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『リードを失くしたラッパ吹き/阿部薫 ライヴ・アット・騒 1978』
これは2003年4月に作られたCDRであり、全四曲はすべて1990年頃に出た「ライヴ・アット・騒」シリーズから抜粋した演奏です。あのシリーズは内容もさることながら若松孝二や友川かずきなど、ライナーの執筆陣の文章もとても面白かったのですが、これはそこから阿部のサックス以外の演奏ばかりを抜粋して集めた一枚です。1978年の1月から8月までの4回のセットから、ピアノ、ハーモニカ、ギターなどの独奏。天性の楽器演奏者としてブラアン・ジョーンズを彷彿とさせるようなエピソードもあり、この人の「ちゃんとできるひとなのにめちゃくちゃ」(失礼)に聴こえるフリー・ジャズを、有名ないくつものアルバムとは全く別のアングルから楽しめるようになってます。死の直前には灰野敬二とバンド結成の構想もあったという阿部薫、いつもどこか寂し気で物悲しい演奏に聴こえるのは私だけかもしれませんが。『アカシアの雨』もいいけれど、いとこだった坂本九の『ボクの星』なんかを録音してもらいたかった、きっと素晴らしいヴァージョンになったはずです。
フリー・ジャズ CDR 私家版揖斐是方
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ESP 日本盤 コンパクト 『オーネット・コールマン/タウンホール・コンサート』
日本では最後に国内盤のCDが出てから30年近く経っているのではないですか、米国のカルト・コレクタブル・フリーキー・レーベルのESP。もう誰も興味は持たないですかね。歴史的名盤も擁するフリー・ジャズにおけるこのレーベルの重要性は、やはり看過できないものがあるでしょう。1960年代は日本ビクター・ワールド・グループが国内発売を行なっていました。もちろん、あのすべてのカタログではなく、ごく一部ですが。1968年1月にジョン・コルトレーンのものとともにリリースされたのが、このコンパクト盤です。オリジナルの定価は500円。収録曲が長いので、シングル盤ではなく、それより高い設定の規格で出されたレコードで、やはり「コンパクト盤」といったところでしょうか。ジャケット、タイトルが示すようにこれは『タウンホール1962』からのカットです。長いキャリアの中でも不遇時代で、活動歴の中でのミッシング・リンクとなる貴重なライブ・アルバムであることと、内容のすばらしさ、そして何よりもESPの日本盤17cmコンパクトという点で、ずいぶん長い間探していた一枚です。ゴッズのものと、ポール参加の盤「パスオンジスサイド」からのカットくらいしか米国盤ESPシングルなど記憶にない中での日本盤笑。ただし、これは白レーベル。やっぱり当時は売れなかったんだろうなーと確信できるわけですが。#freejazz #ESP #ornettecoleman
フリー・ジャズ 7" コンパクト ビクター ESP揖斐是方
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取りみだしの美学/中村誠一
1972年、もしもこの人がタカクラホテル福岡の一室で、ごみ箱をかぶってハナモゲラ能をしていなかったならば、タモリの存在はなかったことになります。山下洋輔トリオのサキソフォン奏者による、宴会芸のリーダーアルバムです。、坂田明「二十人格」と双璧をなす奇盤。当然未シーデー化。1982年発表。ただし、レコードそのものの出来は、坂田盤に一歩譲るか。ゲストに山下洋輔、伊武雅刀、松金よね子。サウンド・エフェクターには同姓同名の赤塚不二夫、フリー落語「三日帰り」あたりは氏の宴会芸の真骨頂でしょう。それにしても、これがもう40年も前のアルバムだとは。#山下洋輔 #坂田明 #タモリ
フリー・ジャズ LP, Album 東芝EMI揖斐是方
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インランド・フィッシュ/吉沢元治 サイン付初回盤CD
片足の靴屋こと「上・下」三人衆の中では結局、今なお鑑賞に堪えうるのがこの人の作品。いち早く鬼籍に入られたのは、たしか「生前葬・ライブ」の直前だったような記憶があります。まだシーデーが3200円もしたころの1980年代にリリースされたもので、90年代に入ってサインをいただきました。豊住芳三郎のパーカッションと吉沢のベースだけによるライブでの演奏ですが、実にイマジネイティブなフリー・ジャズ。#フリー・ジャズ #CDアルバム #吉沢元治 #豊住芳三郎
フリー・ジャズ CD クラウン揖斐是方
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ボブ・ジェイムス ファースト・アルバムの日本盤。+その他。
クロスオーバーだとかフュージョンに関しては門外漢ですが、この人物のこのファーストだけはアヴァンギャルド、フリー・ジャズ、実験音楽の文脈で傑作として語られているのではないでしょうか。1965年のニューヨーク録音。日本ビクターから出ていたESP盤と、米オリジナルのESP、後年のリイシューシーデーなど。正しくサイケデリックの時代を反映する非日常の音、大成してからのボブを知る人にとってはおよそ考えられない作風だと思います。それにしてもESPというレーベルの放つ異様なオーラ、全タイトル紙ジャケットで再発するべき。
フリー・ジャズ ESP 失念揖斐是方