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レイ・マンザレク 十回忌 恐怖のナイト・シティ
日本から来た「ヒロミ・ゴー」が1976年6月21日の月曜日、午後7時からロスアンジェルスのスコティッシュ・ライト・オーディトリアムでライヴを行った際、スペシャル・ゲスト扱いの前座として出演したのが「ピラミッド」というバンドでした。本日十回忌を迎えた、リーダーを務める鍵盤奏者の古代エジプト趣味から命名されたと思しいが、キャリアを振りだしに戻し、郷の前座から再出発という現実の悲哀は、米ショービジネスシーンの冷徹な厳しさを反映しています。しかしバンドは、イメージ上かつ商業戦略上でも有利となるであろう新しい名前に。マンザレクがこの数年前に在籍していたバンドのレパートリーにあった歌詞、City of Nightから「ナイト・シティ」、これはその77年に発表されたファースト・アルバムです。最初の邦題は「恐怖のナイト・シティ」でしたが、安易すぎたか、「果てしなき夜への挑戦状」へ。これも「エンド・オブ・ザ・ナイト」の「或る者は果てしなき夜から生まれる」という歌詞を連想します。間違いなくマンザレクは夢よもう一度とばかり、「L.A.ウーマン」に直結するコンセプトで勝負にでたわけですが、残念なことにあまりにメンバー間の仲が悪かった。これではどうにもなりません、リード・シンガーが脱退後、セカンドを西ドイツのみで出すがあえなく解散しました。このアルバムでの歌詞では「ヘロインが俺の友だちを殺した」などとセンセーショナルな話題作りを目論んだフシもあり、いわば「真相の暴露」まで歌いこんでいたのですが・・・内容はキーボードがメインのダークなアメリカン・ロックで、特にマンザレクのピアノが美しい「無常な空の青」は名曲です。尚、この日本盤が発売されたのは郷のライブに出演したちょうど一年後の同日でした。
ロック LP, Album 20世紀FOX キング揖斐是方
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ESP 日本盤 コンパクト 『オーネット・コールマン/タウンホール・コンサート』
日本では最後に国内盤のCDが出てから30年近く経っているのではないですか、米国のカルト・コレクタブル・フリーキー・レーベルのESP。もう誰も興味は持たないですかね。歴史的名盤も擁するフリー・ジャズにおけるこのレーベルの重要性は、やはり看過できないものがあるでしょう。1960年代は日本ビクター・ワールド・グループが国内発売を行なっていました。もちろん、あのすべてのカタログではなく、ごく一部ですが。1968年1月にジョン・コルトレーンのものとともにリリースされたのが、このコンパクト盤です。オリジナルの定価は500円。収録曲が長いので、シングル盤ではなく、それより高い設定の規格で出されたレコードで、やはり「コンパクト盤」といったところでしょうか。ジャケット、タイトルが示すようにこれは『タウンホール1962』からのカットです。長いキャリアの中でも不遇時代で、活動歴の中でのミッシング・リンクとなる貴重なライブ・アルバムであることと、内容のすばらしさ、そして何よりもESPの日本盤17cmコンパクトという点で、ずいぶん長い間探していた一枚です。ゴッズのものと、ポール参加の盤「パスオンジスサイド」からのカットくらいしか米国盤ESPシングルなど記憶にない中での日本盤笑。ただし、これは白レーベル。やっぱり当時は売れなかったんだろうなーと確信できるわけですが。#freejazz #ESP #ornettecoleman
フリー・ジャズ 7" コンパクト ビクター ESP揖斐是方
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Far East! Far Out! / Various Artists 日本・香港・シンガポールのGS 六枚組ボックス・セット
これはジーエス・ファン必携・必聴の労作。六枚組のボックス・セットで150曲以上を収録、コンセプトは1964年から1971年までの香港、シンガポール、そして日本のワイルド・ガレージ・パンク、エキゾチック・ビート、サイケデリアの集成。ジャケットは寺内タケシとバニーズ、「悪魔のベビー」シングルの転用です。 英国製作と思われ、外人向けに広く極東の60年代ロックを紹介する意図で編まれたものでしょう。一枚、一枚が当時のシングルやLPそのままのデザインで縮小された紙ジャッケットに入っており、そのうちの二つが、クーガーズのテクテク天国とジャックスのタクト・オリジナルの方のマリアンヌなんだから、泣かせます。箱の裏にはオックスの写真とともに、「君の耳目をオープンにするまでは、「なんだこの変なのは!」と思うでしょう」みたいなことが書かれており、そんなの、当の日本人でもいまだに思ってますからね。笑。ただ、数多のジーエス・コンピレイションを聴いて来たのですが、これだけどうしてこんなに面白いのかと。トータルな面白さ、楽しさは群を抜いています。テディーロビンとプレイボーイズだとか、ストレイドッグスだとか、日本以外でもそこそこ有名で人気のあるバンドも収録されているのですが、とにかくジーエスが始まると、その熱量とエネルギーが違います、圧倒的に。流石ガラパゴス民族のアサッテの思い込みパワーは違う、ロックもくそもない笑。選曲のセンスが一風変わっており、その点が大いにユニークで楽しめます。例えば、PYGははいっていないがヘルプフル・ソウルが入っていたり、オックスはボックスの裏に写真があるも収録されていない、そのかわりガリバーズやスウィング・ウェストが入ってたり、ジャックスが3曲も入っていたり、ダイナマイツはないがモップスが何曲か、テンプターズははいっていてもタイガースが入っていない。(この点は重要でしょう) この歪さがとてもいいですね。著作権の関係で収録できなかったバンドが、などという言い訳など聞く耳は持たん、所詮100%無許可のブートレッグに違いないのだから。だからこそ、セレクトの妙味が出てくるわけです。最後のディスクの最後の一曲が、CD化すら進まぬシンガポールの名バンド、オクトーバー・チェリーズ、しかもゲット・バックのパクリ曲というのも愉し。#GS #garage #psychedelic
歌謡曲 ガレージ CD rubble揖斐是方
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旧ソビエト連邦 メロディア・レーベル ローリング・ストーンズの4曲入りソノシート
1980年代の初めころには、ストーンズもメロディアから立派なコンピレイション・アルバムが発売されたと記憶しています。これは、それ以前の製品のように思いますが定かではありません。収録されている「黒く塗れ」「涙あふれて」「ルビー・チューズデイ」「レディー・ジェーン」のモノラル・ヴァージョンは圧政に苦しむ人々の上に垂れこめる鉛色の空の下で、密かに響いていたことでしょう。笑い。実際には、どういう心情でソ連のロック・ファンはこれを聴いていたのか?国営レーベルからの物なので、なにもコソコソと非合法な音楽を、後ろめたさをもって聴いていたわけではないのか?よくわかりませんが。スリーブの紙質は当時の共産圏ほぼ共通の粗悪なもの、もちろん印刷も。そして盤面のレーベルにあたるところには、文字情報が印刷ではなくエンボス仕様になっているところがいかにもソ連。ただし、現在わざわざこういうもので初期ストーンズを聴くというのは、当時のソ連人の、想像力で補いながら聴いた西側ロックへの希求を疑似体験しているような、妙な味わいがあるのです。#therollingstones
ロック 両面ソノシート メロディア揖斐是方
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レコードで占う。ルネ・ヴァン・ダールの星占い/愛の予感 スーパー・レコード・ゲーム
盤のエッジ、任意に針を降ろした部分により毎回違った占いの結果が得られるスーパー・レコード・ゲームです。70年代後半あたりの発売で、「競馬」のものも出ていました。林家三平の娘もたしか針を降ろした箇所によって別アレンジの別バージョンが聞こえてくるレコードを出したと記憶しています。このアルバムから流れてくるのは、ハープやピアノの、あるいは「太陽がいっぱい」的なBGMを背景にヴァン・ダールによるノストラダムス的な抽象的な詩による占いが、モノラルで二分間つづきます。聴き終えたあとに再び再生すると、今度は別の結果が。 33 1/3回転のレコードですが驚くほど速く針は進みます。片面で少なくとも10種類の異なる音源が確認できました。当然、特殊なカッティングより製作された盤でしょうが、CDではありえないアナログな面白さがあります。これならば、内周にある曲の宿命である音質の劣化はなく、10曲のモノラルのナンバーが音質上は同じ条件で収録することができます。わざわざそんな盤を創ったアーティストはいないか笑。
占い LP, Album CBSソニー揖斐是方
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明日への願い/リンゴ・スター,ジョージ・ハリスン バングラ・デシュ・コンサート
ハリスンの「美しき人生」やマッカートニーの「アナザー・デイ」に並ぶ、ソロ・ワークスのフェイバリット・ナンバーがこの曲です。プロデュースはハリスンで、彼のヴォーカルによる音源も残っているし、やはりこれの作者はほぼハリスンといっていいのではないでしょうか。いや、誰が作ったとしても素晴らしい楽曲なのですが。ハリスン・ヴァージョンでは「ハリ・クリシュナ」のコーラスが大きくミックスされているが、このスターキー・ヴァージョンではとても控えめで、その件に関して二人でやりあった形跡もあるようですが。ポスター・パネルの方は昨年偶然みつけて購入しました。まちがいなくあのコンサートでこの曲を歌っている最中のショットでしょう。シングル盤の方は半世紀ほど前に。なお、2015年の海賊CDRでは、スターアンドハリスンのデュオ・リミックスによるこの曲が収録されていました。写真三枚目がそれにあたります。「リンゴのドラミングのセンスと魂、そして岩のように揺るぎないテンポの正確さはこの上ない才能だと思う。ドラマーにすべてを任せて背中を向けていられるなら非常にラッキーだって僕はいつも言っているんだ」ポール・マッカートニー #beatles #ringostarr #georgeharrison
ロック ボスター シングル盤 CDR アップル揖斐是方
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逆進行レコード ビージーズ 「リヴィング・アイズ」プロモーション用非売品
通算16枚目くらいの81年作品「リヴィング・アイズ」の、日本独自につくられたと思しきプロモーション盤です。「オデッサ」までのファンとしては、この時代の音楽につらいものがあるのは否めません。しかしレコード針を本来ならばラン・アウト部分、つまり盤の内側に置いて再生する逆進行レコードとなると、物好きとしては話が変わってきます。確かに、内側から一曲目、ラストの三曲目が終わると針は盤のエッジに。かろうじてふみとどまりますが、盤・ターンテーブルから脱落しそうな気がします。針は片減りがなく、マスターテープを逆転させてカッティングしてあるために、音の波形に歪が生じないなどと書いてありますが、そんなもんなんでしょうかね。#beegees
ポップス LP, Album RSO揖斐是方
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火遊びのブルース b/w 渚の歓喜/応蘭芳 ディープ歌謡
フォーリーブスのマモル少年は、笛を二回吹いてわざわざマグマ大使の女房を呼び出すことはなかったように記憶していますが、皆さんどうでしょうか? ガムか大使ばかりに用があったように思っているのですが。そうでもないですか。その女房「モル」が実は同じ60年代、見事なまでのアダルト歌謡を吹き込んでいたとは。もちろん当時は知る由もなかったのです。歌詞にはその痛烈なフェロモン歌謡ぶりが炸裂しています。今となっては、ディープ歌謡のカテゴライズで落ち着くべきポジションを得た一枚でしょう。ただ、やはりこれは当時のビクター・レコードだから例外なくついていたのでしょうが、この手のレコードにもちゃんとベル・マークが。こういうレコードにもベルマーク。笑。
歌謡曲 7" Single ビクター揖斐是方
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雨のフィーリング ザ・フォーチュンズ
イギリスの60から70年代にかけて活躍したコーラス・グルーブ、ザ・フォーチュンズ。71年に日本でも「雨のフィーリング」はスマッシュ・ヒットを記録しました。こういうのエヴァー・グリーン・ナンバーというのでしょう。音楽的な評価云々を語られることはないのですが、そしてやはりどこまでも一発屋のイメージはついてまわるかもしれませんが、それでも心が浮き立つような、シンプルでポップでキャッチーな洋楽がラジオでヒットしていた時代がありました。こういう音楽の良さをご理解いただけるご同輩は必ずいらっしゃるはずだと思っています。#レコード
ポップロック キャピトル 高くなかった。揖斐是方
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スティーブ・ハーリーとコックニー・レベルのシングル盤、問題はB面。
キッチュなグラムロックバンドとしての認識しかされていない感の強いハーリーとコックニーレベルですが、過小評価も甚だしいと思います。これはアルバム「悦楽の日々」からのカットですが、問題はB面。コックニーレベルの代表的ヒットであり、個人的には数多のブリティッシュロックの中でも十指に入ると確信する名曲「悲しみのセバスチャン」のライブヴァージョンが収録されております。1975年4月14日、ロンドンのハマースミスオデオンでの演奏。収録時間は実に10分50秒。45回転です。当然カッティングレベルは低く。しかしやはり素晴らしく、かつ貴重なヴァージョンといえるでしょう。 #レコード #シングル
ロック EMI 高くなかった。揖斐是方