旧バンダイ キルギス星人 スタンダードサイズ 当時物
初期の『シルバー仮面』(第1話~10話)では、主人公・春日兄妹たちが亡き父・春日博士の開発した光子ロケットの秘密を探るべく各地を彷徨うという、ロードムービー的展開が見られます。行く先々で兄妹たちは光子ロケットの秘密を狙う宇宙人の襲撃にたびたび遭い、それゆえに戦いに巻き込まれることを恐れる人々に疎まれ、迫害されたりもする...
このように初期『シルバー仮面』におけるドラマは、単純に対宇宙人ばかりではなく、人間の無理解や悪意といった負の感情をも抉り出しているのが大きな特徴です。
キルギス星人が登場する第2話「地球人は宇宙の敵」は、そんな初期を代表するエピソードです。
このドラマ内でキルギス星人が発する「地球人同士が信頼し合えないのに、宇宙人が地球人を信頼する事はできない」という言葉は、観ている我々の心にグサリと突き刺さるものがあり、“守る側”と“守られる側”の信頼関係が前提にあるはずのヒーロー番組において、掟破りともいえる疑問を投げ掛けています。
この回の演出を担当した実相寺昭雄監督は、第1次怪獣ブーム期の『ウルトラセブン』において金城哲夫氏と組んだ「狙われた街」という、あまりにも有名なエピソードを生み出していますが、これに登場するメトロン星人は、直接的な攻撃による侵略ではなく、理性を失わせる赤い結晶体により、地球人同士の信頼関係を壊そうと企てました。
しかし、『ウルトラセブン』より僅か4年後、実相寺監督が盟友・佐々木守氏と組んだ第2次怪獣ブーム期の『シルバー仮面』では、キルギス星人の目に映る地球人の姿は既に「お互いを信頼しないもの」と描写されてしまっています。当然、これは「狙われた街」のラストで語られた、「でも、ご安心下さい。このお話は遠い遠い未来の物語なのです。え?何故って?、我々人類は今宇宙人に狙われる程お互いを信頼してはいませんから...」という有名なナレーションを意識していると思うのですが、実はこのナレーション、金城氏の脚本には無く、佐々木守氏が書いたとも、実相寺監督が自ら書き加えたともいわれています。そう考えると「地球人は宇宙の敵」は、実相寺・佐々木コンビによる「狙われた街」の“その後”みたいな位置付けにあるのかも知れません。
さて、話が長くなりましたが、キルギス星人。
頭の両側から飛び出た、二つの電球のような目玉。口なのか何なのか判然としない、顔の真ん中にある穴のような器官。
名怪獣デザイナー、池谷仙克氏が手掛けた『シルバー仮面』に登場する宇宙人たちはどれも傑作揃いですが、特にこのキルギス星人のインパクトと芸術性を併せ持った完成度の高さはシリーズ随一といっていいでしょう。
そんなキルギス星人を当時、ソフビ化したのが、この旧バンダイのスタンダードサイズです。
かなりデフォルメされていますが、着ぐるみの雰囲気をよく捉えた造形であり、また、ちゃんと着ぐるみに近い、抑えた色彩で塗装されていて、劇中の雰囲気を楽しめるソフビ人形に仕上がっています。
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シルバー仮面 第2話「地球人は宇宙の敵」
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