” (0:18)では、アップテンポのリズム隊にシンセとGを合わせた短い曲ですが、何だかCardiacsっぽい喧騒を感じます。 <Boss DR-5 作> Bossa Nova (Drs), Boss DR-5 (G, Bass-Synth), General MIDI (Synth), ★B5 “Titus The Bellows” (1:54)では、SP盤のような音質のジャジーな曲で、アコーディオンやクラリネットが小気味良い雰囲気を出しています。 <Boss DR-5作> Boss DR-5 (G), General MIDI (Drs, Upright-Bass, Accordion), Empress Play (Clarinet) ★B6 “Young People Are Old People From The Future” (2:45)は、締め殺された鶏(?)で始まる落ち着きの無い曲で、ストリングスを多用していますが、突然、曲調がアップテンポに変わったり、楽器も度々変わり、疾走していき、やがて変拍子の曲調に変わり、目まぐるしい展開になっています。 <General MIDI 作> General MIDI (Vo, Drs, Philicordia, Synth, Glockenspiel, Tape wriggles), Empress Play (Clarinet, Piccolo, Flute), Ana Crusis (Vo, Vln) ★B7 “The People You Know” (2:13)では、ピアノとリズム隊に合わせて、朗々と歌う男性Voがゴージャス感を醸し出しています。しかし、Gの伴奏やピアノも時に崩れるのが面白いところです。 <General MIDI&Boss DR-5 作> Bossa Nova (Drs), Boss DR-5 (G, B, Stylophone, Vox Continental), General MIDI (Vo, Piano) ★B8 “Doom II: Hell On Earth” (3:37)は、デスVo入りのストーナーロックで、やがて阿鼻叫喚な音地獄へと落ちていきます。これには、ビックリしました! <Col Legno&General MIDI 作> Bossa Nova (Drs), Boss DR-5 (G), General MIDI (Vo, B, Synth), Empress Play (Synth), Commodore 6/4 (Sax) 曲自体の構成が非常に複雑で、転調やテンポの変換或いは使用楽器等が一曲の中で頻繁に変わるので、初め聴いた時には、曲間が良く分かりませんでした。しかしながら、そんなこととは無関係に、プログレっぽい展開、特に、レコメン系プログレをポップ・ミュージックの領域に反映させていますので、次はどう来るのかな?と中々楽しめます。メンバー名が全て偽名であることなんかも加味すると、The HomosexualsやEtron Fou Leloublan辺りに近いのかなあとも思いますが、a.P.A.t.T.の方が、これらのバンドの音楽よりももっとポップネスを感じますし、最後にストーナーロックまで持ってきたのには驚きました。そうですねー、一番、近いのが、初期のCardiacsですかね。難解と言うよりも、寧ろ凄く面白くてユーモアのある音楽なので、これは皆さんに是非聴いて欲しい1枚です❗️ B7 “The People You Know” (2:13) https://youtu.be/1JQ1fPRdw5k?si=XbY1i_tNc9aFn37b [full album] https://youtube.com/playlist?list=OLAK5uy_mJ73tnG1p1I-qaV9GhLnZtiOwminEbric&si=hyQgARpiO9SdQxqm [BandcampのURLを貼っておきます] https://apatt.bandcamp.com/album/we #a.P.A.t.T. #We #NineXNine #Postmusic #DurEtDoux #UKUnderground #6ThAlbum #AvantRock #Experimental #AlternativeRock #Electro #AnaCrusis #BossANova #BossDR-5 #ColLegno #Commodore6/4 #DorothyWave #EdRoomDyasono #EmpressPlay #GeneralMIDI #MicLead #MrPhil #OscarLater #PrivateDancer #RelativeMinor
Avant-Rock / Experimental Nine x Nine 2640円Dr K2
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Skullflower “IIIrd Gatekeeper”
私は何故か、Broken Flag関係のノイズ・ミュージックってリアルタイムでは聴いてこなかったんですよ。でも、まぁ、そろそろ聴いてみたいなと思って購入したのが、今回、ご紹介するSkullflower なんです。しかも、このバンド(?)、首謀者Matthew BowerがノイズGを弾きまくると言うノイズ・ロック的音楽をやり続けており、どうもそこら辺が、以前紹介したRamlehとの差異がありそうです。そして、今回、選んだ作品は、”IIIrd Gatekeeper”です。 先ずは、Skullflowerについて少しご紹介したいと思います。Skullflowerは、1987年に、即興ノイズ・ロック・バンドとして、Matthew Bowerを中心に、英国Londonで結成されています。そうして、彼等のデビューEP “Birthdeath”は、1988年にBroken Flagからリリースされています。以降、数十年に渡って、Matthew Bauer (G)はStuart Dennison (Drs)とのデュオで数多くの作品をリリースしております。それは、1996年のアルバム”This is….”をリリースして、一旦、バンドは活動休止するまで続きます。なお、バンドの基本的ラインナップは、先述のMatthew Bauer (G)に、Stuart Dennison (Drs, Vo)とStefan Jaworzyn (B)を加えた形態ですが、他には、RamlehのGary Mundy、Alex Bonnie (B), CoilのStephen Thrower (B, Drs)の他にもAnthony Di Franco (B, G, Drs)もヘルプで入っています。そうして、2003年に、再びSkullflowerは、新録アルバム”Exquisite Fucking Boredom”をリリースして、復活しますが、その後は時々、Matthew Bowerのソロとして、Samantha DaviesやCulverことLee Stokoeをヘルプを入れたりして、現役現在も活動しています。 以上が、Skullflowerの略歴になりますが、今回、ご紹介するアルバム”IIIrd Gatekeeper”は、彼等のサード・アルバムで、メンバーは、Matthew Bower (G), Anthony Di Franco (B), Stuart Dennison (Drs, Vo)の3人です。それで、私が購入したのは、2LPsとしての再発盤なので、B1-C1は、オリジナルのCDに入っておらず、これらの曲はボートラとなっています。また、この再発作品の中では、これらのボートラが入っているなはDirter Promotionsの再発盤のみです。それでは、本作品(A面4曲/B面3曲/C面3曲/D面2曲)の各曲について、ご紹介していきましょう。 ◼️LP1 A1 “Can You Feel It”は、ドゥーム・メタルのように、スローでシンプルなリズム隊に、ダレきったような粘着質なGとギュルギュル弾きまくっているGが絡みつき、その合間に、極めて不明瞭なVoが時に入ると言う曲から成っています。 A2 “Black Rabbit”では、フィードバックGとBから始まり、Bはそのままリズムを刻み、更にDrsもビートを叩き始めます。Gは唸りながら強迫的ノイズを放射しています。 A3 “Larks Tongues”は、エコーGが延長する中、重たいリフのリズム隊が熱狂的Voと共に入ってきますが、所々でブレイクが入ります。 A4 “Center Puss”は、とんでもないエフェクトGに、やはり重めのリズム隊が底を支える曲で、時に呪文のようなVoも重なり、次第にテンポアップしていきます。 B1 “Stars And Bars”では、激的なBとしっかりしたDrsのリズム隊と荒れ狂う強靭なGが爆発しています。背後に持続シンセ音が聴こえ、時間感覚が麻痺してきます。 B2 “Wand”は、重めのリフとテンポのリズム隊が特に凄いです。勿論、Gも弾くまくって、グチャグチャに荒らしています。 B3 “Pelt”では、リズム隊が一定のパタンを演奏しており、そのバックで延長し切ったGがハウリながら強烈に主張しています。 ◼️LP2 C1 “Evil Twin”は、フィードバックGと対照的に、疾走するDrsが叩き出されますが、途中、ダウンテンポしたりします。相変わらず、Gはあらゆる隙間を塗り潰しています。 C2 “Saturnalia”は、延長して伸び切ったフィードバックGの中で、漸くDrsが乱打され、スロー〜ミディアムなビートが、刻まれていきます。最後もフィードバックノイズだらけに! C3 “Vanadis”では、杭を打つようなリズム隊が、フィードバックGによるノイズフィールドを容赦なく更なるノイズの杭を打ちつけます。 D1 “Godzilla”では、伸び切ったフィードバックGとこれまたサスティーンの効いたBで始まりますが、途中でDrs、特にキックか入ってきて、曲を支えています。Gはエフェクト掛けまくってますね。最後もかなり良い! D2 “Spoiler” も、スローなスラッジ・コアなインスト曲で、これはロックなのか?ノイズなのか?混乱してしまいそうです。終わり方はまるでKhanatのよう。 全編、The Melvins のようなスラッジ・コア・バンドのアルバムを聴いているようです。もっとフリーにBとかDrsも弾くのかと思っていたら、意外にちゃんとしたリフやパタンを弾いており、バンドっぽいサウンドになっています。これではWhitehouseが当初、提唱した「ホワイト」な音楽とは言えないのでは?と思ってしまいます。しかしながら、ノイズの文脈ではなく、ロックの文脈で捉えれば、インストのドゥーム・メタルやスラッジ・コアとも捉えられるので、そう言う音楽が好きな方には受け入れ易いでしょう。そう言った心構えで聴くことをお勧めします! https://youtu.be/5NDxtjMURy0?si=ohTGZ2rxst6iwfOy #Skullflower #IIIrdGatekeeper #DirterPromotions #Reissue #2LPs #2024年 #hEADdIRtRecordings #1992年 #NoiseRock #Feedback #GuitarNoise #Bass #Drums #DoomMetal #SludgeCore #Instrumental #MatthewBower #AnthonyDiFranco #StuartDennison #BrokenFlag
Guitar Noise / Experimental Dirter Promotions (hEADdIRt Recordings) 5610円Dr K2
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Swell Maps “Mayday Signals”
やっぱり買っちゃうよねー、Swell Mapsの秘蔵音源!パンクの前に既に「ポスト」パンクであったSwell Maps。その1976年〜1979年の間に、自分達のガレージやベッドルームやらスタジオやらで録音された曲(或いは曲の素)を、メンバーだったJowe Headがコンパイルした2枚組のセルフ・コンピ・アルバムが、今回ご紹介する”Mayday Signals”です。殆どが短い曲で、これらが今後、曲になっていくのだとすると、結構、スリリングな内容になっているようです。因みに、Swell Mapsのバイオグラフィーは既に書いてありますが、多少、付け加えることもありますので、そこら辺だけ少し。ちょっと復習になりますが、先ず、メンバーはNikki Sudden (本名Adrian Nicholas Godfrey), Phones Sportsman (本名David Barrington), Jowe Head (本名Stephen John Bird), Epic Soundtracks (本名Kevin Paul Godfrey)で、John CockrillやBiggles Books (本名Richard Earl)も加わります(因みに、NikkiとEpicは本当の兄弟です)。結成は1972年、英国Birminghamでとなっていますが、Nikki Suddenに寄れば、彼が、実際に音楽(T. Rex “Telegram Sam”)を意識的に聴き始めたのが、1972年初頭で、彼は直ぐに同級生から中古アコギを購入し、翌週には、Phones Sportsmanと意気投合して、演り始めます。彼の弟Epic SoundtracksはDrsがやりたくて、手作りのドラマキットを組み立てており、その1年後、漸くスネアを購入します。この3人は、最初、Sacred Mashroomと名乗っていますが、EpicとPhonesでは、CalicoとかOdysseyと名乗ったり、NikkiとPhonesでは、MithrilとかThe Black Ridersとか名乗ったりしています。そこに、1973年に、Nikkiの親友Jowe Head(彼もこの時に同級生から中古Gを購入)が、その直ぐ後にEpicの友達のJohn Cockrillが加わって、再びSacred Mushroomとなります。Joweに言わせると、Johnは、ちゃんとGレッスンを受けているように思えたらしいです。しかしながら、NikkiとJoweで、Cardboard Giantになったり、彼等にEpicを加えて、Fall of Eaglesを名乗ったり、Epic, Phones, JohnとPhonesの同級生David WrightではCivil Serviceを名乗ったりして、他にもThe Sheep PoliceとかCirkusとかIncredible HulkとかFountain HeadとかIronとかを色々な組合せで名乗って、ちょこちょこセッションしたり録音したりしています。そうして、最後に、Phonesの友達でKing Edward VI学校出身のBigglesが加わり、1974年夏に、NikkiとJoweは漸く学校を卒業し、Nikkiは数ヶ月、Gを練習した後に、Londonに出稼ぎに行きます。そこで、新しい音楽(パンクなど)とそのムーブメントの熱量に当てられたNikkiは、地元に戻り、Bigglesの親のガレージで演奏・録音を本格的に始めます(その時も、The Nozels, The Himalayas, Sacred Mushroom, The Sausage Rolls等と名乗っています)。それで、NikkiとEpicとJoweで、Swell Maps名義で最初にギグを演ったのは、1977年だそうで、ライブ・デビューは意外と遅かったのだなと思います。そして、Swell Mapsの最初の録音の時には、この3人とPhonesがGで参加しています。また、彼らはSwell Mapsのレコードがリリースされるまでは、それ以降一度もライブをやってはいないのです。彼等をLondonに呼ぶような話もあったらしいのですが、彼等にはプロになるだけのお金が無く、また機材も小さなラジオ付きアンプとスピーカー、中古のGやB、スネアとハイハットだけのDrs、そこら辺にある物を録音する古びたマイクがあっただけだったので、彼等はずっとBirminghamで活動を続けていましたが、1980年に、ベルギー、蘭、伊とツアーを敢行し、その後、バンドは解散してしまいます。その直後の1981年に、2枚組のアーカイブ・アルバム”Whatever Happens Next...”がリリースされていますが、これは再発はされていません。解散後、NikkiやEpic等は、ソロ活動をしていますが、Epic Soundtracksは、1997年に、38歳と言う若さで亡くなっており、死因は不明です。また、Nikki Suddenも2006年3月に、NYCのホテルの部屋で他界しており、49歳と言う若さでした。一方、Phonesは、1980年代から地質学者として働いており、音楽界からは脚を洗っていますが、2008年から数枚のCDR作品を出しています。 以上が、今回、分かったSwell Mapsのバイオグラフィーの一部ですが、本作品では、LP1は、1976年〜1977年に、西Mudlandsの地元のガレージやベッドルーム、リビングで録音された音源から編集・収録されており、LP2は、C1が1977年にCambridgeのSpaceward studioで、C2-D5が1978-1979年にLeamington温泉のWoodbine studioで録音された音源となり、それぞれ、Mike KempとJohn Riversがエンジニアとして付いての録音となっています。D6, D7については、クレジットされておらず、出所不明です。それでは、各曲についてご紹介していきましょう。 ◼️LP1 ★A1 “Intro / Sweet And Sour Extract” (0:10)は、ピアノソロの断片です。 ★A2 “Almost Grown” (1:21)は、アコギとBとガラクタDrsによるMaps流ロッケンローな曲ですが、実はChuck Berryのカバーです。 ★A3 “City Boys (Dresden Style)” (2:23)は、Mapsの代表曲の元曲で、やっぱりこのぶっ壊れ方はイカしてます。 ★A4 “Sahara” (2:11)は、ディレイを掛けたGと物音系Percに、チャルメラのようなFluteが吹き荒れる曲です。 ★A5 “One Of The Crowd” (2:15)は、G, B, DrsによるMaps流ロッケンローなノリの良い曲で、ヘロったVoもイカしてます! ★A6 “Wireless” (3:38)は、ラジオノイズと反復するピアノの合奏で、Gらしき音も微かに聴取可。 ★A7 “Ripped And Torn” (1:55)も、Maps代表曲の原曲で、ぶっ壊れており、最後のGもイカしています。 ★A8 “God Save The Queen” (0:33)は、Sex Pistolsの曲ではなく、アコギとGのせめぎ合いで、意味不明! ★A9 “Platinum Blind” (1:02)は、Drsと物音系Percの乱れ打ちから成る曲で、Lo-Fiな録音により面白さ倍増です。 ★A10 “Harvist” (0:38)は、反復するGに自在に上下するBの一騎打ちですね。訳分からん! ★A11 “Gramofonica” (1:43)は、鼻歌付き、タンテの誤用と物音系Percの合奏で、もう意味不明です。 ★B1 “Read About Seymour” (1:36)も、Maps代表曲の演奏なんですが、このヘナヘナさがサイコー!名曲ですね。 ★B2 “Shubunkin” (1:09)では、変拍子のリズム隊&Gに、更に歪んだGを弾きまくってます。 ★B3 “Trade Kingdom” (2:20)では、アコギとハーモニカとハイハットをバックに、Nikkiが音痴に歌っており、もう大抵の事では怒りません。 ★B4 “Pets’ Corner” (2:24)は、スローテンポの怪しげな曲で、ワウGやJoweの抑制的なVoも不穏な雰囲気を醸し出しています。 ★B5 “Fashion Cult (Opaque)” (2:12)も、Maps流ロッケンローな曲で、痺れます!敢えてLo-Fiと言うより元々がそうしか出来なかったと言う意味で元祖ですね。 ★B6 “Plankton” (1:29)は、Gの単音弾き、ホワイトノイズ、コーラスとB、そしてB, G, ,Drsによる合奏。これってMusique Concreteじゃないか? ★B7 “Johnny Seven” (1:32)は、Maps流サーフ・ロックとも言うべき曲で、何故か泣けてきます。 ★B8 “Below Number One” (3:43)では、Gらしき持続音に微かな物音系Percが絡んでいますが、縦笛のようなFluteや歪みまくったGに移行していきます。 ★B9 “Plumbing / Radio Ten / Here’s The Cupboard” (1:06)は、Drsや物音系Perc、缶ドラム、エコーの掛かった叫び声(?)の狂演で、何でもありですね。 ★B10 “Organism” (1:08)では、悲しげな足踏みオルガンの調べに、微かに唸るようなVoが聴こえます。 ★B11 “Sweet And Sour Reprise” (2:02)は、アコギで始まったかと思うと、G, B, DrsによるMaps流GSロッケンローをぶちかましてきて、最高! ◼️LP2 ★C1 “Vertical Slum” (1:13)も、Maps代表曲の演奏で、音も良く、また元気一杯です。サイコー! ★C2 “Avalanche Prelude” (2:44)は、スローテンポのDrsと通奏低音にシタール様のGが乗っかっているインスト曲で、心地良いです。 ★C3 “International Rescue” (2:27)も、Maps代表曲ですが、VoはJoweがやっており、印象が違いますね。 ★C4 “Deliverous Mistail” (4:09)は、執拗に反復するアルペジオGとリズム隊が変拍子で不穏な空気を出しているダークな曲で、Mapsにしては珍しいです。なお、Mayo Thompsonが独白で参加。 ★C5 “Armadillo” (3:41)も、これぞMapsと言う代表曲の演奏で、コーラスも含めて最高にして最強! ★C6 “Avalanche Part 2” (1:33)は、単調なDrsに不穏なフレーズのBと呟くJoweのVoから成る曲です。 ★C7 “Off The Beach” (2:22)は、これぞMaps流ロックとも言うべきノリのよい曲で、やはりNikkiのVoだと安心できます。最後にStylophoneが聴こえます。 ★D1 “Drop In The Ocean” (2:13)は、ドラムマシンとSynth-Bを使ったウエスタン調の曲で、Mapsにしては珍しい曲調です。 ★D2 “Whatever Happens Next (Acoustic)” (3:00)では、アコギとハイハットとピアノを使った伴奏に、バラライカも入り、3人でのVoも良く映えています。 ★D3 “Elegia Pt.2” (1:57)では、重めのハンマービートに弾きまくるGが、何となくCanを想起させます。 ★D4 “Bandits 1-5” (2:44)は、Wireの”Pink Flag”を想起させるMaps流ミニマル/ハードコアパンクな曲ですが、JoweのVoはヘナヘナです。 ★D5 “Secret Island Choir” (0:38)は、代表曲のアカペラ・ヴァージョンで、貴重。 ★D6 “Big Cake Over America” (1:55)は、シェイカーとBが何となくアメリカンですが、2人のVoは馬鹿にしているようで、Mapsにしては珍しくシンセも使用。 ★D7 “Tibetan Bedsprings” (3:19)は、ワウGと反復するBとハイハット、その間を埋める柔らかいシンセ音から成る曲で、シンセはJ.G. Thirlwellが担当。 確かに、Swell Mapsは最初から自由であったと分かる音源が揃っています。噂で言われているように、彼等がT. RexとCan等のGerman Rockから影響を受けたと言うのも納得です。特にLP1の内容は、彼等の初期衝動による破壊的作曲/演奏の萌芽が含まれており、非常に面白かったです。それに対して、LP2は音質も良好で、機材的にも新たなことに挑戦しており、彼等の許容量の大きさを実感できました。まあ、マニア向けかもしれませんが、この作品には、Swell Maps誕生/成熟の秘密があるように思えますので、そこら辺を知りたい方、或いは宅録のアイデアを模索している方には是非とも聴いて頂きたいですね。そうじゃなくてもマスト❗️な作品。 C4 “Deliverous Mistail” (4:09) https://youtu.be/aFvTzpoZrc8?si=SOJPo_8A0n6ShMzR [full album] https://youtube.com/playlist?list=OLAK5uy_lIrkpy_8jNmUwo5SodAbDlDAGFun4LOm8&si=7f94cSpT9fmhUQPr #SwellMaps #MaydaySignals #EasyActionRecords #SelfCompilationAlbum #2LPs #1976-1977年 #宅録 #StudioRecording #1977-1979年 #PostPunk #Experimental #DIYPunk #NikkiSudden #PhonesSportsman #JoweHead #EpicSoundtracks #JohnCockrill #BigglesBooks #Guests #MayoThompson #J.G.Thirlwell #Cover #ChuckBerry
Post Punk / Experimental Easy Action Records 3740円Dr K2
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Harmonia “Deluxe”
久々ですねー。今回は、Harmoniaのセカンド・アルバム”Deluxe”を紹介します。元々、Neu!に居たMichael Rotherがもっとライブをしたいと思っていて、Clusterの2人(Hans-Joachim RoedeliusとDieter Möbius)に話を持ちかけて出来たのが、Harmoniaです。そして、今回は、Guru Guruのドラム魔人Mani Neumeierもゲスト参加しています。Harmoniaのバイオグラフィーは、以前に書いてありますので、そちらをご参照下さい。今回の参加者は、Michael Rother (G, Kbd, Vo), Hans-Joachim Roedelius (Kbd, Vo), Dieter Möbius (Synth, Nagoja Harp, Vo)で、ゲストとして、Mani Neumeier (Drs)も参加しています。エンジニアとして、今回もConny Plankが起用され、プロデュースは、PlankとHarmoniaで行っています。また、今回は、1975年6月に、Forst村のCluster/Harmoniaのスタジオに、Conny Plankが移動用機材(と言っても16トラックのレコーダー)を持ち込んで、同年7月にケルンにある自身のスタジオでミックスをしており、ファーストよりも格段に音は良くなっています。と言う訳で、本作品(A面2曲/B面4曲)の各曲をご紹介していきますね。 ★A1 “Deluxe (Immer Wieder)” (9:45)は、チープなリズムマシンに、シーケンスと多幸感のある柔らかいシンセのメロディが乗って、更に反復呪文のようなコーラスで昇天しそうになる曲です。時に入るGやシュワシュワした電子音も絶妙。 ★A2 “Walky-Talky” (10:35)では、生Drsにシーケンスと伸長したGが骨格を作り、そこにメロディアスなシンセやエレピも絡んできます。様々なメロディが立ち上がっては消えてを繰り返す反復が、聴く人の心に染み渡りますね。また、Gと他の楽器とのミックス具合が最高ですね(流石、Conny!)。 ★B1 “Monza (Rauf Und Runter)” (7:07)は、イントロは伸長したGで始まり、ゆったりと進行しますが、いきなりDrsのハンマービートで、急展開になります。La Düsseldorfような感じに近いです。なので、この曲はめちゃカッコ良いです! ★B2 “Notre Dame” (4:15)は、ポリシンセのアルペジオとリズムマシンのキックから成りますが、やがて、非常にゆったりとしたシンセの海の中に居る自分を感じることができる曲です。 ★B3 “Gollum” (4:35)は、不思議なシーケンスと生Drsに加えて、柔和なシンセ音が反復し、多層化する電子音がとても心地良い曲です。 ★B4 “Kekse” (5:35)では、シンセとエレピの合奏で始まり、やがて微かなキックと優しいシンセのメロディと会話らしき音がフェイドインして、そして会話らしき音だけになって本作品を締めます。 いゃ〜これは名作ですね!特にHarmoniaの3人の出す音とゲストのNeumeierのDrsがバッチリ合っていて、良い具合にスパイスになっています。多分、リハをそのまま録音したファーストと比べると、やはりConny Plankの手腕が存分に活かされていると思います。私はもっとアンビエントなのかなぁと想像していたのですが、内容は全然違いました。Clusterを更に進化させたような趣きです❗️なので、ジャーマン・ロックに興味のある方は必聴ですよ!マスト! https://youtu.be/bhI9b5vGfUs?si=UJQht24R2-SyXbv7 [full album] https://youtube.com/playlist?list=OLAK5uy_lG3xMyEO10IoO9ULhMD6lJnH_jXxLwxbw&si=23isqjhdiR6saNzl #Harmonia #Deluxe #BrainRecords #GrönlandRecords #Reissue #Remastering #1975年 #2015年 #Krautrock #Electro #Synthesizers #Guitar #Drums #16TrackRecorder #Engineer #ConnyPlank #Neu! #Cluster #GuruGuru #MichaelRother #Hans-JoachimRoedelius #DieterMöbius #Guest #ManiNeumeier
Krautrock / Electronic Brain Records / Grönland Records 3630円Dr K2
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Holger Hiller “Ein Bündel Fäulnis In Der Grube”
今回は、独Palais Schaumburgの初代Vo/Gとしても有名なHolger Hillerの完全なソロとしては、ファースト・アルバムに当たる“Ein Bündel Fäulnis In Der Grube”がめでたく独レーベルBeau Bから再発されましたので、紹介していきたいと思います。Palais Schaumburgについては、以前にもバイオグラフィーは書いてありますが、Holger Hillerについては、今回が初めてなので、彼のバイオグラフィーをちょっとだけ書いていきます。Hillerは1956年12月26日、独Hamburg生まれで、ハンブルク造形芸術大学に通っていた時に、Walter ThielschとThomas Fehlmannとに出会い、3人で初めて録音をしています。HillerとThielschで、”Konzentration der Kräfte”EPを、また、HillerとFehlmannで、”Das ist Schönheit”と言う曲を2枚組のコンピLPに提供し、1980年にリリースされています。その後、Fehlmannと共に、1980年にPalais Schaumburgを結成し、そこでVoを担当します。1979年に、Palais Schaumburgとしてのデビュー・シングル”Träneninvasion”をZickZack Recordsから出して、その後も、他に2枚のシングルをZickZackより出して、1981年に、セルフ・タイトルのデビュー・アルバムを大手のPhonogram Recordsから出しています。と同時に、Hillerはソロ活動も開始しており、欧州で初めて、メインの楽器としてサンプラーを使ったミュージシャンの一人と言われています。ソロとしてのデビューシングル”Holger Hiller”を1980年にAta Takよりリリースしており、1983年には、本作品でもあるソロとしてのデビュー・アルバム”Ein Bündel Fäulnis in der Grube”をAtaTakから出しています。1984年に、彼は渡英し、LondonでMute Recordsのプロデューサーとして働き始めます。その間にも、1985年には、Hillerは、独のミュージシャンAndreas DorauとのコラボEP”Guten Morgen Hose”をAtatakから出しており、翌年には、Hillerは、ソロアルバム”Oben Im Eck”をMute Recordsから出しています。その後、1988年には、ビデオ・アーティストの羽田明子と共に、Ohi Ho Bang Bangと言うパンドと言うかプロジェクトを始め、”The Three”と言う作品を12㌅シングルとCD Video (CDV)と言う2つのフォーマットでMute Recordsからリリースしています。そのCDVでは、HillerとKarl Bonnieは、一つの部屋でそれぞれのモノを使って、異なる音を出し、それらを羽田が編集して、一連のビデオの流れの中で、その音の鳴らし方が自然になるようにして作ったと言う映像と音楽が収録されています。彼等は、音楽からビデオへのサンプリング・テクニックの先駆者になりましたが、ほんの10年後には、カスタマイズされたソフトウェアで出来るようになり、すっかり普通の技法となっています。1995年頃まではアルバムもコンスタントに出していましたが、その後はリリースは途絶え、2000年に、アルバム”holger hiller”をMute Recordsから出したのが最後となっています。なお、2003年以降、HillerはBerlinに居を構え、英語講師として働いているとのことです。 以上が、Holger Hillerの遍歴となります。それで、今回、ご使用するアルバムは、ジャケが変わったりして、3回程再発されていますが、今回のが4回目再発となります。それで、本作品に参加したメンツは、Holger Hiller (Sampler?, Mix, Produce)以外に、Catherine Lienert (Emulator), Jürgen Keller (B), Moritz von Oswald (Drs)もいます。Hillerが実際には何をやっているのかは良くわかりませんが、、、。また、Hiller本人の考察によると、本作品がリリースされたのが、1983年と言うこともあって、同時に、George Orwellの小説”1984”やそれを元にした映画”Blade Runner”には、人々は暗澹たる気持ちに支配されており、それらの中では、救いようない世界しかないと描かれています。そして、未来は決してクリアカットではなく、ディストピアのイメージがポップ・カルチャーに巧妙に混ざり込んでいますが、それ自身が希望の素となるように仕込んでおいたとのこと。また、彼は、サンプリング・テクニックと言うのは、彼自身や他の人にとって画期的な音楽的手法であって、カットアップとか自動書記とかに馴染んでいるWillam Burroughsの世代及び彼を興奮させたものであり、以上のようなコンセプトやテクニックを、「ポップ」の文脈で使い、欧州における「新しい音楽」に影響を与えたのが、このアルバムであるとのこと。要するに、画期的であったと言うことらしいです。まぁそれは別として、本作品(A面6曲/B面5曲)の各曲をご紹介していきましょう。 ★A1 “Liebe Beamtinnen Und Beamte” (1:56)では、何とも異形のポップ・ミュージックを披露しています。確かにサンプラーをふんだんに使って、ビートに合わせている為か、カクカクしたリズムになっており、それにVoを乗せています。 ★A2 “Blass Schlafen Rabe...” (3:17)では、「骨折具合」は多少マシですが、ピアノの単音弾きとBとサンプラーの混合物が、骨折しかけたリズム隊の上で踊っていますが、時にノリの良い部分も。 ★A3 “Budapest - Bukarest” (2:12)は、小動物のような音と鐘の音で始まり、やがて反復するサンプリング音も加わり、一種のアンビエンスさえ感じますね。 ★A4 “Jonny (Du Lump)” (3:35)は、彼の代表曲で、割とノリの良い曲で、それ程「骨折」も無く、Drsは一定のリズムは刻んでいます。HillerのVoも良いです。 ★A5 “Akt Mit Feile (Für A. O.)” (1:54)は、一定のパタンを取るリズム隊と思ったのですが、やがてインダストリアルな硬質な音へ変換されたり、戻ったりします。 ★A6 “Hosen, Die Nicht Aneinander Passen” (1:06)では、点在する電子音をバックに、Hillerが飄々と歌っています。 ★B1 “Chemische Und Physikalische Entdeckungen” (2:57)は、犬の鳴き声らしき音から始まり、割と短いパタンを繰り返して、更に人声のサンプリングを挿入したり、弄ったりして、全然落ち着きません(褒め言葉です)。 ★B2 “Mütter Der Fröhlichkeit” (3:48)でも、やや落ち着いたリズム隊に、Voやサンプリング電子音や物音等を挿入している曲で、Hillerのポップネス全開です。空間の使い方が素晴らしい! ★B3 “Ein Bündel Fäulnis In Der Grube” (2:47)では、エフェクトを掛けたフィードバック音とガチャガチャした音、囁くVo、工場の音等等がリズミックにコラージュされています。 ★B4 “Das Feuer” (3:40)は、ディスコチックなDrsに、ドライブするBと囁き声での反復Voが絡み、時にサンプリング音や重層化されたVoが挿入される曲で、後半には多幸感溢れるシンセ音も! ★B5 “Ein Hoch Auf Das Bügeln” (2:00)は、これまたリズムを無視したようなサンプリング音の断片から成る曲で、ここに無理やり歌を入れると言う、Hillerらしい曲ですね。 私がこれを聴いて思ったのは、 Hillerは、自分だけの時間軸を持って曲を作り、独自の空間性を持って音を配置しているのではないかと言うことです。しかも、それをポップ・ミュージックの範疇に納めようとしている所が、Hillerの最大の特徴だと言うことです。なので、通常のポップ・ミュージックからは溢れてしまいそうになり、そのギリギリのコーナーポストを狙っているような音楽が、結果的に生まれてしまったような気がします。まぁ、そんなミュージシャンがサンプラーを使うと言うのは、当然と言えば当然な訳です。そして、Hillerはいつも自分なりの「ポップネス」をこちらに投げかけてきます❗️そんな特異なポップ・ミュージックを是非とも体験してみては如何でしょう。 A4 “Jonny (Du Lump)” https://youtu.be/xr0l_Yi7QtU?si=oI8MaPmNZ08UarXq [full album] https://youtube.com/playlist?list=OLAK5uy_mf5lSwtr5vRWDT-L7uOOLMO0G8GnZSpxg&si=yewGTQiIbLTTFbxw #HolgerHiller #EinBündelFäulnisInDerGrube #BureauB #ATATAK #Reissue #Remastering #FirstAlbum #SoloAlbum #NeueDeutscheWelle #GermanNewWave #Experimental #ElectroPop #Avant-Garde #Sampler #WilliamBurroughs #CutUpTechnique #AutomaticWriting #GeorgeOrwell #1984 #BladeRunner #Guests #CatherineLienert #JürgenKeller #MoritzVonOswald
Neue Deutsche Welle (German New Wave) / Synth Pop Bureau B (ATA TAK) 4840円Dr K2
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Optical Music (Οπτική Μουσική) “Tomos 1 (Τόμος 1)“
これは、完全に謎物件!しかも全部ギリシャ語で書かれているので、読むことも想像することも出来ませんでした。それと、購入したのは随分昔なのですが、その時はタンテが壊れていたので、聴くチャンスを逃しており、今回、(多分)初めて聴くことになりました。挟んであった請求書に英語表記があっだので、何とかグループ名とタイトルだけは分かりました。そんな訳で、今回は、ギリシャのOptical Music (Οπτική Μουσική)のファースト・アルバム”Tomos 1 (Τόμος 1)をご紹介したいと思います。先ず、このOptical Musicは、どうもChristos Kaltis (Χρήστος Καλτής)とKostas Pandopoulos (Κώστας Παντόπουλος)のデュオで、前者は1963年にギリシャのVolosに生まれたBプレーヤーで、1980年代後半に、Optical Musicで活発に活動をしていたらしいです。その時期にはCostis Drygianakisと共に活動しており、このDrygianakisは、1965年に、同じVolosに生まれた人物で、大学で物理学と社会人類学を学び、修士まで取得した男性で、音楽と犬を愛し、陶器を収集し、パスタを作るのを楽しみにしていたらしいです。それで、1987年以降、作曲家/レコード・プロデューサーとして活動していたようで、彼の音楽は、テープやPCなどの録音物が必要で、電子音響的な音楽であったようです(私は未聴)。話しを戻しますと、Optical MusicのChristos Kaltisは、相方のKostas Pandopoulosと共に、全くのフリー・インプロヴィゼーションから電子音響音楽や似非エスニックまでと言う様々なスタイルで、前衛実験音楽を、このOptical Musicで演っていたそうです。しかしながら、その活動は、1984年〜1987年の期間と1990年〜1994年の期間しか活動をしていただけで、1998年には音楽活動を完全に辞めています。なので、最初の時期に、本作品であるアルバム”Tomos 1”を、次の第2期では、1994年にアルバム”Tomos 2”を出しているだけで、後、2017年にセルフ・コンピ・アルバム“Τα Πρώτα Λόγια (Ηχογραφήσεις 1984-1987)”がギリシャの3つのレーベルの尽力でリリースされていると寡作でした。実際に、Optical Musicがどのような演奏や担当楽器を選んでいたのか?またCostis DrygianakisがどのようにOptical Musicに関わっていたのか?は良く分かりませんでした。なので、取り敢えず、作品”Tomos 1”を聴いてみて、各曲を紹介していきたいと思います。内容的には両面4曲ずつ収録されています(タイトルには英訳もありませんし、読み方も分かりません。勘弁して下さい)。 ★A1 “Δίνοντας Λόγους”は、物音系Percが聴こえていたかと思うと、リズムマシン(或いは生Drs?)や弦楽器を爪弾く音やテープ操作などが無秩序に挿入されたりと、何とも訳の分からない曲です。因みに曲を通してのビートはありません。 ★A2 “Στο Χαμένο Παράδεισο”でも、全体的には落ち着いていますが、物音系Perc, アコギの爪弾き、シンバル、ピアノ内部奏法、ナレーションやテープ音等が無秩序に配置されています。オルガンや声の逆回転で終わります。 ★A3 “Πολίχνη”は、緩い低音パルス音にアコギの爪弾きや女性独唱、そして物音系Perc等等、色んな音のアッセンブラージュから成るスカスカの曲です。 ★A4 “Αλέξανδρος”でも、微かな会話テープ音(やがて、生声での語りへと)に合わせて、アコギの音が気配を伴って聴取でき、しかも、それらはバラバラに配置されています。オルガンの轟音で終演となります。 ★B1 “Το Πάρτυ”では、微かに蠢く低音で始まり、物音系Percやゴソゴソとした音、弦楽器の音、電子音やドラムマシンなんかが脈絡無く配置され、時に叫び声や生Drsやピアノの音が大音量で無理くり入ってます。 ★B2 “Χειμωνιάτικο Τοπίο”では、ベースシンセらしきリズムパタンに、シンセ音やエレピに加えて、男性の朗々とした歌声も聴かれます。全体的に、割と楽曲っぽく、フリーなクラリネットと虫の声で曲を締めます。 ★B3 “Χριστούγεννα”では、弦楽器を爪弾く音と微細な電子音から始まり、唐突に大きな電子音が空間を占拠した後に、テープ音やBが流れて、一旦、物音系Perc等も加わったりと、無秩序でフリーな曲になっています。 ★B4 “Κοινωνικόν”では、いきなり法螺貝のような音とエコーの効いた語りからの、アコギの爪弾き等の後に、ドラムマシンのフリーな演奏やトイピアノの乱れ弾きが流れてきたと思ったら、終わってしまいます。 とにかく、不可思議な音楽です。フリーミュージックとか即興演奏がベースになってはいますが、結構、エフェクトやパンが弄られていたり、変なミキシングも行われているようで、幼稚なのかプロフェッショナルなのか良く分かりません。しかしながら、敢えて、このようなポスト・プロダクションが行われていることを考えると、このOptical Musicは、ちゃんとテクを持った音楽家なのでしょう。そう言う意味では、「緩い演奏をするFaust」と言えるかも知れませんし、LAFMSとの共通性もあるかもされませんね。中々面白かったので、また、Tomos 3も作って欲しいものです! B2 “Χειμωνιάτικο Τοπίο” https://youtu.be/E2DreCT1fuk?si=ill7mWLtzReVKJWb A4 “Αλέξανδρος” https://youtu.be/eszUuEGg38E?si=L3Rrg_iYLJ4Df2ua #OpticalMusic #ΟπτικήΜουσική #Tomos1 #Τόμος1 #ΆλληΠόλη #FirstAlbum #GreekUnderground #Experimental #Electro #FreeImprovisation #Electro-Acoustic #FauxEthno #Post-Production #Assemblage #ChristosKaltis #ΧρήστοςΚαλτής #KostasPandopoulos #ΚώσταςΠαντόπουλος #Composer #Producer #CostisDrygianakis
Experimental / Avant-Grade Άλλη Πόλη 4072円Dr K2
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Bono / Burattini “Suono In Un Tempo Trasfigurato“
これだから、通販まとめ買いは、謎物件が含まれますね。全然、購入した覚えがありません!どうも、Bono / Burattiniが、コンビ名らしいです。それでちょっと調べてみました。コンピと書きましたのは、Ofeliadorme の創設者にして、Donnacirco collective のメンバーでもあるFrancesca Bono (Vo, Synth, Knd: 因みに女性です)と伊アヴァン・ロック・グループMassimo VolumeのメンバーのVittoria Burattini (Drs, Perc)の伊人グループのことです。真新しいデュオらしく、2023年のDiscongs上、まだ、唯一作みたいです。それで、先ず、Ofeliadormeと言うバンドは、2008年に伊Bologna(ボローニャ)で、ランボーの詩にインスパイアされて、Francesca Bono (Vo, G, Synth), Michele Postpischl (Drs), Tato Izzia (Synth-B, Synth, Electronics)によって結成されたオルタナ・バンドのことで、2009年にはシングルを出して、2011年にはデビューアルバム”All Harm Ends Here”を出しています。2016年までは何らかのリリースをしていますが、それ以降には途絶えているので、恐らく解散したのではないかと思われます。一方、Massimo Volumeは、1990年代に活発に活動していたBolognaのバンドで、伊で初めてスポークン・ワードを使ったインディー・ロックを演奏しており、1970年代後半〜1980年代前半の音楽、特に、Joy Divisionや伊のパンクバンドCCCP - Fedeli Alla Lineaに影響を受けたそうです。歌詞についても、伊の詩人Emidio Clementiに多大な影響を受けていたそうで、1992年にカセット作品を出してから、2011年に、Bachi Da Pietraとのスプリット・アルバムを出すまで活動していたらしいです。その後、セルフ・コンピ・アルバム” Lungo I Bordi / Da Qui”が出ていますが、新録アルバムは出ていないので、恐らく解散したのでしよう。以上が2人のバックボーンですが、今回、ご紹介するBono / Burattiniを組んだ経過については不明です。ただ、Bono / Burattiniは、前衛映像作家Maya Derenによる3本の作品①”At Land”, ②“Ritual in Transfigured Time”, ③“Choreography for Cameraの習作”にインスパイアされて、本作品の核心部分を作り上げたと言うことです(私はこれらの映像作品は観ていないので内容は不明)。と言う経緯で2人は音楽作品を作り上げたのだと思いますが、その実際の手順としては、これらの作品の参考地点を汲み取ることで、Burattiniが、独自のDrsのパタンを作り出しますが、それは、Bonoの風変わりなメロディやコズミックなサウンドスケープまたは鼻歌やコーラスワーク等のVoスタイルに、Burattiniが合わせる形で曲を作っているとのことです。その際には、有機的な楽器(Drs)と人工的な楽器(シンセやシーケンサー)をミックスして使い、彼等は、知らない世界のグルーヴや奇妙なノリ或いはSF的なエレクトロニクスを生み出し、その為か、Can, Gruppo Di Improvvisazione Nuova Consonanza, Suzanne Ciani辺りに近い音楽を作り出しています。 以上がBono / Burattiniのバックボーンとこのプロジェクトでの音楽コンセプトなのですが、2023年に出た本作品はそれらの結果と考えられます。では、本作品についてですが、両面とも5曲ずつ収録されていますので、各曲についてご紹介していきたいと思います。 ★A1 “Trick Or Chess” (5:19)では、先ず微音のビーコンから始まり、やがてスローなDrsがビートを、そしてシンセのリフが入って、そこに捩れたGソロらしき音が凄いエコーと共に挿入されてきます。ドラマチック! ★A2 “Le Ossa” (2:08)は、逆回転のイントロからポストパンクのようなDrsとBのリフ、そして鼻歌のようなBonoのVoとコーラスから成る曲で、雰囲気が良い。 ★A3 “Sogno Nel Vigneto” (3:18)は、シーケンスと四つ打ちっぽいDrsから成る曲で、中々イカした演奏を聴かせてくれます。Drs自体は禁欲的で、寧ろシーケンスが割とパタンを変えます。 ★A4 “Dinner Illusion” (3:18)も、シーケンスとDrsから成り、Bonoの透明感のある鼻歌(?)が伸び伸びと聴かれる曲で、独特の落ち着きを提示しています。 ★A5 “Stella” (3:41)は、籠った音色のDrsに、シンセとピアノが絡んでくる曲で、ピアノはリリカルなメロを弾いており、落ち着いてはいるものの、何か危機感を煽る雰囲気を感じます。 ★B1 “The Ballroom” (3:33)は、シーケンスで始まり、自在なDrsとBonoの多層化していく呟き等が被っていく曲で、2人のコンビネーションはバッチリです。 ★B2 “La Trama Del Desiderio” (4:33)も、単純なシーケンスからDrsと言うより「太鼓」が合わせる曲ですが、後半はシンセのパルス音とDrsで盛り上げます。 ★B3 “Dancing Demons” (3:28)は、怪しいフレーズのシンセがゆったりと鳴らされ、やがてシンセのメロディやコーラスも挿入されるスロー・バラードな曲です。 ★B4 “Your House Is A Ghost” (4:39)も、高らかなシンセ音で始まり、突然、エコーの掛かったハイハットと低音シンセが絡み、やがて四つ打ちっぽいDrsと大胆なシンセ音へと変わる劇的な曲です。 ★B5 “Waves” (2:41)は、ホワホワしたシンセとタムを多用したDrsの合奏曲で、小振りながら、最後に相応しい良曲となっています。 この2人と言う制限された編成の中で、如何に彼等が無駄を省いて、剥き身の音を出しているかが、良く分かる作品だと思います。確かにシーケンサーも使っていますが、所謂、シンセウェーブとかとは異なるミニマルではない自由な演奏で、恐らく曲もその形態の為に作られたものと思います。個人的には、シンセウェーブとは真逆のプログレ(特にKrautrock)とかSkeleton Crewのような音楽だと感じました。それと、Bonoは鼻歌やコーラスは演るものの全曲ほぼインスト曲と言うのも珍しいですね。その意味では、非常に稀有な存在だと思いますので、単なるポップとかシンセウェーブとかと思っていると、とんでもないしっぺ返しを喰らいますよ❗️ [live track: A1 “Trick Or Chess”] https://youtu.be/hmHj0Z4OkOQ?si=ug5MxB3VAWwD2ks1 [full album] https://youtube.com/playlist?list=OLAK5uy_k2WDWLNlvZhtD9Q0xgqhLmi5HFJXIVIes&si=dXA_rWFUZeBbvAIF [BandcampのURLも貼っておきます] https://mapledeathrecords.bandcamp.com/album/suono-in-un-tempo-trasfigurato #Bono/Burattini #SuonoInUnTempoTrasfigurato #MapleDeathRecords #FirstAlbum #LimitedEditions #500部 #ItalianUnderground #FrancescaBono #VittoriaBurattini #NewDuo #ExperimentalRock #Krautrock #Ofeliadorme #IndieRockBand #DonnacircoCollective #MassimoVolume #AlternativeRockBand #Avant-FilmMaker #MayaDeren #AtLand #RitualInTransfiguredTime #ChoreographyForCamera習作 #FromVisialToMusic
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Javier Segura “El Ser Y El Tiempo (1976-1978)”
これまた、謎物件です。今回は、Javier Seguraのアルバム“El Ser Y El Tiempo (1976-1978)”です。まあ、タイトルからスパニッシュだとは思いますし、1976-1978と言うことから、発掘過去音源とは分かるのですが、何故、これを購入したのかはサッパリ分かりません。なので、少し調べてみました。このJavier Seguraは、1955年にSanta Cruz de Tenerifeで生まれたスペイン人で、Pedro MartínezとPedro Valverdeと共にサイケ・バンドHuellasを結成して、1973年にセルフ・タイトルのアルバムを1枚出して、それ以外にシングルを4枚出しています。しかし、それも1974年までで、それ以降はどうなったかは不明、恐らく解散しているのでしょう。その後、Seguraは宅録でのソロ活動をしていたようで、その中から、1976年〜1978年までの未発表音源を集めたのが、本作品であります。それは別として、正式には、1983年にセルフ・タイトルのファーストアルバムをJaja Records(このレーベルはスペインのカナリア諸島のロック/ポップスだけをリリースしている)からリリースし、その後も、1986年にセカンド”Nostalgia De Lo Humano”を、1989年にサード”Lamento Bereber”を同レーベルから出しています。そうして、4枚目のアルバム”¡Levantate!”を2006年にDiscos Necesariosからリリースしており、本作品は、2022年に5枚目のアルバムとして、Passat Continuからリリースしています。Seguraはソロとしてはこのような経歴になるのですが、このアルバムを出したPassat Continuと言うレーベルは、Modern Obscure Musicの主宰者Pedro VianとDavid G. Balaschが共同で運営を行なっており、その第1弾が、実はJavier Seguraのアルバム”El Sol Desde Oriente (Selected & Unreleased Recordings 1980-1990)”だったんです。この作品には、ミニマルなリズム・ボックスに、民族音楽的土着的感と先鋭的なシンセが強烈な"Jardín Marroquí”や、トライバルな"El Aborigen Parte 1”, 壮大なネイチャー・アンビエント"La Advertencia”等が収録されています。また、Optimo Musicからリリースされた第四世界のアンビエント・コンピ・アルバム”Miracle Steps: Music From The Fourth World 1983-2017”にも、Seguraの曲が1曲収録されており、彼は、1980年代のスペインの実験音楽/ニューウェーブから成るMadrid Sceneにおける重要人物と認識されています。ソロ活動とは別に、Seguraは、Mandi CapoteとのデュオArte Modernoとしても活動していたようで、1982年にシングルをJaja Recordsより出しており、その後、音沙汰無かったのですが、Minimal Waveなアルバム”Musica Cabeza”をCDフォーマットで2015年にLos '80 Pasan Facturaから出しています(正式にはLPフォーマットで、2018年にDomesticaからリリースされたものらしいです)。 以上が、Javier Seguraの活動遍歴なのですが、寡作の為、今まで余り知られていなかったアーティストで、しかも第四世界での活動の為、漸く、我々の耳にも届いた感があります。本作品は1970年代(1976-1978年)に、彼が宅録した音源をリマスターしてのアルバムですので、貴重な記録だと考えられます。彼の機材は、TASCAMのオープンリール4トラック・レコーダー2台, Flute, Sax, 鉄琴, Piano, Vln, Harp, Sun Raも愛用のヴィンテージ・シンセCrumar DS-2で、それらを駆使して、手作り電子音楽で曲を録音していた模様です。そして両面4曲ずつ収録されています。それでは、各曲についてご紹介していきましょう。 ★A1 “1, 2, 3 Secuencias”は、得体の知れない動物の声とピヨピヨした音や物音系Percから、エコーの効いたヴァイオリン(?)/人声(?)へと移行、更に鳴き声のような音がエコーの中で、舞い上がり、そして消え去ります。 ★A2 “Andrea Ex 1”は、空き缶等の物音系Percによるジャンクなアンサンブルです。時々、シンセらしき低音やアシッドな電子音も聞こえてきます。自発的音楽! ★A3 “Andrea Ex 2”は、オペラ的声音や色んな声/歌声の混合物が生成されていますが、時々、電子音らしき音もエコーに乗って襲来してきます。最後には蠢くシンセ音も聴取出来ます。 ★A4 “Andrea Ex 3”でも、物音系Percと縦笛や変な声そして電子音、これらがどれを貶す訳でもなく、等しく鳴らされます。延長する時間を体感できますね。 ★B1 “El Mencey Loco”は、オペラのテープやSaxと持続電子音等が闇鍋の如くごった煮の曲で、深いエコーが掛けられており、更にゴチャゴチャに! ★B2 “El Ser Y El Tiempo”は、深いエコーの掛かった人声やオペラ音声に、物音系ノイズやガチャガチャした音が乗ってきて、混沌を生成しています。 ★B3 “Meditación. El Sueño Ante El Espejo”では、チャルメラっぽい管楽器と物音系Perc、深いエコー処理の正体不明音が、最終的にはSaxや鉄琴に取って代わられます。Sacher-Perzっぽい? ★B4 “Para Piano”は、突然の爆発音とフリーキーなハープ音で始まり、何だか仰々しい雰囲気が渦を巻き、やがて残響音に収束していきます。劇的/激的! 面白い!まるで、LAFMSを1人でやっているような緩いアヴァンな音楽です。そんなに、シンセとかも前面には出てきていないし、またビートもない。ただただ鳴りたいように鳴らす。弾きたいように弾く。そんな副交感神経系を刺激して、肩の力を抜いて、頭を空っぽにしてくれる音楽です。如何にも宅録だなあと思いますが、もし、LAFMSとかが好きなリスナーさんであれば、この作品は「買い」ですよ❗️個人的には、それ程、アンビエンスは感じませんでした。エコーの掛け方なんかは、寧ろ、初期MBっぽい? B2 “El Ser Y El Tiempo” https://youtu.be/JgjHRqACvMM?si=q7DUALle7ecBloSb [Bamdcampでfull album注文可] https://passatcontinu.bandcamp.com/album/el-ser-y-el-tiempo-1976-1978 #JavierSegura #ElSerYElTiempo(1976-1978) #PassatContinu #5ThAlbum #SoundArtist #SoundEngineer #SpanishUnderground #Experimental #Electro-Acoustic #宅録 #Synthesizers #CrumarDS-2 #Flute #Sax #Vibraphone #Piano #Violin #Harp #ReelToReelRecorder
Experimental / Electro-Acoustic Passat Continu 2420円Dr K2
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Edgar Froese “Ages”
今回は、独電子音楽界の巨匠でもあるEdgar Froeseの4枚目のアルバム”Ages”のRecord Store Day用の特別盤を紹介しようと思います。内容が大きく変わっている訳ではないですが、まあ特別盤と言うことで、装丁はえらく豪華になっています。今回のリリースは、仏のレーベルCulture Factoryからとなっています。Edgar Froeseのバイオグラフィーについては、以前にも書きましたので、ここでは省略させて頂きます。 本作品は、元々は、1978年にVirgin Recordsより2枚組LPとしてリリースされていた作品で、彼にとって、ソロアルバムとしたは4枚目に当たります。皆さん、ご存知の通り、彼は、Tangerine Dreamを率いていた訳ですが、ソロでも音楽制作を行っていました。本作品では、Klaus Krügerがパーカッションでゲスト参加していますが、それ以外は全てFroeseが演奏しています。それでは、各曲についてご紹介していきましょう。 ◼️LP1 ★A1 “Metropolis (Inspired By Fritz Lang's Movie)” (5:41)は、淡々としたシーケンスに様々な音色の上物シンセが波状に被さっていくドラマチックな展開の曲で、シンセの音作りが素晴らしい。そしてDrs(又はPerc)が加わり、躍動する音が曲を生き生きさせています。 ★A2 “Era Of The Slaves” (8:11)は、怪しい雰囲気のミニマルなシーケンスと、それに攻めぎ合うフルートっぽい/横笛っぽいシンセのメロとサブ・メロのシンセが秀逸な曲です。やがて、僅かながらリズムマシンや生Percも入ってきて盛り上がります。 ★B1 “Tropic Of Capricorn” (20:47)は、いきなりドラマチックなシンセとベース・シンセのコンビに、オペラのようなサブ・ シンセから成るイントロから一気に流れ込んでくる一大電子絵巻物です。 ◼️LP2 ★C1 “Nights Of Automatic Women” (10:06)は、交響楽のような分厚い電子音の壁で、やがて、リズミックなシーケンスと生Drsが曲を引き締めます。それらが複合して、遠くまで飛んで行きそうな躍動感を感じますね。 ★C2 “Ikarus” (9:14)では、ダークなシーケンスから始まり、天女の歌声のようなシンセ音が絡み、その反復によるトランスが心地良く、叩きまくる生Drsと弾きまくるGが、Froeseはロック側の人間であることを如実に証明しています。 ★D1 “Ode To Granny A” (4:43)は、やや牧歌っぽいハーモニーを奏でるシンセとシーケンスから成る曲で、タンバリンの鈴の音が心に響きます。 ★D2 “Pizarro And Atahuallpa” (8:15)では、土俗的Percで始まり、伸びやかなシンセの電子音が重層化して響き渡ります。そうして、シンカッションも加わり、次第にノリも良くなってきます。 ★D3 “Golgatha And The Circle Closes” (9:36)になると、ポツポツとしたシーケンスの上に、すっかり落ち着いた雰囲気のシンセの音色とフレージングが乗ってきて、少しのばかりの高揚感と共に、弾きまくるGも印象的で、最後のDrsも含めて! 今まで、Edgar Froeseのことを、確かにKrautrockだが、そんなに「ロック・ミュージシャン」とは思ってはいなくて、アンビエント作家の印象で見ていましたが、本作品を聴いてみて、Froeseの根っこにはロックの血が流れていることに気づかされました。そう言う意味で、彼の本性を理解していなかったと考え直すキッカケになったアルバムでした。そこら辺も含めて、目から鱗の作品ですので、Edgar Froeseの本質を知りたい方は、このアルバムは必聴でしょう❗️ [original full album] https://youtu.be/ro0QMknW7Ak?si=mG-cbOhsRHgslfbE #EdgarFroese #Ages #CultureFactory #VirginRecords #Reissue #Remastering #RecordStoreDayDexuleVersion #4ThAlbum #ColorVinyls #Krautrock #Electronic #Synthesizers #Sequencer #Guitar #SoloAlbum #Percussions #KlausKrüger #Founder #TangerineDream
Krautrock / Electronic Culture Factory (Virgin Records) 3608円Dr K2