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XTC “Drums And Wires””
そう言えば、XTCの初期のアルバムは集めてたなと思って発掘しました。4枚目のスタジオ・アルバム”Drums And Wires”を今回はご紹介します。ある意味、ごく初期のテクノポップをやっていたXTCから、英国的ポップ・ミュージックの道に進路転換した作品でもありますね。と言うのも、Barry Andrews (Kbd)が脱退して、Kbdも弾けるギタリストDave Gregoryが加入したからです。つまり、Kbd奏者を代わりに入れてテクノポップを進化させるのではなく、ギタリスト兼Kbd奏者を加入させることで、よりテクノポップの文脈から逸脱しようとしたからです。そう言う背景で制作された、最初のアルバムが、この”Drums And Wires”です(アルバム・タイトルも洒落が効いてますね(要するにバンドってことかな?)。それでは、各曲について紹介していきましょう。 ★A1 “Making Plans For Nigel” (4:13)は、シングルカットもされた名曲で、細部にまでエフェクトや音色に注意が払われており、正にポップスの極み! ★A2 “Helicopter” (3:54)も、少し奇妙な転調や譜割りもしますが、軽快なビートに乗せたPartridgeのセンスが光ります。 ★A3 “Life Begins At The Hop” (3:45)は、次のアルバム”Black Sea”に繋がることを予見させるようなメロディラインがワクワクさせてくれる曲です。コーラスも完璧! ★A4 “When You're Near Me I Have Difficulty” (3:20)は、何処かセカンド”Go2”からの作風を引っ張っていますが、それ程、専属Kbdが居ないことを意識させないです。 ★A5 “Ten Feet Tall” (3:12)は、この頃の彼等にしては珍しく、アコギを使ったソフトなポップネス全開な曲で、間奏のGやサビのコーラスも絶妙!染みるなぁ。 ★A6 “Roads Girdle The Globe” (5:11)は、結構大胆な音作りで、Drsの録り方にも一工夫施されています。ちょっとだけ使われているシンセとかがボディブローのように効果的に効いてきます。 ★B1 “Real By Reel” (3:46)でも、効果的なシンセと強力なDrsが活きているポップ・ソングです。やはり”Black Sea”への布石のような曲調。 ★B2 “Millions” (5:37)では、ややファットなBに、2本のGが上手く絡み合っている曲で、ちょっと実験的なスパイスも感じられる。最後の絡みは意外だった! ★B3 “That Is The Way” (2:56)は、ちょっと変わった構成から成る曲で、ハワイアンのようなスライドGや、はたまた間奏のトランペットが活かしています。 ★B4 “Outside World” (2:40)は、アップテンポで、元気一杯な曲で、少しだけだが、パンクっぽいけれど、ポップネスは保持しています。 ★B5 “Scissor Man” (3:59)も、ひと癖のある曲調ですが、上手くポップソングに昇華していますし、それが故に、唯一無比です。サビのDrsは彼等しか思いつかないなと思う。また、ダブ的なミックスも光る❗️ ★B6 “Complicated Game” (4:53)は、出だしからしてやや実験的だが、いざ本番の演奏が始まると、Partridge節のVo(段々とエコーが深くなっていく)が炸裂します。 個人的には、PartridgeのVoよりもMouldingのVoの方が好きなので、自ずと後者の曲の方に魅了される訳ですが、それでも、XTCのキモは、2人の作曲能力とかアレンジ能力とかが見事な化学反応を起こすことで、独自のポップネスを手に入れていることだと思います。過渡期的作品ですが、だからこそ、皆さんにも一度は聴いて頂きたいアルバムです‼️あと、”XTC節”みたいな曲調がビシビシ感じられて、その点も良いですねー! “Sleepyheads” (Outtake) https://youtu.be/HrQ7G5hPf-M?si=lLjHcA2Ea-TSIBjQ [full album] https://youtube.com/playlist?list=OLAK5uy_kNh7p2arge_vvDWZ0BWeG7Bn2A32t4zKQ&si=o4qXUTv1ecD_KoOH #XTC #DrumsAndWires #VirginRecords #4ThAlbum #PopMusic #NewWave #BritishRock #AndyPartridge #ColinMoulding #TerryChambers #DaveGregory #GuitarAndKeyboards #脱TechnoPop
Pop, New Wave Virgin Records 不明Dr K2
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Bill Nelson's Red Noise “Sound-On-Sound”
これまた、よく名前は聞くけど、実際に聴いたことは無い感じのBill Nelson’s Red Noiseの唯一のアルバムです。その母体はBe-Bop Deluxe(1972-1978年)ですが、更なる進化のために、Bill Nelsonを中心にRed Noiseが結成されました。まあ、名前を変えたのはHarvest Recordsの意向みたいです。メンバーはBill Nelson (Vo, G), Ian Nelson (Sax), Andy Clark (Kbd, Synth), Rick Ford (B), Dave Mattacks (Dr), Steve Peer (Dr)です。前身のBe-Bop DeluxeのメンバーであったAndyでしたが、Red NoiseではIanコラボしながらもヒットシングル”Ships in the Night”を作ります。またSteveはTV Toyに在籍していましたが、ツアー限定メンバーとしてヘルプで加入してます。Red Noise曲は、殆どがBillがドラムを叩いていましたが、Fairport ConventionのDaveが加入してからはより複雑なフレーズが可能になりました。1979年に唯一のアルバム”Sound-On-Sound”と2枚のシングル”Furniture Music”と”Revolt into Style”がリリースされました。その後はBillがソロアーティストとして続けていくなか、Ianが1980年代を通してコラボしています。話しを戻すと、Be-Bop Deluxeの最後のアルバム”Drastic Plastic”と連続しているように聴かれますが、1979年のインタビューでBillが答えてるように「そもそも、Be-Bop Deluxe時代に作った曲ですので、一連の曲と思ってもらえるといいかな。まあ一種の強迫観念だよ。」と告白してます。1984年には幻のセカンドアルバムができていたののですが、Harvest Recordsが嫌がったと言う経緯があります。それでマネージャーが曲を買取り、Bill自身のレーベルCocteau Recordsからソロ名義でリリースしています。買い取った曲の中で”Do You Dream in Colour”はよくラジオでかかっていましたし、MTV用のビデオの話しも出ていました。そしてこの曲のB面は、Ian Belsonのサックス以外、Voも演奏も一人でやってます。その他の2曲”Instantly Yours”と”Ideal Homes”はRed Noiseのメンバーで演奏されており、当時はPhinogramが興味を持ったものの、Cocteau Recordsの為に曲を追加して、Bill Belsonのセカンド・ソロ・アルバム”Quit Dreaming And Get on the Beam”として、1981年にMercury Recordsよりリリースされます。それ以降、Billはソロで活動していくことになります。 それでRed Noise名義の本作品ですが、同じ英国のXTC初期ともちょっとだけ類似性のある節回し、とキーボードをある程度全面に押し出した、所謂New Waveなサウンドですね。そして何より中毒性のある曲調が溜まりませんね。元気一杯過ぎて年寄りにはちとキツいかな?でも多分、このアルバムを購入する前から聴いたことがあるような無いような感じがして、それだけポップなんだなあと感嘆してます。兎に角、ゴージャス感のあるエレ・ポップです。個人的にはSparksより好きですね。シンセの使い方も面白いし、軽目のオルガンの音もいい感じです。曲自体もキャッチーだし、僅か1年間で終わったのが残念です(とは言うものの、バックのメンバーはBillのソロでも客演していますし、Bill自身もマルチ奏者なので、 VoやG以外にも色々な楽器をも演奏してます。なので、そのポップネスにやられちゃって下さい❗️ A1 “Don't Touch Me, (I'm Electric)” A2 “For Young Moderns” A3 “Stop / Go / Stop” A4 “Furniture Music” A5 “Radar In My Heart” A6 “Stay Young” B1 “Out Of Touch” B2 “A Better Home In The Phantom Zone” B3 “Substitute Flesh” B4 “The Atom Age” B5 “Art / Empire / Industry” B6 “Revolt Into Style” [full album] https://youtu.be/Q_HdJu-0U7k?si=Rjv0ETrlxny-IK3c [オマケ: live at TV show: A1, A4 & A6] https://youtu.be/tPV7jEyTvtY?feature=shared #BillNelson #RedNoise #Sound-On-Sound #Harvest #NewWave #ElectroPop #Synthesizer #Be-BopDeluxe #Multi-Instrumentalist #IanNelson #AndyClark #RickFord #DaveMattacks #StevePeer
Pop, New Wave HARVEST 不明。Dr K2
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Stereo Total “Monokini”
君は知ってるか?1990年代に現れたStereo Totalを‼️1993年に西ベルリンで結成されたデュオで、メンバーは、Françoise Cactus (本名:Françoise Van Hove)とBrezel “pretzel” Göring (Friedrich von Finsterwaldeとしても知られている)のフランス人・ドイツ人デュオで、Françoiseは西ベルリンのバンドLes Lolitasの創設メンバーでもありました。彼等はライブでも基本的に2人で行っており、FrançoiseははしばしばDrを、BrezelはGやSynthを担当していましたが、ツアーの時は,Angie Reedらがヘルプで入っていたようです。彼等の音楽は、昔のヨーロッパ・ポップス路線を基本に、ニューウェーブやエレクトロニカ或いはシンセポップに昇華させたものが多く、それらはサイケやガレージ、France GallやBrigitte Bardotの様な1960年代のフレンチポップの形態を纏っていました。また、彼等は、Sylvie Vartan, Brigitte Bardot, Brigitte Fontaine, Serge Gainsbourg, Velvet Underground, Nico, The Rolling Stones, The Beatles, Pizzicato Five, Die Tödliche Doris, Nina Hagenらの曲のLo-Fiカバーもやっており、フランス語,ドイツ語、英語の他,スペイン語や日本語,トルコ語でも歌っています。一方で、“I Love You, Ono"と言う曲は、日本のPlasticsの曲"I Love You, Oh No!"のカバーソングであり、2005年6月のSony HandycamのCMにも使われており,その曲はアルバム”My Melody”にも収録されています。また本作品の”Aua”と言う曲は,Adam CurtisのBBC2ドキュメンタリー・シリーズ2の”All Watched Over by Machines of Loving Grace”のエンディングソングに使われています。このように、彼等の音楽はレコードやCD以外でも使われてきています。そうして活動を続けてきましたが、2021年2月17日に、Françoiseが57歳の若さで乳癌で死亡しており,その時点でこのデュオは消滅しました。 それで本作品の内容です。本作品は彼等のセカンドアルバムになりますが、全編、1960年代風歌曲の懐メロ大集合的音楽で、嬉しくなりますね。この時期のヨーロッパの大衆音楽が好きなら,または極上のポップスが好きであるのならば,どストライクにきますね。それをちゃんと1990年代的/現代的に仕上げてくるアレンジ力も凄いです。なお、録音メンバーはBrezel Göring (Piano, Organ, Synth, Vo)とFrançoise Cactus (Vo, Dr)のデュオに加えて、Izmogood (B, G)とAngie Reed (VibroG)も参加しています 。しっとりしたり、可愛らしくアレンジした曲が多い中、B-1 “Aua”はドライブ感のある曲で、BBCが使うのも納得です。また、B面最後の曲”Ushilo Sugata Ga Kilei”では日本語で歌ってますが、拙い発音がグッときます。また、この曲のヴァージョン違いが、A-5 “Schön Von Hinten”としてトルコ語(?)で歌われていますね。こう言う仕掛けは楽しいです。個人的には、こんなグループがまた出てきて欲しいですね。また、Françoisの舌足らずなロリータ・ヴォーカルもいいですね。偶には,こんな極上のポップスも如何でしようか?お勧めします。 [full album] https://youtube.com/playlist?list=OLAK5uy_nwmtqpg0_c9IdM6cfuMVzuqseN2iVgGrc #SteroTotal #Monokini #1960 #Pops #NewWave #FrançoiseCactus #Brezel”pretzel”Göring #Berlin
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