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B.E.F. “Music For Strowaways”
B.E.F.と聞いて、ピーンっとくる人は何人位いるのでしょうか? このB.E.F.とはBritish Electric Foundationの略で、初期のHuman Leagueを支えたシンセ奏者Ian Craig MarshとMartyn Wareが、Human League分裂後に作ったバンドであり、レーベルでもあるのが、このB.E.F.であり、ここから2人はHeaven 17の結成に至る訳です。なお、現在は、レーベルとしてはMartyn Ware1人が運営しています。それで、今回、紹介するのは、彼等のファースト・アルバム”Music For Strowaways”です。それで、バイオグラフィーを書いておきますが、この略語は、別名「イギリス海外派遣軍 (British Expeditionary Force)を文字っているのではないかと思います。元々、1977年初頭に、MartynとCraigはMeatwhistleと言うアート・プロジェクトで、コンピュータ操作を担当をしており、その関係で、ポップ・ミュージック以外にも電子音楽とのコラボをやっていました。1970年代中期に、電子楽器の値段が安くなったのを機に、2人はKorg 700Sシンセを共に買います。それで、彼等は、Roland System-100シンセを持っていた友人のAd Newtonを誘って、The Futureを結成し、シンセを使った曲作りとリハとデモテープを作りをしていますが、Newtonは、自分のバンドClock DVAを作る為に直ぐに脱退します。それで、残った2人は3人目のメンバーとして、ヴォーカリストが必要と考え、最初、Glenn Gregoryに声を掛け損ね、古い友人でモテていたPhilip Oakeyがリードヴォーカルとして加入することになります。彼はSheffieldでは見た目が目立つ存在でしたが、音楽をやったことは無かったそうです。それでも、Wareが説得して、Oakeyを加入され、新しいバンド名にしようとなり、ゲームの名前からHuman Leagueとしています。その後、友人のレーベルFast Productよりシングル”Being Boiled”を出したり、テープを使って、ライブをやっていましたが、Oakeyの友人で、写真などをやっていたPhilip Adrian Wrightがおり、バンドの視覚的要素をやった方が良いと言うことで、Wrightは、スライドや映像或いは照明などを担当する為に、Human Leagueに加入します。それでライブ活動も活発になりますが、1979年4月に、Human LeagueはFast Productより、EP”The Dignity of Labour”をリリースしますが、これは実験的なインスト曲を4曲収録したものです。同年5月に、バンドはVirgin Recordsと契約します。同年7月には、The Men名義で、Lisa (Liza) StrikeとKatie KissoonをゲストVoとしてディスコ調の曲”I Don’t Depend On You”をシングルでリリースするもチャートインはしませんでした。同年8月に、Human Leagueとしてのフルのファースト・アルバム”Reproduction (人類零年)”をリリース。その後、1980年4月に、EP”Holiday ‘80”をリリース。これには、メインの”Marianne”の他、David Bowie&Iggy Popの曲”Nightclubbing”とGary Glitterの曲”Rock and Roll Part 2”のカバーを含んでいました。1980年5月に、英国ツアーをしますが、この頃には、Wrightは映像以外にもキーボードも弾くようになり、セカンド・アルバム”Travelogue”をリリース、よりコマーシャルな音楽になっています。しかしなから、商業的成功には恵まれず、また、WareとOakeyの関係も悪化し、1980年にWareは、Marshを引き連れて、脱退してしまいます。それで、WareとMarshが直ぐに作ったのが、このB.E.F.であり、その後のHeaven 17であります。それで、B.E.F.の最初のリリースは、本作品でもあるカセット作品”Music For Strowaways”とLP “Music For Listening To”です。何故、本作品が、カセットのみでリリースされたのかは、Sony Walkmanの見た目で閃いたとのこと。その頃、英国にもWalkmanが店頭に陳列され始めており、最初、Sony Strowawayとして表示されていたのもタイトルに関係しています。その後、1982年に、リードヴォーカルとしてGlenn Gregoryが加入する形で、Heaven 17としての活動が並行して開始されます。B.E.F.としては、その後、”Music of Quality and Distinction Volume One”をVirgin Recordsからリリースしますが、このアルバムは他のアーティストのクラシック・ソングをカバーしたもので、ヒットはしたのですが、B.E.F.名義としてではなく、Various Artistsということになってしまいました。その後、B.E.F.としては、”Music of Quality and Distinction Volume Two”で、Tina TurnerやBilly Mackenzieをヴォーカリストに迎えてアルバム作製を行っています。そして、2013年5月27日にアルバム”Dark”をリリースしており、Wareによると、以前にカバーしていたHaul & Oatsの"You've Lost That Loving Feeling"のような路線に回帰したとのこと。以上が、The Future〜Human League〜B.E.F.の流れです。 それで、本作品の内容を解説していきます。A1 “B.E.F. Ident”とB6 “B.E.F. Ident”の作曲・演奏はMalcolm Vealがやっていますが、この人物については全く不明です。A2 “The Optimum Chant”なんかは初期Human Leagueと言っても良いですが、何となくダルなビート感が違うかな? A3 “Uptown Apocalypse”では、Steven James Turner (B)とAdi Newton (Synth)がゲスト参加しており、Wareの作り出すマシンビートにファンキーなベースか乗っており、時代を先取りしていますね。A4 “Wipe the Board Clean”は懐かしいシンセで作ったスネアとキックの音に自由なシンセのメロか絡むインスト曲です。A5 “Groove Thang”では、John Wilson (G, B)がゲストで参加しており、彼のスラップ奏法のベースやギターのカッティングが飛び跳ねているファンク色の強い曲になっています。A6 “Music to Kill Your Parents By”は重厚なシンセの不協和音による小曲てすか、これはボーナストラックです。B1 “The Old at Rest”は、アンビエント調のノンビートの曲ですが、シンセの音色やアレンジは、当たり前ですが、初期Human League期のそれと類似しています。B2 “Rise Of The East”はシンセとかで作ったタブラ風の音色がエセ・インド調のリズムを奏で、心地良いです。それに対になるB3 “Decline of the West”は、簡素なリズムに、これまた初期Human Leagueを彷彿とさせるシンセのメロとアレンジで泣けます。B4 “A Baby Called Billy”もリズミックな曲で、小気味良い泡のようなシンセ音が鳴っています。B5 “Honeymoon in New York”なんかは今でこそ作れそうですが、アレンジが「シンセ」向きに作られていますね。本作品では、スネアやキックの音はシンセで作っているようですし、また、シンセによるノイズ的な音や不協和音を飛び道具のようにふんだんに使用しており、そこら辺はやはりHuman Leagueの作曲・演奏を担当していた2人だなあと納得してしまいます。正直言うと、この路線で、Heaven 17も行って欲しかったです。しかしながら、この音源が再発されたことは、アナログ・シンセ本来の自由度を再確認できますので、その点で良かったと思います。初期Human Leagueのファンの方はマストです‼️ A1 “B.E.F. Ident” (0:34) A2 “The Optimum Chant” (4:11) A3 “Uptown Apocalypse” (3:11) A4 “Wipe The Board Clean” (3:47) A5 “Groove Thang” (4:07) A6 “Music To Kill Your Parents By” (1:26) B1 “The Old At Rest” (5:37) B2 “Rise Of The East” (2:53) B3 “Decline Of The West” (7:11) B4 “A Baby Called Billy” (4:02) B5 “Honeymoon In New York” (2:16) B6 “B.E.F. Ident” (0:36) 直接本作品とは関係ないですが貼っておきます。B.E.F. w/ Boy George “I Wanna Be Your Dog” (カバー) https://youtu.be/X6riPwiVyto [partially selected tracks] https://youtube.com/playlist?list=PL8BC_y7OummR1_1qwuZL_bfzO_hl1AkrK #B.E.F. #BritishElectricFoundation #MusicForStrowaways #VirginRecords #ClodSpring #Reissue #Cassette #ElectronicMusic #Synthesizers #Instrumental #Ex-HumanLeague #Pre-Heaven17 #MartynWare #IanCraigMarsh #Label #Group #GlennGregory #MalcolmVeal
Electronic music Cold Spring (Virgin Records) 4400円Dr K2
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Conrad Schnitzler & Pharmakustik “Schubkraft”
ついつい、買ってしまうんです。今回は、Conrad Schnitzler先生とPharmakustikとのコラボ作品3部作の最終作品”Schubkraft”です(2016年作第1部”Kontraktion”、2018作第2部”Extruder”があります)。Schnitzler先生については、これまでも色々書いてきましたので、ここでは、Phamakustikのバイオグラフィーを補足しておきます。PhamakustikことSiegmar Fricke氏は、1981年辺りから活動を始めた独逸の実験音楽家で、元々は、短波ラジオとアコースティックな音を用いた作品を作製しており、丁度、ミュージック・コンクレートとポスト・インダストリアルの間に位置して、世界的なカセット・カルチャー・シーンで活躍しています。それで、Siegmar氏は自身のレーベルBestattungsinstitutを運営し、1985年〜1993年の時期に、実験音楽から、EBM、エレクトロ、テクノ、アンビエントまでを取り扱っており、その後、ネット・レーベルに移行しています。2009年より、彼のソロユニットとしてPhamakustikを名乗り始め、また2013年からは、ポップな音楽をやる為に、Dieter Mausonとのコラボ・ユニットDelta-Sleep-Inducing Peptideを立ち上げています。それで、Pharmakustikでは、一種の音響学的研究や音に関するリサーチ或いはアコースティックな音の断片の再統合などを行い、極めて電子的て抽象的なレイヤーを作り出していたとのことです。 そんな2人がコラボして作り上げた内の第3作目が、本アルバム”Schubkraft (「推進力」の意)”になります。クレジットによると、このシリーズは、1986年11月〜1987年7月にBerlinのSchnitzler先生のスタジオで行われた未発表音源を順次発表しているようです。2人が用いた楽器は、EMS Synthi A, Korg MS-20, Dynachord Echocord, Automatic Rhythm-Player, Digital Delay, Ibanez MultiEffector, Radio, Yamaha CS-5となっており、アルバムは、両面1曲ずつの長尺の曲から成ります。両面とも、もう涙がちょちょ切れる位、素晴らしい曲です!A面は、スペーシーなシンセと、Esplendor Geometricoのように駆動するリズムマシンの絡みから成り、まるで「電子界を走る銀河鉄道999」のようです。結構、リズム音が強調されたミックスになっています。最後で、リズム・パートが無くなってからは、お互いの電子音が自由に絡まり合って、程良い緊張感を出していまし、ディレイが効いていて、宇宙へ飛んで行きそうです。一方、B面は、リズムマシンは使っているものの、ロング・ディレイを掛けたシンセ音が瞑想音楽のように響き渡り、一瞬、1980年代のM.B.サウンドがフラッシュバックします (Fricke氏は復活後のM.B.ともコラボしていますね)。時間軸が曲がってしまった世界で音楽を聴いているようです。B面の最後には、何故か、ラジオの音声と不気味な電子音との狂宴に移行し、不穏な空気感で終わります。両者とも、電子音や実験音楽をベースに活動している/していたので、本作品のような素晴らしいコラボ作品が出来たのだと思います。ミックスはFricke氏によって、2019年に行われていますので、その為、Fricke色がやや強く出ているのかもしれませんね。これを聴いたら、第1部と第2部も欲しくなりました。全ての電子音楽ファンに必聴です‼️ [trailerのみ] https://youtu.be/9VZn8_z4lYc #ConradSchnitzler #Pharmakustik #SigmarFricke #Schubkraft #Rotorelief #CollaborationAlbum #第3弾 #ElectronicMusic #Experimental #1986年-1987年録音 #2016-2017年再構築 #LimitedEdition #500部
Electronic music Rotorelief 2100円Dr K2
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Conrad Schnitzler “Zug”
日本のオークションで、中々見つけられないのが、Conrad Schnitzler先生の作品です。で、やっと見つけました。結構、晩年の作品で、A面はオリジナル曲”Zug”、B面は、B1が、Stefan Betke氏のソロユニットPoleのよる再構成(reshape)、B2がChristian BorngräberとJens StrüverのコンビでもあるBorngräber & Strüverによるリミックスがそれぞれ収められています。本作品の内容を紹介する前に、B面の各アーティスト/グループについて、簡単にご紹介しておきます。先ず、Pole (Stefan Betke)ですが、彼はDüsseldorf育ちBerlin在住のミュージシャン兼プロデューサー兼マスタリング・エンジニアとして、25年間に渡って、アブストラクトな電子クラブミュージックと関わってきており、この期間にリリースしたPole名義の7枚のアルバムは、エレクトロニカへの転換を強く示唆するものです。そして、彼はダブトロニック/グリッヂを用いる音楽家であり、同時に~scape RecordsとレーベルPoleを運営し、Scape Mastering studioで働いています。一方、Borngräber & Strüverですが、1999年から一緒に作業するようになったBerlin在住のデュオです。彼等はサンプリングとリミックスで色々な音楽のリリースに関係しており、2010年には、M=Minimalレーベルを立ち上げ、色々なタイプのミニマル・ミュージックを支えてきています。今回のアルバムも、彼等のレーベルM=Minimalからですね。 それで、本作品の内容についてですが、A面のSchnitzler先生の曲は、いつものように、簡素なリズムボックスのシーケンス、それにややダウナーだが浮遊感のあるシンセによる即興的メロディと電子音と言う至ってシンプルな楽曲からなり、それだけでも、気持ち良い反復を体感できます。多分、Schnitzler先生の最初期(1978年)のアルバム”Con”に収められていた曲のフルレングス・ヴァージョンだと思われます。それで、B面に移ります。B1はPoleによる「再構成(Reshape)」ですが、Pole独特のディレイ処理をリズムボックスの音に掛け、更にリズムパターンを変え、電子ダブな曲にミックスし直して、アブストラクトな音楽に仕上げています。次に、B2はBorngräber & Strüverによるリミックス(リシェイブとは違う!)ですが、彼等は大胆にヘビーなキックのリズムを入れて、大幅にクラブ寄りの曲に仕上げていますが、その隙間から聞こえてくる電子音が如何にもSchnitzler先生的で、ちゃんとリスペクトしているんだなあと感心します。ここで証明されるのは、1978年に既に、その32年後でも充分に楽しめる音楽をSchnitzler先生は作っていたと言うか、また逆にPoleとBorngräber & Strüverは、32年前の曲を再認識でき、それを生まれ返らせたのかもと言えます。とすると、この作品では、ミニマルな電子音楽の普遍性と可塑性を同時に体験出来るものと考えます。なので、未聴の方、一度は、聴き比べてみても面白いですよ❗️ A面 “Zug” by Conrad Schnitzler https://youtu.be/pXkzMrQFckc B1 “Zug” Reshaped by Pole https://youtu.be/lHjLZ1__YE0 B2 “Zug” Remixed by Borngräber & Strüver https://youtu.be/Cz8PCS3k__g #ConradSchnitzler #Zug #M=Minimal #Pole #Borngräber&Strüver #ElectronicMusic #Minimal #Reshaped #Remixed #German #ClubScene
Electronic music M=Minimal 1800円Dr K2
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Haruomi Hosono with Friends of Earth. “S-F-X”
細野晴臣、このお方については、もう説明の要らないでしょう。と言う訳にもいかないないので、簡単に(?)かい摘んで紹介していきたいと思います。東京都港区生まれのボンボンで、最初は漫画家を目指していましたが、立教大学在学中にBをはじめ、数多くのバンドを経た1969年、エイプリル・フールのBとしてメジャー・デビュー。その後、大瀧詠一、松本隆、鈴木茂とはっぴいえんどを結成。日本語ロックの礎を築きます。1973年のはっぴいえんど解散後、ソロ活動と並行して鈴木茂、林立夫、松任谷正隆とキャラメル・ママ(のちにティン・パン・アレーと改名)を結成します。ソロ活動としては、1973年に1stアルバム”Hosono House”は、当時、狭山市のアメリカ村で宅録にて作製しており、その後もコンスタントにソロ名義でアルバムをリリースしていきます。シンセサイザー・コンピュータを用いた音楽やディスコへの興味が高まっていった1978年、元Sadistic Mika Bandの高橋幸宏、当時スタジオ・ミュージシャンでもあった坂本龍一とYellow Magic Orchestra(YMO)を結成しています。YMOは当初、細野氏の単発の企画ものでしたが、1980年にブレイクし、メディアへの露出が目立つようになっていきます。同時に、細野氏はヴィデオ・ゲーム・ミュージックの世界でも活躍し、アルバムを出しています。1983年のYMO散開後は、Non StandardとMonadoの2つのレーベルを立ち上げています。Non StandardからはPizzicato FiveやWorld Standardを輩出しており、Monacoはより実験的な音楽をサポートしています。YMO時代からの多忙に加えて、日本のバブル崩壊以前の消費社会に幻滅し、1980年代後期にはワールド・ミュージック、1990年代にはアンビエントにアプローチしていきます。自身のレーベルDaisyworld Discsを1996年に創設し、2002年よりYMO時代の盟友、高橋幸宏とSketch Showを結成し、フォーキーなエレクトロニカ・サウンドに取り組んでいます。Sketch Showは、坂本龍一ともコラボレートしており、ライヴやコンピレーション・アルバムでは3人でHuman Audio Sponge (HAS) として活動も行っており、2007年にはHASとしてのライブ活動のほか、YMOとしても”Rydeen 79/07”を発表し、更にはHASYMOとしても活発に活動をしています。一方で、2005年9月に狭山稲荷山公園で行われたハイドパーク・ミュージック・フェスティバルではアルバム”Hosono House”の曲を演奏しており、以降、東京シャイネスやHarry Hosono Quintetなどのユニットを結成し、カントリー&ウェスタンスタイルのライブ活動を行なっています。2008年3月には、平成19年度芸術選考の大衆芸能部門で文部科学大臣賞を受賞しています。殆どWikiを頼りにコピペしただけですが、細野晴臣氏の略歴は以上です。 今回、紹介するのは、1984年にリリースされた10枚目のソロアルバム”S-F-X”です。私は元々、YMOアレルギーがありますので、ここら辺の音楽はそんなに聴いてはいないのですが、ジャケ写で購入しました。それで、正式名称はHaruomi Hosono with Friends of Earthとなっていますが、このFriends of Earthは特定の人物ではなく、シンセやドラムマシンなどの機材自体或いはそのオペレーター(Eiki Nonaka)のことらしいです。それで全体の印象ですが、YMO的な部分とそこから逸脱しかけている部分はありますが、正直に言うと、どうにも中途半端な英詞で歌ったり、メロディの端にフュージョン臭いアレンジが滲んでいたりと、ちょっと私的には苦手な部分も感じました。A面B面3曲ずつで、ほぼほぼ5分台の曲から成ります。確かに、使っている機材は凄いのですが、何か複雑なことやり過ぎているようにも感じます。とは言っても、凄い機材で複雑な曲が書けて、演奏できるのはプロの特権でもある訳ですから、それはそうとして評価したいところですね。あと、多分、殆どのパートは打ち込みとコンピューターで作られているのではないでしようか? だとしたら、細野晴臣氏の音楽力は相当凄いですね。そのことを実感できるだけで、本作品を聴く価値はあると思います❗️それと、この時代に、かなり直角的なリズム(特にインスト曲)を使っている点も先見性がありますね。それとB3 “Dark Side of the Star”のリリカルなピアノ演奏に、細野氏の「その後」を感じます。あと、因みに、インサートの細野晴臣氏のポートレート、メチャクチャカッコいいです。別人みたい❗️ A1 “Body Snatchers” A2 “Androgena” A3 “SFX” B1 “Strange Love” B2 “Alternative 3” B3 “Dark Side Of The Star” A3 “S-F-X” https://youtu.be/fO6ICzFEOsA [full album] https://youtube.com/playlist?list=OLAK5uy_kwhMY9A6u6v9d34PrhtqPFVZ4tsQ5vpdc #HaruomiHosono #FriendsOfEarth #S-F-X #Non-Standard #ElectronicMusic #Electronic #Synthesizers #Instrumental #VocalTracks #打ち込み #Computer #YMO
Electronic music Non-Standard 5775円Dr K2
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Meilsnaar “s/t”
これまた謎物件❗️Meilsnaarの登場です。とは言っても良くは分からなかったので、少し調べてみました。Meilsnaarは、SanairとUnderground Pollution Recordsを運営しているVivian Grezzini(男性です)ことEcoute La Merdから成るデュオがMeilnaarとのことです。この作品は、彼等にとっての初のLPになりますが、同時に最後のLPでもあります。ただ、これ以上の情報は見つけられませんでしたので、もし何か知っている方がいれば、教えて下さい。 と言う訳で、本作品の内容についてですがDiscogsの表記では2曲入りなんですが、レコードの裏ジャケに書いてあるのはどうも3曲っぽいんですよ。ただ曲名もないので、詳細は分かりませんが、、、。その3曲とらいうのは、(1) ギター, ホームメード楽器, シタール、(2) Loops, Vintage Synth, Effects, (3) ギター, Vintage Synth, Effectsと言うことみたいです。しなしながら、レコードを聴いても2曲のように思えるんですけど。そして曲の方は、ダラダラと続く不穏なシンセの音やギターやメタパーっぽい音が付かず離れずまとわりつく感じと言えば良いのでしようか。アンビエントとしては何かしらの悪意を感じますし、かと言ってハーシュ・ノイズでもないです。アブストラクト・ノイズと言えば良いのかな?ここら辺はまだ整理されていないところもありますので、ジャンル分けは難しい、或いは大した意味がないですが、録音物を探す際に一つのメルクマールになると思われますね。そんな抽象的な中庸の音楽が好きな方は、聴いてみてもよいかも?パンチは無いけど、貴方をトリコにする魅力はあるかも! 本作品はYouTubeになかつたので、彼等のライブ動画を貼っておきます。 https://youtu.be/5RdJCqUCZcU #Meilsnaar #Fragment #UndergroundPollutionRecords #Sanair #VivianGrezzini #Guitar #AnalogSynth #HandMadeInstrument #Effects #FrenchDuo
Electronic music Fragments & Underground Pollution Records 不明。Dr K2
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David Prescott “From Chance To Probability”
実は、これも謎物件なんですよー。いつの間にか購入していました。なので、ちょっと調べてみました。Prescott氏、ボストンに居を構える宅録アーティスト(Home Taperとも言う) なんですが、何と❗️あのルーマニアの現代音楽の巨匠Iancu Dumitrescu氏とのスプリット作品も残しているではないですか❗️それで、彼が言うには、1981年になって、Moogなどのアナログ・シンセが比較的安価になって、誰もがKlaus SchulzeやClasterのような音楽ができるようになったということ、そしてそのような音楽を大学のラジオ局で発信出来るようになったこと、更には、1983-1984年にはTascamなどの会社が、4トラックのカセットMTRを販売し、自宅で録音が可能になったことで、宅録文化が形成されつつあったと言う訳です。彼の認識では、そんな宅録文化は1986年にピークを迎え、同時にメール・アートのように、昔なら発表することも叶わなかった音楽を流通させることが可能になり、家から離れたところに住んでいる仲間(例えばZan HoffmanやMinobu など)とも郵便を通じてコラボできるようになったとのことみたいですが、私の認識ではそのような宅録文化とメールミュージックは1981ー1983年頃では?と言う感覚です。とまあ、アマチュア電子音楽家が活動し易くなったのは事実で、今ではBandcampなどで、一億総「音楽家」時代に突入した訳です。PCとちょっとした機材があれば、誰でも自分の音楽ャ音楽擬を配信できるようになった訳です。と言う訳で、彼は1980年代〜1990年頃まで宅録音楽家として活動していたみたいです。Generations Unlimitedは彼のレーベルでしたが、Conrad Schnitzlerのカセット作品を沢山扱っています。一時期、休止期がありましたが、2014年からレーベル活動を再開しているようです とまあ、そんな活動をしてきたDavid Prescottですが、本作品は、彼のソロとしてはファーストアルバムになります。A面/B面に一曲づつ長尺の曲が収められています。多分、シーケンサーやリズムマシンは使っておらず、ウニョウニョした抽象的なアナログシンセの多重録音と思われる曲からなります。彼がConrad Schnitzlerにシンパシーを抱いていたのが、分かるような内容です。多分、Conrad Schnitzlerが好きだったのでしようね。ここら辺の宅録文化は一度、検証してみたいですね。と言うことから分かるように、もし、Conrad Schnitzlerが好みであれば、今回紹介したDavid Prescottの作品も気に入ると思いますよ。一度、聴いてみて下さい、 本作品はYouTubeに無かったので、Ianc Dumitrescuとのスプリット作品より。 https://youtu.be/XmhaaU9pSWw #DavidPrescott #FromChanceToProbability #GenerationsUnlimited #Home-Taper #宅録 #ElectronicMusic #MaliArt #MailMusic #Synthesizers #Abstract
Electronic music Generations Unlimited 不明。Dr K2
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Mads Emil Nielsen + Chromacolor “Constellation”
これは、視聴して気に入ったので購入したブツです。私はこのレーベルもアーティストも全然知らなかったのですが、レーベルについて少し調べました。Arbitraryは、デンマークのレーベルで、Mads Emil Nielsenによって2014年に設立されています。このレーベルでは、録音物(VinylやCD)の他、図形楽譜や視覚芸術品などもリリースしており、独逸、米国や露などのアーティストによる実験的ミックステープやコラージュ音源などのコレクションもリリースしているとのことです、またこのレーベルは「ライブ&リスニング・ルーム」と言うコンサート・シリーズをコペンハーゲンで行ってもします。また、当たり前なんですけど、レーベルの運営者でもあるMads Emil Nielsen自身の作品やコラボ作品が多いです。また、図形楽譜を演奏するFrameworkシリーズとして、Andrea Neumann, Jan JelinekやNicola Rattiの他、ベルリンで、活動しているDenselandやThe Pitchも作品もリリースしています。大体、このようなサウンド・アート的なレーベルなのですが、今回は、その創設者でもあるMads Emil Nielsenの作品と独逸のサウンド・アーティストにしてプロデューサーChromacolorことHanno Leichtmannによるリミックス・トラックから成る10㌅シングルとなっています。元のトラックはMads EmilがストックホルムのEMS電子音楽スタジオでBuchlaシンセを用いての即興演奏と短い録音と、それらにオーケストラのループ音をミックスして、それをA面に配置して”Constellation “としてます。こちらは如何にもBuchlaと言うべき、スペーシーな作品でシンセ好きには堪らない作品になっています。一方、Chromacolor側は、2017年にMads Emilが行ったライブ・パフォーマンスを聴いた後に、Hannoが、Mads Emilのトラックも含めて色んな音源をリミックスした曲をB面に配置して”Constellation Remix”としています。その為か、B面は、一部重低音聴かれますが、ややアンビエント調になっており、ヴィブラフォンの音やFender Rhodes の音も使われて、落ち着いた音楽になっています。両者の対比が面白く、リミックスでこんなに変わるのか!と驚いてしまいますが、現代のリミックス文化では当たり前なのかもしれませんね。ただ、もう少し長く聴きたかった感は否めません。しかしながら、現在進行形の電子音楽(サウンド・アート)を聴くことができますので、皆さんも良かったら、聴いてみて下さい。 “Constellation” by Mads Emil Nielsen https://youtu.be/nyNfFY8QVQg “Constellation Remix” by Chromacolor https://youtu.be/abnAUKhNlX0 #MadsEmilNielssen #Chromacolor #Constellation #Arbitrary #ClearVinyl #Remix #BuchlaSynthesizer #Vibraphone #FenderRhodes #Denmark #Germany
Electronic Music Arbitrary 2497円Dr K2
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Short Term Memory “Effect To Excess”
これを知ってる人は、余程、コアな人だと思います。1983年、私はメールアート/ミュージックの世界にいました。そこで、Chain Letterと言う、一種のネズミ講のようなことが流行っていたのですが、そのシステムについて、少し説明します。先ず、10人/組の住所が書いてあるコピーが送られてきます。そうしたら、一番上に書いてある人/グルーブに1本、自分のカセット作品を送ります。そうしたら、その人/グルーブの住所を消して、自分の住所を一番下に入れたコピーを自分の知り合いのアーティストとかグルーブに10枚を郵送します。すると、やがて、自分の住所が一番上に来た時には100本のカセット作品が送られてくると言う仕組みです。でも、中々、10人の人に送っても、書いてある通りに100本、どころか殆ど送られてきませんでした(幾ら、カセットと言っても、知らない人に送る訳ないよね)。そんな中で、いきなり、送られてきたのが、このShort Term Memoryのファースト・アルバムでした。当然、彼らのことはそれまで、全然知らなかったし、WikiとかGoogleも無いし、当たり前ですけど、まさか、米国Kansas市からいきなりLPが送られてきたら、ビックリしますよね。それで、まだ私はカセット作品しかなかったので、自分のカセットを送りましたよ。ただ、私自身の興味がその頃から病理学に移って行ったので、それっきりになりましたが。まあそんな時代であったと言うことです、ハイ。なので、余りバイオグラフィーとかも書けないんで何とか調べました。メンバーはJim Skeel, Jonathan Paul, Robert Duckworthのトリオで、ミズリー州Kansas市をベースに活動していた電子音楽グループと言うことです。1983年に結成されたグループで、始めはKevin Dooley, Jonathan Paul, Jim Skeelだったとのこと。ただ共通していたのは電子音楽の可能性を見つけることだったらしいです。彼等は土曜の夜に集まって、ジャムセッションをしていたようですが、それをJimが録音したりもしていました。その時は、KevinがSax, JonathanがDr, JimがKbdで、Mark Rew (G), Jeff Rew (B), Jerry Slepekis (Vo)も加わった編成で、ニューウェーブ・バンドJohn Doeと名乗ってやっていましたが、Kevinとのジャムセッションに余りにも時間を費やし過ぎたとのことで、John Doeは1982年大晦日にラスト・ギグをやって解散します。その後、1983年初めに、JimとJonathan及びKevinは新しい、何処にも無いような音楽をやりたいとのことで、シンセとドラムマシン、シーケンサーを全て同期させた電子音楽をやり始めます。それがこのShort Term Memoryです。基本、ドラムマシンにJimのアルペジオネイターを同期、更にKevinのベース・シーケンサーも同期させ、KevinとJimがシンセでジャムり、またそれらの音をJonathanが操作すると言うスタイルに落ち着きます。DIYレーベルを作り、そこから彼等のファーストカセット”Every Head Needs Cleaning”をリリース。ラジオ局やジンに送りまくります。そして、JimとJonathanはディストロの拡大の為、NYCを目指すことになりますが、戻ってきた時には、Kevinの居場所は無く、脱退します。JonathanとJimはドラムマシンの代わりに生ドラムを使おうと思い立ち、JonathanはDrに戻ります。その後、Cal CooperにVoとシンセをやってもらい、彼らの一番の理解者Dave OldsがBになります。この編成はライブではウケが良かったみたいです。ただ、Daveは出ていって(?)しまいましたが。1984年には、Robert Duckworthが加入しますが、Robertは直ぐにバンドの核と成り、彼の弾くフレットレス・ベースで、よりジャジーな音楽にバンドも音が変わります。その年には30分カセットアルバム”Lost In Gundam”をリリース。更には本作であるファーストLP”Effect To Excess”もリリースしました。これにはKevinのサックスを使っている時のテイクも入っています。まあそんな感じでまだまだ続くのですが、今も彼等の音源などはBandCampで聴くことができます(ここに書いたのは、FBからの引用です)。ザックリ言うとA面は初期のトリオでの曲が中心で、B面はRobert加入後の曲でしようか。なので、A面は宅録テクノポップにジャズの要素(Saxがそれっぽい)をちょっと振りかけた感じで、基本的にドラムマシンを使った曲が半分位あります。B面はドラムがメインで、よりジャズっぽい感じでしようか?Robertのベースが冴えますね。どちらも、ヴォーカルには余り重きを置いてはいないように思えます。個人的にはA面の曲がツボるんですが、聴き直してみると、B面のミニマル・アンビエント風やジャジーな曲など多彩な曲の方も面白いですね。交換した当時は、未だ、インダストリアル小僧だったので、ちょっと背伸びした感じでした。今聴くと中々良いので、もし、よろしかったら、聴いてみて下さい。 “I Don’t Care” https://youtu.be/AUQkAxVUuY8 BandCamp https://short-termmemory.bandcamp.com/album/effect-of-excess #ShortTermMemory #EffectToExcess #SillyPoodleRecords #ChainLetter #MailMusic #Synthesizer #DrumMachine #Drums #ElectronicMusic #KansasCity #JimSkeel #JonathanPaul #KevinDooley #RobertDuckworth
Electronic music Silly Poodle Music 郵送代Dr K2
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Conrad Schnitzler “Conal”
またまたまた出ましたよ、Conrad Schnitzler先生のアルバム”Conal”です。もう何枚目か数えるのも大変なのですが、大体16, 17枚目みたいです。今回は、ノルウェーのレーベルUniton Recordsからのリリースで、A面B面1曲づつの長尺の曲が収められています。バイオグラフィーは散々書いてきましたので、省略します。この人も一種の天才なんだろうなぁ。兎に角、Conrad節に貫かれた電子音が縦横無尽に飛び交っており、たっぷりと彼の音世界を堪能できます。ピロピロした電子音に通奏低音、そこに嵐の如き鋭い電子音が絡まり合って、何とも言い難い、が、しかし、直ぐにConradの音楽と分かる曲と思います。しかしながら、彼の音楽の抽象性とは一体何だったのだろうか?それは、電子音にしかできない音を(他の楽器では出来ないこと)を作り、更にそれらを組み合わせることで、言語化以前の脳のプリミティブな部分に作用する音楽なんでしょう。感覚野に作用する音楽ですね。それを直感的に理解し、音楽を作り続けたことも正直、凄いとも思います。1981年と言えば、世間ではポストパンクやニャーウェーブが台頭してきた時代ですが、そう言うことにも目もくれず、作り続けることこそ我が使命とばかりに唯我独尊の道を進んだ彼は真に非商業的アーティストなのでしょう。こよ作品を聴いて、そんなことに思いを馳せました。なので、いろんな解釈のできる、彼の音楽を是非体験してみて下さい! https://youtu.be/tKDzTcOROFI #ConradSchnitzler #Conal #UnitonRecords #ElectronicMusic #Synthesizer #Abstract
Electronic music Uniton Records 不明Dr K2
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Conrad Schnitzler “Con”
Conは”Con”rad Schnitzlerの代名詞❗️と言う訳で、またまた、Conrad Schnitzlerのアルバムで、その名も”Con”です。セルフ・リリースを除くと2枚目のアルバムであり、しかも、レーベルは仏の名門EGGです。バイオグラフィーは以前に書きましたので、ここでは省略しますが、彼の名前が知られたのは、Tangerine Dreamの創設者にして、Klusterの創設者と言う、電子音楽系ジャーマン・ロックの始祖とも言える存在だからだと思います。 それで本作品についてですが、日本語ライナーには「インプロビゼーションを多用した現代音楽的」と評されていますが、私は、寧ろ、現代音楽(何を持ってそう言うかは別として)よりも、寧ろある種のポップネスを持った(ロック)ミュージックと思えます。この差異は時代によるのかもしれませんね。本作は5曲入りですが、B面2曲目の”Metal 1”と3曲目”Black Nails”はメドレーになっています。またライナーでは「ポピュラー・ミュージックではあるが、ロックではない」と言う文言が記載されていますが、今や、これらのシンセサウンドや電子音楽はロックかどうかは別として、既に市民権を得ており、今では、これもまたロック(ロックの定義によりますが)とも言えるのではないでしょうか? そうは言っても、全編に流れるシンセによる電子音の煌めきは、如何にもConrad節とも言える曲調で、独特のユーモアもあり、私には一種のポップ・ミュージックのように聴取することも可能では?と思います。リズムボックスやシーケンスの使い方も単にベーシック・トラックと言う訳ではなく、ディレイ処理により不思議な浮遊感も待って提示されています。複雑に交差する電子が織りなす音空間が彼らしくて、興味深いです。何とも抽象的な音像で、それこそが、電子音楽のキモだと思い、彼は早くからそのことに気付いていたのではないでしょうか。まあ、堅苦しく考えずに、気楽に聴いてみても楽しめると思いますよ。 https://youtu.be/EWVCgpzstLk #ConradSchnitzler #Con #EGG #ElectronicMusic #Synthesizer #Experimental #GermanRock
Electronic music EGG 1900円Dr K2
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Thomas Hamilton “Pieces For Kohn”
私も、このアーティストについては全然知りませんでしたが、視聴してみて、面白かったので、購入しました。そのアーティストはThomas Hamilton(Aerosmithのベーシストじゃないです)。それで調べてみようとしましたが、同姓同名のアーティストが多く、また世界的に知られている訳ではないので、困難を極めました。それで、このアルバムに付いている解説を掻い摘んで、書くことにします。彼は、ミルウォーキーの高校生時代に、1965年のVladimir Ussachevsky先生の講義を聞いて、電子音楽に目覚めたそうです。その中で、Vladimir先生はその時代に有名であった電子音楽の作曲家(Bulent Arel, Karheinz Stockhausen, Pierre Henry, Milton Babbitとその協力アーティストOtto Luening)について触れられてたそうです。それで、Thomasは、電子音楽の実験を気づくきっかけになり、音を出す為の自作基盤を作り挙げてたミュージシャンThom David Masonと一緒に学んでいきます。その後、Thomasは、1969年にワシントン大学の学生になる為にセント・ルイスに引っ越し、卒業後には、そこで、電子音楽をデザインしたりして、録音スタジオを立ち上げます。そのスタジオで、既成のDIYシンセを初めて作り上げ、それから数年はCVで働く電子機器の開発をやっています。1970年中盤になって、彼は電子音楽が他の楽器による演奏よりも満足し得る音楽であると悟ります。そんな彼は、セント・ルイスのアーティストBill Kohnと出会います。Billは3-Dの幾何学的・建築的作品をペイントやプリント及び水彩画で作り上げでおり、その作品の色彩感覚がThomasのお気に入りになりました。それで、Billの個展を開くことになって、Billから、オープニングの音楽を作ってはくれないか?と頼まれます。それで、Thomasはレコードの作製と同時にオープニングの曲を作り始めます。彼は先ずワシントン大学附属電子音楽スタジオで聴いてきた音楽を聴き直します。そのスタジオと言うのは、Thomasがデザインし、1971年に最初に建てたものです。そこで、彼はシンセARP 2500とら2600を用いて、本作品を多重録音していくことになります。ただ、色んな電子音を同期させるのは難しく、4トラックで録音した素材を、更に16又は24トラックのレコーダーに落とし込んで、複雑なリズムを作り上げました。この手法はそれからも、彼のお気に入りの手法となります。また、この作品では、エンジニアBill Schulenburgの素晴らしい手腕のお陰でもありました。その後、ThomasはLPをリリースしますが、暫くして、New Music Distribution Serviceを知り、彼等もまたThomasを作品を流通させています。彼は1980年にワシントン大学を辞め、1987年にはセント・ルイスも去って、ニューヨークに移り住みます。これが、ある意味アカデミックな経歴の持ち主であったThomasの略歴です。 それで本作品ですが、A面2曲、B面2曲で、全体の印象は、コロコロと可愛らしい粒子様な電子音がダンスしてあるかようであります。今でこそ、シンセの同期はMIDI でアマチュアでも簡単にできますが、これが1975年に録音されていたのには驚きます。アカデミックな音楽背景を持ったThomasですが、ポップと言う意味ではなく、案外、聴きやすい印象です。それと彼は、本当にシンセの音が好きなんだなあと感じ入ります。ヨーロッパの電子音楽の系譜とは異なり、ポップネスやユーモアを感じさせることとが、特徴でしようか。癖になります。また、Thomasは表立っての作品は、長い経歴の割には少ないのですが、クレジットとしては60作以上のCDに入っています。特にRobert Ashleyとは付き合いが長く、ツアーもサポートしています。そんなThomasの最初期の音源を聴いてみては如何でしょう? https://youtu.be/FxMSbMrLWOA #ThomssHamilton #PiecesForKohn #ARR2500/2600 #ElectronicMusic #Synthesizer #Academic #1975
Electronic music Mental Experience 2450円Dr K2
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Synth Sisters “Euphoria”
皆さんはSynth Sistersをご存知でろうか?或いはCrossbredはどうだろうか?Synth Sistersは2007年に大阪で結成されたデュオで、Rie Lambdoll (Synth. Kbd, Mix)とMAYUKo (Synth)からなります。私も詳しいことは知らないのですが、Rie Lambdoll (Vo, Sampler, Effects, Some Instruments)と MAYUKo (Synth, Sampler, Effects) から成るCrossbredと言う女性ノイズ・デュオがこのユニットの母体となっているようです。彼女達は、灰野敬二氏やCorruptedとも共演があるようですが、そのスタイルは、クラブ、エレクトロ、ノイズ、アンビエントなどの垣根を軽々と越えて活動しているみたいです。何ぶん、関西のここら辺の音楽シーンに疎いのでご勘弁を。 と言う訳で、本作品なんですが、割と緩いビートとアトモスフィリックはシンセの流れで、所謂アンビエント・コアな曲が多いのですが、ついつい流し聴きしてしまって、どの曲だっけとか曲の切れ目はあったっけなどと、本来のアンビエント(家具としての音楽)になっています。この効果は、何回聴いてもそうなるので、全部ちゃんと聴けないんですよ。また、ビートと言っても、主に、シーケンサーで組まれており、四つ打ちは余り使われていません。こんな音楽体験は珍しいんですが、そうなると、母体のCrossbredも聴いてみたくなりますね。皆さんもお試しあれ! “W/O/N/D/E/R/F/U/L” https://youtu.be/aXt9kfj4OLo #SynthSisters #Euphoria #EMRecords #Ambient #Electronics #Crossbred
Electronic music EM Records 不明Dr K2
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Tubeway Army “Replicas”
英国の「地下鉄軍隊」ことTubeway Armyの日本盤としてはファーストに当たるアルバム(本作品の前に英国でリリースされたデビューアルバムがあるので、彼等にとってはセカンドに当たる)です。Tubeway Armyについては、その首謀者Gary Numanのところで,大体のバイオグラフィーは書きましたので、ちょっとだけ付け加えます。結成は1977年で、それまでLasersと名乗っていたバンドが改名して出来ました。Garyは従兄弟のドラマーと一緒にバンドを結成。ただ、パブ等でのライブではしばしばパンクスが暴れるので、ライブな控えていたみたいです。この時のメンバーはGary Numan (Vo, Kbd. G), Paul Gardier (B), Jess Lidyard (Dr)のトリオですが、実質、Garyのソロ・バンドと言う感じですね(確かにこの後はGary Numanのソロ名義になりますが、他の2人はバックバンドになっています)。この頃のGaryの作風はベースとシンセとヴォーカルがほぼユニゾンで進行する曲調で、Garyのヴォーカルもステンレス製の声質と言うか割と無機質な感じのヴォーカルスタイルで、非常に特徴的です。またB面の最後の2曲は,その時代のニューウェーブ(?)には珍しくインスト曲になっています。シンセはポッピングするよりもストリングスっぽい使い方が多く,またギターには過剰なフランジャーがかかっているようです。高校生の頃、初めてこのアルバムを聴いたのですが、その頃は、ノリの良いA-1 “Me! I disconnect From You”とかB-1”You Are In My Vision”が好きでした。しかしながら、今聴くとダウンテンポなA-5 “Down In The Park”(この曲はのちにMarylin MasonやFoo Fightersがカバーしている)やインストのB-4”When The Machines Rock”やB-5 “I Nearly Married A Human”が良いですね。また、嬉し恥ずかし、歌詞が、もろSF的と言うかJ. G. BallardやPhilip K. Dickっぽいと言うか、まあ、分かるでしょ? そんな感じで初々しいですね。しかしながら、本アルバムからのシングルカット"Are 'Friends' Electric?"がUKチャートインして,大ヒット作になっていました。とは言え、アルバムとしてはトータルな感じで纏めてされていますし、ポップネスもありますので、よい作品だとは思います。テクノ・ポップと言うよりは,エレ・ポップと言った方がしっくりきますね。そんなエレ・ポップなアルバムを、今一度聴き直してみてください。 [full album] https://youtube.com/playlist?list=OLAK5uy_m_dKyKQiiZMVQw_oVVfC716UK6I49CseY #TubewayArmy #Replicas #Begger’sBanquet #GaryNuman #Ele-Pop #Synthesizer #TechnoPop
Electronic music Beggar’s Banquet 2000円位?Dr K2
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Conrad Schnitzler “Congratulacion”
あのConrad Schnitzler翁が、何と元祖テクノイズの老舗Discos Esplendor Geometricoからのリリースとは‼️まあ、両者とも向きは違いますが、電子楽器の発達と共にそれぞれが発展してきた経緯や、以前に紹介したコンピ”Trans-Atlantic Overdub”でも両者は共に収録されている経過もあるからか、このようなリリースになったのでしょう。もう皆さんも分かってらっしゃるとは思いますが、私はConrad Schnitzler翁は大好きなので、この作品は電子音楽とテクノイズの接点があると言う重要な作品だと確信して、最近、ヤフオクで購入しました。なので、最もビートと言うか機械の駆動音を想起させるアルバムなのかなあと思っていたんですが、思いっきり期待を裏切られました。流石、Conrad翁、新しく発売されたYamaha CX-5ミュージック・コンピュータを大々的に使い込んだ短い曲(殆ど2分台)がたんまりと収録されています。リズムはあるのですが、それ程ビート感はなく、シンセに付いてるシーケンサーでパターンを作っているようです。勿論、メロも主に打ち込みだと思いますが、溢れ出すようにシンセを使いこなす様は、まるで「わんこ蕎麦」の如くです。1980年代中盤で、これだけ打ち込みでシンセを鳴らすアーティストは少なかったと思います。そう言う「新し物好き」なところも彼らしいですね。それから、アナログ・シンセと共にデジタル・シンセも大々的に使っているので、全体的にモダンな感触が強いですね。ここら辺のシンセの音色は好き嫌いが分かれるところだと思います。また、曲名は全て、録音した日付になっています。兎に角、このような機材で,これだけの曲を打ち込みで作ったのは、当時としては画期的だったと思われます。表ジャケ写のビックリマークはなにを意味するか、「おめでとう㊗️」と言うアルバム・タイトルは何に対しておめでとうなのかを考えてみるのも面白いですよぉ〜(今回もライナーをAsmus Tietchensが書いているので、参考にしてみて下さい)。と言う作品です。わたしの持っているのは、フランスのBureau Bの再発盤ですので、入手はし易いかも。急げ❗️ https://youtu.be/yD6bf3xaiPk #ConradSchnitzler #Congratulacion #YamahaCX5 #Programming #DiscosEsplendorGeometrico #ElectronicMusic #ButeauB
Electronic music Bureau B (Discos Esplendor Geometrico) 1680円Dr K2
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Conrad Schnitzler, Borngräber & Strüver “Con-Struct”
こんな人生を送りたかった❗️と言う程にどんどん作品を作り続けていたConrad Schnitzlerが独逸ベルリンのChristian BorngräberとJens StrüverのデュオBorngräber & Strüverと共に作り上げた作品が、この”Con-Struct”です。一緒に作ったと言っても、実際に作曲・演奏したのはConradで、Borngräber & Strüverはアレンジとミックスをやっているだけなので、ほぼほぼConradの作品と言っていいかもしれません。それで、本作品の内容は、一言で言えば、アブストラクトな電子音が深みを持って立ち上がってくるような音楽でしょうか。それ程までにバチバチな音はなく、不明瞭なリズムはあるものの、寧ろ,全体の音像は、アンビエント風ではありますが、恐らくこれはBorngräber & Strüverによるアレンジとミックスのせいだと思います。ただ,元の音と思われる部分も、いつものConrad節ではなく,やや落ち着いた曲になっているようで、ここら辺を擦り合わせたのかなあと想像してしまいますね。しかも、明確な曲名も無く,”Con-Struct 1”, Con-Struct 2”などと素っ気ないものです。これは電子音楽が元々持っているAbstractnessに関係するのでしょう。全8曲で、各面4曲ずつを収録。このアルバムは「構築」ては無く,”Con”と”Struct”と分けられているように、「Con”Rad”が成し遂げた脱構築」であったのかもしれませんね(深読みかな?)。または,電子音楽とは元々抽象的なものであると言う確信を突き詰めたのかもしれませんね。いずれにせよ、ここにまた、新境地があるように思います。皆さんも如何でしようか?一度,聴いてみてね。因みにリリース元のM=MinimalはBorngräber & Strüverのレーベルです。 “Con-Struct 2” https://youtu.be/WKjuQPHkA5o #ConradSchnitzler #Borngräber&Strüver #Con-Struct #ElectronicMusic #Synthesizer #Collaboration #Berlin
Electronic music M=Minimal 2500円位?Dr K2