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Gudrun Gut “Moment”
独NDWの生き証人、Gudrun Gutについては、今更説明することもない程、有名なアーティストです。古くは、Einstürzende NeubautenやMania D.の創設メンバーでもあり、Malaria!でカッコ良い女傑であった彼女ですが、やがて、Matadorを結成、また並行して、ベルリンの女性ミュージシャンやプロデューサーのコラボ集団Monika Werkstattを組織し、運営しており、1997年からはMonika Enterpriseと言うレーベル運営も始め、ソロアルバムやコラボ作品、更には映像作品やTomas Fehlmannとのラジオ番組OceanclubのDJ等、八面六臂の活動を今でも続けています。そんな彼女の5枚目のソロアルバム”Moment”を今回は紹介します。楽器やVoは全て彼女が担っていますが、最近は、FaustのAntye Greie (AGF)とHans-Joachim Irmlerともコラボをやっていたり、Âmeとのコラボ・ライブをRoyal Albert Hallで行っているとのことで、その影響はあるかもしれません。また、A6 “Boys Keep Swinging”は、David Bowieのカバーであり、そこら辺にもこのアルバムを理解するヒントがあるのかもしれません。それでは、各曲について、ご紹介していきましょう。 ★A1 “Startup Loch” (5:57)は、静かなイントロから、強力な電子リズム隊とハスキーなGutの呟くようなVoが乗る曲で、後半ではバックに女性コーラスが薄ら入ってきて、オープニングに相応しいです。 ★A2 “Musik” (3:38)は、多層化したマシンドラムに、Gutの声が耳元で”Musik”と何度も聴こえてきます。何だか催眠術を受けているような気分になりますね。 ★A3 “Shuttle Service” (1:12)は、一見ランダムなシーケンスとマシンドラムのビートから成る小曲です。 ★A4 “Seltene Erde” (0:44)は、唸る電子音が大蛇のようにのたうち回るかのような小曲です。 ★A5 “Baby, I Can Drive My Car” (3:27)では、四つ打ちキックに簡素な電子音とGutのVoが最小限の音量でミックスされており、呪文のように聴こえます。最後に可愛い女性Voで終わります。 ★A6 “Boys Keep Swinging” (3:16)は、力強い四つ打ちキックと複数の女性Voと共に、GutのVoと滑るようなSynth-Bから成る曲になっており、随分原曲と雰囲気が違います。 ★A7 “Seven FMP” (2:02)では、怪しげな電子音の反復から始まり、生に近いドラムが入ってきますが、曲自体は結構ランダムな構成です。 ★A8 “Schienenersatzverkehr” (1:23)は、反復する電子音に合わせて、SE的電子音が絡みついてくる小曲になっています。 ★B1 “Lover” (5:17)は、直線的ベースラインとビートを中心に時に挿入されるSE的電子音や呻くようなGutのVoが強迫的に発せられる曲です。英詞ですが、終わり方がカッコ良い! ★B2 “Glieder” (3:40)は、独詩の朗読から始まり、軽い感じのポップな曲調となります。この曲では、Gutの声の魅力とアレンジ力が爆発しています。最後のノイズも良い! ★B3 “Biste Schon Weg” (4:13)は、フランジャーを掛けたドラムと多層化したドラムの組合せに、Gutの呟くようなVoが乗り、ダブルBっぽい低音が映える渋い曲になっています。 ★B4 “Are You Hungry?” (2:21)は、単調なリズム隊に、簡素な電子音とGut独特の呟くようなVoから成る曲ですが、後半は多重録音されたVoで終わっていきます。 ★B5 “Sein” (3:45)は、ランダムな電子音と四つ打ちキックに、割とハッキリしたGutのVoが聴こえる曲ですが、Voのテンポなのか?洗脳されている感じがします。 ★B6 “Backup” (3:39)は、今までとは全く異なる電子音によるランダムなノイズ的楽曲で、何故か、この曲が本作品を象徴しているか?あるいは次作へのヒントを提示しているように感じます。 思っていたよりも、かなり渋い作品で、ある種のエレクトロニカのようにも思えました。特に、GutのVoは、歳相応なのかもしれませんが、やや掠れ気味で、良い味だなあと感心してしまい、また、曲も、それまでの外方への向きから内省的な方向も感じられて、新鮮でした。1980年代のNDWが電子音楽とパンク/ポストパンクとの邂逅から生まれた私生児だとすると、2020年代には、当然、このようなエレクトロニカになるのかな?とも思いました。破茶滅茶さはありませんが、じっくり聴くことも出来る良作だと思います! B1 “Lover” (5:17) https://youtu.be/6FE5NpO9kao?si=PVDAc1AIGiHl-JQE [full album] https://youtube.com/playlist?list=OLAK5uy_lkqK112XALxdSeE_VPf30rSfj5zRqVWCk&si=W8vRsrLquqQPUQ39 #GudrunGut #Moment #MonikaEnterprise #SoloAlbum #5thAlbum #SynthPop #Electro #Experimental #AllInstruments #Self-Produced #EinstürzendeNeubauten #ManiaD. #Malaria! #Matador #MonikaWerkstatt #MonikaEnterprise #Oceanclub #Berlin
Experimental / Synth Pop Monika Enterprise 1400円Dr K2
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Roedelius “Plays Piano (Bloomsbury Theatre, London, July 28th, 1985)”
RoedeliusことHans-Joachim Roedeliusのソロ作品の中でも、ちょっと異色なアルバム”Plays Piano (Bloomsbury Theatre, London, July 28th, 1985)を紹介します。タイトル通り、Hans-Joachim Roedeliusが、1985年7月28日に、英国ロンドンのBloomsbury Theatreで行ったピアノ・ソロ・コンサートのライブ音源を収録した作品です。しかも、録音機材は、Sonyのプロ用カセット・レコーダーによるものです。なお、Hans-Joachim Roedeliusのバイオグラフィーについては以前に書いてありますので、そちらをご参照下さい。始めは、各曲について紹介していこうかとも考えていたのですが、曲間が不明瞭なこともあり、全体的な紹介をしたいと思います。 A1 “Part 1” (2:06) A2 “Part 2” (3:53) A3 “Part 3” (1:57) A4 “Part 4” (2:55) A5 “Part 5” (2:56) A6 “Part 6” (1:35) A7 “Part 7” (2:50) A8 “Part 8” (1:32) A9 “Part 9” (6:41) A10 “Part 10” (2:17) B1 “Part 11” (2:42) B2 “Part 12” (1:33) B3 “Part 13” (2:23) B4 “Part 14” (1:51) B5 “Part 15” (5:26) B6 “Part 16” (1:56) B7 “Part 17” (5:15) B8 “Part 18” (3:29) B9 “Part 19” (3:09) B10 “Part 20” (0:57) B11 “Part 21” (1:34) この作品は、本当にRoedeliusのリリカルで繊細な感性に基づいて録音されたアルバムだなあと感心させられます。生ピアノ自体は、私的には「論理的」な楽器と考えているのですが、普通、ピアノの独奏とかは、逆に「感性」の楽器なんだと思います。それ故か、彼のソロで弾くピアノはツルッとした滑沢な表面の中に、時に悲しげに、時に弾けるように、時に元気一杯で、時に思慮深く、様々な表情を見せてくれるようで、聴き流してても、注意深く聴いても、許してくれます!そんな様々な捉え方の出来る音楽がこのアルバムには詰まっていますので、さあ、Let’s listen❗️ A10 “Part 10” (2:17) https://youtu.be/6xId5hW_E4o?si=iUr8S6uVwKyNYkxP [full album] https://youtube.com/playlist?list=OLAK5uy_nif22rX4wi2Fp5rIZOupFDbvqgG77XvJU&si=06z0e6lW9NSm7RGX #Roedelius #Hans-JoachimRoedelius #PlaysPiano #BloomsburyTheatre,London,July28th,1985 #BureauB #LiveAlbum #SoloAlbum #ModernClassic #Contemporary #PianoSolo
Modern Classic Bureau B 1400円Dr K2
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The B-52’s “Mesopotamia”
この前、The B-52’sのファースト・アルバムをご紹介しましたが、いつものように通販サイトを眺めていたら、The B-52’sのアルバムがありましたので、その後、どう言う風に変わっていったかを知りたくて、思わずポチりました。それが、3枚目のスタジオ・ミニ・アルバム”Mesopotamia”です。このミニ・アルバムでの特徴は、プロデュースがTalking HeadsのDavid Byrneがやっていることなんですね。当時と言えば、Talking Headsもアフリカン・リズムを大々的に取り入れて、ビッグバンド化していた時期でしたので、その傾向があるのかなあ、ホーン類やPercを多量に導入し、多重録音しているのかなとも思ってました。ただ、David Byrne自身は、このプロデュースをやる上で、レーベル側との衝突があったらしく、その結果、6曲入りのミニアルバムになったとのことです。それと、それまではDrsに専念していたKeith Stricklandが、KbdやB, Marimba等の楽器の演奏にシフトして、代わりにゲストのYogi HortonがDrsを演奏している点も大きいのではないでしようか?また、The B-52’sにとっても、セルフタイトルのファーストやセカンドアルバム”Wild Planet”に収録されている曲は、デビュー前からライブで良く演奏していたもので、今回はゼロから曲作りをすると言う意味でも大変だったらしいです。と言う訳で、本作品の参加者と担当楽器は、Cindy Wilson (Vo), Fred Schneider (Vo), Kate Pierson (Vo, Kbd, B, Organ, Bird Calls), Ricky Wilson (G, Kbd, B, Organ), Keith Strickland (Kbd, B, Drs, Organ, Piano, Marimba, G)の他に、ゲストとしてDavid Byrne (Fretless-B, Synth, G, Perc), Yogi Horton (Drs), Ralph Carney (Sax), Roberto Arron (Sax), David Buck (Trumpet), Charles Rocket (Accordion), Steve Scales (Perc)も参加しています。録音は、1981年9月にNYCのBlank Tape Studioで行われています。それでは、David Byrneプロデュースの3枚目のスタジオ・ミニアルバム”Mesopotamia”の各曲を紹介していきましょう。 ★A1 “Loveland” (5:00)は、タイトなリズム隊に、Cindyの元気一杯のVoが弾けている曲で、Gの刻みやシンセ音も心地良く、音も全体に厚くなっていますね。 ★A2 “Deep Sleep” (3:29)は、リズムマシンと生Drsに生ピアノやシンセ/Gが交互に絡み、囁くような2人の女性Voが入ってくる曲で、落ち着いた感じですね。 ★A3 “Mesopotamia” (3:49)では、タイトなリズム隊(DrsとSynth-B)に、単音弾きのGと男女Voが入ってきて、如何にもB-52’sらしいです。 ★B1 “Cake” (5:48)でも、リズムは強烈で、低音シーケンスとオルガンに、女性2人のVoが弾けています。隠し味のマリンバもですが、ホーンやGのコード弾きは新境地ですね。 ★B2 “Throw That Beat In The Garbage Can” (4:30)でも、打ち込みSynth-Bと生Drsのリズム隊に、FredのVoがメインで、女性コーラスがサブな曲ですが、シンセの音色とかフレーズが何故かDevoっぽい。 ★B3 “Nip It In The Bud” (3:32)は、最初のG一髪、カッコ良いビート感のある曲で、CindyのVoやGのフレーズもイカしています。しかし、こんなにG弾きまくっている曲はB-52’sには珍しい。 こうして聴いてみると、ファースト辺りの曲と印象がかなり違います。唯一、今までのキッチュさを感じたのは、タイトル曲のA3ですね。かと言って、Talking Heads色/アフリカン色もそんなに感じませんでした。リズム隊はタイトでしっかりしており、ダンス・ミュージックとしては成立していますので、ご安心を!大雑把に言ってしまうと、友達のパーティ・バンドが大ホールのダンス・バンドになった?と。そこら辺の楽器の音色とかアレンジの妙は流石、David Byrneプロデュースと言うところでしよう。ただ、個人的には、あの紛い物っぽいアメリカンなキッチュさが好きだったので、少々残念な気もしました。まあ好き嫌いは分かれるとは思います! https://youtu.be/A_wg-4A05mc?si=Po_9PxGf7n-aEuXt [full album] https://youtube.com/playlist?list=PLkeXnBQNUnE25PsQ68wCiaRGM1RWKnJDe&si=nSzhMhGLTNS-mqt2 #TheB-52’s #Mesopotamia #WarnerBrosRecords #ThirdAlbum #Mini-Album #NewWave #SynthPop #CindyWilson #FredSchneider #KatePierson #RickyWilson #KeithStrickland #Producer #DavidByrne #Guests #YogiHorton #RalphCarney #RobertoArron #DavidBuck #CharlesRocket #SteveScales
New Wave / Rhythmic Music Warner Bros. Records 1400円Dr K2
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Robert Fripp The League of Gentleman “s/t”
しかし、Robert Fripp翁は何考えているのでしょう。プログレ畑の彼が、ニュー・ウェーブを演るなんで!と言う訳で、The League of Gentlemenの登場です。バンド自体は、1980年に結成、翌年解散と言う短期間のしか活動していませんでした。メンバーはBarry Andrews (Organ), Robert Fripp (G), Sara Lee (B), Johnny Toobad (Dr)と言うメンツですが、同年11月2日にドラマはJohnny ToobadからKevin Wilkinsonに交代しています。しかも、ほぼほぼ、インスト曲が大半を占めると言う、これはRobert Frippによる「ダンサブルなニューウェーブ」のプログレ的解釈による曲かもしれません。その証拠の元XTCのキーボーディストBarry Andrewsがオルガンで参加してます。あと、ベースのSaraはこのバンドの後にGang of Fourに加入します。基本的にはインスト・バンドなんですが、時にヴォーカルや語りが入ります。割と軽やかな曲が多いのだが、これはBarryのオルガンのせいでしようか?また、初っ端から、メンバーの会話のコラージュがなり、その後もそんな曲(?)が入ってきます。面白いことは面白いんですが、何となく、Robert Frippのインテリ臭い匂いがして、ニューウェーブ・ファンとしては、両手を上げて喜べないです。また、ちょくちょく実験的な曲も混じっており、それはそれとしても面白いんですけどね。1981-1982年の期間にはこのバンドで北米や欧州を精力的にライブをしてます。でも、全体としては、曲は割とポップですので、皆さんも大丈夫ですよ。さあ、挑戦してみましょう❗️因みに、ジャケの絵は、かのLemon Kittens~”Pop Eyes”で有名になったDaniel Daxが描いています(どう言う繋がりかはわかりませんが)!! A1 “Indiscreet I” (1:47) A2 “Inductive Resonance” (4:35) A3 “Minor Man” (3:45) A4 “Heptaparaparshinokh” (2:03) A5 “Dislocated” (4:35) A6 “Pareto Optimum I” (2:07) A7 “Eye Needles” (3:12) A8 “Indiscreet II” (2:35) B1 “Pareto Optimum II” (1:27) B2 “Cognitive Dissonance” (3:38) B3 “H.G. Wells” (3:25) B4 “Trap” (4:45) B5 “Ochre” (3:07) B6 “Indiscreet III” (1:26) [live at New Heaven, 1980] https://youtu.be/-7dWzUDO4lY?si=QGbKB0-F_mPQujpx [almost full album] https://youtu.be/tsHVdNxlFYw?si=NlbriTeDoWTCOfBy #RoberFripp #TheLeagueOfGentleman #E.G.Records #BarryAndrews #SaraLee #JohnnyToobad #KevinWilkinsin #NewWave #Ex-XTC #ProgressiveRock
New wave E.G. 1400円Dr K2