Flipper “Love”

0

これは、1980年からのファンとしては、買っちゃいますよねー!米国パンクの中でも、「クズ」と言う意味では「真」のパンク、Flipperのスタジオ・アルバムとしては4枚目”Love”、しかも白盤❗️まあ、当然、CDは持っていたのですが、やっぱりVinylとなると買っちゃいますね。スタジオ・アルバムとしては4枚目ですが、ライブ・アルバムも混ぜると、8枚目になります。

 Flipperのバイオグラフィーは、あんまり書いていなかったかもしれませんので、ちょっと書いておきます。結成は、1979年、CAのSan Franciscoです。Flipperは、元SleepersのRicky Williams (Vo)、元Red CommandのTed Falconi (G)、それにNegative TrendのWill Shatter (B)とSteve DePace (Drs)で結成されましたが、Williamsはバンドが何か録音を始める前にドロンしています。それで、Bruce “Loose” Calderwood (Vo)が代わりに加入、LooseとShatterは曲によってパートをチェンジするようになります。因みに、Falconiは元ベトナム帰還兵で、非常にユニークなGを当時から弾いています。それで、Flipperの最初の音源は、SFの新興レーベルSubterranean Recordsの7㌅コンピ・シングル”SF Underground”で、これがリリースされたのは、1979年後半で、次に、1980年には、Flipper単独のシングル”Love Canal”/“Ha Ha Ha”がリリースされます。1981年に、名曲”Sex Bomb”を含むセカンド・シングルが出て、パンクスの間でバンドの悪評が高まっていきます。翌年1982年に、ファースト・アルバム”Album - Generic Flipper”がSubterranean Recordsよりリリース、同時に、シングル"Get Away"/"The Old Lady that Swallowed the Fly"もリリースされます。この頃になると、SFでも定期的にライブをやるようになりますが、他のパンクバンドが、速いハードコア・パンクへ向かうのに対して、Flipperは、遅く沈み込むような曲を演奏しています。しかし、パンクスからは賞賛され、至る所にFlipper Rulesとスプレーで落書きされています。1983年には、Rick Schmidtの自主制作映画”Emerald Cities”にFlipperの曲3曲のライブ映像が使われています。1984年には、名曲”Sacrifice”等を含むセカンド・アルバム”Gone Fishin’”がSubterranean Recordsよりリリースされます。また同年には、カセットレーベルROIRから、CBGBでのライブ音源から成るライブアルバム” Blow'n Chunks”がリリース、これは1990年にはCD再発されています。そうして、1986年には、ボードゲーム付き2枚組ライブアルバム”Public Flipper Limited”がリリースされますが、1987年12月9日に、Will Shatterが薬物過剰摂取で他界してしまい、レーベル側は、バンドのシングルやレア音源を集めたアルバム”Sex Bomb Baby”をその年に出しています。一旦、バンドは休止していますが、1990年に、シングル”Some Day"/"Distant Illusion"を、1991年には、新たなライブ・アルバム”Nürnberg Fish Trials”を出します。この時には、John DoughertyがBで参加しており、1992年には、新メンバーで新レーベルDef Americanよりスタジオアルバム”American Grafishy”をリリースします。しかしながら、この年に、一番最初のVoだったRicky Williamsもヘロインの過剰摂取で他界してしまい、また、新BだったDoughertyも1997年に薬物で他界してしまいます。その後、バンドの新作リリースは止まりますが、2002年に、Bruceは、自らの名前をLoseからLooseに変えて、杖をついて、しかもバンド名はNot Flipperと名乗って、Berkeleyで一夜限りのライブを行います。この時には、以前手伝ってもらったBruno DeSmartassがBで参加しており、その後も、このラインナップで2006年からライブを再始動します。2006年12月に、Bruno DeSmartassの代わりに、元NirvanaのKrist NovoselicがBで加入し、英国、アイルランド、全米のツアーを敢行しています。なお、2000年にリリースされたNirvanaトリビュートアルバム用に録音した "Scentless Apprentice"は、セットリストに加えられています。そうして、2008年にNovoselicを加えて新録が開始され、2009年5月19日に、ツイン・アルバムがリリースされます。1つは、本作品でもあるスタジオ新録アルバム”Love”、もう1つは、新旧の曲を集めたライブアルバム”Fight”です。共に、シアトルのJack Endinoがプロデュースしています。しかしながら、Novoselicが家庭の事情で、2009年9月までに脱退しなければならないとアナウンスし、FrightwigにいたRachel Thoele (彼女はゴッホの娘らしい)がBとして加入します。2008-2009年に、Flipperが今まで出した作品のCDリイシューが盛んに行われましたが、2015年10月に、BにBruno DeSmartass、VoにScratch Acid / Jesus LizardのDavid Yowを迎えて、SFで2日間ライブを行っています(因みに、Bruce Looseは2015年に他界しているようで、杖をついていたのも、事故で脊椎を痛めたのだとか?)。そうして、2019年に、Flipperは結成40周年を迎え、バンドは今後、パーマネントなBは置かず、Steve DePace, Ted Falconi, David Yowの3人でやっていくと宣言します。Bとしては、Rachel ThoeleやMinutemenのMike Watt、Krist Novoselicがその都度ヘルプで入るような感じですが、No ParentsやMike Watt & The Secondmen, Quiらのサポートの下、ThoeleをBに添えて欧州ツアーを考えているとのことです。

 以上がFlipperの略歴となりますが、今だに現役なのが凄いです。また、Flipperに影響を受けたバンドには、Nirvana, American Hardcoreの著者Moby, Black FlagのHenry Rollins等がいますし、The MelvinsやR.E.M., Unsaneは、Flipperの曲のカバーもしています。それで、本作品”Love”についてですが、メンバーは、先述の通り、Bruce Loose (Vo), Ted Falconi (G), Krist Novoselic (B, Back-Vo [A2]), Steve DePace (Drs, Back-Vo [A2])の4人で、演奏としては一番安定していたのではないかと思われます。では、各曲をご紹介していきましょう。
★A1 “Be Good, Child!” (1:44)は、とにかくドライブするリズム隊と吐き捨てるようなVo、それにアップピッキングでノイズのようなG、全てがカッコ良い!
★A2 “Learn To Live” (3:05)も、やや落ち着いたテンポですが、次々吐き出されるVoはパンクそのもの。しかし、Gはどんなリフを弾いているか不明で、それに対し、Bの音色はゴリゴリしていてグー!
★A3 “Only One Answer” (6:15)は、Flipperらしい曲で、スローで沈み込んでいくようなミニマルなBラインと必死でそれに争うDrs、ギラギラのノイズを振り撒くGと毒づくVo。完璧だ!
★A4 “Live Real” (2:36)も、A1と同様にドライブするリズム隊とノイジーなGのコントラストがカッコ良い。
★A5 “Triple Mass” (2:41)は、変則的なBラインで始まり、それを突き崩そうとしながらも、ビートをキープするDrs、それらとは関係なさげなGに、ニヤリとするVoが叫びまくります。
★A6 “Love Fight” (4:52)も、多分、表題曲なんでしょうが、スペシャルなものは無く、ひたすら単調でノイジーな坩堝の中でBruceが叫びまくります。
★B1 “Transparent Blame” (2:26)は、珍しくGから始まりますが、タイトなリズム隊と伸び切ったゴムのようなGに、唾を飛んでくるようながなり声。相変わらず、単調なんですが、心地よい。
★B2 “Why Can't You See” (6:33)は、もうFlipperの真骨頂とも言えるスローダウンな曲です。逆に言えば、この曲だけ聴いてもらっても良い位です。ダラダラしているが強迫的なGと一言一言しっかりと叫ぶVoは、何とも説得力があるではないか!
★B3 “Night Falls” (3:33)は、タイトでドライブ感のある曲で、録音自体良いのもありますが、多分、Novoselicの加入による影響ではないかと思われます。新境地かな?
★B4 “Old Graves” (8:55)も、モロFlipperな曲ですが、タイトルとマッチしており、不気味な様相を呈しており、本当に沼地にズブズブ沈み込んでいくように錯覚します。珍しく、Voにはエフェクトが掛けられており、それが返って怪しげでもあります。
 
 ここに書いた紹介は、筋金入りのFlipperファンである私の単なる美辞麗句なのかもしれませんので、余り当てにはしないで下さい。それから、本作品では、Novoselicの加入で、ドライブする曲が多めのようにも思えます(FalconiのGは相変わらずだけど)。でも、A3やB2, B4が好きな方は多分、Flipperを好きになれると思います。確かに、最初の2枚のアルバム位までは、本当にクズな演奏を繰り広げていましたが、ここまでくると、単にクズと言うよりも、もはや貫禄すら感じますね。クズ王、即ち、彼等の音楽こそ濃厚パンクエキスの抽出物です!まぁ、聴いたことのない方は一度、聴いてみて下さい❗️

https://youtu.be/-IAYiVhcuqw?si=UNfUH2c0dpsAekpk

#Flipper #Love #MVDAudio #2009年 #Repress #2014年 #4ThStudioAlbum #WestCoastScene #AmericanUnderground #Punk #TruePunk #Legend #BruceLoose #TedFalconi #SteveDePace #KristNovoselic #Nirvana

Default