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LP初期のジャケット その12 グラモフォンの有料サンプラー
1956年はモーツァルトの生誕200年の年でした。グラモフォン(当時の社名は日本ポリドール)はそれを記念してモーツァルトの音楽の聴き所を集めたダイジェスト盤を発売しました。30cm盤で定価は ¥1,500 ですが、レギュラー盤が ¥2,300 でしたので、精一杯のサービス価格ということだったのでしょう。 交響曲,セレナード,ピアノ協奏曲,ヴァイオリン協奏曲,歌劇(序曲),声楽曲等バラエティに富んだ内容になっています。最後の2つの画像が、このレコードのチラシですが、これが月報の1956年3月号に挿入されていましたので、その頃発売されたのだと思います。 ところでここに収録されている「フィガロの結婚」序曲ですが、フリッツ・レーマン指揮ベルリン・フィルの演奏と明記されています。これは正しいのですが、その後フルトヴェングラー指揮ベルリン・フィルの同曲が発売された時(45回転のEP盤で EPX-34 1958年7月新譜)、どういう訳か誤ってこのレーマン盤が収録されてしまいました。この取り違えはその後の再発に際しても修正されませんでした。 本当のフルトヴェングラー盤が収録されたのは「ステレオ/フルトヴェングラーの遺産」と称する13枚組のセットだったと言われています。これは1968年6月15日発売ですが、ドイツ・グラモフォンによる「ステレオ・トランスクリプション」となっています。疑似ステレオ化はドイツで行われていますので、さすがに本国では取り違えなどなかったということなのでしょう。ということは間違ったのはドイツじゃなくて…… #アナログレコード
音楽 日本ポリドール ¥1,500chirolin_band
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LP初期のジャケット その11 ヨッフムの第九
グラモフォン盤がまだ統一ジャケットだった頃のレコードです。オイゲン・ヨッフム指揮のベートーヴェン第九交響曲で 1954年12月10日発売、定価 ¥2,500 です(レコード番号は LGM-13 )。統一ジャケットというのは、基本となるジャケット・デザインは全て共通で、曲目や演奏者などのテキスト情報のみが違うというものです。統一感があると言うか、面白みに欠けると言うか…… ところがこのレコードには第三楽章と第四楽章しか収録されていません。第一楽章と第二楽章はどうしたのかと言うと、実は別にもう一枚買わなければならなかったのです。月報(1955年1月号)を見ると、この LGM-13 とLG-3 の2枚で第九の全曲が聴けたことが判ります。 LG-3 は別売の25cm盤のLPで定価 ¥1,700。 まだ第九全曲をLP1枚に収めることが無理だった時代で、30cm盤の2枚組にしなかったのは、価格面への配慮だったのかもしれません。 いずれにせよ、極めて変則的な販売形態になっていました。 #アナログレコード #オイゲン・ヨッフム
オイゲン・ヨッフム 音楽 日本ポリドールchirolin_band