-
Soft Cell “The Art of Falling Apart”
何で、ここでSoft Cell❓と言う方もいらっしゃるとは思いますが、まあ、昔、中古で買ったんですが、あんまり記憶に残らなかったので、久々に聴いてみました。先ずは彼等のバイオグラフィーから。Soft Cellは1980年初頭に、Marc Almond (Vo)とDavid (以下Daveと表記) Ball (Instruments)のデュオで、1981年に”Tainted Love”か大ヒット、その後に出したデビューアルバム”Non-Stop Erotic Cabaret”がプラチナ賞に輝くなどの一躍有名になったシンセ・ポップ・ユニットです。元々は、1978年にMarcとDaveとが1977年にLeeds Polytechnicで会った後、先ずは録音だとばかりに”Mutant Moments”と言うタイトルのEPを出そうとして、Daveの母親から£2,000借金して、2トラックのレコーダーを買って、1980年にリリースしています。次に、彼等は次のレコーディングに取り掛かり、”The Girl with the Patent Leather Face"を作り、Some Bizarreのコンピに参加した流れで、Some Bizarre (このレーベルの後ろ盾にはPhonogram Recordsがあった)と契約します。シンセウェーブと言うことから、Depeche ModeやThe The, Blancmangeとかと一緒に扱われていました。彼等のファーストシングル”A Man Could Got Lost”と12㌅”Memorablia”(これはMuteのDaniel Millerがプロデュース)は共に少し流行りましたが、チャートインはしていません。その為、レーベルから、Gloria Jones (Marc Bolanの恋人)の1965年リリースの”Tainted Love”のカバーをやって、チャートインすることようにと言われたとか。しかしながら、これが大ヒットすることになり、英国を含む17カ国で1位になっています。これに引き続き、1981年にデビュー・アルバム”Non-Stop Erotic Cabaret”をリリース、これも英国では5位になります。この時に、Tim Pope監督でビデオ”Non-Stop Exotic Video Show”を作っているのですが、それによってSoft Cellには、汚らわしくて下品なイメージが定着し、また曲名などにもポルノ紛いのタイトルが付いていたりします。1982年の間には、彼等はレコーディングと休暇の為NYCで過ごすこと多くなっていました。ある時にCindy Ecstasyと言う女性と会っていますが、Marcは彼女から違法薬物を買うようになり、同名のナイトクラブに招かれます。すると、チャート3位だった”Say Hello Wave Goodbye”は、いきなりチャートから落ちてしまいます。それで彼等は自分達の曲”Torch”で再び、チャートインして2位に返り咲きます。そんなこともありましたが、1982年6月には、古い曲も録り直して、ミニアルバム”Non Stop Ecstatic Dancing”をリリースしています。その後、1982年には、Judy StreetによってカバーされたMelinda Marxの曲をカバーしてリリースしていましたが、1983年にはドラッグの常用がデュオに悪影響を及ぼしたのか、MarcはMarc and the Mambasとしての活動を始め、The TheのMatt Johnsonとコラボしていたりします。しかしながら、Soft Cellにも再度スポットライトを当てるべく、サードアルバムである本作品”The Art of Falling Apart”をリリースしています。これは英国チャートでは5位でしたが、シングルカットされた曲は今ひとつでした。1983年9月にシングル”Soul Inside”して、英国シングルチャートでトップ20には入りますが、1984年初頭には、Soft Cellはもうやめようとお互いが友好的に解散を決意し、1984年1月に Hammersmith Palaisで解散コンサートを行っています。その後、まだ再結成を2000年にしますが、その話はまた今度。 それで、Soft Cellのサードアルバムである本作品です。確かにMarcのヴォーカルは上手いし、Daveの音作りも良くて来ていると思うのですが、ポップ・ミュージックとして記憶の中に残る曲が余り無いと言う感じです。どの曲もキャッチーかつポップなんですし、音圧とかも充分だし。なんでしょうかね?変なゴージャス感があるかな? 個人的には、どうも引っ掛かりが無いように思えました。曲名から見ると好きなタイプかな?とは思いましたが、如何せん、歌詞カードが無いので、よく分からないです (すまん!)。寧ろ興味深かったのは、付属の12㌅シングルのB面でJimi Hendrixのカバー曲をメドレーでやっていることです。まあ、自作曲よりカバー曲でヒットを生み出してした彼等らしいと言えばそうなんですが。ちょっと複雑な気分ですね。しかしながら、1980年代初頭のエレ・ポップとしては一級品なので、一度、聴いてみてもいいんじゃないでしょうか? Jimi Hendrix cover “Hey Joe~Purple Haze~Voodoo Chile https://youtu.be/XzjPyI1c3oY [full album] https://youtube.com/playlist?list=OLAK5uy_nhl2qYFhvxH9_4xJsG9umNkgewzYN-b40 #SoftCell #TheArtOfFallingApart #SomeBizarre #ElectronicPop #SynthWave #MarcAlmond #DavidBall #ThirdAlbum #Gorgeous x
Electronic Pop Some Bizarre 不明Dr K2
-
F.M. Einheit “Stein”
何と!あのEinstürzende Neubautenの創設メンバーにして、頭脳の一角を担っていた”Mufti”ことF.M. Einheitの初ソロ・アルバムです。その名も「石(Stein)」です。F.M. Einheitと言えば、長らくEinstürzende Neubautenでメタル・パーカッションを叩きまくり、時にはハンマードリルで会場を破壊、或いは火をつけたりとかなりヤバい人と言うイメージがありますが、彼は1970年代にはハンブルクのパンクバンドAbwärtsのメンバーであったり、Palais Schaumburgのメンバーでもありました。その後、Neubautenに参加する訳ですが、先述したようにかなり過激なライブをやっていました。その一方で、ハンドメイドの「楽器」を作り出して Neubautenでも使用しています。またNeubautenに影響を受けたKMFDMやGoethes Erbenともコラボをやっていますし、Diamanda Galás, Mona Mur, Andreas Ammer, Ulrike Haageのような多彩なアーティストともコラボや参加でアルバムを出しています。 そんな彼の初のソロアルバムですが、どうも煮え切らないと言うか、大人し目の曲が多いですね。そして、Neubautenが段々「曲」らしくなっていくのに対して、ソロではアブストラクトでより深みのある実験性をを実践しているように思えます。詳しいクレジットは無いのですが、von Voovなる人物と一緒に録音(プロデュース?)したようです(これも独逸語なのでハッキリとは理解できてませんが)。Wikiによると、この頃、F.M. Einheitは、ベルリンのRainbirdsのメンバーでもあるUlrike HaageとKatharina Franckと一緒に、Steinと言うバンドのメンバーでもあったと書いてあるのですが、現物にはそのような記述はありません。なので、真相は謎のままです。内容的には、かなりリズムに気を使って演奏しているようで、そのヴァリエーションの広さに驚きます。また、UlrikeかKatharinaかは不明ですが、Diamanda Galasを彷彿させる女性ヴォーカルも聞くことができます。シーケンサーによるベースラインや不明瞭なサウンド・エフェクトもありで、聴き込むとスルメのように味が出てきますね。それ程過激な音楽では無いですが、このような地味ながら細部に拘った音楽がその時期の彼が求めていた音楽なのかもしれないですね。しかしながら、ドラマティックな展開もあり、少しだけワグナーを思い起こしました。また、リズムセクションではEBMとの親和性もあり、Neubautenとは違った音志向も聴いて取れます。そんな彼の音楽にも触れてみて下さい。もしかしたら、私の気付かない何らかの発見がありますよ。出来れば是非爆音で❗️ [full album] https://youtube.com/playlist?list=PL8mWuGQuzRbbEHtZcKBTDbZPjdQxYVTxQ #F.M.Einheit #Stein #SomeBizarre #SoloAlbum #EinstürzendeNeubauten #FirstAlbum #Industrial #Experimental #SoundDesign #UlrikeHaage #KatharinaFranck #VonVoov
Industrial / Experimental Some Bizarre 不明Dr K2
-
Test Dept. “Compulsion”
以前にも紹介したTest Dept.(通称「テスト・デブト」)の12㌅EP”Compulsion”です。「英国のEinstürzende Neubauten」とも呼ばれてた彼等ですが、私は個人的に根っこが異なると思っています。Einstürzende Neubautenが仕方なく楽器の代わりに色んな奏法でメタパーを使っていたのに対して、Test Dept.は明らかに最初からメタパー在りきで使っていたように感じられたからです。まあ、それはそれとして、彼等のバイオグラフィーは前回書きましたので、補足だけ。コア・メンバーは、Graham Cunnington, Paul Jamrozy, Jonathan Toby Burdon, Paul Hines 及びAngus Farquharで、他のメンバーは基本、現地調達です。また、スライドや映像などのヴィジュアル担当に Brett Turnbullがいます。彼等は通常のクラブやライブハウスではなく、古いお城や駅の跡などの特殊な場所でライブを行なっています。その後、1990年代となると、バンドはインダストリアルな風味が薄れて、テクノの手法を取り入れていきます。1994年に、刑事司法及び公共の秩序法が通過したことで、バンドの政治的な立場は更に強固なものになっています。しかしながら、1997年にバンドは解散していますが、一部のメンバーはアートや文化の分野で活動を続けています。そして、2014年にバンドはTest Dept Reduxとして再編成されています。メンバーはZel Kaute, David Altweger, Charles Poulet, で、より大きな場所で演奏する時にはAshley Davies, Rob Lewis, Alex NymとFranziska Anna Faustが加わります。Test Dept Reduxは2016年にギグを行っており、2019年に最新アルバム”Disturbance”をリリースしています。ザックリとこんな感じです。 それで本作品の内容ですが、元々の彼等のスタイルである落ちてる金属屑(メタル・ジャンク)を集めて、メタパーとして叩きまくるのは勿論、気合の入ったヴォーカルも聴けます。ただドラムのパターンが所謂4つ打ちで、EBM様のダンス曲風になっています。また、B面ではシーケンサーも使っており、明らかにテクノ的楽曲になっています。それを良しとするか駄目とするがはBrett Turnbullこのような方向に向かうのも宜なるかなですなぁ。と言う訳で進化したTest Deptを是非とも聴いてみて下さい。 A “Compulsion (Machine Run)” (5:10) B1 “Pulsations 1 (Human Run)” (4/59) B2 “Pulsations 2 (Human Run)” (5:46) A “Compulsion” (5:10) https://youtu.be/M-MY2ULbTGk?si=1Uejajv4KwUNHlj_ B1 “Pulsations 1 (Human Run)” (4:59) https://youtu.be/4kzAvmv7r0o?si=_fVX7SS6rbRDbYO8 B2 “Pulsations (Version 2)” (5:46) https://youtu.be/PKV_ZKUw0ss?si=K6L4qDrjU7qnxCgr #TestDept. #Compulsion #SomeBizarre #MetalPercussions #Sequence #12inchEP #Rhythm #Industrial #EBM #GrahamCunnington #PaulJamrozy #TobyBurdon #PaulHines #AngusFarquharp #Visual #BrettTurnbull
Industrial Some Bizarre 不明。Dr K2
-
Einstürzende Neubauten “Zeichnungen Des Patienten O.T. / Drawings Of O.T.”
やっと辿り着きました❗️独逸が産んだガラクタを音楽に変えてしまうバンドEinstürzende Neubauten(以下ENと表記)❗️1981年に出た”Kalte Sterne”以来、いや,もっと言うなら世紀の名盤”Kollaps”以来、その動向を常に見続けてきたENです。今回、取り上げるのは、彼等の2枚目のレコード・アルバム”Zeichnungen Des Patienten O.T.”(邦題「患者O.T.のスケッチ」)です。この時のメンバーはBlixa Bargeld, Alexander von Borsig, F.M. Einheit, Marc ChungそしてN.U.Unruhの黄金のクインテットです。因みに、このタイトルは、オーストリア生まれの画家Oswald Tschirtner (オズワルド・チルトナー)のことで、彼は第二次世界大戦で捕虜となり、精神を病んで精神病院で暮らしながら、そこで絵の才能を認められたアウトサイダー・アーティストです。また、彼は、精神に障害を持ったオーストリアのアーティストの集団を代表する画家としても知られており、その作品を世に紹介した医師の本のタイトルが、今回のアルバム・タイトルに採用されています。 ENのバイオグラフィーを少し。元々、Bargeldが1980年4月1日に西ベルリンのMoon Clubで何かやらないか?と言われたことから、ENは始まったらしいです。それで、彼はちょとした友人に声をかけて出演しましたが、その友人たちは離れていき、その結果、コアメンバーとなるBargeld、F.M.EinheitとN.U.UnruhでENは本格的に始まったとされています。本当かどうかは分かりませんが、当時、メンバーは極度の金欠だった為、ドラムセットを売り払い、代わりに鉄屑とかを拾ってきて、打楽器代わりにして演奏していたとされています。確かに、ファーストアルバム ”Kollaps”の裏ジャケにはベルリンオリンピック会場跡で、当時使っていた「楽器」がずらりと並べられており、それだけでも飯が3杯食える程、カッコ良かったですね。その後、ENはベース奏者のMarc Chung氏と、当時、西ベルリンで天才少年とまで噂されたAlexander von Borsig (Alexander Hacke)氏が加わります。それにJon Caffery氏も演奏とミックスで関わっています。そうして作製されたアルバムが本作品になります。ENはメタル・パーカッションを初めてロックのフォーマットに落とし込んだバンドであり、本作品でも、充分にメタパーの打撃音などが楽しめます。また、スプリングを用いた自作打楽器や工事現場での削岩機なども使われています。この頃は、BargeldもVo/G担当でしたね(本当にGを弾けるのかは別として)。後,特筆すべきは、歌詞は頑なに独逸語に拘って作られており、その独特の語感やBargeld氏の発声法(特に引き攣るような吸気による発声は思い当たるアーティストではUltra Bideのヒデ氏だけです)で、独自のヴォーカリゼーションを展開している点です。アルバム全体としては、ファーストの”Kallaps”程、混乱したものではありません。寧ろ、より音楽的になっていると思いますが、それでも、「音の出るものは何でも楽器である」的な曲作りには舌を撒きます。正直言って,初め聴いた時はちょっと大人しくなったイメージだったんですが、聴き込むと随所に実験的なミックスが為されていることに気が付きました。そして、ENは非楽器と楽器を組み合わせた独自の路線で進むことになります。しかしなから、Blixaのヴォーカリゼーションは凄いわぁ!そんなENを聴いてみませんか? A1 “Vanadium I-Ching” (4:54) A2 “Hospitalistische Kinder / Engel Der Vernichtung” (5:09) A3 “Abfackeln!” (3:32) A4 “Neun Arme” (2:34) A5 “Herde” (1:24) A6 “Merle (Die Elektrik)” (2:20) B1 “Zeichnungen Des Patienten O.T.” (3:23) B2 “Finger Und Zähne” (0:17) B3 “Falschgeld” (2:42) B4 “Styropor” (2:24) B5 “Armenia” (4:57) B6 “Die Genaue Zeit” (7:06) https://youtu.be/jbwSQqtscD0?si=Am6a_mNYUeQX_joY [full album + bonus tracks] https://youtube.com/playlist?list=OLAK5uy_krxomPRDeGhy0DFC_gPTt9SS2-jSFsVk0&si=jAz7kvH00r54AA-q #EinstürzendeNeubauten #ZeichnungenDesPatientenO.T. #MetalPercussions #Experimental #Rock #HandMadeInstruments #SomeBizarre #BlixaBargeld #F.M.Einheit #N.U.Unruh #MarcChung #AlexanderVonBorsig #JonCaffery
Experimental Rock / Industrial Some Bizarre 2000円位?Dr K2