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Alternative TV “The Image Has Cracked”
ある意味、ポスト・パンクを最も早い時期に実践していたとも思えるバンドが、Mark Perry率いるAlternative TV (時にATVとも表記される)ではないでしようか?バイオグラフィーを少し書いてみますね。パンク・ファンジンSniffin’ Glueを発行していたMark Perryが、Alex Fergusson (G)と一緒に、1977年3月に結成したのが、ATVです、最初のギグは1977年、Nottingham Punk Festivalです。ATVの名前は、当時、放送されていたAssociated Televisionに由来するみたいです。 また、初期のリハはThrobbing Gristleのスタジオを使っていたようで、Genesis P-Orridgeがドラムを叩いてたとか(この時の録音は後に”Industrial Session”としてCDになっています)。ATVの最初のレコードは、Sniffin’ Glueに付録として付いていたソノシート”Love Lies Limp”で、MarkとAlexに加えて、John Towe (Drs)とThyrone Thomas (B) で、Johnは後にChris Bennettに交代しています。このラインナップが最もストレートな「パンク」をやっていた時期になります。その直ぐに、と同年12月に、彼らは7㌅シングル”How Much Longer”/“ You Bastard”をリリースし、”How Much Longer”では「いつまでナチの服や腕章を身につけて、髪の毛を染めているのか?」とパンクスを批判しています。しかしながらその時期に、Markは共作者であったAlexを解雇します(AlexはやがてPsychic TVに加入することに)。代わりにTyrone Thomasがギターにスウィッチし、さらにその後にはKim Turnerがギタリストとして参加します。またDennis Boursがベースで加入します。この頃になると、ダブを取り入れたシングル”Life After Life”をリリースし、続けてファースト・アルバムである本作品”The Image Has Cracked”をリリース、ピアノでJools Hollandがゲストとして参加しています。その後、1978年末にはMarkとDennisの残して、あとはゲスト・ミュージシャンを起用してライブや録音を続けます。それで完成したのが、問題作セカンド・アルバム”Vibing Up the Senile Man”です。このアルバムは批評家もリスナーも拒絶する程、マジで実験的な作品でした。また、ライブでは暴れた観客がステージに乱入することがままあったらしく、ライブ盤”Live At The Rat Club '77”でもその様子が伺い知れます。コミューンで暮らしていたバンドHere & Nowとツアーをやりますが、パンク/ニューウェーブ・シーンとは隔絶してしまいます。そして、この時期の最後のシングル”The Force. Is Blind”を、Here & NowのAnno (Vo)を迎えてリリースします。ATVは直ぐに前衛バンドGood Missionariesにシフトしていき、1979年にはライブ・アルバム”Fire From Heaven”をリリース、その後、MarkはThe Door and the Windowの実験デュオと一緒に何枚かのEPとスタジオアルバム”Detailed Twang”をリリースします。その後、Markは、DennisとAlexと一時的にATVを再結成する前に、ソロアルバム”Snappy Turns”をリリースしています。そして、再結成したATVもアルバム”Strange Kicks”をリリースしますが、このアルバムは明る目のポップソングから成り、今までと異なる印象です。とまあ、こんな感じで、アルバムによってかなり印象が変わるのですが、ATVは1985年にも再結成しており、現在も現役で活動しています。 それで、本作品ですが、先述のように、ATVとしてのファースト・アルバムで、曲によってはライブ録音らしいテイクも含まれています。彼等のレパートリーの中で最も有名なのが、A2 ”Action Time Vision”ですね(このタイトルは略するとATVになる)。でもこの曲も初め聴いた時はなんてミニマルなんだ!と驚きました。あとB1 “Viva La Rock’N’Roll”も大胆なピアノの間奏を含めても、これ程のインパクトの無いでしょう。多分、MarkどAlexにとっては、パンクは単に音楽ジャンルではなく、その音楽が、今までの産業ロックとは違う!と言う視点で、このATVを結成したのでは?と思われます。なので、ここではまだロックの様式に乗っ取って、パンク風に演奏されていますが、セカンド・アルバム(これはまた紹介します)の突き抜けた実験的作品もショックタクティクスとして有効であったと思われます。因みにこの時のメンバーはMark Perry (Vo), Kim Turner (G), Chris Bennett (Drs), Dennis Burns (B)で、ゲストとしてJoons Holland (Piano)からなります。常にパンクでありながら、パンクを追い求めていたMark Perryの渾身のファースト・アルバム、聴いてみませんか?何らかのヒントが得られるかも。 “Action Time Vision” https://youtu.be/oBz7YnVeQ-o “Viva La Rock’N’Roll” https://youtu.be/JU7vewBk58o #AlternativeTV #TheImageHasCracked #DeptfordFunCityRecords #Punk #PostPunk #MarkPerry #Sniffin’Glue #ActionTimeVision #Viva!LaRock’N’Roll #DennisBurns #ChrisBennett #KimTurner
Punk / Post Punk Deptford Fun City Records 不明Dr K2
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The Only Ones “Even Serpents Shine(破滅への影)”
今回は、The Only Onesのセカンドアルバム”Even Sherpents Shine”を紹介します。私の好きなバンドで、丁度、パンク勃興期に出てきたので、パンクとかニューウェーブとかと思われてますが、実はリーダーのPeter PerrettとJohn Perryは1972年頃から曲を書いていたので、1976年に出てきて、偶々、その時期に”Another Girl, Another Planet”がヒットしたので、そう思われてますね。でも、どちらかと言うとサイケとかオーソドックスなパワーポップに近い立ち位置だと思います。それにPeterは、ドラッグ漬けになったりしていましたから。前回、彼等のサードアルバム”Baby’s Got A Gun”のところで書きましたので、そちらを参照して下さい。それで、本作品ですが、ミドルテンポの曲に、気怠そうなPeter Pierrettが始終続きます。彼の声質は好き嫌いが分かれそうですね。勿論、私は好きですが❗️一応、メンバーだけ書いておきますね。Peter Perrett (Vo, G), John Perry (G, Kbd), Alan Mair (B), Mike Kellie (Dr)で、録音には、ゲストとしてAdam Maitland (Kbd, Sax), John "Rabbit" Bundrick (Kbd), Koulla Kakoulli (B-Vo)が参加しています。プロデュースはPeterとJohnがやっています。もう全曲良いですねぇー。あのPeterのVoで歌われると泣けます。B面最後のしっとりとしたアコースティックな曲で号泣です。まあ、買って良かったとは思ってたんですが、改めて聴いても沁みます。もし、機会があったら、是非ともレコードで聴いてみて下さい! https://youtu.be/uMjkyfO-kuM #TheOnlyOnes #EvenSerpentsShine #Epic(CBS) #Pop #NotPunk #Psychedelic #PeterPerrett #JohnPerry #AlanMair #MikeKellie #1979
Punk / Post Punk Epic (CBS) 不明Dr K2
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Wire “Pink Flag”
出ました‼️皆んな、大好き。パンクではなく、最初からポストパンクだったWireのファースト・アルバム”Pink Flag”の登場です。長い間、探していたのです。その昔、大学の関係で東京に出ていった時に、女友達が女子高生の頃、Wireのこのアルバムのカバーを演っていたと聞いて、探していたんですが、オリジナルは高価で取引きされてましたし、日本盤も出ていなかったので、仕方なくCDでしか聴いていなかったのです。そんなこともあって、中古屋で見つけた時は狂気乱舞しましたね。Wireのバイオグラフィーは前回までで殆ど書いていますので、今回は省略します。一応、メンバーだけ書いておきます。Collin Newman (Vo, G), Bruce C. Gilbert (G), Graham Lewis (B, Vo), Robert Gotobed (Dr)で、ロックバンドとしては当たり前の編成なのですが、このファースト・アルバム以降、とても(パンク)ロックとは思えないような音楽をやり始めます。その前にリリースされたこのアルバムはジャケの、恐ろしい位簡素でニヒルな様相は他のパンクバンドとは大きく異なっていました。当時は、シュールとさえ言われてましたね。このアルバムでは、表向きこそ、2分前後の曲が21曲も並んでおり、パンクバンドの様な扱いになっていますが、内容は既にそう言う凡百のパンクバンドとは大きく異なってました。先入観無しに聴いてもらうのが一番早いのですが、何と言うか、曲の構造は単純なのですが、特に野卑にがなり立てる訳でもなく、淡々と紡がれる音が一種のミニマル・ミュージックのようにも聴こえますし、その曲の短さなんかはハードコアの走りのようにも見えます。また、彼等の良き理解者であるMike Thorneがプロデュースしていることも大きいと思います(私はこのMikeの存在がキモだと思ってますし、彼等もまたMikeの存在によってアルバムを作る気になったとも聞いています)。後、歌詞が独特で、韻を踏まない散文的な歌詞を上手く曲に乗せており、そこら辺から「シュール」と言われたのかもしれませんね。兎に角、これからバンドを始める方は一度は聴いておいた方がいいですね。まあ、私はWireは大好物なので、これからも集めていきますが、特にファーストからサードの辺りは多分一生聴き続けるつもりです。そう言えば、Wireの”Pink Flag”の曲をカバーした日本のバンドのコンピが有りましたね。それも興味深かったです。皆さんも聴きますよね? https://youtu.be/1Wi94-JGrtc #Wire #PinkFlag #EMI #HarvestRecords #PostPunk #MinimalMusic #ColinNewman #BruceCGilbert #GrahamLewis #RobertGotobed #MikeThorne #FirstAlbum
Punk / Post Punk EMI (Harvest) 不明Dr K2