古代地中海ガラス玉

0

【推定年代】
BC2~AD2
【産地など】
地中海地方

【解説】
ローマ初期、前2~2世紀ころのローマン・ビーズで、濃紺のクリアなガラスで制作された長径11mm程のガラス小玉。
ちょうどパチンコ玉と同程度の大きさ。
引きガラス製法で制作され、このため本品の胎には、縦に細い線が確認され、また、孔の両端の面でも孔に向かい細い線が表層近くに残されている。

気泡崩れの跡や縦線の割れ目、また、両側の気泡崩れなど孔などに、小粒の銀化が確認できる。
銀化は、弱い酸性の水がガラスに浸透して、ガラスの成分が周囲の鉄、銅、マグネシウム分などと化学変化が生じ、形成された被膜によってプリズムのような光学干渉を起こして虹色に見える、古代ガラス特有のパティナ(古色)の一種。
特に東地中海地域で制作され、古代世界で植物灰ガラスに代わって圧倒的になったナトロン・ガラスで銀化が多く発生するとされる。

ローマ期のロイヤル・ブルーからネイビイ・ブルーの発色には、少量のコバルトが用いられ、本資料の濃紺や青は、ローマ期のクリアな青ガラスと同様に、コバルト青を着色剤に用いたと想定される。

地中海や西アジアで制作された古代ガラスは、シルクロードを経由して弥生〜古墳時代の我が国にも齎されており、例えば弥生時代の北部九州にみられる首長クラスの王墓では、この様なローマンガラス製ガラス小玉が副葬品として既にみられる。

Default