-
Erik Satie “The Piano Solo of Erik Satie Performed by Bill Quist”
んんん〜、これはどうしたものか?私にしては珍しくクラシックのピアノ作品集を買ったので、聴いてみたのだが。う〜ん、いくら「家具の音楽」で有名なErik Satieだからとは言え、やっぱり私には合わないなあ。何回か聴き直しているのではありますが、家具と言うよりも、寧ろ「苛立ち」を感じてしまいます。それではダメですので、もう少し調べたり、聴き直してみましょう。 Erik Satie, フランス人の作曲家・ピアニスト、1866年5月17日生まれ、1925年7月1日死去。音楽界の異端児、音楽界の変わり者などと称され、ドビュッシー、ラヴェルにも影響を与えたとされています。パリ音楽院除籍。在学中の1884年に処女作のピアノ小品” Allegro (アレグロ (fr))”を作曲しており、その他、”Ogives (オジーヴ), ”Gymnopédies (ジムノペディ)”, “Gnossienne (グノシエンヌ)”も1888年に発表。1890年にモンマルトルに引っ越し、そこのカフェ・コンセール「黒猫」に集う芸術家の1人となり、フランシス・プーランク、クロード・ドビュッシー、さらにコクトーやピカソらと交流していました。その後、同一音形を繰り返す手法を用いた” Vexations (ヴェクサシオン)”や「家具の音楽」なども書いています。因みに”Vexations”とは短い旋律を640回繰り返すと言う「嫌がらせの音楽」です。「家具の音楽 (musique d'ameublement)」は1920年に作曲した室内楽曲で,家具のように、そこにあっても日常生活を妨げない音楽、意識的に聴かれることのない音楽、といったものを目指して書かれた曲であり、またこの曲に限らず、Satieが提唱した「生活の中に溶け込む音楽」という思想にも当てはまられるようです。この家具の音楽は後にBrian Enoの提唱したアンビエント・ミュージックに通底すると言えるでしょう。ただし、彼は、実際に演目で「意識的に聴かれない音楽」を演奏しましたが、演奏が始まると聴衆は黙って聴くことに集中し、Satieは途中で怒って、「何でさっきまでのようにお喋りしないんだ‼️」と怒鳴り、彼の目論見は当初は見事に失敗したことになりました。後にこの考えはBGMなどを生むことに繋がっていきます。ザッとこんな経歴ですが、本作品はSatieのかなり初期の作品であり、まだ「家具の音楽」以前の曲ですので,ながらで聴くよりもちゃんと聴いた方が良いみたいです。なお、日本では伊福部昭らが、1951年に書いた「音楽入門―音楽鑑賞の立場」において「人類が生みえたことを神に誇ってもよいほどの傑作」と絶賛していましたが、当時は曲自体は殆ど知られていません。1963年公開の仏映画「鬼火」(ルイ・マル監督作)でこの曲が使われて,一気に知られるようになり、また1975年に東京都豊島区池袋に開館した西武美術館において、これらの曲が環境音楽として初めて使用されたとか。ここら辺は何だか、井上誠と山下康のデュオInouama Landにも繋がりますね。しかしながら、私自身はこのアルバムは理解できませんでした。今度はちゃんと「家具の音楽」をトライしてみましょう。 https://youtu.be/lvHOjtCxVog #ErikSatie #PianoSolo #Gymnopédies #Gnossienne #FurnitureMusic #BillQist
classical music WINDHAM HILL RECORDS 650円Dr K2
-
Gary Numan “Telekon”
またポップなものを!今回、紹介するのは、テクノポップ(エレ・ポップ)の代名詞とも言えるGary Numanの4枚目のスタジオアルバム”Telekon”です。彼はエレクトロニック・ミュージックのパイオニアでありUltravox!、それもJohn Foxxを師と仰ぐ程のマニアであることは有名です。先ずは簡単にバイオグラフィーを。彼の音楽歴は1977年のパンクバンド”Mean Streatから始まっていますが、メロディメイカー誌でメン募のあったPaul Gardiner (B)と共に、脱退し、その同じ年に従兄弟のJess Lidyard (Dr)を誘って、1977年にTubeway Armyを結成。翌年にはBeggars Banquetと契約して、1978年にはセルフタイトルのアルバムを発表しています。その後は本名名義で着実にアルバムをリリースし、UKチャートのトップ10に食い込んだそうです。特に3枚目のアルバム”The Pleasure Principle”とそこからシングルカットされた”Cars”は大ヒットしました。勿論、次に出た本作品とシングルカットされた”I Die: You Die”と”This Wreckage”もチャートインしています。彼はシンセのヘビー・コレクターでもあり、時にはギター無しのシンセとベース&ドラムの曲も作っています。しかしなから、その後、彼はエレクトロニックな音楽から離れるようになり、通常の楽器(JapanのMick KhanやRob Dean及びQueenのRoger Taylerらが参加)も使うようになります。それで作られたのが、1981年リリースのアルバム”Dance”です。その後、長年のBであったPaul Gardinerがドラッグで死亡。そこら辺から人気が下降します。その後、彼は飛行機のパイロットになったとかの噂がありましたが、本当に自家用飛行機を購入してます。その後はJazzy或いはFunk色が強くなったり、逆にアグレッシブなアプローチをしたり、自分のレーベルを作ったりで、しぶとく生き残り、2017年にはアルバム”My Name Is Ruin”をリリース。また、2021年にもリリースがあったとか。 それで、本作”Telekon”ですが、この初期のヒットアルバムには一種の即物的なディストピアのイメージがあり、彼の「人間味」に乏しい声質もあって、彼は実はアンドロイドじゃないか?と思わせる曲が目立ちます。あと、割とシンセのメロとヴォーカルのメロがユニゾンになっているのも特徴的ですね。この作品ではギターは余り使われておらず、あくまでもシンセ主体です。ただ、生ピアノも使われているところから、次の作品への布石かな?とも思わせます。ギターの音もフランジャーをかけた金属質な音色で使われていますが、この時期までの彼の作風は殆ど同じ(Ramonesみたいですね)なので、皆さんも、一度は聴いてみて下さい。 [full album] https://youtube.com/playlist?list=PLEWVE7vaWTcOtQkR6UrpSmUirD5SWe2TQ “We Are Glass” https://youtu.be/kqMSyUEWi2o #GaryNumsn #Telekon #TubewsyArmy #ElectronicPop #TechnoPop #IDieYiuDie #BeggarsBanquet #Synthesizer
Techno pop, New Wave ATLANTIC Records 650円Dr K2
-
Pretenders “s/t”
ここんところ、あんまり地下音楽ではないですが、今回はPretendersです。もう1970年代末の英国のポスト・パンク・ムーブメントの中から出てきたバンドで、Vo/GのChrissie Hynde(元々は米国アクロン出身で、1973年に渡英、NME誌のライターをやっていた)がフロントに立ったニューウェーブと言うかポスト・パンクと言うか分類し難いバンドで、本作品は、そんな彼等のファーストスタジオアルバムです。この時のメンバーはChrissie Hynde (Vo, G)の他に、Pete Farndon (B, B-Vo), James Honeyman-Scott (G, Kbd, B-Vo), Martin Chambers (Dr, B-Vo)の4人組で、1978年に結成されました。またこのアルバムではプロデューサーChris ThomasがKbdとエフェクトで参加しています。その後は、ドラッグが原因でPeteの解雇やJamesの急死が起こり、メンバーチェンジが激しくなって、オリジナルメンバーはChristie以外いなくなりましたが、1994年にMartinが戻ってきており、今でも活動しています。 それで、本作品ですが、その前に。私は当時、Pretendersをパンクの文脈では理解したおらず、パンク・ムーブメントに乗じて、出てきた「普通」のロックバンドと認識しており、余り興味を抱きませんでした。なので、漸く2022年になって中古で入手したと言う経緯があります。それを踏まえても、やはりパンクとしてはちょっと洗練されているように聴こえてますし、ChrissieのVoもそれ程パンクな感じはしません(ただ声質は好き!)。しかしながら、彼等はブリティッシュ・ロックの文脈で聴いてみると、矢張り「パンク」からの流れなのだなあと感じました。ややソフィストケートされている向きもありますが、それは彼等自身とChris Thomasのアレンジ力によるものでは?と想像します。個人的には、A-1 “Precious” やB-1 ”Kid”、B-5”Mystery Achievement”はお気に入りですね。後、ファーストアルバムにしてインスト曲の”Space Invaders”も興味深いです。ただ1曲、Nick Loweがプロデュースしている曲は,フォーク・ロック調で、やや浮いた空気感を感じます。また,シングルカットされたB-3 ”Brass in Pocket”はややスローな曲なのですが、私にはイマイチでした。色んな聴き方ができるアルバムだと思います。もし,興味がありましたら、一度聴いてみて下さい。 https://youtu.be/HmwpEmD6-QU #Pretenders #firstalbum #SireRecords #NewWave #ChrissieHynde #Precious
NEW WAVE Sire Records 650円Dr K2