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Malaria! “New York Passage”
Malaria!については、以前にも取り上げましたが、元々、全員女性バンドであったMania D.から発展したバンドで、こちらも全員女性バンドになっています。以前にも紹介していますので、あらましについては、前回のバイオグラフィーをご参照下さい。それで、Malaria!は、1981年、西ベルリンで、Gudrun Gut (Drs, B)とBettina Köster (Vo, Sax)によって結成されており、同年、セルフタイトルの12インチ・マキシ・シングルを出しています。その中に収録されている曲B1 “I Will Be Your Only One”が、今回は5人のメンバーで、かつニューヨーク録音によって、A面”Your Turn To Run”に生まれ変わったんです。他の3人と言うのは、Susanne Kuhnke (Synth, Kbd), Manon Duursma (G), Christine Hahn (B, Drs)です。テンポも上がって、バックの音も厚くなり、Voも多重録音することで、かなり垢抜けた印象になりました。B面もポストパンク的なアレンジが為されており、随分と雰囲気が変わっています。実際、このシングルが最も売れたアイテム(USでもヨーロッパでもインディーズ・チャートでトップ10に入っています)で、これがキッカケで、The Birthday Party, John Cale, Nina Hagenとツアーも出来るようになりました。また、本シングルの”Your Turn To Run”及び他2曲(“You You”と”Gold/ Money”)は、米国人監督Anne Carlisleによる、独逸のドキュメンタリー映像”Super 80”にもMVが使われています。あと、彼女等は、英詞で歌っていることも多く、割と早いうちから、英語圏への進出を考えていたのかなとも思います。でも、私が好きな曲は独逸語歌詞の曲なんですよね。と言う訳で、Malaria!で最も有名なシングルを紹介していきます。A面はEnglish Sideとして、先述の曲1曲で、B面はDeutsch Seiteとして2曲、収録されています。それでは、それぞれの曲をご紹介していきます。 ◼️English Side ★A “Your Turn To Run (I Will Be Your Only One)” (4:11)は、太いSynth-BとドコドコしたDrsのリズム隊に、ポストパンクっぽいGと朗々としたVoや囁くようなVo (ひょっとしたら別人?)が自在に絡む、正にMalaria!らしい名曲ですね。間奏のSaxもグーだし、終わり方も秀逸です。元曲”I will Be Your Only One”よりもずっと垢抜けています。 ◼️Deutsche Seite ★B1 “Zarah” (3:20)は、虫の音みたいなシンセで始まり、やはり都市民族的リズム隊が入ってきて、それに合わせておどろおどろしいようなVoが入ってくる曲で、GよりシンセやVoに重心を置いているところがMalaria!っぽいです。 ★B2 “Duschen” (4:14)では、ややフリーっぽいDrsとBをバックに、Voが入ってきたと思ったら、いきなりアップテンポで走り始めていき、サビで一旦落ち着くのですが、また走り回ります。間奏のSaxやChoirも良いアクセントになっています。 個人的には、Deutsche Seiteの方が好みなのですが、まぁ、それは人それぞれと言うことで。それにしても、A面は相当、垢抜けていると思われます。それと、裏ジャケの彼女等の写真がカッコ良いこと! 皆さんもこれを聴いて、独逸産都市部族的音楽を堪能してみて下さい! https://youtu.be/hQCDbguGeT0?si=r_wEwmfGV39pEjGo [オマケ: A面元曲”I Will Be Your Only One”] https://youtu.be/rC1aOSfjmqA?si=gUuyG_N2RD8jb8dk #Malaria! #NewYorkPassage #JungleRecords #DasBüro #12inchMaxi-Single #NeueDeutscheWelle #GermanNewWave #AllFemaleBand #EnglishSide #YourTurnToRun #IWillBeYourOnlyOne #Re-Recording #DeutscheSeite #Zarah #Duschen #GudrunGut #BettinaKöster #SusanneKuhnke #ManonDuursma #ChristineHahn
Neue Deutsche Welle (German New Wave) / Experimental Pop Jungle Records / Das Büro 3300円Dr K2
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Atrax Morgue “Necro Box”
とうとう買ってしまった!Atrax Morgueのボックス・セット❗️しかも、限定再発物件。まあ、Atrax Morgueの場合、Marco Corbelliが自死した後に、やたらとボックス・セットが出ているので、それらをコンプリートするつもりは無いですが、まあ纏めて聴きたいとも思ったので。Atrax Morgueのバイオグラフィーに関しては、以前にも紹介していますので、そちらをご参照下さい。少しだけ確認事項を書いておきますと、Atrax Morgueは、伊のMarco Corbelli (本名Marco Rotula)のソロ・ノイズ・プロジェクトで、活動期間は、1993年〜2007年で、2007年5月6日に首を吊って自死しており、それを持ってAtrax Morgueは終了しています。彼は、自身のレーベルSlaughter Productionsからも自分の作品を多数出していました。彼はアナログ・シンセと自らの声、そして簡素なエフェクトで、病的かつ極私的なパワー・エレクトロニクスの系譜を作っていました。それで、彼の死後、同じ伊レーベル浦島などが、沢山の再発やボックス・セットをリリースし、再評価されています。それで、今回、入手したのは、浦島からの木箱入り”Necro Box”で、これは再発物でもあります。内容は、Slaughter Productionsから出ていたカセット/CDR作品3つをLPとしてリイシューしたもので、LP1が、1993年リリースの”Necro-sintesi”、LP2が、1994年リリースの”Necrophiliac Experience”、LP3が、1995年リリースの”Basic Autopsy Procedure”となっており、いずれもSlaughter Productionsからカセット/CDR作品としてリリースされていた音源です。 LP1は、Atrax Morgueとしての、またSlaughter Productionsとしての一番最初の作品で、当時はc-60で、Lunus (Devis Granzieraのソロユニット)とのスプリット作品としてリリースされています。ここで聴かれるAtrax Morgueの音楽は、深いリバーブの中にのたうち回る不明瞭で不穏な電子音の咆哮であり、亡者の助けを求める呻き声のようにも思えます。多分、同じ伊のM.B.とかの先達の音(=ノイズ)を追認していったのだと思われます。B2 “Necro-sintesi”は鉄製の何かにコンタクト・マイクを仕掛けて録音しているようですが、やはり深いリバーブの中で悶える亡者達のような不気味な音楽です。かなりダウナーな音楽ですので、気が滅入りますので、ご注意を❗️ LP2も、Lunusとのスプリット・カセット(SPT16)からの抜粋で、元々は自身のレーベルSlaughter Productionsからc-60としてリリースされています。C1 “Macabro Orgasmo”では、アナログ・シンセの不気味な音響が全編に渡って延々と繰り広げられており、余り集中して聴いていると吐きそうになる位、病的な音作りをしています。また、LP1のような深いリバーブは、ここでは排除されています。また、非常に聴き辛いのですが、レイプシーンの歪んだテープ音が混ざってきます。C2 “Necrophiliac Experience 1”は、曖昧模糊とした音響を打ち砕くように力強い電子ノイズが入ってきますし、C3 “Necrophiliac Experience 2 (Part A)”でも不明瞭ながらもやや強度のある音響が聴取されます。D1 “Necrophiliac Experience 2 (Part B)”では、エコーを効かせた男性の語りから成るテープ音のみです。そして連続して、D2 “Necrophiliac Experience 3”では、延々と続くテープ音のショート・ループに、全ての業を破壊するようなアナログ・シンセの特攻が入ってきます。D3 “Necrophiliac Experience 4”は力強いが邪悪なシンセ音とテープの語り音とが拮抗して垂れ流されています。私個人としては、自分が1980年代に作ったカセット作品3部作”ZombieAnatomy”を思い出しました。それ位、悪趣味な音楽です❗️ LP3は、”Basic Autopsy Procedure/Homicide Texture”の名の下にセルフ・コンピとして自身のレーベルから出したCDR(SPCD33)からの抜粋となっています。まあタイトルが「基本的解剖手技」ですからねぇ。E1 “Sektion 1“はLFOを効かせたアナログ・シンセの単音から成り、延々と続く様が強迫的です。続くE2 “Sektion 2”も音程の一定しないシンセ音の不安定と言うか不安を掻き立てる音響の波状攻撃でウンザリします。F1 “Sektion 3”では、エフェクトを掛けたテープの語りとパルス的なシンセが淡々と流れていきます。そして、いきなり、F2 “Sektion 4”では強度を増したペニスの如く、アナログ・シンセが暴れまくっています。また、間の取り方が絶妙ですね。ところが、F3 “Sektion 5”では一転、LFOの効いたシンセが不安気に鳴らされて、やはりAtrax Morgueはこう言うダウナーな音作りが合うなあと納得して、このボックスは締められています。 総じて、このボックスを何回も続けて聴き直すのには、メンタルが強くないとダメだなあと思いました。それ位、病んでいる音楽を作り続けていたAtrax MorgueことMarco Corbelliの心の中は、一体どうなっていたのか?は想像するだけで、今となっては真意は不明です。ですが、このボックスには彼の初期の貴重な音源が詰まっていますので、心が強い時には是非とも体験して頂きたいですね‼️ まあ、とは言っても万人にはお勧めしませんが。 曲調です。 LP1 “Necro-sintesi” A1 “Segni Tanatologici Certi (Pt.I-II)” B1 “Process Ov Death” B2 “Necro-sintesi” LP2 “Necrophiliac Experience” C1 “Macabro Orgasmo” C2 “Necrophiliac Experience 1” C3 “Necrophiliac Experience 2 (Part A)” D1 “Necrophiliac Experience 2 (Part B)” D2 “Necrophiliac Experience 3” D3 “Necrophiliac Experience 4” LP3 “Basic Autopsy Procedure” E1 “Sektion 1“ E2 “Sektion 2” F1 “Sektion 3” F2 “Sektion 4” F3 “Sektion 5 LP1 “Necro-sintesi” https://youtu.be/0yKuyj3e3qE?si=_Uy_cIgIn73IV22V LP2 “Necrophiliac Experience” https://youtu.be/eB2kqb4Q69E?si=5G6XBQEE6rU1NvSO LP3 “Basic Autopsy Procedure” https://youtu.be/ONjHAsNGOPk?si=v0qu0ScHFnwLJIRd #AtraxMorgue #NecroBox #Urashima #WoodenBox #Reissue #DarkAmbient #Electronic #Noise #PowerElectronics #AnalogSynthesizers #Voice #Necro-sintesi #NecrophiliacExperience #BasicAutopsyProcedure #Negativity #Dark #Corpus #Death #1993年-1995年 #Cassettes #SlaughterProductions #Suicide #MarcoCorbelli
Power Electronics / Dark Ambient / Noise Urashima 3300円Dr K2
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Harmonia “Musik Von Harmonia”
やっと入手しました。独ロック界のスーパーグループの一つHarmoniaのファースト・アルバム”Musik Von Harmonia”をご紹介します。Harmoniaは、簡単に言ってしまえは、「Neu!のMichael Rother+Clusterの2人Dieter MoebiusとHans-Joachim Roedelius=Harmonia」と言う数式になります。それは置いておいて、簡単にバイオグラフィーを書いておきます。1971年に、Clusterの2人は、西独Weser川の近くの田舎町Forst村に引っ越してきて、そこで古い農家に住んで、音楽制作を始めます。一方、1973年初頭には、Neu!のMichael RotherはDieter MoebiusとHans-Joachim Roedeliusと会っています。それで、3人でジャム・セッションをやってみて、Rotherはかなり2人との音楽性が気に入り、良いライブバンドになると確信し、3人はForst村のClusterのスタジオで録音を開始します。Harmoniaと言うネーミングは「合唱団」と言う意味の独逸語から半分冗談でつけたらしいです。そこで、Harmonia名義で、2枚のアルバムを作製します。一つが1974年にリリースされた”Musik Von Harmonia”で、もう一つが、1975年にリリースされた”Deluxe”です。特に前者は、旧式のミキサーと3台のテープレコーダーとで録音され、3人がセルフ・プロデュースしています。この後、RotherはNeu!の3枚目のアルバムの録音の為、一旦抜けます。2枚目の”Deluxe”の時は、Conny Plankが共同プロデューサーになって、16トラックの録音機材とミキシング・デスク、それに、Guru GuruのMani Neumeierの生ドラムを加えて作製されています。その為、Clusterの即興的なアプローチよりも、Rotherのロック/ポップな面が強調され、3人の間にも適度な緊張感が生まれたみたいです。ツアーは1976年夏に終わり、3人はそれぞれがソロワークを始めますが、同年9月には再びHarmoniaとして集まります。その時に、Forst村のスタジオに、Brian Enoが訪ねてきて、11日間滞在し、そこでHarmoniaと録音をしています。その時、Enoは、4トラックのレコーダーとVCS3シンセを持ち込んでいました。この時のマスターテープは長い間紛失したと思われていましたが、1997年に見つかり、アルバム”Tracks and Traces”としてリリースされています。その後は、それぞれがソロ活動していきますが、2007年に、アルバム”Live 1974”をリリースして、Harmoniaは再結成されます。そのライブというのが、1974年3月23日に独GriessemのPenny Station Clubでのライブ音源です。そして、2007年11月27日に、BerlinのHaus der Kulturen der Weltで行われたWorldtronics Festivalのオープニングで、また3人でライブも復活させています。その後も、色々なフェスに出演していますが、2009年にHarmoniaとしての活動は停止しています。また、2015年7月に、Dieter Moebiusは他界しています。以上がHarmoniaの足跡です。 それで、本作品でもあるHarmoniaのファースト・アルバムを紹介します。取り敢えず、メンバーは、Michael Rother (G, Piano, Organ, E-Perc), Hans-Joachim Roedelius (Organ, Kbd, Piano, E-Perc), Dieter Moebius (Synth, G, E-Perc)です。A面に3曲、B面に5収録されています。 ★A1 “Watussi”はリズムマシンの単調なビートにミニマルなシーケンスが土台となり、それに、恐らくRotherによると思われる伸びやかなギターやシンセか乗ってくる曲です。 ★A2 “Sehr Kosmisch”は心臓の鼓動のようなリズムで始まり、やがて不明瞭なリズムか刻まれ、スペーシーなシンセ音とピアノの単音がゆったりと流れ、最後に心音に戻るタイトル通りの曲で、アンビエント色が濃いです。 ★A3 “Sonnenschein”は、一転して、インド音楽のような旋律と跳ねるリズムから成る活発な曲です。 B面に移ります。 ★B1 “Dino”はかなりNeu!っぽいハンマービートから成るロック調の曲ですね。 ★B2 “Ohrwurm”は不気味な唸り声のような音から始まり、シタールのようなギターの音やポツポツとした電子音が絡まるビートレスな曲て、異色ですね。 ★B3 “Ahoi!”もビートレスに近い、非常にゆったりとしたアンビエント調の曲ですが、後半にシーケンスが少し入ってきます。 ★B4 “Veterano”では、また一転して、マシンリズムのビートの効いた曲となりますが、まるでEsplendor Geometricoみたいです。 ★B5 “Hausmusik”では、ピアノの連打とマシンリズムか交互に立ち現れる曲で、ミックスが興味深いです。 と言う内容なんですが、私はもっとアンビエントなのかなぁと思っていましたので、意外にもビートがあったりするところも含めて、個人的に好きなアーティスト3人が作っていると言うだけで、もう感動モノです。EnoもJulian CopeもHarmoniaを1970年代中期で最も重要なバンドと評しているのが、良く分かりました。マスト・アイテムですね‼️ A1 “Watussi” (5:55) A2 “Sehr Kosmisch” (10:50) A3 “Sonnenschein” (3:50) B1 “Dino” (3:30) B2 “Ohrwurm” (5:05) B3 “Ahoi!” (5:00) B4 “Veterano” (3:55) B5 “Hausmusik” (4:30) B1 “Dino” (M. Rother[Neu!+Harmonia] live at Copenhagen) https://youtu.be/Szrnko7NoEU [full album] https://youtube.com/playlist?list=OLAK5uy_n-l8GU6J9Zkz0S2fScrwtE9GQr5l_CNsA #Harmonia #MusikVonHarmonia #BrainRecords #GrönlandRecords #Reissue #Krautrock #Electronic #Neu! #Cluster #Synthesizers #Guitar #RhythmMachine #ForstVillage #1974 #MichaelRother #Hans-JoachimRoedelius #DieterMoebius
Krautrock / Electronic Brain Record / Grönland Records 3300円Dr K2
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Interior “s/t”
今でも覚えているんですが、このInteriorってバンドが出た時に、ある雑誌の音楽評で「良くもこんな恥ずかしいバンド名を付けることができるなぁ。音も推して知るべし」みたいなことが書かれていて、それで、気にはなっていたんですが、その時に購入するのは止めました。それで、何も聴かずして文句を言うのも何だから、購入しようと思って買ったんです。やはり気になったのは、プロデューサーが細野晴臣氏だったこと。そして、ジャケのデザインが如何にも洒落乙で、自分には不釣り合いだなあと言うこと。まあ、それは置いておいて、先ず、Daisuke Hinata / 日向大介 (Synth-Kbd, Piano), Eiki Nonaka / 野中英紀 (Synth-Strings, Vo), Mitsuru Sawamura /沢村満 (Sax, Kbd), Tsukasa Betto / 別当司 (Drs, Perc)の4人です。Berklee音楽大学に留学していたメンバー4人はYMOの”BGM”に触発されて、日向を中心としていたバンドEyesやSnowを、Interiorの前身として組み、その発展解消する形で、Interiorを結成しています。その活動が、細野晴臣氏の目に留まって、サポートを受けて、本作品をYen Recordsからリリースしています。Yen活動期間後、1985年に、沢村と別当が脱退しましたが、New Ageの提唱者William Ackermanに見出され、彼のレーベルWindham Hill Recordsより、再度ミックスし直して、バンド名もInteriorsと複数形にして同名のアルバムを世界的にリリースしています。コンピ”Windham Hill Records Sampler '86”に参加して、収録された”Hot Beach”がグラミー賞のNew Age Producer Artist部門にノミネートされています。1987年に、セカンド・アルバム”Design”をリリースしますが、その後、自然消滅しています。なお、沢村はバンド脱退後も、高橋幸宏や立花ハジメなど様々なアーティストの作品に参加しています。 それで本作品の内容なのですが、一言で言うならば「癒し系」ですね。余計な音を排して、ミニマルで柔らかい電子音から成るインスト曲が主体を占めている作品です。このNew Age Musicなるモノが良く分からないのですが、アンビエントやミニマルとどう違うのか?その辺りの線引きで評価は分かれそうですね。私は、これを聴いて、復活直後のM.B.を思い出しました。確かに、彼の音楽はメロディもリズムも無いのですが、New Ageっぽいと言われて、低評価でした。ただ、そのような音楽とは形態は違うのですが、確かに心を落ち着かせそうな音楽ではあったと思います。逆に言うと、エッジの無い音楽と言っても良いかもしれません。そう言う意味では、このInteriorも何の毒もない音楽です。元々が、YMOの”BGM”に影響を受けたとして、このような音楽に行き着くのは、私にはちょっと理解し難いように思えます。”BGM”は各人の趣味を徹底的に押し出した、ある種実験的なアルバムだったからです。そこら辺に齟齬を感じますねぇ。それはそれとして、グループ名からもサティーの「家具の音楽」を目指したのかなあとも思います。まあ今となっては闇の中ですが。でも偶には、こう言う音楽を掛けっぱなしにしてもいいんじゃないでしょうか?そんなアルバムです。 https://youtu.be/qvCpWBVtYTI #Interior #YenRecords #WRWTFWWRecords #Reissue #NewAgeMusic #Electronica #Synthesizers #Drums #Sax #DaisukeHinata #EikiNonaka #MitsuruSawamura #TsukasaBetto
New Age / Electronica WRWTFWW Records (Yen Record) 3300円Dr K2
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The Cosmic Jokers & Sternenmädchen “Planeten Sit-In”
今回、ちょっと毛色の違うジャーマン・ロックに手を出してみました。邪道かもしれませんが、The Cosmic Jokersのアルバムで、コラボレーターとしてSternenmädchenとの共作アルバム”Planeten Sit-In”を紹介しようと思います。先ず最初にThe Cosmic Jokersについてですが、確かにメンバーを見ると、独逸ロックのスーパーグループなのですが、これは所謂「バンド」ではないです。と言うのも、ライター兼プロデューサーのRolf-Ulrich Kaiserと彼のパートナーGille Lettmanが、1973年初頭にプロデューサーDieter Dierksのスタジオで開催されていたアシッド・パーティーでのジャムセッションを、アーティストの知らない内に纏めたものをThe Cosmic Jokersのアルバムとしてリリースしていたからです。どうも、このジャムセッションに参加すると、交換にブツが貰えたそうです。お陰でと言うか、何と言うか、このThe Cosmic Jokersのイメージから、独逸のスペース・ロックの元祖と言われています。参加者は、Ash Ra TempelのManuel GöttschingとKlaus Schulze、WallensteinのJürgen DollaseとHarald Grosskopfに加えて、Dieter Dierksで、彼等は参加する前に全員、KaiserのレーベルCosmic Couriersに関わっていました。まあそんな訳で、Kaiserはセッションのテープから適当に抜き出して、Dierksとミックス・ダウンを行い、更に、本人に無断で、参加者の写真も使って、1974年に5枚ものアルバムをKaiserのレーベルKosmische Musikから出しています。しかも、これらのアルバムには、KaiserのパートナーであるGille Lettmanの語りをセッションの音源の上に被せており、まあ公私混同も甚だしかった訳です。Göttschingは、ベルリンのレコード店で、このアルバムを見て、何が録音されているか分からず、店員に尋ねて、初めて知ったとか、またSchulzeは、Lettmanの朗読を勝手に乗せられたことにも腹を立てて、Kaiserを法的に訴えており、Kaiserは、1975年に国外逃亡しています。それで、このThe Cosmic Jokersは消滅した訳です。因みに、今回のアルバムでSternenmädchen (The Star Maidenの意)とクレジットがありますが、 これはGille Lettmanのことらしいです。 それで、本作の内容ですが、シンセ多めの曲(?)が凄く短い時間(1〜2分?)で収められており、B6 “ Der Planet Des Sternenmädchens”だけが8分代と言う構成です。なので、正直、焦点が絞られていない感じは否めないですね。これも、The Cosmic Jokersの成り立ちを考えると仕方ないのかな?と。しかしながら、B面は割と曲っぽい部分が明確で、特にドラムとシンセの絡みが興味深いです。多分、レコードの溝を見てみると、A面には明らかな曲を区別する溝が全くなく、全体で1曲みたいな編集なのだろうと思いました。確かにスペース・ロックの元祖と言っても良いかも知れませんが、いかんせん、各曲に集中できる曲が無く、散漫な印象は感じざるを得ません。これだけのメンツなら、もっと凄いことが出来たと思いますので、その分、残念ですね。でもそんなグダグダのジャムセッションから出来たスペース・ロックを一度は体験してみるのも良いかもですね。 https://youtu.be/TUh_kC28e0g #TheCosmicJokers #Sternenmädchen #PlanetenSit-In #DieKosmischenKuriere #CargoRecords #Reissue #Krautrock #SpaceRock #Psychedelic #Rolf-UlrichKaiser #JamSession #ManuelGöttsching #KlausSchulze #JürgenDollase #HaraldGrosskopf #DieterDierks #DrugCulture #GilleLettman
Krautrock psychedelic Die Kosmischen Kuriere / Cargo Records 3300円Dr K2
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MLD “1983-1986”
先にご紹介したBGMの白石隆之さんが、BGMの解体後、Shinohara Junさんと結成したのが、このMLD (Minimum Lethal Doseの略で、薬理学での「最少致死量」の意)です。タイトル通り、1983年から1986年の間に録音された音源からのセルフ・コンピとなります。2曲だけTakaki Suyamaがドラムで参加してます。このユニットの情報は殆ど無いのですが、当時の私の記憶からだと、電子化したSwansのようなリズムに重きを置いたバンドであると言うレビューがあったと思います。また、彼等はTristan Disco名義でも活動していたと記憶していますが、どう違うのかは忘れてしまいました。本作品には、彼等のファーストシングル”Perpetual Motion”も含まれています。白石さんは今や、日本を代表する電子音楽/ハウスのパイオニアでもあり、彼の頭の中で鳴っている音を具現化してきたのだと推測します。本作品は全体的に、無機質な重いリズムによって支配されており、リズムマシンとシンセから成る電子音楽で、巨大な鉛玉の刻む圧を感じるドゥーム・エレクトロニカとも言うべき音楽です。本作も淡々と曲が進むミニマルなアルバムですが、BGMでも見せた、独特の禁欲的でミニマルな「音構造」或いは「ノリ」を提示しており、白石さんの一貫したコンセプトをビンビン感じます。また、非リズムな音(変調ヴォイスや電子音、テープ音)も非常に効果的で、センスの良さを感じますね。このような貴重な作品が時代に埋もれず、21世紀になって発掘された意義は大きいと思います(有難う、Camisole Recさん❗️)。また、Kurikor Kouchianのマスタリングが上手いのか?音の分離が良く、充分な低音を聴くことができます。個人的には、当時、最も聴きたかったバンドの一つなので、このセルフ・コンピは本当に嬉しかったです。もし、興味を持たれた方がいましたら、是非とも聴いてみて下さい❗️(特に当時リリースされたシングル曲”Perpetual Motion”は凄いです!) 因みに本作品は500枚限定です。 “Perpetual Motion” https://youtu.be/Zh-jsNouygI [full album in bandcamp] https://camisolerecords.bandcamp.com/album/1983-1986 #MLD #1983-1986 #CamisoleRecords #DoomElectronica #Alternative #PerpetualMotion
Alternative Music Camisole Records 3300円Dr K2
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Chrome “Scaropy”
もう何回で紹介してきたアメリカの闇Chromeの、何と❗️新譜です❗️前回は、1995年のオリジナルメンバーであるDamon Edgeの死までを紹介してきましたが、その後の経緯を少し書いておきます。DamonのパートナーだったFabienne Shineは、彼の死後も曲を作っており、また、生前からDamonはHeliosにChromeを続けて欲しいとの話合いがあったようで、HeliosはShineと共にChromeを名乗って活動を続けます。1997-2001年は、John StenchとHilray Stenchと共にツアーに注力しますが、その後、2014年に”Feel It Like a Scientist”アルバムを発表し、USツアーの後、2017年4月には”Techromancy”をリリースします。そして、今年(2021年)に本作品をリリースします。なお、このアルバムに参加したメンバーはHelios Creed, Hilray “Stench” Hanes, Aleph Omega, Lou Minatti, Tommy L. Cyborgで、裏ジャケ写には5人の写真が載っていますが、皆んな一癖も二癖もあるように見えます 笑)。内容ですが、変調ヴォイスは健在です。しかし、全体的にストレートなアレンジで、結構,ロックしています。勿論、あの後期Chrome節とも言える引き攣るようなギターも聴くことができます。しかし、A1でいきなりアコギが聞こえてきた時はビックリしましたね。確かにChromeの音楽ではあるんですが、過去の作品に比べると、ソフィストケートされた印象です。しかしながら、Chromeの名前を忘れない、その姿勢は潔いと思います(まるで歌舞伎の家元制みたいですね)。 [full album ] https://youtube.com/playlist?list=OLAK5uy_lHBpQ_eGe2k_hPdpNr6Lsk1cLG3xjKXXk #Chrome #Scaropy #CleopatraRecords #Acid #Psychedelic #Electronic
Acid Rock, Psychedelic Cleopatra Records 3300円Dr K2