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The Serfs “Half Eaten By Dogs”
私は、このバンド、全然知らなかったのですが、試聴して良かったので、即購入しました。なので、先ず、The Serfsについて調べてみました。The Serfsは、元々、オハイオ州シンチナティで、2010年代後半に結成された3人組で、メンバーは、Dylan McCartney, Dakota Carlyle, Andie Lumanですが、それぞれが別のサイド・バンド(The Drin, Crime of Passing, Motorbike)を並行してやっており、この地域の新しいアングラ・シーンには欠かせない存在です。それで、彼等は、最初のカセットアルバムを2019年に独のミニマルシンセ・レーベルDetriti Recordsからリリース、その後2022年に、シアトルのレーベルDreamから彼等のファーストLP”Primal Matter”をリリースしています。そうして、2023年に、本作品であるセカンドLP”Half Eaten By Dogs”をシカゴを拠点とするTrouble In Mindから出しています。その作品は、モダニスト達が、Total ControlやCold Beat等の未来指向のバンドを米国中西部へグッと引っ張り上げるようなもので、ポスト・インダストリアル或いはインダストリアル・ロック・バンドであるSkinny Puppy, Dark Day, This Heat, Factrixによるグライムと同様の衝撃があったようです。 調べてみましたが、この位のことしか分かりませんでした(すまん!)。過去の作品を聴いてみると、ポストパンクと言うよりも打ち込み系ロック、即ち、インダストリアル・ロックと言う方がしっくりくる感じでした。それで、本作品についでの文章がありましたので、引用します。「この作品は、スカスカの異教徒のヴィジョンに焦点を当てており、それは、氷のようなシンセのハーモニーが、滲み出すケミカルなリズムとボコボコに穴の空いたロックの様式に統率しているようなもので、そうすることで、サイケな憂鬱さも体現できます。そう言うのは抽象的な歌詞にも反映されており、その内容は、自然的厄災と超自然的厄災とが運命的に決まっていることも、また、より可視化された音楽シーンの運命も含んでいると言うことです。」とのこと。実際、彼等は、陰気なドラムやギターとインダストリアルなシンセの予定調和を越えて、方向転換していますし、この作品ではSaxやハーモニカ、Fluteなんかも使っています。まあ、つべこべ言わずに聴いてみましょう。本作品の参加メンバーは、Dylan McCartney (Vo, Perc, G, B, Drs, Synth, Electronics, Harmonica, Flute), Dakota Carlyle (Programming, Electronics, Synth, B, G, Vo), Andie Luman (Vo, Synth)で、ゲストとして、Eric Dietrich (Sax [A5]), Luke Cornett (G [B4]), Bradley Kennedy (Perc [A2])も参加しています。また、内容も両面とも5曲ずつ収録されています。それでは、各曲について紹介していきたいと思います。 ★A1 “Order Imposing Sentence” (3:08)は、いきなりサーフ系ロック・アンサンブルで飛ばすチューンで、カッコ良すぎます。時に入ってくるSE的シンセ音やオルガンも最高です! ★A2 “Cheap Chrome” (3:37)は、性急なマシンリズムとミニマルなシーケンスに、シンセによるメタ・メロディと複数のVoが重なる曲で、ちょっとだけSuicideを想起しますね。 ★A3 “Suspension Bridge Collapse” (4:10)は、LFOシンセとディレイを掛けたマシンリズムから始まり、ミニマルなシーケンスとドリーミーなメロディそしてインダストリアルなシンカッションに、深いエコーを掛けた単語切りのVoから成る曲で、甘くも硬派な印象です。 ★A4 “Beat Me Down” (3:30)は、反復するシンセのリフに、生DrsとGが加わり、ミニマル・ロックな曲で、VoはJesus & The Mary Chainのようで、結構、カッコ良いです。 ★A5 “Spectral Analysis” (4:35)は、A4と連続して、マシンリズムが淡々と流れる中、Bと共に、緩やかなシンセのメロディとディレイを掛けた語り口調とVoが乗ってくる曲で、郷愁を誘うSaxと共に「新しい工業音楽」を感じさせます。 ★B1 “Club Deuce” (5:30)では、シンセで作ったリズムのシーケンスとミニマルなB-Synthに加えて、シューゲイザー風女性Voがメインに入ってきます。微かな男性の語りもワンポイントで。何処かポップになり切れないインダストリアルを感じます。 ★B2 “Electric Like An Eel” (3:47)は、ロック調のマシンリズムに、不思議なシーケンスと地を這うB-Synth、そこに突き放すようなVoが乗る曲ですが、曲はミニマルで、シンセの音色もグーです! ★B3 “Ending Of The Stream” (3:00)では、フランジャーの掛かった低音持続シンセに、土俗的生DrsとVo、それに流れるようなシンセとGが加わり、シンセ版ポストパンクのような曲に仕上がっています。 ★B4 “The Dice Man Will Become” (4:07)は、アップテンポな生DrsとBかつドリーミーなパワーポップな曲で、ノリも良く、シンセも秀逸で、思わず踊りたくなります。 ★B5 “Mocking Laughter” (4:28)は、直線的なキックとBで始まり、ポストパンクなVoが乗ってくる曲ですが、脇を固めるGやシンセが嘗てのFactory系のバンド・サウンドを想起させると同時にドリーミーさも感じます。 私的には、凄く好みのサウンドで、インダストリアルと言う程、悪意や攻撃性は無く、寧ろ、セカンドの頃のSuicideの淡い感情や1980年代のポストパンクやパワー・ポップ或いはガレージのロックっぽさを上手く自分達のテイストとして消化していると感じました。なので、確かにミニマルな曲は多いですが、シンセ・ウェーブよりももっと「ロック」に近いとも思えますし、インダストリアルともインダストリアル・ロックとも全く異なる「歌心」があるように感じます。そう言う意味では、結構、掘り出し物でした❗️多分、好きな人にはピッタリハマると思いますので、先入観無しで聴いてみて下さい!ありそうで無かったサウンドです。 https://youtu.be/_nX6wZz7uLU?si=qQKplt2sOsJc_HWh [full album] https://youtube.com/playlist?list=OLAK5uy_nQmflopNqtRhxj1Xe2wOVqaSoPGanSn9g&si=SpkBrPrVQDfGDDO2 [BandcampのURLも貼っておきます] https://theserfsmusic.bandcamp.com/album/half-eaten-by-dogs #TheSerfs #HalfEatenByDogs #TroubleInMindRecords #3rdAlbum #USA #CincinnatiUnderground #SynthPunk #PostPunk #MinimalWave #PowerPop #Garage #打ち込み #Shoegazer #Synthesizers #DylanMcCartney #DakotaCarlyle #AndieLuman #Guests #EricDietrich #LukeCornett #BradleyKennedy
Synth Punk / Post Punk / Minimal Wave Trouble In Mind Records 2900円Dr K2
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Onyon “Last Days On Earth”
これは何で購入したのか?良く分からないですが、多分、ちょっと視聴して気に入ったから購入したのでしょう。ただリリースされたばかりで、Discogsにも載っていないと言う有り様で、調べるのにちょっと苦労しました。と言う訳で、独LeipzigのポストパンクバンドOnyonのファースト・フル・アルバム”Last Day On Earth”をご紹介します。と言っても、良く分からないと思いますので、ちょっと調べてみました。この作品の前に、1本のカセットEP作品”Onyon”を、独のレーベルU-Bac & Flennenより2022年1月に出しているのですが、これが大当たりして、米国Trouble In Mind Recordsからの米国版を同年6月に、このカセットをリイシューし、そうして、今回のファースト・アルバムのリリースに至ったらしいです。結成の経緯とは不明ですが、メンバーは、Florian Schmidt (B, Harmonica, Vo), Mario Pongratz (Drs, Vo), Maria Untheim (Kbd, Vo, Tambourine), Ilka Kellner (G, Vo)で、4ピース・バンドです。前作では、1980年代のミニマル・シンセ・サウンドと1960年代のガレージ・サウンドとが融合したようなサウンドで、Devo, Kleenex/Liliput, X-Ray Spexからの流れとThe IndexやThe Seedsからの影響も感じられ、また同時に、現行のバンドThe StachesやThe Cosmetics等ともリンクしているようです(ここら辺については知識なしです)。Voは、元々はKellnerとUntheimとかシェアーしており、独逸語と英語半々の歌詞だったそうです。この位しか調べられませんでした(すまん!)。 それでは、Onyonのファースト・アルバム”Last Day On Earth”を紹介していきますね。両面とも6曲づつ収録されています。 A1 “Alien Alien”は、しっかりしたビートを刻むリズム隊とオルガンっぽいKbdが効いていて、かつGも変な音色/フレーズですが、ツボを押さえています。UntheimのVoもキッチュで良い! A2 “Talking Worms”も、皆、ちゃんと演奏しているのですが、突然テンポが変わったり、またGがヘナヘナなフレーズを弾いたりします。Voの多重録音も良い! A3 “Egg Machine”は、決して上手くは無い演奏ですが、ちょいドスの効いた女性Voもカッコ良い。コーラス(男)やハーモニカもグー! A4 “Goldie”は、レトロな雰囲気の曲で、大々的にKbdがフィーチャーされており、独逸語の歌詞です。 A5 “Two Faces”は、パンキッシュな曲ですが、躓くようなブレイクが入り、Bの変なフレーズで繋いでいきます。 A6 “Dogman”もファズGで、パンキッシュと言うかガレージですね。サビから入るKbdがグッと来ます!この曲も独逸語の歌詞ですね。 B1 “Blue Lagoon”は、やや重めのリズムで、Voの多重録音が効いてますが、サビでのGの崩しが面白いです。 B2 “Yahtzee”は、チューニングの狂ったようなGのカッティングで始まり、途中で出てくるシンセが効果的です。 B3 “Invisible Spook”は、KbdとGで始まるガレージな曲ですが、Voとコーラスの組合せがやはり良いです。 B4 “I Would Like To Eat The Newspaper”は、Drsで引っ張っていくような展開で、それにKbdが入るのが怪しげでグーです。しかし、Gのフレーズは相変わらず変! B5 “O.U.T.”は、またまたガレージ色の強い曲で、Percも入っていますが、何だかやっぱりG、どころかBも変なアレンジになっています。 B6 “Mower”でも、ヘンテコなGに合わせるように、KbdやBやDrsが頑張っています。まあ、上手くはないんですが、そこがまた痺れます! これは、とんでもないバンドだと思いました❗️まあDevoと言うよりもKleenex辺りに、パンクやガレージの粉末を振り掛けたような音楽なんですが、とにかく、Gのアレンジと言うか音色もフレーズもヘンテコです!確かに、バンド・サウンドとしては、各人、そんなに上手くはないですが、それでもリズム隊やKbdはちゃんと曲の土台を演奏しています。が、しかし、ギターはやっぱりヘンテコです。なので、中毒性のある音楽ですよ、これは❗️これは、是非ともライブを観てみたいですね!でも、思ってた以上に、メインVoはUntheimなんですね。それに殆どの曲が英詞でした。そこら辺はちょい残念。 B5 “O.U.T.” [session take] https://youtu.be/S18bFXBuVS0?si=iGDgPjarrFkHFyHk [full album] https://youtube.com/playlist?list=OLAK5uy_lFCZ6OM_u3eskNHmPDITbiP7rsY97nlZ0&si=1S79dJVJdNT-fEjv [BandcampのURLも貼っておきます] https://onyon.bandcamp.com/album/last-days-on-earth-2 #Onyon #LastDayOnEarth #TroubleInMindRecords #FirstAlbum #Germany #PostPunk #Garage #Organ #Herky-JerkySound #FemaleVocals #FlorianSchmidt #MarioPongratz #MariaUntheim #IlkaKellner
Post Punk / Electronic Trouble In Mind Records 3520円Dr K2