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Holger Hiller “Oben Im Eck”
とうとう来ました!Holger Hillerのセカンド・ソロアルバム”Oben Im Eck (オーベン・イム・エック; 「隅っこにある」)”を今回はご紹介します。Holger Hillerのバイオグラフィーは既に書いてありますので、そちらをご参照下さい。それで、本作品についてですが、サンプラーをメインに使った、壮大で、ちょっとだけヘンテコな音楽が詰め込まれており、ここら辺からHillerの本領発揮と言うところでしようか。この頃、彼は既にロンドンに住んでいたと思います。それで、今回は、Holger Hiller (Vo, Sampler, Programming, Mandola)の他、後にHillerの妻になるIzumi Kobayashi (Sampler, Programming, Triangle), 前作に引き続きMoritz von Oswald (Drs, Drainpipes, Xylophone)も参加していますが、ゲストにThe AssociatesのBilly MacKenzie (Vo [A1, A3, A5, B5])とKaori Kano (Vo [A4])も参加しています。そして、Mimi Izumi Kobayashi (A2, A5, B1, B5)以外の作曲はHolger Hillerが行っており、作詞は、Die Tödliche DorisのWolfgang Müllerが全曲担当しています。ミックスダウンは、Gareth Jones, Holger Hiller, Mel Jeffersonによって行われ、プロデュースはHolger Hiller自身が行っています。それと、本作品の日本盤が”Hyperprism”と言うタイトルでWaveから出ているのですが、別テイクが収録されており、内容はかなり違う印象とのことです(私は未聴なので、良くは分かりません)。入手して聴き比べてみたいですね。それで、本作品の内容としては、両面とも5曲ずつ収録されています。それでは、各曲について紹介していきましょう。 ★A1 “We Don't Write Anything On Paper Or So” (2:51)は、壮大なスケールで描いた映画音楽のような曲で、恐らく交響楽のようなオーケストラの音をサンプリングして同期させていると思いますが、所々でレジデンツ風のパートや女性Voが流れるように浮かぶ部分もあり、伊福部昭の曲を想起しました。 ★A2 “Tiny Little Cloud” (3:15)は、サンプリングされたダブルBの軽快なリズムと生楽器によるコロコロした室内楽的演奏から成る曲で、フェイクなのに本物っぽいところが凄いです! ★A3 “Whippets” (3:20)も、フェイクなオーケストラによる演奏で、そこに中近東風の女性らしきVo(これがMacKenzieの声?)が声を張り上げて歌っている曲です。 ★A4 “Waltz” (4:11)は、表題通りワルツのリズムで、少しだけオリエンタルな雰囲気のある曲で、透き通るような女性Vo(Kaori Kano)とホーン類の音及び中近東民族音楽の打楽器や笛の音をサンプリングして作られたと思いますが、最早、生楽器との差異が分からないです。 ★A5 “Oben Im Eck” (2:31)は、男女の囁くようなVoから成る、非常にゆったりした曲で、リズムはタンバリン風の簡素なもので、男性Vo(と女性コーラス)が、細々と呟くように歌っています。シャンソン風? ★B1 “Warm Glass” (3:57)は、細やかなチェンバロ風とメロディと強力でヘビーなキックに、逆回転する音やE. Neubautenの曲や低音Bやピアノ等のサンプリングの緻密な組合せから成る曲ですが、ビート感は余りありません。 ★B2 “Die Blätter, Die Blätter...” (3:19)は、ブクブ した水音のイントロから始まり、マーチングドラムに、Hillerの呟くような多重録音されたVoと重いキックから成る曲で、印象は1960-1970年代のTV番組、そう!例えば「ジャングル大帝」とかのイメージです。 ★B3 “Sirtaki” (3:10)は、現代音楽風のイントロから始まり、マリンバの旋律/メロディが主たる曲で、しかもその音も左右にパンされています。時にDrsやVlnも入ってきます。Drsはマーチングドラムのパターンです。 ★B4 “48 (Achtundvierzig) Kissen” (3:13)では、マリンバとホーンと民族音楽風の打楽器と弦楽器に声のようなサンプリング音の組合せの中に、レジデンツ風の男性Voが怪しく呟くように歌っています。 ★B5 “Oben Im Eck (Version)” (2:32)では、最初はドローンで始まり、ゆったりとしたリズムで、サンプリングされたタンバリンやアコギらしき音を伴奏に、男女のVoが呟くように歌っており、そのバックのドローンやチェロ等の伴奏を伴っています。 いゃ〜正直、唸ってしまいました。所謂、ポップミュージックではないのですが、本作品に収められているトラックの曲調は、ちょっと昔の映画音楽のようであり、その壮大さに圧倒されます。ちょっとHolger Hillerのことを舐めてました。彼が何故、このような曲調にしたのか?その真相はよく分かりませんが、それまでの実験テクノポップでも無ければ、骨折ファンクでもなく、非常に上手くサンプラーを使いこなしてします。恐らく、Izumi Kobayshiも影響も大きかったと想像します。サンプラーと言うとコラージュ感が強いかもしれませんが、このアルバムでは、サンプリングされた音は自然に澱みなく流れるように結合されており、そのテクは素晴らしいと一言です。また、映画音楽的な壮大さも特筆すべきですね。もし、映画音楽とかオーケストレーションな曲が好きであれば、是非聴いて観て下さい!マスト・アイテム! https://youtu.be/jYkDFdFNr3s?si=Lrc5kHVF-jOZtKCk #HolgerHiller #ObenImEck #MuteRecords #1986年 #SecondSoloAlbum #NeuDeutscheWelle #GermanNewWave #ExperimentalPop #Sampler #Sampling #Guests #IzumiKobayashi #MoritzVonOswald #BillyMacKenzie #KaoriKano #Lyrics #WolfgangMüller #Wave #Hyperprism #JapanOnly #DifferentVersion
Neue Deutsche Welle (German New Wave) / Experimental Pop Mute Records £16.49Dr K2
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Andreas Dorau und Holger Hiller “Guten Morgen Hose”
来ました!師弟の共作です!そうです。ギターの先生Holger Hillerとその生徒Andreas Dorauの共作マキシ・シングル”Guten Morgen Hose (グーテン・モルゲン・ホーゼ; 「お早う、ズボン」の意)”です。この作品は訳が分からないのですが、バックの曲は、確かにDorauとHillerのコラボ曲なのです。しかしながら、この作品のコンセプトは、実に難解と言うか可笑しな程バカバカしいものみたいです。「クラウトロック大全」の小柳カヲル氏によると、「現代表現主義大全」なる権威のある書籍を適当に開いたところで、目に付いた記述を元に、2人が即興で演じた不条理音楽劇らしいのです。筋書きとしては、人妻Lucyを巡って、父親Johnny (Dorau)、絨毯、ズボン(Hiller)とが争うと言うことらしいのですが、全く持って意味が分からないです。因みに、脚本は、Catherine Lienertとなっています。それで、歌手をスカウトしに大学に行って、偶々、そこにいた守衛と女性清掃員が抜擢されたとか。と言う訳で、次のような役が振られています。 ◼️歌; Johnny (Andreas Dorau) Hosenchor (ズボン合唱団; Catherine Lienert, Hagar Groeteke, Moritz Reichelt) Lucy (Erika Kochs) Die Hose (ズボン; Holger Hiller) Der Teppich (絨毯; Sol Rubio) ◼️喋り; Johnny (Andreas Dorau) Hosenchor (Jochen Liedisch) Lucy (Claudia Kaloff) Die Hose (Holger Hiller) と言うことを踏まえて、曲/音楽劇を紹介していきましよう。 ★A “Guten Morgen Hose”は、重厚なポリシンセで始まり、可愛らしい電子音や具体音のサンプリングに変わって行き、やがて男性Vo(Dorau)とバックの物音系音へ。そしてズボン合唱団を挟んで、はたまた男性Vo(Dorau)とバックの音へ。いつの間にか、女性Vo(Lucy)も出演して、シタール風のシンセやヴァイオリンの爪弾きをバックに男性Vo(Dorau)へ。そしてズボンVo(Hiller)も現れます。と言う風にコロコロと音とVoは変わっていきます。 ★B “Guten Morgen Hose”も、絨毯Vo(Rubio)が流れる中、バックの音はどんどん変わっていきますが、これはサンプラーによるのでしょう。ここら辺で男女のを挟んで、再びズボン合唱団のコーラスが。そしてまたもやサンプリング音と女性Vo(Lucy)をバックにズボンVo(Hiller)が。相変わらず、バックの音はシンセとサンプリング音で忙しないですが、男性Vo(Dorau)が絨毯を刺しで、自死します。最後にはズボン合唱団の独逸らしい歌が、バックのホーンのリズムに合わせて、ユニゾンで聴こえてきますが、雨音と爆発音とで終わります。 まあ、確かに音楽劇としたら、この2人ならこんな感じかなぁと納得はしますが、これを本当にレコードとして出すかぁ?と言われれば、ちょっと首を捻りますね。まあ、私は独逸語を聞き取れないので、この音楽劇の内容まではよく分かりませんが、音楽として聴くのであれば、かなりHiller色の強い音楽だとは思います。独逸語の分かる方は何を言っているのか?教えて下さい。でも音楽としても面白いので、特にHolger Hillerファンの方には受け入れられるのではないでしょうか!実は、蘭では、この音楽劇を映像化しているので、動画と一緒に聴いてみれば、何と無く言いたいことが分かるかも? https://youtu.be/auH4A9ZHzVw?si=r7ywa70KZ4eypIPl #AndreasDorau #HolgerHiller #GutenMorgenHose #ATATAK #12inchMaxi-Single #不条理劇 #音楽劇 #NeueDeutscheWelle #GermanNewWave #ExperimentalPop #CatherineLienert #HagarGroeteke #MoritzReichelt #ErikaKochs #SolRubio #JochenLiedisch #ClaudiaKaloff #DieHosen #DerTeppich #Hosenchor #Lucy #Johnny
Neue Deutsche Welle (German New Wave) / Experimental Pop ATA TAK 4800円Dr K2
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Malaria! “New York Passage”
Malaria!については、以前にも取り上げましたが、元々、全員女性バンドであったMania D.から発展したバンドで、こちらも全員女性バンドになっています。以前にも紹介していますので、あらましについては、前回のバイオグラフィーをご参照下さい。それで、Malaria!は、1981年、西ベルリンで、Gudrun Gut (Drs, B)とBettina Köster (Vo, Sax)によって結成されており、同年、セルフタイトルの12インチ・マキシ・シングルを出しています。その中に収録されている曲B1 “I Will Be Your Only One”が、今回は5人のメンバーで、かつニューヨーク録音によって、A面”Your Turn To Run”に生まれ変わったんです。他の3人と言うのは、Susanne Kuhnke (Synth, Kbd), Manon Duursma (G), Christine Hahn (B, Drs)です。テンポも上がって、バックの音も厚くなり、Voも多重録音することで、かなり垢抜けた印象になりました。B面もポストパンク的なアレンジが為されており、随分と雰囲気が変わっています。実際、このシングルが最も売れたアイテム(USでもヨーロッパでもインディーズ・チャートでトップ10に入っています)で、これがキッカケで、The Birthday Party, John Cale, Nina Hagenとツアーも出来るようになりました。また、本シングルの”Your Turn To Run”及び他2曲(“You You”と”Gold/ Money”)は、米国人監督Anne Carlisleによる、独逸のドキュメンタリー映像”Super 80”にもMVが使われています。あと、彼女等は、英詞で歌っていることも多く、割と早いうちから、英語圏への進出を考えていたのかなとも思います。でも、私が好きな曲は独逸語歌詞の曲なんですよね。と言う訳で、Malaria!で最も有名なシングルを紹介していきます。A面はEnglish Sideとして、先述の曲1曲で、B面はDeutsch Seiteとして2曲、収録されています。それでは、それぞれの曲をご紹介していきます。 ◼️English Side ★A “Your Turn To Run (I Will Be Your Only One)” (4:11)は、太いSynth-BとドコドコしたDrsのリズム隊に、ポストパンクっぽいGと朗々としたVoや囁くようなVo (ひょっとしたら別人?)が自在に絡む、正にMalaria!らしい名曲ですね。間奏のSaxもグーだし、終わり方も秀逸です。元曲”I will Be Your Only One”よりもずっと垢抜けています。 ◼️Deutsche Seite ★B1 “Zarah” (3:20)は、虫の音みたいなシンセで始まり、やはり都市民族的リズム隊が入ってきて、それに合わせておどろおどろしいようなVoが入ってくる曲で、GよりシンセやVoに重心を置いているところがMalaria!っぽいです。 ★B2 “Duschen” (4:14)では、ややフリーっぽいDrsとBをバックに、Voが入ってきたと思ったら、いきなりアップテンポで走り始めていき、サビで一旦落ち着くのですが、また走り回ります。間奏のSaxやChoirも良いアクセントになっています。 個人的には、Deutsche Seiteの方が好みなのですが、まぁ、それは人それぞれと言うことで。それにしても、A面は相当、垢抜けていると思われます。それと、裏ジャケの彼女等の写真がカッコ良いこと! 皆さんもこれを聴いて、独逸産都市部族的音楽を堪能してみて下さい! https://youtu.be/hQCDbguGeT0?si=r_wEwmfGV39pEjGo [オマケ: A面元曲”I Will Be Your Only One”] https://youtu.be/rC1aOSfjmqA?si=gUuyG_N2RD8jb8dk #Malaria! #NewYorkPassage #JungleRecords #DasBüro #12inchMaxi-Single #NeueDeutscheWelle #GermanNewWave #AllFemaleBand #EnglishSide #YourTurnToRun #IWillBeYourOnlyOne #Re-Recording #DeutscheSeite #Zarah #Duschen #GudrunGut #BettinaKöster #SusanneKuhnke #ManonDuursma #ChristineHahn
Neue Deutsche Welle (German New Wave) / Experimental Pop Jungle Records / Das Büro 3300円Dr K2
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A. K. Klosowski & Pyrolator “Home-Taping Is Killing Music”
実は、この作品、CDでは持っているのですが、どうしても、アナログで聴きたくなって買ってしまいました。そして、1990年代に西新宿の某専門店で初めて、この作品の存在を知った時は、凄くショックでした。ジャケ写とかインナーの写真を見てもらえると分かるのですが、10数台のカセット・ウォークマンを連結して、それぞれに長めのテープループを仕掛けた、完全手作りの「アナログ・サンプラー」のような装置(? 楽器?)を使って、他の楽器と一緒に演奏し、それを録音していたからです。当然、1985年頃にサンプラーと言えば、非常に高価なEmulator-1がやっと市場に登場した時期でしたので、このLo-Fiでアナログな発想の凄さにビックリした訳です。そのテープ・ループ・マシンを作製したのが、Arnd Kai Klosowski (アルンド・カイ・クロゾヴスキー)で、それと共演しているのが、Der Plan及び面白音楽の宝庫ATA TAKで有名なPyrolator (ピロレーター)ことKurt Dahlke (カルト・ダールケ)で、それぞれの志向を思い浮かべると、両者の会合は必然でした。これを使えば、サルサのトランペットとグレゴリオのコラールが出会い、鉄道のノイズとカンボジアの音楽が出会い、ゴスペルとバイエルンのヨーデルが出会うことが可能であるとのこと。いやはや、こう言う「自作楽器」を作り、また、それで「音楽」を作ろうとする柔軟な思考とそれをやり切る努力には本当に頭が下がります。 それで、A. K. Klosowskiのバイオグラフィーを簡単に書いておきます。彼は、1968年に、ハンブルクのAlbert Schweitzer中学校に通っており、そこの音楽教師がクラシックだけではなく、The Beatlesとかテープループとかも教えていたそうで、Klosowskiは、テープループを作ることに熱を上げていました。そこで思いついたのが、第一世代のPhilipsのカセット・レコーダーを使ってみることでした。そうして、1970年代末〜1980年代初頭に、ちょっとしたメモリー機能も付いたテープループマシンを作り上げます。彼自身はジャズギターもやってはいましたが、このマシンには全く合いませんでした。その後、彼は金細工職人になる修行の為にミュンヘンに移りますが、やはり、このマシンを使って音楽をやりたいと思い、ディスコでDJがブース内でやっていることに利用できないかと思い付きます。そこで、彼は8チャンネルのミキサーを用意して、友達の手を借りて、即興的に、このマシンを操作してみます。しかしながら、その「演奏」を理解してもらえる人はいませんでした。そこで、彼は中学校時代のテープループの実習を思い出し、再び、改良を加え、このマシンを完成させて、自分自身で最初の録音を行なってみます。その録音した作品を、独自主制作レーベルZickZackのボスAlfred Hilsberg (アルフレート・ヒルスバーク)に聴かせます。Alfredは、好意的な反応を示しますが、彼から「多分、君のやりたいことは、ATA TAKのPyrolatorが適任だよ」とアドバイスを受け、早速、ATA TAKに連絡を取ります。しかしながら、Pyrolatorは当時、プロデュース、レーベル運営、出版そして音楽活動等で時間が中々取れませんでした。しかしなが、Pyrolatorは、彼に録音仕方などの音楽のイロハを教えつつ、1984年/1985年に1週間で一緒に作ろうと約束してくれて、Klosowskiは自作のテープループマシンを、Pyrolatorも自分の特注のコンピューターBrontologik (Korg MS-20やYAMAHA DX-7を動かす為のシーケンサー・システムの一種)での演奏を録音しています。2人は、面白いサウンド・コラージュが出来たと満足し、更に、曲になり得る部分をトリミングして出来たのが、本作品とのことです。この作品は、2人の志向が似ていたのとも幸いしていたようです。つまり、2人は、サウンド・コラージュやオブスキュア・ミュージック、新しいテクノロジーに興味があったようです。それで、出来上がった作品は、当初、ZickZackから出そうと思っていたそうですが、Alfredに、ATA TAKの方がカラーが合っていると言われたことで、ATA TAKからリリースされた訳です。現在、Klosowskiは、ハンブルクで金細工職人として働いており、勿論、マシンの方もまだ持っているそうです。 上記の流れの中で出来た作品ですが、最初は、Klosowskiの単名で、Pyrolatorはプロデュースと言うことも考えられていましたが、最終的には、2人の共作と言うことになりました。私の購入した作品は、再発盤なので、A1-B2が1985年作のオリジナルに収録されており、B3-B7は、今回の再発盤でのボーナス・トラックとなっています(A面8曲/B面6曲)。それでは、各曲を紹介していきましょう。 ★A1 “Overtüre” (0:36)は、仰々しいシンセとベースシンセから成る短い前奏曲です。 ★A2 “Österreich” (3:30)は、複雑な打ち込みドラムマシンとオーケストラのテープループに、カットインで入ってくるテープ音やシンセから成る曲ですが、不思議なメロディ感もあって、差し詰めちょっとした「室内楽」ですね。 ★A3 “Tschak” (2:44)では、アラビックなイントロから、ジャジーな曲調になり、時に他の雑多な音要素も混在しており、音的には複雑ですが、難解ではありません。 ★A4 “Hammond” (3:41)は、硬質なリムショットから、アップテンポの曲になりますが、変調した子供声らしき音やシンセ音などの色々な音が次々に出てくる楽しい曲です。ひっそりとシンセのメロディも流れています。 ★A5 “Agana Wudiov” (3:37)は、如何にもな人声のテープループから始まり、複雑な打ち込みリズム隊に合わせて、ループ音(ゴージャスなブラス音も)やシンセ音がちょこまかと絡み合う曲です。 ★A6 “What Made You So No Good” (3:45)は、Bのソロから始まり、囁き合う男/女の声のテープループ音やシンセのリフと可愛らしいリズムとが淡々と綴られる曲で、一番落ち着いた雰囲気です。 ★A7 “Heimat” (2:41)では、変調した人声のループ音とマシンリズムが変な調子で絡み合う曲で、硬質なシーケンスやシンセ・ソロも聴取できます。教会の鐘音で終わります。 ★A8 “Dahomey” (5:07)では、爆発音らしき音の後に、タブラらしき打楽器のループと時折のドラムマシン音で曲が進み、段々と中近東風の歌(多分テープループ)の断片やいびきの音が入ってきます。中々ユーモラスなセンスです。 ★B1 “You Know I Need” (3:18)は、ショット風のシーケンスと打ち込みドラムに、エコーが掛かった人声のテープ音やシンセのリフ等が巻き垂らされつつ入ってくるゆったりとした曲です。 ★B2 “ZV9” (3:52)は、いきなりロックGで始まりますが、それのループに同期した打ち込みリズム隊が入ってきて、擬似ロックな曲に仕上がっています。「Gソロ」もあり、中々カッコ良い! ★B3 “Hi Fidelity” (3:28)では、ハウス風のシンセ音ループから始まり、四つ打ちキックと同期して進みますが、当時、ハウス・ミュージックは、それ程世間に浸透していなかったと思われますので、その先見性は素晴らしいです。 ★B4 “China First On Mars” (5:52)は、ロケット発射のカウントから始まる曲で、不明瞭なマシンリズムにシンセのメロディが延々と続く中、ディレイを掛けた人声や不明な音等が次々に投下されていきます。僅かに中華風の女性の歌唱も含みます。 ★B5 “Österreich (Roughmix)” (3:43)では、バンブーリズムと人声のテープ音で始まり、中々複雑な打ち込みリズム隊(時に逆回転も)に、アコーディオンの音の残骸も時に聴取されます。 ★B6 “Dahomey (Roughmix)” (6:19)は、不鮮明なリズム音のテープループにタブラの音等が加わり、中近東風歌声のテープ音の断片も撒き散らされる曲で、シンセ音はA8ほど入っていません。マントラのような曲です。 久しぶりに聴いてみましたが、当時、聴き流しながら聴いていた時と異なり、じっくり聴いてみると、そこここにテープループ音が上手くハマっており、仕上がりを聴くと、流石Pyrolatorと言うべきミックスになっていますね。まだ、ボーナストラックでの聴き比べも面白かったです。多分、Klosowskiだけではここまでの音楽性は確立出来なかったのでは?と思います。逆に言うと、全体的にはPyrolator色も強いのですが、Klosowskiのテープループマシンによって、異化されており、そのバランスは絶妙ですね。今や、サンプラーなんて素人でも手に出来る機材ですが、この時代にこう言うアナログ・サンプリングによる音楽が世に出た意味は大きいですね! https://youtu.be/IihmgkcUboE?si=Xwig_-XSgn5RTeNn [full album] https://youtube.com/playlistlist=PL22Aa1wSmDcUFSSA7H5YIt3KXl-i2cABf&si=_Btq-jQltzPlSgIc #A.K.Klosowski #Pyrolator #Home-TapingIsKillingMusic #BureauB #2013年 #Reissue #Remastering #ATATAK #1985年 #NeueDeutscheWelle #GermanNewWave #HandMadeCassetteSampler #TapeLoopMachine #Brontologik #Experimental #Electro #SoundCollage #ObscureMusic #TechnicalInnovation #ZickZack #AlfredHilsberg
Neue Deutsche Welle (German New Wave) / Experimental Pop Bureau B (ATA TAK) €20.00Dr K2
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Reifenstahl “Die Wunderwaffe”
強烈なジャケ写で登場したのは、1980年代初頭の独DüsseldorfのデュオReifenstahl (ライフェンシュタール)で、本作品は彼等のファースト・アルバムでもあります。先ず、バンド名からしてふざけています。ナチのベルリン・オリンピック記録映画「民族の祭典」を撮影した女性映画監督Leni Riefenstahl (レニ・リーフェンシュタール)を文字って「熟した鋼」としたところは得点高いですね。 それで、彼等のバイオグラフィーを少し調べてみました。DüsseldorfでPAレンタルをしていたGerd Gaida (CrooxのGでもある)と、彼の同級生Mathias Rappの2人によって、1979年に結成されています。その後、同郷の自主制作レーベルInk Recordsから、1980年にデビュー・シングル”Radio Moskau”をリリースし、その翌年1981年に、本作品でもあるファースト・アルバム”Die Wunderwaffe” (WW2でナチスが命名した「秘密超兵器」のこと)をリリースしています。この時期に、英国BBCでは、DJのJohn Peelが盛んに自分の番組Radio 1で掛けており、Reifenstahlのことをダイナミック・デュオと呼んでいたそうです。実際、彼等は、GやSynth以外にも、チェーンやおもちゃの風船、エナメルのボール等を色んな風に使って出した音をミニマル・ウェーブの要素として用いていました。その後、Crooxのファーストに参加していたSax奏者Micky Reinhard ことMichael ReinhardtとInk Recordsも運営していたCrooxのギタリストMike Schmidtが加入し、4人組となりますが、一度、解散してしまいます。その後、1984年に、Geld Gaida, Michael Reinhardt, Mike Schmidtの3人で、(第2期)Reifenstahlを再開し、Ink Recordsの後継レーベルDer Produzentenklubから、1986年にセカンド・アルバム”Rex”をリリースしますが、活動休止となっています。 以上が、Reifenstahlの略歴ですが、本作品では、強烈なジャケ写で分かる通り、ホラー/サスペンスへのオマージュとして制作されているらしく、そのバックボーンには、プログレ、バッハ、レゲエ、ファンクまでの色んな音楽をごった煮にして、ホラー要素を少々振りかけたエレクトロ・ポップが詰め込まれているとのことです。なお、録音は1980年12月23日〜1981年1月11日に、DüsseldorfのInk Recordsスタジオで行われています。それでは、本作品(A面7曲/B面5曲)に収録されている各曲を紹介していきましょう。 ★A1 “One Two” (2:11)は、キックと共にカウントを数える声と物音系の音、その他、BやらDrsやら何やら。全くナンセンスな曲です。 ★A2 “Die Wunderwaffe” (3:47)は、線の細いシーケンスにBの低音リフと抑制的Voから成る曲で、時にシンセ等が挿入されますが、何かサビみたいな所やその後のSaxとGによる間奏も意味不明に素晴らしい。 ★A3 “Der Wüstenfuchs” (3:41)では、上下するパルス音に、トイドラムとオペラめいたVo、そして時々電子ノイズも。何だこれ? ★A4 “Epilog” (0:28)では、トイドラム対トイサックスの試合かな? ★A5 “Space Invaders” (4:10)も、パルス音に合わせたぶっ壊れたロッケンローが素晴らしい。Bはちゃんと弾けるのかな?変調VoとかGとか、、かっこ良い! ★A6 “Zerbröckelnde Gesellschaftsstrukturen” (1:08)は、おもちゃの笛とシンセ音と反復する癇癪VoとミュートしたBの混合物ですが、全然混ざり合っていないです。 ★A7 “Bonanza” (1:25)は、割とまともな曲で、ビックリだよ!しかし、逆回転とか挟むなよぉ!と言いたくなる。 ★B1 “Intellektuell” (4:17)は、スカスカで完全にLo-Fiなロックで、潔い程、下らない、その中ではDrs(とB)が無理矢理を曲を維持している。そしてVoも! ★B2 “Reumütige Raumfahrer”(4:09)は、ぼんやりした低音Bと何とか「曲」にしようと踠いているGとかDrs等諸々の音断片達から成り、後半では曲っぽくなって巻き返しするインストです。 ★B3 “Tritt Bitte Nicht Auf Mein Glas” (1:57)では、こんな下手な演奏でも朗々と歌えるぜ的Voに思わず泣かされます。 ★B4 “Je T' Air (Ich Dich Luft)” (4:12)は、メトロノーム音に太いBがドライブする曲で、Gも割とまともだし、ユーモラスなシンセも活躍するインスト曲。途中の歪んだGもグーですね。最後テープは何? ★B5 “Ich Denke Oft An Dich (Live Version)” (2:52)では、何かネジ切れたようなGとリフを弾いているらしいBとかがカオスっていますが、段々とシンセやPercで落ち着いてきます。 しかし、これは凄いわ!内容は、もうジャケ写通りの類人猿がやっているような音楽(らしきモノ)ですよ。タガが外れていますが、時々、人類になる所もあり、カテゴライズ不可能ですね。まあ、時代が時代だったし、今はこれは出来ないでしょう。こう言うユーモア・センスが、1980年頃の独逸人っぽいなぁ。日本で言えば、ほぶらきんに相当? 下らなくて、崇高な音楽を演奏するグループですね。要チェック❗️ A7 “Bonanza” (1:25) https://youtu.be/ZDSmNjVyl90?si=MDF2EcgPU_uMlWcu [full album(曲順違い&ボートラあり)] https://youtube.com/playlist?list=PLLvdvodyj3fLUiCdewzWRA8pOL-sVXdPb&si=h_kPEj5dOo8iN43w #Reifenstahl #DieWunderwaffe #InkRecords #FirstAlbum #Düsseldorf #NeueDeutscheWelle #GermanNewWave #ExperimentalPop#Electro #Bass #Percussions #Guitar #Synthesizers #Toys #Croox #GerdGaida #MathiasRapp
Neue Deutsche Welle (German New Wave) / Experimental Pop INK Records €15.00Dr K2