-
Depeche Mode “Violator”
今回は、Depeche Modeのアルバム”Violator (冒涜者)”を紹介したいと思います。まあ、初期の頃も大好きだったのですが、段々と人気が出て、アリーナ・クラスのバンドにまで成長しましたから、ちょっと避けていました。オリジナルは、1990年作ですが、世界中で再発されたり、各国のヴァージョンかあったりと約150種類のヴァージョン/フォーマット違いがあるようてす。Depeche Modeのバイオグラフィーについては、以前に書いてありますか、補足を少ししておきます。本作品はスタジオ・アルバムとしては7作目なのですが、私が購入したのは、それの再発盤で、リマスタリングされています。オリジナルは1990年にリリースされています。その時のメンバーは、Alan Wilder, Andy Fletcher, Dave Gahan, Martin Goreの4人です。Dave Grahaは1980年にDepeche Modeの結成時からVoであり、バンドのフロントマンで、曲も書きます。Martin Goreもバンドの創設期からのメンバーで、G/Kbd/Synthを担当、曲も書き、時にはリードVoも取ります。Alan Wilderは、最初期にVince Clarkが脱退した後、ツアーメンバーでありましたが、正式なメンバーとなり、1982-1995年の期間、Depeche Modeのメンバーとして、Kbd/Synth/Piano/Drs/B/G/Flute等を担当しています。Andy Fletcherは通称Fletchとも呼ばれ、バンド創世期からのメンバーで、ずっとKbd/Synth/Bを担当してきましたが、2022年5月26日に、60歳の若さで他界しています。 と言う訳で、本作品”Violator”を紹介します。A面5曲/B面4曲が収録されていますので、各曲について紹介していきますね。 ★A1 “World In My Eyes”は、複雑な打ち込みリズム隊に憂いのあるVoと抒情的なボリシンセが乗っています。流石、”Depeche”節とも言えるメロディラインが一貫していますね。 ★A2 “Sweetest Perfection”は、しっとりしたスローな曲ですが、打ち込みでこのテンポの曲作りは意外と難しいんですよね。間奏での「室内楽」がワンポイントです。 ★A3 “Personal Jesus”は、6/8拍子のリズムを採用した、ノリは良いがややヘビーな曲です。スライドGも使っていらのかな?ちょっとアメリカンな風味もありますが、基本は極めて「英国的」ですね。 ★A4 ”Halo”は、シンセ・オケを上手く使った壮大な曲で、GahanのVoが切ないです。この曲も”Depeche”節全開です。 ★A5 “Waiting For The Night”は、ポツポツとしたシーケンスを基本にした電子バラード調の曲で、やはりGahanのVoが良く映えていますね。 ★B1 “Enjoy The Silence”は、四つ打ちリズムに乗せて、絶妙なシンセやGが絡むヒット曲ですね。モロ”Depeche”節が炸裂です。最後に”Crucified”と言う隠しトラックが入っています。 ★B2 “Policy Of Truth”は、シーケンスとGの刻みで始まりますが、8ビートでちょっと物悲しい曲になります。ここら辺もブレませんね。やっぱり、曲作りも表現力も良いんでしよう。 ★B3 “Blue Dress”でも、凝ったリズムの打ち込みに、優しげなってGahanのVoが切々と歌うのは、堪らないです。また、Gも前面には出ていませんが、要所要所で効いています。 ★B4 “Clean”は、シーケンスと重いリズム(ロータム)のコンビネーションに、ストリング・シンセと歌い上げるVoが乗る曲で、ここでも”Depeche”節が炸裂しています。 やはり、Depeche Modeは、Goreの曲作りが”Depeche”節を担っているのと、それをGahanのVoが上手く歌い上げているところが、最大の魅力でしようね。多分、私が”Depeche”節と呼んでいるのは、一種の英国の持つ物悲しさのような節回しで、これを聴くと、一発で「嗚呼、Depeche Modeだなあ」と分かる雰囲気なんですよね。暗いとも悲しいとも言えるような複雑な感情を、機械的なマシンリズムとシーケンスに乗せて歌い上げるのが、その真骨頂ですね。まあ、メジャーバンドだとか抜きにして、一度、この”Depeche”節を堪能してみて下さい❗️ A3 “Personal Jesus” https://youtu.be/u1xrNaTO1bI?si=Ui6_5eEBZW6HYay9 [full album] https://youtube.com/playlist?list=PLo8SRTJOJ2EZWCZKfAVLhjDPBgUO_FRg2&si=34SbNnxj7V5I3HAj #DepecheMode #Violator #MuteRecords #SonyRecords #Reissue #Remastering #180g #Gatefold #7ThStudioAlbum #ElectroPop #PopMusic #Synthesizers #AlanWilder #AndyFletcher #DaveGahan #MartinGore
Electro Pop Mute Records / Sony Records 4500円Dr K2
-
Detlef Funder & Bernd Sevens “Stumm”
これまた、謎物件です!どうも独逸モノだったので、ポチったのだと思います。サンプルはちょっと聴いたのかな? と言う訳で、謎の2人、Detlef Funder (「デトレフ・フンダー」と発音)とBernd Sevens (「ベルンド・ジーフェンス」と発音)の1984年のコラボ・カセット作品のLP再発物件です。タイトルは”Stumm”のままですが、どうもオリジナルのカセット作品には、A面/B面それぞれ1曲しかクレジットが無いのですが、今回はA面4曲/B面3曲としてクレジットされています。それで、彼等のバイオグラフィーを調べてみたのですが、Detlef Funderは、以前紹介したKonrad Kraftの本名です。なので、以前に紹介したKonrad Kraftの紹介文をご参照下さい。彼は今も現役で活動していますので、この作品を気に入った方は要チェックですよ。また相方のBernd Sevensは1984年に個人的なカセット・レーベルGaehnialtapesを運営、この作品が一番最初のリリースでしたが、1984年に数本のカセット作品を出して終了。その後、1987年にBrigit Gasserと共にレーベルSDV-Tonträgerを設立し、Seventh Dayとして活動して1990年代まで活躍しています。まあ、これ位しか新しい情報はありませんでした(すまん!)。それで、この作品の参加メンバーのクレジットは、1st Radium Report [Detlef Funder?] (Synth, B, Drs)とMentalimbiss [Bernd Sevens?] (Synth, Electro-Drs, G, Panpipes)とのことで、イマイチ良く分からないのですが、まあ、大体こんな割り振りだと思います。1980年には、FunderはシンセとしてKorg MS10を、リズムマシンとしてRoland CR-78を持っており、またリハの出来る地下室もあったので、FunderとSevensはそこで音を出して遊んでいました。その頃、丁度パンクとかのDIYの影響で、2人は演奏を録音してみようとなり、殆ど一発録りみたいに4トラック・レコーダーで録音、それで、このファースト・カセット作品を作ります。それで、Düsseldorfで有名だったRockOn Recordsで取り上げられたりしていましたが、RockOnは1982年3月で閉店。その後、Sevensは、Ursula Blockと一緒にレコード店兼レーベルPure Freudeで働いています。内容はもう1980年代初頭のバリバリの宅録物件と言う感じで、チープで味わい深い電子音楽っぽい実験を好き勝手にやっており、初々しいです。まあ、堪らない人には堪らない作品で、Neue Deutsche Welle (German New Wave)には乗り損ねてますが、歴史の狭間に埋もれず、再発されたのは嬉しい限りです。それでは、各曲について紹介していきましょう。 A1 “Sauerstoffmangel”は、バックでウニウニしたシンセが鳴っている中、マシンリズムとやたら主張の強いベースが響き、そこにリコーダーらしき音がヘロヘロなメロディを奏でている曲です。 A2 “Endlos”では、性急かつチープなビートと手弾きシーケンスが突っ走っており、落ち着かないです。そこにオモチャの機関銃のようなシンセも加わり、子供の戦争ごっこのように思えます。 A3 “Computersteuerung 1980 Pt.1”では、チープなマシンリズムと単調なシンセ・ベースと安っぽい電子音がピロピロと奏でられています。録音時、リズムマシンは弄っているみたいですが、最後にちょっと盛り上がります。 A4 “Computersteuerung 1980 Pt.2”でも、A3と同じような曲のテンポアップ・ヴァージョンが、足早に現れて、直ぐに消えます。 B1 “Shifting”では、不明瞭な電子音の中に、ちゃんと叩けていない生ドラムがやたらドタバタして、その内にシンセ音が絡んできて、まるでHalf Japaneseが電子音楽を演っているようです。 B2 “High Speed”は、またチープなマシンリズムに、太い低音担当の持続シンセ音とメロディ担当のシンセ音が鳴り響く曲ですが、意外にも良いフレーズを聴くことができて、お徳です(個人的には1番好きな曲です)。でも、何が”High Speed”なのかは不明のまま。 B3 “Koma”では、スローから始まるマシンリズムが変なフレーズとテンポを叩き出し、シンセ音もそれに合ってるのか?合っていないのか?分からないまま、突き進んでいきます。でも何となく辻褄は合っているようです。 そんな訳で、あっと言う間に終わってしまいますが、一回聴くと、もう一回聴きたくなる中毒性のある音楽です。演奏は決して上手くはないのです。しかし「酔拳」のような感じで、「酔っ払っているのに強い」=「下手なのに聴きたくなる」みたいな。なので、この手の音楽を聴く時は気を付けて下さい‼️ A1 “Sauerstoffmangel” https://youtu.be/CQ6ZNDm4JCk?si=h_nS8kLDxYWyiC0I A2 “Endlos” https://youtu.be/Qpgv-aE4X9I?si=jphSXObIQZY0Il8L A3 “Computersteuerung 1980 Pt.1” https://youtu.be/ufMHbJZpyso?si=9oT5hcKogCsftk62 A4 “Computersteuerung 1980 Pt.2” https://youtu.be/KFFh7hd4Hvs?si=W-gBRm88f69-0VEl B1 “Shifting” https://youtu.be/dvP9PY23Sls?si=V33h-iIrRwIAyocn B2 “High Speed” https://youtu.be/yJgxtdElAc4?si=FFJHewzReXDlwDOj B3 “Koma” https://youtu.be/LJ6bu7v3FUE?si=-av8mKklVNwT9vx6 [BandcampのURLも貼っておきます] https://detlefunderberndsevens.bandcamp.com/album/stumm #DetlefFunder #BerndSevens #Stumm #TAL #Gaehnialtapes #Reissue #1984年作 #宅録 #GermanUnderground #Electronic #Experimental #Synthesizers #DrumMachine #Drums #Guitar #Bass #KonradKraft
Electronic TAL (Gaehnialtapes) 4500円Dr K2
-
Human Switchboard “Who’s Landing In My Hanger?”
Human Switchboardと聞いて反応する人、何人いますか?多分少ないでしょう。私も高校生時にロックマガジンの増刊号Modern Musicにちょっとだけ書いてあったのを読んで、どんな音楽だろうと長年、妄想していたバンドなんですよ。当時はDiscogsもYouTubeも無かったですし、こちらもスマホもPCも無かったですからね。偶々、ヤフオクでHuman Switchboardの名前を見た時、狂喜乱舞しましたね。それで、やっと手に入れた訳です。まあ、このバンドは知る人ぞ知るバンドだったので、ちょっとバイオグラフィーを調べてみました。Human Switchboardのメンバーは、Bob Pfeifer (G.Vo), Myrna Marcarian. (Vo, Farfisa Organ)と Ron Metz (Dr, Perc)のトリオで、Steve Calabaria, Doug MorganやPaul HamannらがヘルプでBで参加していました。結成は1977年、オハイオ州のCrevelandで。元々はSyracuse大学で、BobがMyrnaと会ったことから、始まり、Clevelandに戻った時に、ドラムのRonを誘ってできたのが、Human Switchboardです。その時に4曲EPを録音し、David Thomas (Pere Ubu)がテープをミックスしています。このEPは1977年秋に自分達でリリースしています。バンドは次のシングル”I Gotta Know”を1978年にAkron‘s Clone Recordsの為に録音しています。また、ライブも始めており、最初のライブはColumbusのHigh Streetのレコード屋Magnolia Thunderpussyの地下でした。その後も近い州でのライブも行っており、1979年には、Kentの有名なバンド(15-60-75)のヘルプで、次のシングル”Prime of My Life”/“In My Room”を録音し、バンド自身のレーベルSquare Recordsからリリースしています。バンドは、段々と知名度が上がってきて、現Yo La TengoのDave SchrammをヘルプのBとして、NYやWashington, Boston, NJなどで定期的にライブをやっています。ただ、アルバムがまだ大手から出すことが出来ていませんでした。1980年にRough Tradeが、3曲入り12㌅シングルを出さないかと興味を示し、Doug Morgan (B)のヘルプで、'Who's Landing in My Hangar?'と”I Can Walk Alone”に”In My Room”の再録を加えて3曲を録音しましたが、レーベル側の突然の契約却下で、このシングルは流れてしまいます。しかし、バンドは、米国レーベルIRSの英国部門であるFaulty Productsと契約し、彼等の最初にして最後のスタジオ・アルバム”Who’s Landing In My Hangar?”を1981年にリリースします。これが本アルバムをなります。その後、Human Switchboardは、Polydorからも声をかけられたりしますが、1985年に解散してしまいます。大体のバイオグラフィーはこんな感じです。どうもCleveland辺りではちょっと有名だったみたいですね。 それで本作品ですが、このバンドを一言で言うと、編成から分かるように、チープなオルガンがフィーチャーされたニューウェーブですね。本アルバムへはバンド・メンバーとしてRobert Pfeifer (G, Vo), Myrna Marcarian (Farfisa Organ, Piano, Vo), Ron Metz (Drs, Perc)で、ヘルプとして、Doug Morgan (B [A2, B1]), Paul Hamann (B [A1, A3, A4, B3, B4]), Steve Calabria (B [A5, B2, B5])が参加しています。私は、こう言う音楽は、個人的には大好きですので、存分に楽しめました。まあ当時のRolling Stone誌では「全くのクラシック!このバンドはVelvet Undergroundのギターと60年代のガレージのオルガン、Pere Ubuのようなベースライン、がなりたてるようなSax、がむしゃらに叩いてるドラム。まるで、Robert PfeiferはLou Reedの大ファンで、Myrna MarcarianはPatti Smithのように歌っているようなもんだ」と評されていました。でも、私はそんなことは余り感じなかったですね。寧ろ、あまりにニューウェーブっぽかったので、びっくりした位です(特にベースラインがPere Ubuっぽいとは思えませんが、、。)。元々は阿木譲さんが紹介していたバンドですが、私は最初、「インダストリアル・ミュージック」を想像していたので、思いっきり期待を裏切られました(勿論、良い意味です)。ある意味、理想的なパワーポップ・バンドと言っても良いでしょう。皆さんも是非是非、Cleveland産の良質のニューウェーブを聴いてみてください‼️ A1 “(Say No To) Saturday's Girl” (3:10) A2 “Who's Landing In My Hangar?” (2:35) A3 “In This Town” (3:10) A4 “No Heart” (3:09) A5 “Refrigerator Door” (7:30) B1 “I Can Walk Alone” (2:59) B2 “(I Used To) Believe In You” (3:55) B3 “Don't Follow Me Home” (4:33) B4 “Book On Looks” (2:34) B5 “Where The Light Breaks” (3:50) [demo: A2 “Who's Landing In My Hangar?”〜B1 “I Can Walk Alone”] https://youtu.be/eEYdRG4aWNg?si=J1FaDh1iPNnxDYxj [full album] https://youtube.com/playlist?list=OLAK5uy_miP2d7unGYMPSYTOywJGCH2qUZDfBqE64&si=fS1PCeKSHRjD9Ris #HumanSwitchboard #Who’sLandingInMyHanger? #FaultyProducts #Cleveland #NewWave #Organ #BobPfeifer #MyrnaMarcarian #RonMetz #GuestBassPlayers #DougMorgan #PaulHamann #SteveCalabria
NEW WAVE Faulty Products 4500円Dr K2
-
Moebius-Plank-Neumeier “Zero Set”
これはマスト・アイテムですね。Cluster/HarmoniaのDieter Moebiusとジャーマン・ロックを広く支えた名プロデューサーConny Plank、そして元々フリー・ジャズ・コンボSchlippenbachに入っていたが、ジャーマン・ロック・バンドGuru Guruを結成したMani Neumeierが、ガッツリ組んで、1982年に作製した作品が、この”Zero Set”です。元々、MoebiusとPlankは1980年作”Rastakraut Pasta”や1981年作”Material”でコラボをやっていましたが、1970年代中期の彼等の活動やスタジオでのHarmoniaとのセッションを見てきたNeumeierは当然(或いは必然的)との様に彼等2人とコラボすることになりました。そして、Moebiusは電子音に、Neumeierはドラムに、Plankはスタジオに最大限の注意を払い、可能な限りワイドレンジの録音作業を行なって、最終的な編集作業へと辿り着きます。 Neumeierは機械の様な正確さとスタミナでドラムを叩いてますが、それはMoebiusの電子音のシーケンスに同期させる為です(1970年からアナログのシーケンサーは使われている)。それだけでも大変なのに、Neumeierはリズムをキープしながら、複雑なパターンのドラミングを見せています。これは正に独逸電子音楽の救世主レベルですね。また、時にギターやパーカッションの音も聴取出来ますが、これは誰がやっているのでしょう?全部で6曲が収録されてますが、曲順や曲のヴァリエーションの取捨選択を同一のラインで行う為らしいです。それにしても、Neumeierのドラミングは凄いです。また一見、ミニマルなシーケンスや電子音も催眠的で、気持ち良く聴取できますし、全体の音の広がりが録音方法でこんなにも変わるのか?と思わせるPlankの技は特筆すべき点ですね。あとB-2”Recall”ではアフリカン・ヴォーカルとしてSudanのDeukaが入っていますが、これに目が行くと、アルバム全体が分からなくなりそうです(決してそれが悪いとかじゃなくて)。しかしながら、全体に渡る音のダイナミズムと躍動感は、電子音楽でありながら凄いです、こんな名盤をリマスターしてリイシューしてくれた仏レーベルBureau Bには感謝です。皆さんの機会がありましたら、是非聴いてみてください。マストですよ❗️ https://youtu.be/IR-gKanpvpA #DieterMoebius #ConnyPlank #ManiNeumeier #ZeroSet #SkyRecords #BureauB #GermanRock #Electronics #Drums #StudioWork
German Rock Bureau B (Sky Records) 4500円Dr K2