含銀方鉛鉱/含インジウム閃亜鉛鉱 (galena containing silver/sphalerite containing indium) 豊羽鉱山 #0202

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本標本は豊羽鉱山空知𨫤露頭から自然崩壊した鉱石で、 黄鉄鉱に含銀方鉛鉱(赤矢印先)と含インジウム閃亜鉛鉱(鼈甲亜鉛、青・緑矢印先)が随伴しています。

豊羽鉱山は定山渓温泉の西方約10km、豊平川の支流白井川上流に位置し、1890年代には既に旧坑が存在していたようですが、本格的な採掘が開始されたのは久原鉱業(株)による買収後の1916年(大正5年)とされています。銀、インジウム、銅、亜鉛、鉛などを産出しましたが、鉱床が高温岩盤地域にあったことから深部に至るにつれ地熱により発破等の従来工法での採掘が困難となり、可採範囲内での資源枯渇を理由に2006年に休山しました。インジウム鉱山としては1997~2004年の生産量758t(粗鉱平均品位 309g/t)で世界最大、銀鉱山としては総生産量3,591t(粗鉱平均品位Ag 305g/t)で日本最大、鉛総生産量も52.2万tで日本最大、亜鉛総生産量は183万tで日本第2位という大鉱山でした。
インジウムはレアメタルの一種で、現在は様々な電子部品に用いられる透明な電導性膜の原料の一つとしての利用が主用途になっているとのことですが、豊羽鉱山の稼行当時は軸受け(ベアリング)用のメッキ皮膜原料としての用途が大きかったようです。

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