-
ジャンムーカシミールサファイア0.700ct
過去から宝石として装飾品に用いられてきた、ダイヤモンド、ルビー、サファイア、エメラルドにアレキサンドライト、あとジェダイトもでしょうか。その中でも特別的な扱いを受けてきたのがインド側カシミール、ザンスカール山脈クディバレー産のいわゆる「カシミールサファイア」です。 インド側カシミール地域、ザンスカール山脈クディバレー、標高4000m以上あるこの地域からサファイアが採取されたのは19世紀末から20世紀初頭にかけて。 オールドマイン産か知る術はありませんが、インド側カシミールのものであることは、まず間違いありません。 カシミールサファイアの産地同定検査は、GIAだけでは足りません。GIAが多く"Kashmir"と出すサファイアの中には、多くの他産地のものが混じっていますので、ダブルソーティングを取られることをお勧めします。 国内だとサファイアの産地同定が得意な日独宝石研究所での検査をお勧めします。 一度目に焼き付いたら離れない。これがコーンフラワーなのでしょうか。 鉱物名:コランダム 宝石名:サファイア 組成:Al2O3 重量:0.700ct 産地: Kashmir sapphire mines, Pádar, Kishtwar district, Jammu and Kashmir 鑑別:日独宝石研究所, GIA
宝石 ネットオークション 2021年shm
-
コバルトスピネル0.096ct(バフィン島産)
カナダのヌナブト準州、バフィン島のコバルトスピネルです。カナダのコバルトスピネルは、含浸処理されていると聞いていたのですが、特に処理されていませんでした。お騒がせして申し訳ございません。 コバルトスピネルですが、定義としては、「Coを含むスピネル」ではなく、「Coが発色の主因となっているスピネル」説を推します。国内主要ラボでは多分後者説をとっています。 さて、こちらのスピネルですが、バフィン島のコバルトスピネルはCo含有率がベトナムルクィエン産並、最大で500ppmということらしいですが、スピネルの結晶にCoが入ることは、中々無く、入っても微量です。(意外にFeも多いようですが、鉄っぽさを感じさせないアウィンカラーです。 ちなみにこちら0.09ctですが、バフィン島産のコバルトスピネルは、軽石のようなものの隙間にできるようで、大きくとも、0.1ct台だと思われます。このサイズでも十分な大きさのようです。 産地として、冬場はまず採取できないでしょうし、特に珍しいコバルトスピネルだと思われます。色もベトナムのトップカラー並。ぜひ探してみてほしい石です。 鉱物名:スピネル 宝石名:コバルトスピネル 組成:MgAl2O4 重量:0.096ct 産地:Baffin Island, Qikiqtaaluk Region, Nunavut, Canada 鑑別:日独宝石研究所
宝石 大阪市中央区 2021年shm
-
ムゾー産エメラルド "Gota de Aceite"(無処理) 0.698ct
GIAの「GEMS & GEMOLOGY」によると、"The finest and rarest emeralds"は、時に"gota de aceite"と呼ばれる光彩が見られるようです。 これは、結晶内部に見られる成長線であり、結晶が育つ過程でエメラルドに含まれるCrが多い場合、成長を阻害するためにできるようです。 さて、"gota de aceite"はスペイン語で、"オイルの雫"の意です。特別に濃いエメラルドに見られる現象のようですが、チボールの濃いエメラルドには中々見られず、ムゾー、またはザンビアの濃いものにごく稀に見られるようです。 光彩は"gota de aceite"または"Mariposa"、蝶の羽根と言われることもあります。 エメラルドはほぼ100%、オイルによる含浸処理がされます。しかしこの石は、含浸処理されていない、成長線による光彩をはっきりみることができる、Gota de Aceiteと呼んで差し支えないものだと思います。 鉱物名:ベリル 宝石名:エメラルド"Gota de Aseite"(無処理) 組成:Be3Al2Si6O18 重量:0.698ct 産地:Muzo Mine, Western Boyacá, Boyacá, Colombia 鑑別:GIA、日独宝石研究所
宝石 大阪市中央区 2021年shm
-
トルマリン(非加熱キュプリアンエルバイト)0.275ct、CuO:1.09%、MnO:2.76%(グロリアス・パレーリャス産)
パライバトルマリンの加熱前の色は、パープル(赤寄りの紫)以外にもバイオレットカラー(青よりの紫)のものがあります。 鑑別書の色表記は"violet"です。 青に近いため、鑑別書(パライバトルマリン・レポート※)に"パライバトルマリン"の表記が可能か、確認してみましたが、この色では出来ないようです。 入手する際バターリャ産と聞きましたが、産地同定検査ではグロリアス・パレーリャス産に近い、という結果でした。 グロリアス鉱山はパレーリャスの主要な鉱山のうちの一つで他にはキントス鉱山、ムルング鉱山です。"ブラジル産"と出回っているものは、初期バターリャ以外だと大体キントスか、ムルングです(キントスが多い印象です)が、グロリアスと特定された石はあまり見かけません。場所はパライバ州に1番近い鉱山です。 ※国内の鑑別機関のルールでは、鑑別書上"パライバトルマリン"と書くために別途レポートの作成が必要になります。 鉱物名:トルマリン 宝石名:トルマリン(非加熱キュプリアンエルバイト) 組成: Na(Li,Al)3Al6(Bo3)3Si6O18(OH)4 重量:0.275ct/ CuO:1.09%、MnO:2.76% 産地: Glorious pegmatite, Borborema mineral province, Rio Grande do Norte, Brazil 鑑別:日独宝石研究所
宝石 ネットショップ 2021年shm
-
カラーチェンジダイアスポア "ズルタナイト" 0.702ct
カラーチェンジダイアスポア、通称"ズルタナイト"です。ダイアスポア自体、割とレアストーンの中でもメジャーな方な石ですが、このように明瞭なカラーチェンジを見せるものはかなり稀です。意識して探さないと出会うことはかなわないと思います。 特に2020年頃から登場した、アフガニスタン産のピンクダイアスポアが台頭し出している中、元々のメジャーな産地のトルコ産のこの石に再びスポットが当たることはあるのでしょうか。 私はピンクダイアスポアも良いですが、やはり伝統的なトルコ産、とりわけこの石のように胸を張って"ズルタナイト"だと言える石の方に魅力を感じます。 日独宝石研究所の鑑別書にはしっかり"カラーチェンジタイプ"、"別名ズルタナイト"のコメントあり。変色後はさながら最高品質のインペリアルトパーズのような色合い、イベント等で是非探して頂きたい石です。 鉱物名:ダイアスポア 宝石名:カラーチェンジダイアスポア "ズルタナイト" 組成:AlO(OH) 重量:0.702 ct 産地: Menderes River, Yatağan District, Muğla Province, Turkey 鑑別:日独宝石研究所
宝石 大阪市中央区 2020年shm
-
スペリーライト2.214ct
スペリーライトはプラチナの主要鉱物で組成はPtAs2と、プラチナ(Pt)に砒素(As)がついており、和名を「砒白金鉱」といいます。 プラチナというだけあって比重は10強あり、シナバーの8より高く、この裸石も大きさの割に2ctを超えます。 カナダのオンタリオ州ヴァーミリオン鉱山が原産地であり、シベリアでも採れます。この裸石は原産地標本になります。鉱物標本は見かけることがあっても(滅多に見かけませんが)裸石は海外セラーくらいしか持っていないかと思われます。 鉱物名:スペリーライト 宝石名:スペリーライト 組成: PtAs2 重量:2.124ct 産地:Vermilion Mine, Denison Township, Sudbury District, Ontario, Canada 鑑別:日独宝石研究所
宝石 ネットショップ 2020年shm
-
トルマリン(非加熱キュプリアンエルバイト)0.237ct,CuO:2.06%,MnO:2.91%(パレーリャス産)
パライバトルマリンは、通常、鮮やかなエレクトリックブルーの色合いを引き出すため、加熱処理がされますが、加熱する前はこのような色であることが多いです。 一見地味ですが、パライバトルマリンのような明るい派手な色合いより、このような落ち着いた色が良いという方は多いです。需要はあると思いますが、先述の通り、普通は加熱される石なので、この色で見つかることはあまりないです。 鑑別書の色表記は"purple"となっています。 鉱物名:トルマリン 宝石名:トルマリン(非加熱キュプリアンエルバイト) 組成: Na(Li,Al)3Al6(Bo3)3Si6O18(OH)4 重量:0.237ct/ CuO:2.06%、MnO:2.91% 産地: Parelhas, Rio Grande do Norte, Brazil 鑑別:日独宝石研究所
宝石 ネットショップ 2020年shm
-
ピンクダイヤモンド(fvp or fvpp, VS2, 0.07ct)
ダイヤモンドは、他の色石、ルビーやサファイア、エメラルドのような貴石と異なり、グレーディングが存在します。 例えば、ダイヤモンドを中央宝石研究所等、鑑別機関に持っていきますと、「鑑定書」を作成してもらえます。しかし、他の色石を持っていきますと、「鑑別書」を作成してもらえます。 鑑定と鑑別の違いはなにか。 SNSでは、愛好家の方に多いのですが、あるいは業者でさえも(滅多にいませんが…)、鑑定と鑑別をごっちゃにして誤用しているケースをよく見かけます。 鑑定は、「評価」です。 鑑別は、「識別」です。 意味は全く違います。 鑑定ができる宝石はダイヤモンドのみです。ダイヤモンドに関しては、GIAがダイヤモンドグレーディングシステムを整備、運用しており、国内のAGL所属団体は、このGIAグレーディングシステムに準拠して鑑定がなされます。 GIAグレーディングシステムにおいて、ダイヤモンドは4C(Colour(D〜Z)、Carat(ct)、Clarity(FL〜I3)、Cut(Excellent〜Poor)(順番適当です💧))で等級付けされます。この等級付けを目的として作成されるレポートを「鑑定書」と呼びます。 他の色石は「この石の鉱物名は◯◯で、宝石名は◯◯、重量は◯ctで、硬度は◯、比重は◯の重液に沈み〜、…」と記載されます。石種を特定する目的で作成されるこのレポートを「鑑別書」と呼びます。 GIAグレーディングシステムは、無色のダイヤモンド以外にカラーダイヤも厳格に規定しています。4Cにおいて、Colour以外は無色のダイヤモンドと同じ指標でグレーディングされますが、カラーグレーディングは、そのダイヤモンドが属する色帯はどこかを、マスターストーンと比較し決定する作業です。 カラーチャートとして、円形の、Red〜Purple〜Violet〜Blue〜Green〜Yellow〜Orange〜Redの色相環をよく見かけますが、実際には円形ではありません。 球状です。 縦がTone(球体の上ほどlighter、下ほどdarker)、横がSaturation(外側ほどstronger)。 以下のURLのカラーチャートを参照してください。英字ですが、カラーチャートの下に記載されている球体の図がわかりやすいです。 https://www.gia.edu/doc/ColDiaChartBklt.pdf カラーダイヤのカラーグレーディングは、対象のカラーダイヤの色が、球体のどの位置に属するかを決定する作業です。 本当はカラーグレーディングのプロセスとか書きたいのですが、既に脱線しまくりですので、ここまでにしておきます。 さて、この石は、国内のカラーダイヤのグレーディングに定評のあるAGTジェムラボラトリー及び中央宝石研究所のダブルソーティングをとりました。答えが知りたい場合はGIAに出せばいいのですが、GIAにカラーダイヤのグレーディングを依頼する場合は米国に発送されるので、私には敷居が高いです。 グレードは以下の通りです。 AGT:0.074ct, Fancy Vivid Purplish Pink, VS2 CGL:0.073ct, Fancy Vivid Pink, VS2 カラーダイヤはカラーが最も重視され、クラリティグレードは見た目を損なわない限り二の次ですが、VS以上だと輝きは抜群です。
宝石 ネットオークション 2019年shm
-
チボール産エメラルド(0.266ct、GIA:NONE & Inconclusive)
国内ではAGL所属団体等が記載するエメラルドの処理の記載方法は、大まかには以下の3種類です。 ①透明剤の含浸の痕跡は認められない ②通常、透明剤の含浸が行われている ③透明剤の含浸が行われている ここで①を出す場合、FTIR検査といって、より高度な分析機器を用いる検査が必要です。なので、通常、エメラルドを鑑別に出した場合、鑑別書には②または③のコメントが入ります。 ②、③の違いは、通常の検査過程で含浸の痕跡が分からなかった場合は②、含浸が明らかな場合は③です。ノンオイル以外、ほとんどの場合、③で出すのではないでしょうか。 国内に対し、GIAではエメラルドの分析レポートで、以下の分類のとおり記載を分けています。 ①NONE ②NO INDICATIONS OF CLARITY ENHANCEMENT ③F1 "MINOR CLARITY ENHANCEMENT" ④F2 "MODERATE CLARITY ENHANCEMENT" ⑤F3 "SIGNIFICANT CLARITY ENHANCEMENT" この内、無処理であるノンオイルは①または②で、含浸されている場合、含浸の程度によって③〜⑤のいずれかが記載されます。 私が高価なエメラルドを取り扱う店にて見てきた中で、一番よく見かけたのは③です。とても良い、濃い発色をしたコロンビア(恐らくムゾー産)のもので、マイナーオイルと謳われ販売されていた複数のピースのGIAレポートには③の表記がされていました。 では、①、②の差は何か。この表記は誤解を招きやすいですが、エメラルドは、どのようは場合であってもそのカッティングの際に研磨剤にオイルが用いられます。そのオイルが、石の表面のフラクチャー(キズのようなもの)から中に染み込んでしまったものを検査した場合、これは③〜と出ます。 ②は補足説明に"No or insignificant clarity enhancement"と記載されています。直訳すると、"無処理または僅かな処理"、この"僅かな処理"が引っかかるところです。しかし、前述の通り、エメラルドはカッティングにおいて必ずオイルが用いられますので、「検出されてない僅かなオイルがあるかもね〜」程度の意味で捉えておくことがポイントと考えます。検出されていない僅かなオイル、これは表面に僅かでもフラクチャーが存在し、そこからオイルが検出されなかった、と理解しています。 では①は何か。これは表面にフラクチャーが存在しないエメラルドになります。「キズのないエメラルドは存在しない」と言われますが、本当にキズのないエメラルドについて、GIAではその証明が可能ということになります。表面にフラクチャーがないので、含浸しようがない。研磨剤にオイルが含まれようとも、内部に染み込みようがない、そんな「存在しない」はずのキズのない完全無欠のエメラルドです。意識して探さなければ見つけることは不可能です。 さらに、GIAを含む、産地同定サービスを実施する鑑別機関は、その手掛かりとして、成分、内包物等様々な要因を、自機関で所有する複数のサンプルストーンと比較して「この産地のものと一致するね〜」と意見を出します。産地同定は難しく、先駆けであるGübelinの検査が最も信頼されています。GIAも信頼性は高まりつつあるようですが、Sotheby's等の伝統的なオークションではGübelinやSSEF等の鑑別でないとダメと言われます(ダイヤモンド鑑定は除きます。)。 GIAでは産地が分からなかった場合、Geographic Origin欄の記載は"Inconclusive"、不明、となります。なぜ不明なのか、それは手掛かりとなる内包物が無い場合に、そういった記載になる事があるようです。 この石は、GIAで産地不明と出た、ノーインクルージョン、ノーフラクチャー(無傷)の、チボール産の石です。日独宝石研究所に提出したところ、鑑別書の拡大検査の項目欄に、内包物の記載が無く「成長線を認む」のみが記載されています。さらに日独宝石研究所では、サンプルストーンと成分で一致するものがあったのか、鑑別書にはコロンビア産と記載されました。その点、日独宝石研究所はGIAより優れていると感じます。 エメラルド自体珍しい石ではありませんが、「キズのないエメラルドは存在しない」と言われる中、このように鑑別されるエメラルドは、国内にどの程度あるでしょうか。 鉱物名:ベリル 宝石名:エメラルド(GIA "NONE" & "Inconclusive") 組成:Be3Al2Si6O18 重量:0.266ct 産地:Chivor Mine, Chivor Municipality, Boyacá Department, Colombia 鑑別:GIA、日独宝石研究所
宝石 大阪市中央区 2020年shm
-
パライバトルマリン(パレーリャス産)0.268ct,CuO:1.40wt%,MnO:2.71%
ブラジルのパライバトルマリンはインクルージョンが入りやすく、透明感が良いものは限られます。特に、原産地のバターリャでは、エイトリータのような透明感のある石は今ではかなり珍しく、相当な高値で取引されます。 ブラジルでは、バターリャに近い、隣のリオ・グランデ・ド・ノルテ州パレーリャスでもパライバトルマリンの鉱山が3つ(4つ?)あり、それぞれバターリャに近い側の鉱山から、グロリアス、キントス、ムルングと言われます。 この石はバターリャ産として入手したものですが、透明感は抜群で、色はエメラルドに近い様相です。日独宝石研究所に提出したところ、バターリャ産の特徴は見られず、パレーリャスのいずれかの鉱山のものと考えられる、とご意見をいただきました。パライバトルマリンは産地偽装の多い石ですので私もこれはパレーリャス産として扱います※。透明感に定評のあるキントス産かな、と思いますが、それぞれ鉱山が近すぎるため、追跡は困難と判断し諦めました。 ※私の取引したセラーは信頼度が高い人物なので、おそらく流通のどこかで、「ブラジル産」→「バターリャ産」と誤解が生じたのでしょう。 インクルージョンが肉眼では確認できず、パビリオン側からは、わかりにくいですが、若干ながら黄緑色が確認でき、バイカラーの様相が見て取れます。 エイトリータがパライバトルマリンの青側の限界色であれば、この石は緑側の限界色と思われます。 鉱物名:トルマリン 宝石名:パライバトルマリン 組成: Na(Li,Al)3Al6(Bo3)3Si6O18(OH)4 重量:0.268ct/ CuO:1.40%、MnO:2.71% 産地: Parelhas, Rio Grande do Norte, Brazil 鑑別:日独宝石研究所
宝石 京都市左京区 2020年shm
-
ローレントーマサイト0.440ct
2019年、マダガスカルで新しく産した宝石で、国内にはコロナ禍の為か、中々出回ることがありません。また、海外のかなり信頼性の高い鑑別機関が、グランディディエライトを、ローレントーマサイトと鑑別し、国内で再鑑別をした際、ローレントーマサイトではないと判断されたこともあるようです。 なお、グランディディエライトとローレントーマサイトは、日独宝石研究所のサイト記載のとおり、前者が硬度7半、後者は6。比重値も屈折率もわずかに前者が高く、結晶系も違うので、識別は簡単とのことです。なぜかの実績も権威もある鑑別機関が誤った結果を出しているのか謎です。 グリーンとイエローの二色性が特徴ですが、グランディディエライトも多色性が特徴の石。こちらのものは多色性があまり確認できず、インクルージョン、クラック、パビリオン部の欠け…等瑕疵をあげたらキリが無いのですが、カットはかなり整っており輝きは中々と思います。 2020年時は、高価で愛好家も中々手が出せないものとなっていますが、コロナ禍が収束し、国内に持ち込まれたとき、値下がりはあるのでしょうか。 鉱物名:ローレントーマサイト 宝石名:ローレントーマサイト 組成: Mg2K(Be2Al)Si12O30 重量:0.440ct 産地: Beravina, Ambaro, Tsaraitso, Betroka, Anosy, Madagascar 鑑別:日独宝石研究所
宝石 神戸市中央区 2020年shm
-
コバルトガーナイト(ナイジェリア産)0.408ct
ガーナイトはこれまで濃い緑色をした、地味な色の石で愛好家の間でのみ取引される鉱物で、一部スリランカの鉱山からごく僅かにCo含有のガーナイトが産し、そこから更に透明度の高い原石がカットされ、販売されるという、極めて希少性の高い宝石でした。 ところが、2019年、ナイジェリア産のブルーガーナイトが国内のショップで多数リリースされました。新たな鉱山が見つかったのか、既存の鉱山から大量に産出したのか、おそらく後者だと思いますが、いずれも希少性を武器に愛好家の間で人気を博しています。 日独宝石研究所の会報誌でも紹介されたこの石の産地について、詳しい記事は見たことがありませんが、GIAの論文にはカドゥナ州kagoloから産したと記載がありました。 また、タラバ州mambilla hill産と記載されたものも販売されており、この石はそこの産地のものとして入手しました。 この石にはコバルトスピネル同様、Coが含まれており、その発色要因はCoがFeより優勢で、重要な役割を果たしています。鑑別書に"アイアンバンドを認む"の記載がないことがその証左です。 鉱物名:スピネル 宝石名:ガーナイト "コバルトガーナイト " 組成: ZnAl2O4 重量:0.408ct 産地: Mambilla Hill, Sardauna, Taraba State, Nigeria 鑑別:日独宝石研究所
宝石 ネットショップ 2020年shm
-
ウェーウェライト
この石は、日独の鑑別結果には"ウェウェルライト"と出ており、どうやらこちらの名称がAGL推奨らしく正しいのかもしれません。但し、日独では"ウェーウェライト"での鑑別書作成も可能でして、どうも近山晶先生はどうやら"ウェーウェライト"の名称を使用していたようです。ですので、私も当初教えてもらった方の"ウェーウェライト"を使用しています。 さて、この石がどのようなものかといいますと、実は結石と同じ成分でできています。カットするような石ではないですが欧米のカッターは何でもカットしてしまいますので、モーススケール2半のこんな石にもファセットカットを施してしまいます。産出も限られていますし、インクルージョンも入りやすいので、こんなにシンメトリーが整えられた、インクルージョンの見えない石は珍しいのです。 そして、この石は長波で綺麗に蛍光します。蛍光する鉱物は割と多いですが、この石のような青白い蛍光をみせるものはあまり見ない気がします。 鉱物名:ウェーウェライト 宝石名:ウェーウェライト 組成: Ca(C2O4)・H2O 重量:0.259ct 産地:Most District, Usti nad Labem Region, Czech Republic 鑑別:日独宝石研究所
宝石 大阪市中央区 2020年shm
-
デマントイドガーネット(ロシア産)0.340ct
アンドラダイトガーネットはカルシウムを多く含むガーネット族"ウグランダイトグループ"のうち、更に鉄を主成分とするガーネットのことをいいます。 そのアンドラダイトガーネットが、クロムにより黄緑色から緑色に発色するようになったものが、デマントイドガーネットと呼ばれています。 中でも、石綿鉱床中に発見されるデマントイドはクリソタイルを内包することが多く、ロシア産をはじめとし、イラン、イタリア産の石にも見られ、ナミビア、マダガスカル等スカルン鉱床由来のものにない特徴です。いわゆる"ホーステールインクルージョン"というものです。 インクルージョンは宝石としては一般的に忌避されるものですが、ことロシア産のデマントイドガーネットに関しては程よいホーステールインクルージョンはどちらかといえば歓迎されています。 ロシアのデマントイドガーネットはロマノフ朝の宮廷を飾る宝石として、20世紀初めの王朝崩壊まで表舞台に出てきておりましたが、その後21世紀まで全く産出がありません。しかし、2000年代初頭、再度この石は日の目を見ます。 デマントイドガーネットの光の分散はダイヤモンドを上回ります。ラウンドブリリアントカットが施された真緑のものは、パライバトルマリンやインペリアルトパーズの上級品同様、そのグループの中で最高の評価を受けます。 これがそのうちのひとつ、ホーステールが輝きを阻害しない程度にほどよく内包され、色は真緑。ラウンドブリリアントカットのデマントイドガーネットの良い点が詰め込まれたものだと確信します。 鉱物名:ガーネット 宝石名:デマントイドガーネット(アンドラダイトガーネット) 組成:Ca3Fe2(SiO4)3 重量:0.340ct 産地: Korkodinskoe demantoid deposit (Karkodinskoe; Novo-Karkodinskoe), Korkodin, Ufaley District (Ufalei District), Verkhny Ufaley, Chelyabinsk Oblast, Russia 鑑別:日独宝石研究所
宝石 ネットショップ 2020年shm
-
クロムスフェーン(ロシア産)0.747ct
スフェーン(チタナイト)はファイアと呼ばれる色とりどりの鮮やかな輝きが特徴的な宝石です。その名の通り、成分中にチタン(Ti)を含む鉱物で裸石のコレクターはもちろん、原石コレクターからも人気が強い石です。 産地はマダガスカルやパキスタン、ブラジル等もよく見かける印象で、裸石の多くは、スフェーンの長所を最大限に活かすため、ブリリアントカットが施されます。 Twitterに投稿した内容ですが、反響のあったものの誤解が広がっている気がしますので、こちらに改めて纏めさせていただきます。 一般に"クロムスフェーン"と呼ばれるスフェーンですが、よく紹介される内容として、"緑色を帯びた、ファイアが煌めくスフェーンで、チェルシーカラーフィルターで赤くなるもの"ということですが、多くのショップでは「"クロムスフェーン"として仕入れているので深く考えずにそう書いている」とのことらしいです。 本来、クロムに起因する発色のスフェーンの外観は、ロシア産の高品質のデマントイドガーネットに近く、ファイアはほとんど見えません。そして、少しでも黄色ないし褐色が混じっているものは"クロムスフェーン''ではありません。何故なら、そのクロムスフェーンではないスフェーンの緑色の発色要因は、成分中に含まれるチタンと鉄のバランス、または鉄の価数によるものです。 日独宝石研究所の分析結果によれば、本来のクロムスフェーンのクロム含有率は一般的に販売されているそれの100倍以上です。 また、チェルシーカラーフィルター(CCF)を通して赤になったとしても、それがクロムスフェーンである証左にはなりません。CCFを通してスフェーンを見た場合、基本的に全て赤くなります。 CCFは、"エメラルドフィルター"といわれるようにエメラルド含むベリルの区別(エメラルドかどうか)はある程度できます。ベリルに関しては、石に含まれる鉄の量で赤色の光の吸収量が変わります。エメラルドの場合は発色がクロムまたはバナジウム起因であり鉄起因ではないため、暖色系ライトの赤色が透過し、フィルター越しに赤色に見えます。鉄起因のブルースピネルが何も反応がなく、コバルトスピネルが赤くなる原理と全く同じです。スポジュメン(ヒデナイトとグリーンスポジュメン)も同じです。 しかし、アンドラダイトガーネットやスフェーンについては、鉄の吸収が先に挙げたベリル等とは異なり、赤色の光を透過するため、鉄が含まれていようが基本的に赤くなります。というより、クロムが含まれていようがいまいが関係ありません。「チェルシーカラーフィルター(CCF)を使って赤くなった、この現象はクロムが含有されているためである。」という説は誤りです。 クロムスフェーンであることを確かめるためには、LA-ICP-MSやラマン分光法を用いた専門機関による分析が必須です。 クロムスフェーンの産地の特徴のひとつとして、周りにクロムが物凄く豊富な地域、それこそ、レアガーネットのウバロバイトガーネットが産するような場所でなければ採取することができません。世界的に良質なウバロバイトガーネットが産する地域は、ロシアの西ウラル、サラノフスキー鉱山が有名ですが、クロムスフェーンにしても、ここか、メキシコ北部の極一部地域ぐらいしか採れません。 現状、一般的にクロムスフェーンとして販売されている、パキスタン産を代表とするスフェーンがクロムスフェーンとして出回るようになったのは、タイの研究機関が、ファイアが煌めく緑色に褐色が混じったスフェーンを誤ってクロムスフェーンとして紹介してしまったことがきっかけです。そのきっかけとなった発表の具体的な内容までは追えませんでしたが、権威ある研究機関の誤った発表が世界中に広がったことが今日の誤解に繋がっており、今なおその誤解は晴れず、本来のクロムスフェーンが埋もれてしまっているままとなっています。 何を持って「クロム」スフェーンなのか考えたとき、その名で販売できるスフェーンは限りなく少なくなるのではないでしょうか。 このクロムスフェーンについて、2019年初めの日独宝石研究所の会報誌に詳しく紹介されていました。分析結果まで掲載されています。業者さまで、もしこの記事を読んで頂き詳しく確かめたい、ということであれば問い合わせしてください。 さて、投稿の石ですが、クロムスフェーンです。普通のスフェーンと見た目が異なりファイアは非常に見えづらいものになっています。画像ではわかりづらいですがスフェーンらしく輝きは凄まじいです。産地はロシア、サラノフスキー鉱山。 鉱物名:チタナイト 宝石名:スフェーン(Cr起因"クロムスフェーン") 組成: CaTiSiO5 重量:0.747ct 産地: Saranovskii Mine ("Rudnaya" underground chromite mine; Glavnoe Saranovskoe deposit), Saranovskaya Village (Sarany), Gornozavodskii District, Perm Krai, Russia 鑑別:日独宝石研究所
宝石 業者交渉 2020年shm