MKM. “Bangalore”

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MKMと聞いて、ピーンと来る方は錚々いないと思いますが、この作品も面白かったので、紹介しようと思います。先ず、MKMについてですが、メンバーは、Günter Müller (iPod, Electronics), Jason Kahn (Modular Synth, Mixer, Radio), Norbert Möslang (Cracked Everyday Electronics)のトリオです。私がこのトリオに興味を持ったのは、やはりNorbert Möslangが参加していたからで、それは、彼は以前にAndy GuhlとVoice Crackと言うノイズ・ユニットを組んでいたので注目していました。MKMは3人の姓の頭文字を取って付けられたグループ名です。Müllerは独逸生まれで1966年来スイスに住んでいるパーカッショニストなんですが、積極的に電子楽器を取り入れて、2002年以降は2台のiPodと電子楽器のみで演奏を行なっている即興音楽家です。Kahnも米国NYC生まれで、その後LAに移り、1990年代に欧州へ、そして最終的にスイスのZurichに移り住んでいる即興音楽家です。Möslangは2月9日以前に、Möslang & Guhl名義でのアルバム“Knock On”のところで書きましたように、家電系電子楽器(もどき)の通称Cracked Everyday Electronicsを演奏するスイス人即興音楽家です。私は、この組合せでハズレは無いと確信して、購入しました。それで、ライナーノーツをKahnが書いているのですが、どうもこれを読むと、本作品は彼等のインド・ツアーでの演奏記録から抜粋したものらしいです。元々は、Kahnが欧州や北米では無いところ(この場合はインド)で、MKMのようなバリバリの電子音楽を演奏したら、何か得るものがあるのではないかと考えたことから始まります。ただし、1969年にDavid Tudorは既に電子楽器や機器をインドに持ち込んで、スタジオを建てていました。しかし、その後はメンテナンスされなかった為、朽ち果てていたそうです。そのTudor来印50周年も兼ねて、MKMはインド・ツアーを2019年2月9日からデリーを皮切りに始めます。しかしながら、早速、Müller夫妻がお腹を壊してしまったり、他のメンバーもお腹を壊してしまい、完全な状態ではありませんでしたが、何とかツアーを完遂し、その場所場所で、地元の芸術学部やデザイン学科の学生の前で講義をしたりして、交流しています。それで、本作品のタイトル”Bangalore”はその一つの場所の名前で、Karnatakaの近郊に位置しており、音楽家Yasha Shettyがそこでのホストを務めています。Shetty自身もThe Indian Sonic Research Associationと言うプロジェクトを持っており、またSrishti芸術・デザイン・技術研究所に講座を持っています。そこでのワークショップを、体調不良のMüller無しのMöslangとKahnの2人で短時間だけ行っていますが、学部学生だった為から、余り質問は出なかったようで、何故、ギターとかフルート等の「楽器らしい」楽器を使わないのか?との質問があったようです。その次の日は、Shettyの企画で、MKM3人での演奏をThe Courtyardで行い、それが本作品になっています。要するに、ライブ音源だった訳です。内容はA面”Don’t Eat”1曲とB面”I Told You”1曲から成っていますが、彼等は、ここで演奏すること、即興演奏すること及び「楽器らしい」楽器を使わないことの意義を再び考えざるを得なかったようです。内容的には、素晴らしい電子音の演舞で、聴き応えがあります。その内容についての詳細は言及しませんが、このようなイレギュラーな電子音による即興演奏を当時の学部学生達はどのように聴いていたのかも知りたいところですね。

BsndCampを貼っておきます!
https://t-o-n.bandcamp.com/album/bangalore

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