-
EYE “Honolulu/Saigon”
EYEって言っても、あの山塚さんではないです❗️こちらは本名Laurène Exposito (ローレン・エスボジート)言う仏人女性アーティストのことです。元々、Jean Primaultとのシンセ・ポップ・デュオPrismaとして、カセット・シングルを出してデビュー、その後、Jean PrimaultとのデュオでClaus Comediとして2017年と2019年にカセット作品を2作を、自身のレーベルWaving Hands Recordsからリリース。その前には、Micro Cheval名義で、Terror BirdとのスプリットLPを仏パリのレーベルSVN SNS Recordsから出しています。その後、2016年に蘭レーベルKnekelhuisからEYE名義で初のLP”Sabine”をリリースし、2019年にセカンド・アルバム”Metamujer”を同レーベルからリリース、本作品がEYEとしてのサード・アルバムで2023年11月では最新作となります。因みに、この蘭のレーベルは、有名DJのNina Kravizも注目しており、現行・再発関係無しに良質なシンセ・ポップやインダストリアルをリリースしているらしいです。Expositoのことを調べてもこの位しか分かりませんでした(すまん!)。まあ、そう言う訳で、本作品”Honolulu/Saigon”について、その内容を紹介したいと思います。今回も、彼女1人で、作曲・演奏・録音・ジャケのレイアウトをやっており、やっていないのは、マスタリングだけと言う家内手工業的作品になっていますが、彼女はクラブ・カルチャーを通過しているのが、今までの宅録女子とは違うところでしようか? しかも、シンセとリズムマシンとVoのみで、かなり無駄な音を削ぎ落としています。また、本作品は過去のカセット作品の曲も新曲も両方合わせての作りにもなっており、両面6曲ずつ収録されています。 ★A1 “Mata El Meta”は、軽快はリズムマシンとオルガン風の簡素なシンセ、それにこれまた簡素なベースラインに、コケティッシュな女性Voから成る曲です。 ★A2 “Ti Amo”も、エレクトーンのリズムマシンのようなリズムに直線的なシークエンスと可愛らしいVoから成る曲です。 ★A3 “Jeannette”も、簡素で軽めなバックに女性Voがノリノリで弾け気味な曲。歌詞は仏語かな?あと、シンセと言うよりオルガンっぽい音が如何にもな感じです。 ★A4 “Le Croquis De La Femme”は、リバーブの効いたリズムマシンに、素朴なシンセによるバックの演奏が、これまた効いているインスト曲です。 ★A5 “La Mort De La Maîtresse”でも、昔のエレクトーンみたいな演奏で、無駄が一切ありません。途中から出てくるシンセや呟くようなVoが、懐かしさすら想起させます。 ★A6 “Le Croquis De La Femme (demo)”は、ちょい良いリズムマシンに、やはり簡素極まりないシンセによる演奏から成るインスト曲です。デモ曲とは思えませんね。 ★B1 “Put Down”も、まるで簡素なエレクトーンの伴奏によるウィスパーVoによる弾き語りのような曲で、徹底しています。歌詞は英語のようです。 ★B2 “Carousel”は、ややアップテンポのボサノバ調のリズムのインスト曲で、これまたスカスカてキュートな電子音がキュートです。 ★B3 “AAM”は、ちょいとリズムマシンの録り方に凝っており、シンプルなシンセと語り調の仏語Voが印象的な曲です。途中のシンセの多層性はキュンときます! ★B4 “Bad Jazz”は、クチュクチュしたシンセのSEで始まり、出しゃばらないリズムマシンとオルガンっぽいシンセから成るインスト曲で、今時の高校生の方がもっと凝った曲を作れるのでは?と思わせる位、シンプルです。 ★B5 “Your Face Is A Picture”は、独特のベース・ラインに合わせて、ウィスパーVoが語り掛けてくれる曲です。リズムはアシッドテクノで、ちょっと異色です。 ★B6 “Fou De Toi”は、一転して元通りのエレクトーン演奏のような柔らかいインスト曲となり、アルバムを締めています。 総じて、余り構えて聴くような音楽ではなく、シンプルな演奏と浮いているような女性Voから成る、かなり贅肉を削ぎ落とした曲が収録されており、ある意味、Young Marble Giantsのようなスカスカな音楽です。ただ、このような音楽をアルバムとして聴かせる程の力量もあると思われ、何処までこの路線で行けるかは楽しみですね。また、そんなにシンセっぽい音を使わずに、どちらかと言うとオルガンとかエレクトーンのような素朴な音色に終始しているのも興味深いです。結構、中毒性のある音楽ですので、要注意です❗️まあ、アルバム・タイトルの意味は最後まで不明でしたが、、、。 B5 “Your Face Is A Picture” https://youtu.be/3OIJoNFr_FA?si=tXfjrP2fdaEgc40- [full album] https://youtube.com/playlist?list=OLAK5uy_n2f0RO5mqYtq-4Os3bvcX6S3hLxVfB7Yw&si=7SvVougNXW3Qx9SK [BandcampのURLも貼っておきます] https://knekelhuis.bandcamp.com/album/honolulu-saigon #EYE #LaurèneExposito #Honolulu/Saigon #Knekelhuis #3RdAlbum #SoloUnit #ElectroPop #MinimalWave #Electone #Organ #Synthesizers #FemaleVocal #SimpleIsBest #Prisma #ClausComedi
Electro Pop / Chanson Knekelhuis 4180円Dr K2
-
Tot Onyx “Senno I”
独で活動していた日本人女性2人によるGroup AのTommi Tokyoのソロ名義が、このTot Onyxと言う訳であります。今回、そのデビュー・アルバム”Senno I”を入手しましたので、紹介してみたいと思います。因みに、リリース元のiDEAL Recordingsは、2000年頃から北欧のアーティスト/グループに関わらず、広く世界中の実験音響派やエレクトロなどをリリースし続けている優良レーベルなので、気になる方は要チェックですよ❗️それで、Group Aとしての活動は、2012年にデビューCDR”A”を出してから、2021年に最後のカセット作品”No Recording III”を出すまででしたので、その後に、Tommi Tokyoはソロとして、Tot Onyxを名乗ってBerlinに残って活動を続けて来たのだろうと思います。あんまり有用な情報は無いので、これ位しか分かりませんでした(すまん!)。因みに、相方のSayaka Botanicは現在、東京に戻ってきて、ソロ活動をしています。 それでは、Tot Onyxとしての初の作品”Senno I”を紹介したいと思います。両面4曲ずつ収録されています。 A1 “Voice Calling”は、彼女のウィスパーヴォイスに導かれて、民族楽器風の打楽器のリズムで始まりますが、声は段々と変調・加工された唸り声のようになっていきます。 A2 “A Leaf Laughs”では、コンタクト・マイクでのフィールド録音した音を左右に振り、そこに重低音が忍び寄ってきます。そうしている間にも、謎の打楽器音も混在してきます。空間の使い方が秀逸です! A3 “Inhabitants Of Brain”では、非常にゆっくりとした脳波のような音が流れる中、会話する声や物音が聴き取りにくい音量で混入してきます。David Rosenboomのようですが、やがてグリッチ音が表に現れてくる、強迫症的な曲です。 A4 “A/H5N1”は、変調した日本語ナレーションとJean Tinguelyの作品のような機械音とが混じり合い、やがて、低音のパルス音が心音のように聞こえてきます。タイトルの抽象性と良くマッチしている。 B1 “Ishi Rhythm”は、ガラクタ打楽器のギクシャクしたリズムと規則的なキックから成る短い曲です。 B2 “Maggots”では、不思議なフィールド録音らしき音と不明瞭な呪詛のようなヴォイスとが絡み合い、時間と共に、周囲にノイズや重低音も忍び寄ってきます。絶妙な構成力で、思わず唸ります。 B3 “Plague”は、一定の強力なリズムを中心に、様々な音(或いはノイズ的な音)が加工されて挿入される曲で、本作品の中では唯一「踊れる」曲かもしれませんね。最後は逆回転します。 B4 “The Me, That Is Not Me, That Is Me”は、テンポダウンなキック音に、得体の知れない音(サンプリング音)が乗っかる、ややダークな曲で、「自己」との対峙を思わせます。 総じて、各曲は一種の抽象性を保持しており、それ故に、緻密なミキシングや加工或いは空間の使い方が秀逸で、Tot Onyxとしての彼女の脳内を覗き見たような印象を受けました。ベースには、やはりクラブ・ミュージック的なものがあるのは、当たり前に現代的で、テクノロジーの使い方には特筆すべきものがあります。なので、現行最新の「音楽」に興味があるリスナーさんは、是非とも本作品を体験してみて下さい‼️中毒性もあり❗️それにしても、アルバム・タイトルは「洗脳」のことだろうか? また、因みに、Tommi Tokyoは、EnxinことHiro Kone(米国人で本名 Nicky Mao)とコラボ・カセットEPを2023年に出しており、それが現時点での最新作です。 A4 “A/H5N1” https://youtu.be/qwzidZAku-8?si=C1MSwCA5O6vCbiGY B4 “The Me, That Is Not Me, That Is Me” https://youtu.be/YIVUqXtCXhg?feature=shared [BandcampのURLを貼っておきます] https://groupa.bandcamp.com/album/tot-onyx-senno-i #TotOnyx #SennoI #iDEALRecordings #GroupA #TommiTokyo #FirstSoloAlbum #Experimental #Electronic #Abstract #Technology #JapaneseFemale #Berlin
Experimental / Electronic iDEAL Recordings 4180円Dr K2
-
Frieder Butzmann “Das Mädchen Auf Der Schaukel”
稀代の天才電子音楽家Frieder Butzmannのソロとしてはセカンド・アルバムになります。バイオグラフィーは前回紹介しましたので、そちらをご参照下さい。タイトルは「ブランコの少女」の意。しかしそれが何を言いたいかは不明(と言うか、NDWのグループやアーティストのタイトルって意味不明なのが多い)ですが、このスチールはThomas Kieselの短編映画”Incendio Italians”から取られたものらしいです。今回は音質重視なのか45回転12㌅EP2枚組の仕様です。この作品は、1984年にリリースされていますが、録音自体は1982年に行われています。彼の作品は、冷戦下西ベルリンで育まれた奇怪な電子音楽或いは実験的ポップソングですが、ここでは比較的分かりやすい形で収められています。D3を除いて、ほぼほぼ全曲をFriederが作詞・作曲したいますが、D3だけはJean Derauxが作詞・作曲しており、やや異質な感もあります。Friederの曲は合っているのかいないのかが分からないと言うか「脱臼したハーモニー」が特徴なのですが、本作品では最小限に使用されており、何となくリズムなどがハッキリしている曲が多いです。また、本作品には、映像作家Michael Simbruckの映像作品に使用されたトラックD1”Der Letzte Akt”も収められています。 Frieder Butzmann初心者でも受け入れ易い作品だとは思いますので、西ベルリンの空気感を体験したい方は是非聴いてみて下さい。 “Gläserne Jugend” https://youtu.be/x9Lp9mo49VY #FriederButzmann #DasMädchenAufDerSchaukel #Zensor #ElectronicMusic #AvantPop #Experimental #NeueDeutscheWelle #GermanNeueWelle #Berlin
Experimental Pop Zensor 4180円Dr K2