Joy Division “Closer”

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続いて、Joy Divisionのセカンド・アルバム”Closer”をご紹介します。彼等のバイオグラフィーは続けて書いていきます。
1980年1月に、彼等は欧州ツアーを行い、次の予定を立てようとしますが、Ian Curtisはツアーの最後の2ヶ月に2回もてんかん発作を起こしています。しかしながら、彼等は、同年3月に、セカンド・アルバム”Closer”の録音を、ロンドンのBritannia Row Studiosで、Martin Hannettのプロデュースの下、開始します。仏インディーズ・レーベルSordide Sentimentalは、Joy Divisionのシングル"Licht und Blindheit"をリリースしますが、これは、A面に"Atmosphere"が、B面に"Dead Souls"が収録されています。しかしなから、不眠などの為、Curtisのてんかん発作は酷くなり、更に鬱なども引き起こし、度々、ライブの予定が組めなくなったり、ステージ上で発作を起こしたりで、その他のメンバーもCurtisのことを心配するようになります。1980年4月7日に、Curtisはフェノバルビタールの多量服用で自殺を図ろうとします。Curtisは、最早、ステージに立てない程、酷く病んでいました。その為、マネジャーのRob Grettonは、Cripsy AmbulanceとA Certain RatioのSimon Toppingに歌わせようとしますが、観客はステージにビンを投げつけたそうです。その為、Joy Divisionは、ライブのキャンセルが続き、1980年5月2日のバーミンガム大学High Hallでのライブが最後のライブとなります。そんな中で、アルバム”Closer”の方は最終段階になりますが、収録曲”Atrocity Exhibition”の最終ミックスを聴いたBernard Sumner (G)とPeter Hook (B)は、Hannettによるディレイの掛かり過ぎた出来に大いに不満でした。一方で、Joy Divisionは1980年5月に、初の北米ツアーを計画していましたし、Curtisも楽しみにしていましたが、彼の妻Deborahとの愛情は冷めており、Curtisの心はベルギー人ジャーナリスト/プロモーターAnnik Honoréに移っていたらしいです。それで、バンドが渡米するとなった日の前日に、Curtisは家に帰ってきて、Deborahに離婚を迫り、明朝、電車に乗る前までに出て行ってくれと頼みます。それで、Ian Curtisは、1980年5月18日の夜、Stroszekの映画”Werner Herzog”を観て、Iggy Popのアルバム”1977”を聴きながら、キッチンで首吊り自殺をし、Deborahは帰ってきた日に彼の死体を発見します。Ian Curtisの自殺はバンドメンバーやマネジャーに大きなショックとなります。そんな中で、同年6月には、Joy Divisionのシングル”Love Will Tear Us Apart”がリリースされ、翌月にアルバム”Closer”がリリースされました。NME誌のライターCharles Shaar Murrayは「このアルバムは、Ian Curtisにとってだけではなく、Joy Divisionにとっても重要なメモリアルだ」と評しており、本作品”Closer”は、英国アルバムチャートで6位まで行っています。Joy DivisionのドラマーStephan Morrisは、良くも悪くも、Curtisの死がバンドを推し進めたとコメントしています。そうして、残ったメンバーは、MorrisのガールフレンドGillian Gilbert (Kbd, G)を加えて、新たにNew Orderと改名して音楽活動を続けていきます。一方、その後も、Joy Divisionのアウトテイクはリリースされています。
ここまでが、Joy Divisionのバイオグラフィーとなります。それで、セカンド・アルバムでもある”Closer”の内容についてご紹介したいと思います。前回も書きましたが、私が最初に聴いたJoy Divisionのレコードがこれでした。しかし、当時は余り良い印象は無かったです。しかし、今、聴くと、そんなに「途方も無い暗さ」は感じませんが、当時は、B面、特にB1 “Heart And Soul”などの徹底したダークネスに、本作品のイメージが引っ張られたのかも?と思います。寧ろ、Hannettに寄ると思われるシンセが効果的に使われており、これは良いんじゃないかとも思います。あと、これもHannettに寄ると思われるのですが、アルバム全体に感じられる独特のリバーブ効果と言うか、「雰囲気」がジャケ写のイメージと重なって、独特のゴス感を出していますね。また、逆に、メンバーには不評だったA1 “Atrocity Exhibition”なんかのDrsやGのアレンジやA4 “Colony”のGを中心にして「走っている」曲調なんかは結構、ポストパンク的でカッコいいと思いますね。しかしながら、このアルバムを作っている時に、Ian Curtisがてんかん発作と鬱に苦しめられ、妻との離婚に悩み、自死したのだと思うと、ちょっとやり切れない感もあります。まあ、Ian Curtisの自死を”Instant myth (お手軽な神話)”と評した音楽ライターもいたのですが、それは無いだろうと思いますよ。なので、彼の遺作となったアルバムを是非聴いてみて下さい❗️

https://youtu.be/94eBRzLGYYs

#JoyDivision #Closer #FactoryRecords #PostPunk #GothRock #Gothic #SecondAlbum #IanCurtis #BernardSumner #PeterHook #StephanMorris #Suicide #NewOrder

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    オマハルゲ

    2023/06/18 - 編集済み

    自分はJoy Division を初めて聴いたのは「She's Lost Control」のマキシ・シングルでした。
    すぐ後でアルバム版を聴いて印象が違うのが印象深かったです。マキシ版の方が最初に聴いた事もあって、好きですね。

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      Dr K2

      2023/06/18

      “She’s Lost Control”は聴き比べていないので、良くは分かりませんが、Martin Hannettのプロデュースの違いかな?とは思います。

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      オマハルゲ

      2023/06/18 - 編集済み

      カップリングの「Atomosphere」も含め、彼らについて深く印象付けられたので一番好きです。
      結局、イアンが自ら命を絶った一番の理由って何だったんでしょうね。
      近所のTSUTAYAでイアンの伝記映画のDVDを見かけましたが、借りないうちに閉店しちゃったのが心残りです。

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      Dr K2

      2023/06/18

      私も伝記は読んでいないので、はっきりとは分かりませんが、調べた中では、結局、女関係がある程度占めている印象でした。ただ、有名になってしまったことによるプレッシャーとかてんかんによる鬱とかも関係はあったようで、複合的な原因だと思います

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    4AD

    2023/06/18 - 編集済み

    彼らのベスト盤にdecadesが入ってないのが不満ですね 

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      Dr K2

      2023/06/18

      “Decades”、今聴くと良い曲なんですがね。

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