Jan Van Den Broeke “Time And Desire”

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これも所謂「謎物件」でしょうか? ただ、ベルギーのEE Tapesが出していたので、このJan Van Den Broekeのことは全然知らずに購入しました。Broekeもベルギー人で、建築家兼音楽家兼視覚芸術家と言うことで、本名名義での音楽作品は、このアルバム1枚だけで、あと2枚はJune11やAbsent Music, The Misz, Canto De Mudoなどのソロユニットやデュオでの作品がそれぞれ数枚ずつ程リリースされています。彼は元々の名前はJean-Pierre Van Den Broekeだったのですが、ちゃんと法的にJan Van Den Broekeと改名してきます。彼はどうも1980年代初頭より音楽活動を開始しており、その時は怒れる若者だったようで。しかし、音楽への執着は衰えず、音楽の無い生活なんて考えられない、夢が無ければ、人生なんて無意味だと言っています。それでサブユニットの簡単な説明ですが、The Miszは1983年辺りに彼とDries Dekockerの2人でやっていたシンセ・ウェーブ・バンドです。June 11は、2003-2004年にやっていた新しいユニットで、アンビエントと歌物のギャプを埋める音楽を目指して、エレクトロニクスとアコースティックな楽器やサンプラーを使っていたらしいです。そしてそれは、唯一無比のサウンドとのこと。実は、本作品は、このJune 11名義の曲が殆どを占めています。一方、Absent Musicは元々はレーベルの名前でしたが、1980年代を通してやっていた実験的ミニマル・ウェーブ・プロジェクトの名前にしています。1980年代には、Broekeは、The MiszとAbsent Musicの2本立てで活動しており、カセット作品も2本出しています。コンピ・カセット”Mad in Belgium 2”や”Cortisol”及びHomi Sexpies Project”に参加して、Absent Musicは終わりました。ただ、後になって、EE Tapes (2012年と2022年)やStrom (2017年)はAbsent Musicのセルフ・コンピを再発しています。そして、Broekeは、Helena Legaz, Anneleen de Causmaecker, Philippe Van Keymeulenと共に現在、やっているのがCanto De Mudoで、本作品にも1曲だけ、この名義の曲が収められています。また、彼等はライブも地元ベルギーGentで稀ながら行っており、ギター、サックス、クラリネット、カリンバ、パーカッション、エレクトロニクスそしてフィールド録音を組み合わせた、インストのシュールな音楽をやっています。初めは、Brian EnoとLhasa de Selaの曲を演奏していたそうです。とまあ、Jan Van Den Broekeは色んな音楽をこれまでやってきていることが分かると思います。
それで、本作品についてなのですが、先述のように10曲中9曲がJune 11名義で、B5だけがCanto De Mudo名義となっており、2006年〜2021年のテイクがコンパイルされています。全体的には、非常にゆっくりした落ち着いた調子の曲が占めており、ある種のアンビエントとも言えるがもしれませんが、スポークン・ワードのようなしっとりしたヴォーカルも入っています。June 11名義の曲(A1-A5, B1-B4)では、Jan Van Den Broeke (Electronics, Vo, Sampler, Rainstick, G)の他に、Hilde De Clercq (Perc, Shaker, Cajon, Darbuka), Drita Kotaji (Vo), Helena Legaz Torregrosa (Clarinet), Stephan Barbery (G), Philippe Van Keymeulen (Soprano Sax, Rainstick, Darbuka, Baritone Sax), Stefan Thaens (Clarinet), Waander Devillé (B), Jacob D'Hollander (Electronics)が参加しており、Canto De Mudoの曲(B5)では、Jan Van den Broeke (Electronics, E-Bow G, Sampler)とPhilippe Van Keymeulen (Baritone Sax, Projector, Marbles) 及びHelena Legaz Torregrosa (Vo, Field Recording)のトリオでの演奏が収められています。基本的には、Broekeが電子音やサンプリングした音や声を担当しており、他の(ゲスト)メンバーがアコースティックな楽器などやヴォーカル(主にDrita Kotaj)が担当して曲作りをしています。先述のように、アンビエントと歌物の間に位置する音楽ですが、単なるラウンジ・ミュージックになっておらず、どちらかと言うと、音による風景画を観ている(聴いている)感覚に近いと思います。凄く繊細な音楽ですが、そこには強い抑制が働いているようです。個人的には、A2 “I'm Harriet (A Free Woman)”, A3 “La Vie Est Un Rêve”, B1 “Memories 2”辺りが好みですねぇ。もし、アンビエントの一歩先を見据えてみたいリスナーさんには良い指標となるでしょう‼️是非聴いてみて下さい!

“Je Trébuche Pas #2” (アルバム未収録曲)
https://youtu.be/i_wZLkLB6Ys

[full album]
https://youtube.com/playlist?list=OLAK5uy_mTauIe1-lLm30oumElu_SWtJLVKC2O4FQ

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