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The New Blockaders / Knurl “Trash Ritual”
金属ノイズと聞いて、直ぐに思い浮かぶ2組が、英国The New Blockaders (以下、TNBと表記)と加Knurl (ナールと読む)と言っても過言ではないでしょう。当然、両者のキャリアは全く異なりますし、TNBはそれこそノイズ・ミュージック黎明期から活動していますが、Knurlは、1990年代から国際ノイズ・シーンに登場してきました。しかしながら、Knurlは、始めた当初から、メタル・オブジェを演奏することに強く固執して活動しており、その実力は確かなものと思います。そんな2組が、最近、英国で一緒にライブを行ったことは知っていたのですが、まさか、録音までしていたとは!とちょっとビックリしました。それで、TNBのバイオグラフィーについては、今までにも記載しているので、今回はKnurlのバイオグラフィーについて少々書いてみたいと思います。Knurlというのは、加Ontario州トロントで活動しているAlan Bloorのソロノイズ・ユニットのことで、1994年から音楽活動を始めています。一貫して、スクラップ・メタルや自動車のスプリング、ノコギリの刃、その他の工場機器の廃棄物などのメタル・ジャンクを使ってのノイズ・ミュージックを作り続けており、そのインスピレーションの源は、Bloorが溶接工として働いていた経験からくるものです。そうして、彼は、そう言う音を、より速くより強靭にする為に、一度、メタル・ジャンクからオブジェを作り、そこにコンタクトマイクを仕込んで、エフェクターに繋いで、演奏するスタイルを確立しています。実は、Bloorはパートナーと共に1990年代に来日しており、その時のジャパン・ツアーに、私も帯同しているのですが、その時代には、演奏の終盤になると、トースターを「演奏」していました。また、彼は、フォーマットに捉われず、沢山の作品をリリースしていますので、興味のある方は、是非とも聴いてみて下さい。 それで、今回は、何かのフェスだと思ったのですが、Knurlが英国に渡り、同じメタル・ジャンク使いとして、コラボ・ライブを行ったのは、2022年に其々の音源を制作していたことの結果なのでしよう。そんな記録として、今回のスプリットLPと、その時のコラボ・ライブCDがリリースされたのだと思います。因みに、TNBは、Richard Rupenus (A1, A2, CD), Mark Durgan (A1, A2), Michael Gillham (A1, A2, CD)及びLee Stokoe (CD)が参加、一方、KnurlはAlan Bloor (B1-B4, CD)のソロでとなっています。と言う訳で、各曲を其々紹介していきましょう。 LPのA面は、TNBが、“Antimaschine”として2曲を収録しており、LPのB面はKnurlが4曲を収録しています。それでは、TNBからです。 ★A1 “Funktiönstorung (張り詰めた関数?関数張力?)”は、生々しい金属音を無慈悲にぶち撒けたような騒々しいノイズ・ミュージックであり、恐らく殆どエフェクトは使っていないと思われますが、精々、ディストーション位でしようか? しかも、外マイクでの録音のようで、コンタクトマイクも最小限ですね。マスタリングもバッチリですが、それが返って、直接、神経に刺さりますね。 ★A2 “Zusammenbruch (崩壊)”は、A1との境目が確認出来ず、ほぼA面で1曲と言う感じです。サブタイトルにも”Antimaschine”とありますから。 次はB面のKnurlの曲です。 ★B1 “Effect Of Concentration”は、如何にもKnurlらしい、メタル・オブジェの演奏で、コンタクトマイクとエフェクターを使い、地響きのようなサウンドスケープを表出しています。 ★B2 “A Discrete Point”も、B1とほぼ連続して始まり、土石流のようなノイズ・ミュージックを放射しており、この曲もKnurlらしいです。 ★B3 “Disturbance As A Variation”は、ややくぐもった音ですが、ミリ単位での音も聴取出来る「轟音にして繊細な」ノイズ曲となっています。 ★B4 “Lending Probability To A Belief”は、ハイパー・メタルなノイズ曲で、恐らくチェーンとかを使って演奏しているようで、展開がかなり速いですね。 ★最後は、TNB + Knurlのコラボ・ライブCDで、“Live At The Auxiliary, Middlesbrough, Feb. 2023”についてです(どうも、このCDは初回限定らしく、その為か、LPの方は、黒い外袋にデザインのジャケ写が貼り付けております)。内容は「凄まじい‼️」の一言ですね。生音に近いTNBとアンプ出力でエフェクト掛けたKnurlのメタル・ジャンク・ノイズの阿鼻叫喚地獄のようです。ハウりまくっても気にせず、両者が突き進んでいく様は、宛ら、メタル・ソリッド・ギアの如し。やはり、アプローチは違っても、進むべき道は一つと言うことでしようか?出来れば、爆音で聴きたい1枚です! 今まで、有りそうで無かった組合せなので、どんな感じかなあと半分心配していましたが、スプリットLPもコラボ・ライブCDも大満足です!Knurlももう30年選手なので、そんなことは杞憂に終わりました。もう轟音祭り、メタル・ジャンク祭りで、これは2023年でもベストな作品と考えましたよ。皆さんも早めに入手することをお勧めします❗️ LP A面: The New Blockaders “Antimaschine” A1 “Funktiönstorung” A2 “Zusammenbruch” LP B面: Knurl B1 “Effect Of Concentration” B2 “A Discrete Point” B3 “Disturbance As A Variation” B4 “Lending Probability To A Belief” CD: TNB + Knurl 1. “Live At The Auxiliary, Middlesbrough, Feb. 2023” *まだ、本作品の動画はYouTubeにアップされていないので、各グループ其々の動画を貼っておきます。 The New Blockaders “……” III from コンピ・アルバム“Concrete World Vol.2” https://youtu.be/DLQk1ca4Cto?si=3xDqAoF6rIizAtl- Knurl “Part 2” from CDR “Dichromatism” https://youtu.be/_wG3HNdSYuE?si=PPfMjiQI_BFo04EK #TheNewBlockaders #TNB #Knurl #TrashRitual #4iBRecords #SplitLP #CollaborationLiveCD #LiveAtTheAuxiliaryMiddlesbroughFeb2023 #UK #Canada #MetalJunks #MetalObjects #Noise #HarshNoise #RichardRupenus #MarkDurgan #MichaelGillham #LeeStokoe #AlanBloor
Noise / Experimental 4iB Records 5647円Dr K2
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TNB(The New Blockaders)+K2 “虚無の音”
時々、自分関連のも載せますよ〜!と言う訳で、今回は、The New BlockadersことTNBとわたくしのソロK2のコラボ作”虚無の音(Kyomu-No-Ne)” です。これは時間がかかった、いや、かかり過ぎた。相互のコラボなので,お互いが音素材を交換して、それを変調・加工し、また、自分の音を加えたりしながら、曲をそれぞれが仕上げていくと言う方法をとりました。音素材を交換したのは2001年頃だったと記憶していますが、その後、音沙汰無いなぁと思っていたら、勝手に、アメリカのBanned Productionsからコラボ曲がカセット作品”Oozing Ruin”として2002年に出されちゃうし、、、まあ,良いんですけどね。兎に角、Richard Rupenusのリアクションが遅い!忙しいみたいなことはメールしてくるんですが、それで前述のカセットが出てから8年経って,漸くTNB側のミックスが終了しました。長かったなぁ。まあ、Richardのレスが遅いとは聞いてましたが、ほんとッ、参りました。因みにTNB側のメンバーはRichard & Philip Rupenus兄弟とMichael Gillhamの3人のようです。”Oozing Ruin”の時は私のミックスに何らかの加工をしたみたいですが、今回もTNB側は割とストレートなミックスで仕上げていますね。それに対して、私の方はまだjunk electronicsと言うミキサーのフィードバック・システムを用いており、かつミックスダウンも人力カットアップで行なっていましたので、モデュラーを使っている今のK2の音とはかなりの落差がありますね。それで、TNB側が送ってきた音素材は彼等のシンボルでもある金属摩擦音であったと思います。一方,私の方は,先程書いた通りミキサーのフィードバック音だったと思います。それで、リリースレーベルも決まって、ジャケはどうしようか?との話しになって,そうだ! G.X.(Jupiter-Larsen)に頼もうとなり、すぐさま連絡したら、OKで、作ってくれました。しかし日本語のフォントがダサいので、何とか作り直そうとしたのですが、G.X.に押し切られてしまいました。まあ,そう言うことも含めて、無事、LPがリリースできて,良かったなあと感慨深いです。それで、今回、聴き直して気づいたのですが、A-1とA-2は明らかな切れ目ななく、繋げられています❗️また、違う形でコラボしたいなとは思います。もし、下記のトライラーをみて、興味がある方は、是非ともLPをご購入ください。 https://youtu.be/piQ2C5tkhcE [“Oozing Ruin” full album] https://youtu.be/AkSgV8XDtdQ #TheNewBkockaders #TNB #K2 #Kyomu-No-Ne #Collaboration #4iBRecords #G.X.Jupiter-Larsen
Noise 4iB Records 無しDr K2