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ハリー・ニルソン フランス盤独自ジャケットによる初期ベスト NILSSON
レコード・ジャケットそのものが持つ「色気」に関してなのですが、1960年代に製作されたフランス盤のカバー・アートがもつセンス、華というものにお気づきの方はいらっしゃませんでしょうか?かつては日本でも紹介されていたヴォーグ・レーベルなどは最たるもので、同じアルバムを各国盤で何十枚も集めたりしていますと、フランス盤のみが非常に華やかな雰囲気をもっていることに気づきます。ちょっとしたレーベルロゴのもつ配色、デザインなどに、独特の美意識が感じられるのです。このニルソンの珍しい写真を配したコンピレイションも、フロント・ラミネートのフリップ・バック仕様、厳密にいえば1970年代初頭あたりの発売かと思われますが、やはり一瞬でジャケ買いの一枚でした。あまりに過小評価が過ぎるハリー・ニルソン、そこには大いに文句がありますけれども、このアルバムは最初の三枚からセレクトした12曲で、その選曲センスは完璧といっていいでしょう。夥しいベストLPが発売されているニルソンですが、初期に限定されたものとはいえ、これは間違いなくベスト中のベストといっていいアルバムだと思います。またしてもビクター系でした。
ポップス LP, Album RCA ビクター揖斐是方
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ルーフ・トップ・ライブの先駆者 ジェファーソン・エアプレーンの仏コンパクト盤リイシューCD
ジャン・リュック・ゴタールが撮影を手掛けたともいわれる68年11月のニューヨークでの彼らの屋上ライブは、アップル・ビルに先駆ける事二か月であったにもかかわらず、今や誰も顧みません。さらに言えば、このバンドそのものも、そういった映像も。だからどうしたというわけでもないのですけれど、とにかくすっかり忘れ去られて久しい感強し。一抹の寂しさが漂います。スリックが書いた必殺の二曲があれば、正直なところ十分だと個人的には思いましてこの4曲入りを。仏ビクターのコンパクト盤を仏マジックがストレート・リイシューしたCDです。#psychedelicrock
サイケデリックロック CD magic揖斐是方
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REFUSE TO BE BURNT-OUT/THE FUGS ビート詩人 エド・サンダースからの手紙
「西のマザーズ東のファグス」っていっても、「狼すべってステッペンウルフ」だとか「牛も知ってるカウシルズ」に匹敵するいにしえの言い回しでしょう。ビートニク詩人、エド・サンダースとテュリ・カッファーバーグが中心となってニューヨークで60年代中ごろに結成された、過激なメッセージと猛毒のユーモアが売り物のバンドがザ・ファッグスでした。KILL FOR PEACEなんていうフレーズは、ベトナム反戦云々を超えた普遍の命題でしょう。活動期間中に日本でリリースされたアルバムはわずか一枚。(近年のCDリイシューも二枚くらいしかバンド名義のものは出ていません) そういう状況は、おそらくバンド側も知っていたのでしょう、85年に受け取ったこの私信では、日本で自分達のアルバムをリリースしてくれるようなレーベルを紹介してくれないかと依頼が。そんなこと言われてもなあというのが当時の真情、いくらこのアルバムが再結成第一弾で上り調子かもしれないが、当時の(そして現在も)日本で、とても求められているような知名度のバンドじゃないし、なんとも返信に窮したものです。日本に行って再編コンサートをしたいっていうのはわかるんですが‥‥‥。#edsanders #tulikuperberg
ロック LP, Album new rose揖斐是方
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追悼・レイモンド・ダニエル・マンクザレック・ジュニア CHOOSE UP AND CHOOSE OFF/RAY MANZAREK
2013年の本日、ドイツで74歳の生涯を全うした鍵盤奏者のフランス盤シングルです。74年のファースト・アルバム「The Golden Scarabs」からの二つ目のシングルカットで両面共エディット・ヴァージョン。但し米国ではA/B面が逆でした。80年代に最初の故人の墓参に行った際に購入し、このサインは故人の三度目の来日の際にもらったものと記憶しています。トニー・ウィリアムス、ラリー・カールトン、ミルト・ホランド、ジェリー・シェフらが参加したこのファーストは非常に充実した力作でしたが、当時日本ではリリースされませんでした。個人的にはこのB面、チャック・ベリーの「Downbound Train」の方がはるかに好きな曲で、バンド末期にレパートリーとしていた「Mystery train」の発展・完成形として素晴らしい出来に仕上がっています。アルバム発表当時は そのコンセプトに相当入れ込んでいたようで、インタビューでは自らを古代エジプトのファラオ、アクナーテンの生まれ変わりと自己紹介していました。#アナログレコード #7inch #サイン入り #Raymanzarek #チャックベリー
ロック 7" Single マーキュリー揖斐是方
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全曲無音 ジョンとヨーコ ロバート・ワイアット アンディ・ウォーホル 『サウンズ・オブ・サイレンス』
他にジョン・デンバー、スライ・アンド・ファミリー・ストーン、ホワイトハウス、ウェスト・コースト・ポップ・アート・エクスペリメンタル・バンドなど計30アーティストの曲を集めた奇盤の500枚限定リイシューLP。大胆にも「静寂の響き」S&Gのジャケットにステッカーを貼付してあるだけで、すでにロクなもんじゃないと思わせるに十分。接客中に大音量でかけても全く邪魔にならない楽曲ばかりです笑。全曲、ジョン・ケージの件の奇曲のカバーというのかコピーというのか、とにかくここには無音の短い「コンセプト」によるだけの作品しか収録されていません。当然、盤面には送り溝もあって、次はだれのどの曲になったかが目認できる。そこがケージの あの曲をCDで聴くのよりは愉しいといえるでしょう笑。ドングリ夫婦の「沈黙の二分間」は有名だけれど、こんなにも数多くのアーティストが「無音」を作品化していることに驚きます。タイトルどおり、両面を大音量で聴いても、せいぜいアナログ盤特有のいろいろなノイズだけがでかくきこえてくるだけ。フランス盤。#アナログ・レコード #ジョンとヨーコ #オムニバス盤
実験音楽 LP, Album 高くない。揖斐是方