The Modern Lovers “The Original Modern Lovers”

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このThe Modern Loversも、1980年代に友達K 君に教えてもらい、当時は、ダビングしてくれたカセットを聴いていたものです。それで、1990年代に中古を購入した次第です。それでは、先ず、The Modern Loversのバイオグラフィーについて改めて調べてみました。The Modern Loversと言うバンドは、Jonathan Richmanを中心として、米国Bostonで結成されたバンドで、厳密には、活動は1970年〜1974年までとされており、この時期に2枚のスタジオ・アルバムを制作していますが、1976年と1981年までは未発表のままでした。それで、彼等は再編成して、1976年〜1988年では、Jonathan Richman & The Modern Loversと名乗って、活動しています。それで、最初に戻りますが、Jonathan Richmanは1969年に高校卒業後、NYCに移り住み、その頃にVelvetsに夢中になり、マネージャーのソファーで2〜3週間、寝起きし続けて、NYC生活を堪能しますが、その後、彼は、ネズミの巣窟たる安ホテルAlbertに住み始めます。しかし彼は「もう充分」と言う理由で、9ヶ月のNYCでの生活を辞めて、欧州やイスラエルを旅行し、最終的にBostonに帰郷します。そこで、幼少期の友達John Felice (G), 後にThe Carsに加入することになるDavid Robinson (Drs)やRolfe Anderson (B)を誘って、たった1ヶ月後の1970年9月に、The Modern Loversを名乗って、The Sidewindersのサポートでライブ・デビューしています。ただ、1971年初頭に、AndersonとFeliceが脱退し、代わりにHarvard大学の学生でもあったErnie Brooks (B)とJerry Harrison (Kbd)が加入し、所謂、The Modern Loversのオリジナル・ラインナップとなります。このメンツでのThe Modern LoversのBostonでの人気は凄く、メジャー・レーベルも興味を示し、1971年秋には、Warner Bros. RecordsのStuart Loveがコンタクトを取ってきており、多チャンネルでの録音によるデモテープ制作も行っています。また、直ぐにA&M Recordsも彼等に興味を持ったようです。翌年1972年4月に、彼等はLAに行き、そこで2本のデモテープを作っています。ひとつは、John Caleプロデュースのもので、Warner Bros.用の、もうひとつは、Allan MasonプロデュースのA&M用の2本です。それと、彼等はその時、CAのBerkeleyにあるLong Branch Saloonでライブもやっており、この音源は、後にライブ・アルバムにもなっています。1972年6月には、Kim Fowleyと出会い、彼はBostonまで来てくれて、何本かのデモテープを作っています。しかし、バンドは、Felice (G)が数ヶ月間復帰したこともあって、MAのCohassetに皆んなで移住しています。1973年初頭には、Warner Brothersと正式に契約しています。しかし、John Caleと一緒に作業する為に、LAのスタジオに行くまでは、Ernie Brooks (B)の家族が所有しているBermudaのInverurie Hotelで演奏する許可をもらっています。そこで過ごしている内に、Richmanは、昔の音楽スタイルを気にするようになり、バンド内に衝突が段々と増えていきます。それでも、Richmanは、違った方向性の音楽になることを心配していましたが、初期の曲を録音することに同意しています。彼自身は、よりメローでリリカルな音楽を録音したかったようです。他のメンバーも反対はしなかったのですが、今風に聴こえるようにはしたかったようです。1973年9月に、Caleの元でのセッションは、彼等の友人Gram Parsonsの死によって、もはや良質な録音などあり得ないと、The Modern Loversのメンバーは思ってしまい、その結果、レコード会社としては、新たにKim Fowleyのプロデュースで、セッションを仕切り直し、Gold Star Studiosで録音して、1981年になって、やっと本作品でもあるアルバム”The Original Modern Lovers”をリリースしています(因みに、この作品は2000年にCDで再発されています)。しかしながら、Warner Bros.側としては、彼等のデビュー・アルバムをリリースし損ねたと考えてしまい、The Modern Loversへのサポートをやめてしまいます。そして、Robinson (Drs)が脱退し、代わりにBob Turner (Drs)が加入しますが、Richman自身が、古い曲(“Roadrunner”等)を段々とやりたがらなくなってしまい、RichmanとHarrisonとの間での音楽の方向性の違いから、1974年2月にバンドは解散してしまいます。その後、メンバーはThe Real KidsやTalking Heads, The Carsへと加入したり、結成したりします。Richmanは、昔のVelvets風の曲調には二度と戻ることはなかったのですが、CaleとMasonがプロデュースした最初の2本のデモテープから、Beserkleyレーベル側が曲を選んで、その傘下のHome Of Hitsから「ファースト」アルバムとして、セルフタイトルで、1976年にリリースしています。しかしながら、Richman自身は、このアルバムを「ファースト」アルバムとは決して認めず、「自分のデビューアルバムは1976年リリースの”Jonathan Richman and the Modern Lovers”だ」と主張しています。ただ、前出の「ファースト」アルバムは、評論家の受けも良く、「本当に偉大なアートロックのアルバムである」とベタ褒めされ、パンクへの影響力もありました。まあ、そんなこともあって、アルバムの順番についてはややこしいのですが、Richmanは、1976年から新生バンドとして、Jonathan Richman and the Modern Loversを始め、1988年まで続けますが、このバンドについてはまたの機会に書くことにします。
 それで、リリース順としては、3番目になる本作品”The Original Modern Lovers”について紹介していきます。この時のメンバーは、Jonathan Richman (Vo, G), Jerry Harrison (Piano, Organ, Back-Vo), Ernie Brooks (B, Back-Vo), David Robinson (Drs, Back-Vo)で、Mars Bonfire (G [B5])がゲスト参加しています。それで、この作品は、Kim Fowler がプロデュースして、1972年に録音された音源であり、The Modern Loversとしては、一番古いものです。内容的には、両面とも5曲ずつです。では、各曲を紹介していきましょう。

★A1 “Road Runner Part 1” (4:35)は、ご存知「ワン・ツー・スリー・フォー・ファイブ・シックス」で始まる曲で、Kbdが効いてますね。Voは相変わらずヘナヘナですが、それがまた良い塩梅です。
★A2 “She Cracked” (2:40)も、ワンコードとややヘロったRichmanのVoで押し切るような曲で、カッコ良いですが、間奏はラジオ音です。
★A3 “Astral Plain” (2:43)は、相変わらずヘロヘロのVoと跳ねるようなリズムから成る曲です。間奏のGソロもヘナチョコですが、そこがまた良いんです。
★A4 “I'm Straight” (4:05) も、Richmanの語りから始まるスローな曲なんですが、特にバラードとかには聴こえない位、グダグダ感が強い演奏です。その中で、オルガンだけが上手くて、曲を引き締めている感じです。
★A5 “Walk Up The Street” (3:11)は、変なGソロ(?)から始まり、RichmanのヘロヘロのVo/Gを他の3人が支えている曲ですね。
★B1 “I Wanna Sleep In Your Arms” (2:29)は、軽快でアメリカンな曲で、RichmanのVoもそんなにヘロってはいません。コーラスもあり、良い曲で、最後には絶叫まで!
★B2 “Don't Let Our Youth Go To Waste“ (1:40)は、Richmanの鼻歌のような独唱から成る小曲で、意外な感じで、物悲しさすら漂います。
★B3 “Dance With Me” (4:26) は、G(エレキ)の弾き語りで始まり、徐々にBやDrsが微音で入って、更にエレピも入ってくるスローな曲で、盛り上がるところは盛り上がります。RichmanのVoに涙します。
★B4 “Girlfren” (4:00)も、Richmanの独唱がイントロで、やや明るいような悲しいような甘酸っぱい曲で、やはりRichmanのVoと間奏の下手なGが素晴らしい!
★B5 “Road Runner Part 2” (3:49)は、カウント無しで始まる名曲(A1)のヴァージョン違いで、Richmanも字余りながらしっかり歌っています。この何とも言えない疾走感は、中学生が自転車で思いっきり走っている感じですね。

 と言う訳で、Richmanにとっての「ファースト」アルバムでもある本作品は、ヘロヘロのVoとしっかりしたバックの演奏で成立している訳ですが、なんかもう「青春」な感じがして、嬉し恥ずかしで、懐かしい感じですね。Kim Fowleyの「とにかくセッションの場だけは確保するから」と言ったプロデュースは良かったと思いますよ。また、そのやり方は、その後のRichard Hell 辺りには影響を与えたようです。しかし、”Roadrunner”は名曲だと思いますので、未聴の方は是非とも聴いてみて下さい❗️

クレジット曲順
A1 “Road Runner Part 1” (4:35)
A2 “She Cracked” (2:40)
A3 “Astral Plain” (2:43)
A4 “I'm Straight” (4:05)
A5 “Walk Up The Street” (3:11)
B1 “I Wanna Sleep In Your Arms” (2:29)
B2 “Don't Let Our Youth Go To Waste “ (1:40)
B3 “Dance With Me” (4:26)
B4 “Girlfren” (4:00)
B5 “Road Runner Part 2” (3:49)

https://youtu.be/Q3iK4JU5Q3M?si=7rV_CODMuuIHJVpw

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