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HD-3
3号針を用いるホッチキス『HD-3』 レトロなデザインのホッチキスですが、つい先ごろの2020年まで製造・販売されてきたものです。 レトロなデザインの文房具として人気のあるHD-3ですが、このデザインはマックスがホッチキスを作り始めた昭和21年以来からもの。製造開始以来小改良を加えながら製造を続けてこられたとのことですが、基本的なデザインは変えられずに74年間作り続けてこられました。 外 寸 / H102×W60×D212(㎜) 質 量 / 460g 針装てん数 / 50本 とじ 奥行 / 36㎜(最大) 使 用 針 / №3 通常のコピー用紙程度であれば最大30枚まで綴じることが可能。 3号針は昭和1~2年ごろドイツから輸入され、昭和3年には3号針を用いるホッチキスが日本でも作られるようになりました。その頃、3号針を使うホッチキスのことは「スマート」と呼ばれていました。 昭和21年、当時は「山田興業(株)」という名称だったマックスが作り始めたホッチキスが『ヤマコースマート』と呼ばれていた3号ホッチキスでした。 山田興業が作っている3号(スマート)ホッチキスだから『ヤマコースマート』。これが後のHD-3と呼ばれるホッチキスのはじまりです。以来2020年に製造が終了するまで大きく変わることも無く、レトロながら実用的なモデルとして長く愛され続けてきました。 近頃では小型ホッチキスでも32~40枚もの用紙を綴じることができる高性能なホッチキスが登場し、加えて綴じる際に強い力が必要となる3号針という太い針を使うホッチキスを選ぶという選択肢は、興味がない限りはないかもしれません。さらには3号ホッチキスでも60~80枚まで綴じられるモデルもあります。実用用を重視するのであれば、高性能な新しいモデルの方が良いでしょう。 しかしながら実用一辺倒ではなく、長く愛され続けてきたレトロなデザインがお気に召されたのであれば、オススメの1台です。 製造終了から1年余りが経過し、文具店の店先に並んでいるものは少なくなってしまっているでしょう。しかし、長年作り続けられてきたモデルだけあって、オークションでも頻繁に見かけることができます。レトロ調でありながらも入手のしやすさからもお手軽なモデルといえます。 #ホッチキス #マックス #文房具
ノーマルクリンチ ホッチキス HD-3 マックス株式会社栗下 智
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★ サクリフラット (HD-10FL3K)
マックス株式会社の10号ホッチキスでは 最大のとじ枚数を誇るのが現行型の『サクリフラット』です。 現在発売されている最新の『サクリフラット』は 2016年8月に登場した3代目モデル。最大とじ枚数は32枚。 『サクリフラット』という名が示す通り、綴じ裏の針が出っ張らずに平ら(フラット)になるフラットクリンチタイプのホッチキスです。 外 寸 / H66×W28×D83(㎜) 質 量 / 106g 針装てん数 / 100本 とじ 奥行 / 29㎜(最大) 使 用 針 / №10 通常のコピー用紙程度であれば最大32枚まで綴じることが可能。 『サクリフラット』は、綴じることを極めるべく、「綴じる」ということに着目して研究開発された「サクリシリーズ」のフラットクリンチバージョンとして2008年に登場した20枚綴じモデルが初代モデルとなります。 その後、最大とじ枚数を28枚にまで増やした改良モデル(2代目モデル)が2013年に登場しました。 ◆ フラットクリンチホッチキスのあゆみ ホッチキスで綴じた針の裏側に飛び出た針足が、丸く山形にならずに針が紙と平行に平らに折れ曲がる。それがフラットクリンチです。 フラットクリンチタイプのホッチキスが登場したのは1987年のこと。世界で初めてフラットクリンチホッチキスを作ったのがマックス株式会社でした。 この時のホッチキスの最大とじ枚数は15枚でしたが、やがて多くの10号針ホッチキスと同じように20枚まで綴じられるフラットホッチキスが登場してゆきます。 2002年に最大26枚もの用紙を綴じることができる『パワーフラット』が登場したことによって、10号針を使うフラットクリンチホッチキスの最大とじ枚数競争が始まりました。 「10号ホッチキスの最大とじ枚数は20枚」という概念が取り去らわれ、28枚とじ、30枚とじと最大とじ枚数の多いフラットクリンチホッチキスが各社から登場して行きました。 そして、現在10号タイプのフラットクリンチホッチキスでは最大とじ枚数32枚モデルまで進化しています。 ◆小さなところまで手を加えて進化を深めたモデル 他社から登場した30枚・32枚綴じモデルに対して、マックスから提示したのは、新規11号針を用いた最大40枚綴じモデルのホッチキス『バイモシリーズ』でした。しかし、バイモシリーズによって40枚まで綴じられるというアドバンテージを得ることができた半面、このホッチキスを使うにあたり、本体はもちろんのことながら、11号針という新たな針まで準備をしなければならないというネックも生じることになりました。 既存の針をそのまま用いながら、32枚まで綴じられることができる。というのはユーザーからしてみればやはりありがたいことです。そんな市場の声を聞いて登場したのが3代目となる『サクリフラット』です。 「サクリシリーズ」には、この『サクリフラット』の歴代モデルの他に、シリーズの元祖ともいえるノーマルクリンチモデルの『サクリ』があります。 これらのモデルに共通するの機能が「軽とじ機構」と「予備針ストック」というストックの針を収納して置けるスペースをハンドル部分に設けていることです。 「予備針ストック」はハンドル部分に設けられたカバーを開け、内部に合計100本分の針をストックして置けるものです。マガジン内部に装てんできる100本を含めると最大で200本の針を収めることができます。 作業中に針切れを起こして、予備針を探すものの、針が入った箱が引き出しの奥深くに埋まってしまってなかなか出てこなくてイライラを募らせてしまった。という経験をお持ちの方は少なくないのではないでしょうか。 この「サクリシリーズ」であれば、事前にキチンと予備針ストックに予備針をセットしておくことで、いざ作業中に針切れを起こしても、すぐに予備針を取り出して再装てんすることができるのです。 最近登場するホッチキスには搭載されることが多くなってきた「軽とじ機構」。 20枚綴じるよりも32枚綴じるときの方が強い力が必要となります。しかし、力任せに綴じるだけでは針が折曲がれ失敗してしまいます。確実に32枚を綴じるための機構が必要です。綴じるのに必要な「てこ」を2つにし、綴じる力を半分にする。これが「軽とじ機構」と呼ばれる倍力機構です。新しいサクリフラットでも引き続き搭載されています。 他社の同タイプ・綴じ枚数が強化されたものの多くは、カラーリングの手直しはされているものの、デザインはほとんど変化していません。これに対してサクリフラットは本体デザインはもとより、クリンチ台などの細部でも設計を見直し改良が施されたところは、さすがはトップメーカーの成せるところではないでしょうか。 本体の大きさは旧型モデルとほぼ変わりませんが、高さは少し大きくなりました。従来よりもスッキリとしたデザインでシンプルながらスタイリッシュなものになりました。 11号針のバイモシリーズで培われた技術も反映されており、2枚など少ない枚数を綴じる際と、32枚など厚い枚数を綴じるときではホッチキスの針が進入して行く角度が変わります。この針を受け止め、折り曲げるにも最適になるように2種類の角度を設けた針受け台2段クリンチャ機構によって、2枚でも32枚でも針をキチンと折り曲げて綴じられるようにしています。 ●実用性も十分に進化したサクリフラット 新型『サクリフラット』にて半年でおよそ5000本の針を使用してみました。 使用中に何度かテーブルから落としてしまったこともありましたが、本体に致命的なダメージを受けることも使用し続けるにあたって違和感を覚えることもありませんでした。一見弱そうに見える予備針ストックのカバーも外れることもありませんでした。本体の堅牢性の高さを示すもののひとつといえるでしょう。 ただし、本体後部にあるリムーバ部分に関しては、強い衝撃によって折れ曲がってしまうことがありました。 リムーバ部分に関しては、おまけ的な付随機能で頻繁に使う機能ではないものの無ければ非常に不便です。とはいえ、他のホッチキスでもリムーバ部分は強い衝撃で折れ曲がることは珍しくはありません。落下によるリムーバの折曲がりはサクリフラットだけの特有の弱点というわけではありませんが、使用している中で気になった点のひとつではあります。 「軽とじ機構」を搭載しているお陰で、厚い書類も軽く綴じられますが、サクリフラットはただ軽いだけはなく、綴じたときに感じられる質感があります。これが他社のホッチキスに比べるとやや重く、音が大きく感じられます。マックスの歴代のフラットクリンチホッチキスを続けてきた人にはさして違和感はないのではないかと思うのですが、他社のフラットクリンチホッチキスを使っている人にとっては強く違和感を覚えるかもしれません。これの点は好みが大きく分かれるところといえるでしょう。 「サクリ」シリーズは、マガジンと予備針ストックスペースに予め針を装てんされた状態で梱包・販売されています。パッケージを開ければ直ぐ使えるというのは地味ながら有り難い点です。 #文房具 #ホッチキス #マックス
フラットクリンチ ホッチキス サクリフラット マックス株式会社栗下 智
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★ Vaimo11 FLAT
出張移動中のマックス社員が遭遇したことがきっかけでした。 新幹線の中でスーツ姿の女性が卓上ホッチキスを使い、肩で息をしながら何冊も冊子を作成する場面。 これまでの標準的な小型ホッチキスが綴じられる枚数は20枚まで。それ以上の枚数を綴じるときには大きなホッチキスが必要となります。30枚程度までであれば手でも握れるタイプのホッチキスもあるのですが、それ以上ということになれば大きな卓上ホッチキスしかありませんでした。 コンパクトでありながら、今まで以上に厚い書類を綴じられるホッチキスを実現するために、既存の針と既存のホッチキスの改良……ではなく、ホッチキス本体のみならず針から作り変えることで、40枚までの書類を片手で綴じられるホッチキスが誕生しました。それがマックスの『Vaimo11 FLAT(バイモ イレブン フラット)』です。 外 寸 / H68×W30×D107(㎜) 質 量 / 165g 針装てん数 / 100本 とじ 奥行 / 28㎜(最大) 使 用 針 / №11 通常のコピー用紙程度であれば最大40枚まで綴じることができます。 今までのホッチキスでは20枚まで。それ以上では、3号針を使うホッチキスを使って30枚まで。さらにそれ以上では、3号Uという針を使えるホッチキスを使います。 因みに、3号Uに対応しているホッチキスでは、3号針も使うことができますが、25枚未満の書類を綴じるときは3号U針ではなく3号針を使う必要があります。綴じる枚数に応じて3号針と3号U針を使い分ける必要があります。 ■ 全てを1から作り直したホッチキス 2枚でも40枚でも。コピー用紙40枚までの厚みであれば、枚数を気にせず使えるように新たに作られた11号針という新規格の針。ハンディタイプのホッチキスで40枚まで綴じられるように『Vaimo11 FLAT』は、本体のみならず針から作り変えました。 11号針は、今まで使っていた10号針と針の太さは変わらないものの、幅は2㎜広く、針足の長さは1㎜長くなりました。 10号針より一回り大きくなった11号針を収めるために大きくなったホッチキスマガジン。そして、この針を紙の厚みに負けないように確実に打ち出すためにマガジン周りにも工夫が凝らされています。 ・針を確実に送り出すプッシャ 針を送り出すプッシャには金属のプレートで補強 針の残量にかかわらず正確に押し出すための2重のばねを備えたプッシャ 強く押し出すプッシャに負けないように針をそろえるガイドレール ・正確に針を押し出す 40枚の紙に打ち負けない倍力機構 針をしっかり押し出すために、針の両肩をしっかり保持するオニバドライバ 最後まで紙にしっかり打ち込む針を垂直に保持するステープルホルダ ・正確に折り曲げる2段クリンチャ機構 打ち込まれる針は書類の厚みによって変わります。 2枚の書類はほぼ真上から、40枚の書類では斜め方向から針が打ち込まれます。そんな違う角度から打ち込まれた針を正確に折り曲げるため、針を受け止めるクリンチャの溝は2段階の受け面で確実に折り曲げます 3号針のように太い針の方が紙の抵抗に負けずに打ち込めるように思えますが、10号針と同じ太さを採用した11号針は、打ち込む際に紙から受ける抵抗を軽減させる効果もあります。 2枚も40枚でも迷うことなく、軽い力で倍も(バイモ)綴じられる。 2008年、全てを1から作り直した『Vaimo11 FLAT』はVaimo11シリーズの第1弾として誕生いたしました。 一般的な10号ホッチキスと比べるとやや大きくなり、そのぶん重さもあるホッチキスですが40枚もの厚さの書類を場所を選ばずに片手でも綴じることができるのは、大きなメリットです。 加えて、コピー用紙40枚までの厚みであれば2枚でも40枚でも針を変える手間が必要ありません。 机の引き出しに入れて置けば、どこでも、厚さのある書類でも手軽に綴じることができます。作業性がとても高く非常にありがたい1台です。 #マックス #ホッチキス #文房具
フラットクリンチ ホッチキス バイモ11フラット マックス株式会社栗下 智
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★ 【ダイソー】 軽くとじられるホッチキス(大)
ダイソーで見かけたちょっと大きめのホッチキス『軽くとじられるホッチキス(大)』 普段使われている「№10」と呼ばれるホッチキス針を用いて 通常のコピー用紙程度の用紙を最大20枚まで綴じることが可能。 外 寸 / H70×W29×D103(㎜) 質 量 / 165g 針装てん数 / 100本 とじ 奥行 / 47㎜(最大) 使 用 針 / №10 売り場で見かけたとき、目を引かれるほどの大きさにも驚いたのですが、何よりも驚いたのが『フラットクリンチ』であることと、10号針を用いるホッチキスであったということ。実は、このホッチキスに出会う前日に「何でもそろう100円ショップとなってきたことだから、フラットクリンチのホッチキスが登場するのも時間の問題かもしれない」などと思っていた矢先での遭遇だったからだ。 何気なく立ち寄ってみたダイソーで、ひときわ大きなホッチキスが目に飛び込んできた。 「なぜここにマックスのバイモ11が置いてある??」 ……バイモ11のようなメーカー品が置いてあるわけがない。 バイモ11フラットは外寸:H68×W30×D107(㎜)、質量:165gとほぼほぼ同じ大きさ。デザインもどことなく似通っている。 そんなバイモ11もどきのホッチキスがあったら素通りなんかできるわけがない。 フラットクリンチにも驚いたものの、これに関しては本体下側の『クリンチャテーブル』と呼ばれる個所が、フラットクリンチならではの形状をしているので手に取るまでもなく直ぐに気が付いた。むしろ、手に取るまで気付けず驚いたのが10号針を使うということだった。本体の大きさからして、てっきり3号針を使うものだと思っていたら見た目に騙されてしまった形だ。 針を装てんする際は、上部のハンドルを開けばマガジン内にあるプッシャを金属製のプッシャアームがハンドルの動きに合わせて引き上げてくれる。ハンドル部分もしっかり固定されるので楽々針の装てんができます。 装てんされた針の残量はマガジン側面にある窓から確認することができる。 ハンドルを開いて本体をよくよく見ると、内部は金属パーツがいくつも組み合わさっていて、値段から想像する以上にしっかりした作りとなっている。しかも、力が加わる上部のハンドルフレームは堅牢そうな厚いフレームが備わっており、さらにはハンドルカバー内部のフレームに至っては焼き入れまで施されている。ここだけでも、値段を再確認したくなるほどだ。 本体の後部には綴じた針を外すことができる「リムーバ―」も備わっており、至れり尽せり。文句を言うとするならば、「重い」ということだろうか。しかし、大きさもあり、内部にしっかりしたフレームが入っているので、これで軽くしろという方が無理な話。 しかし、これだけしっかりした作りで「最大20枚とじ」というのが解せない。 ひょっとしたら、30枚くらいは綴じられるのではないだろうか? ……万が一壊れてしまっても400円+税だ。 ということでやってみた。 結果、32枚まで綴じることができた。 もっとも、20枚を超えた時点でハンドルを押す力は多少必要とするのですが、両手を使って力の限り……なんてことはありません。片手で打つことができます。 ただ、残念ながらというべきか。 調子に乗って32枚とじの試し打ちを1500回ほど続けたところ、それまで平らに折れ曲がっていたはずの綴じ裏の針が、キチンと折り曲げられず針の先端が紙から浮くようになってきてしまいました。 最大20枚綴じという限度を超えることなく、正しく使っていたならば5000回以上は使えるかもしれません。現に、32枚綴じを1500回繰り返したホッチキスも、15枚程度までであれば、普通のフラットクリンチホッチキスとして遜色なく使えるのです。 また、フラットクリンチホッチキスとしては「とじ奥行」が深いことも特徴のひとつ。 他社のフラットクリンチホッチキスでは、フラットクリンチ機構を働かせるための部品が比較的浅いところに備わっていることが多い。因みに、バイモ11フラットのとじ奥行は最大28㎜。 書類ならば奥まで入れて針を打つことは無いかもしれませんが、何か工作などしている際に奥にホッチキス止めしたい。なんていう際には、とじ奥行が深い方が有利になります。 メーカー品の32枚綴じフラットクリンチホッチキスは、定価でも850円ほどで入手することはできますが、32枚綴じとフル性能をどこまで使うのか。また、多くの一般家庭においては1台のホッチキスを2000回、3000回と使うことがあるのだろうか。そんなことを考えると、このダイソーの『軽くとじられるホッチキス(大)』は400円+税という価格で、高パフォーマンスを発揮してくれるお値段以上の品物なのであります。 バイモ11シリーズを使うことができた方ならば問題はないかと思いますが、大きさ・重さに抵抗がない方であればオススメ致します。 できれば、綴じ枚数は20枚くらいにしておいてあげてください。それが長持ちの秘訣です。 #文房具 #ホッチキス #ダイソー
フラットクリンチ ホッチキス 軽くとじられるホッチキス(大) HAUSER栗下 智