Giuseppe Martucci Piano Concerto No.1 他

0

ジュゼッペ・マルトゥッチ(1856~1909)
 ピアノ協奏曲第1番 ニ短調 OP.40
 Ⅰ アレグロ
 Ⅱ アンダンテ
 Ⅲ アレグロ

ピアノ :ジェズアルド・コッギ - Gesualdo Coggi
指揮  :フランチェスコ・ラ・ヴェッキア - Francesco La Vecchia
   ローマ交響楽団 - Orchestra Sinfonica di Roma

追憶の歌(声と管弦楽)La canzone dei ricordi (version for voice and orchestra)全7曲

作詞 : ロッコ・エマヌエーレ・パリアーラ - Rocco Emanuele Pagliara

ジュゼッペ・マルトゥッチのピアノ協奏曲は2曲ある。
第2番はピアニスト、ホルショフスキーの全盛期に、トスカニーニが手兵のNBC交響楽団を振った凄いのがあるが、第1番のほうはどうも中途半端な印象があって、あまり馴染めなかった。

イタリアといえば歌劇だが、この御仁は徹底した絶対音楽信奉者で、歌劇は一作も創っていない。この辺は弟子のレスピーギになるとも少し柔軟性があるのだけど。
この人のピアノ協奏曲には独特の癖があって、ショパンぽいと感じる人もいるけれども、ボクはどちらかというとシューマンやヨアヒム・ラフの雰囲気が強いように思う。
オーケストレーションの巧みさや習熟度はショパンとの差は歴然。
ただ、ドイツ的ロマン主義のような緩徐楽章の抒情性は薄く、より旋律は整理され、シンプルである。
弟子のレスピーギもまだボクはあまり深く聴き込んではいなくて、その師の作品は室内楽の一部とほんの少しのピアノ曲と管弦楽を知っているだけだ。
まだまだ楽しみがあるね。

第1楽章は序奏がなかなか聴かせる。
シンフォニックで厚い。総奏の後の静けさから同じボルテージで入ってくるピアノには力が入ってるね。
テーマが判りやすく、これを飾って行く管弦楽の広がりが幅広く雄坤。
トスカニーニやマーラーが好きそうな音楽。
ここから抜け出してオーケストラを抑えて行く響きを創るためにはなかなか体力がいるね。中間部の歌はとてもソフトで良く流れる。でも、次第にピアノがオケを引きずって高ぶって行く。
デーマに回帰し、美しい低音楽器の合奏に合わせて自在に流れて行くピアノは協奏と言うよりは混奏である。
見得を切るようなカデンツァはない。
ピアノはそのオクターブの広さを活かしたオーケストラの中に優れた楽器である。

第2楽章は弟子のレスピーギを思わせる。
正しくはレスピーギに影響を与えていると言うべきか。
シンプルだけどその音階の中の色の濃淡は無限のカンタービレを含んでいる。
中間部に橋を架けるホルンの歌は渋く美しい。
この作品の中でこの部分のピアノは明らかに自己主張ではなく、オーケストラの一部として位置づけられている。
音が散漫に散ってしまう車の中では何度聴いてもしっくり来なかったところだ。

こういう曲を車で聴いているのをもし御本人が見ていたら後ろから張り飛ばされるだろうね。
でも、現代人は忙しいのです。
結局よく聴こうと思うと家に帰ってヘッドフォンを耳に当てる。
この楽章は好きです。

第3楽章は夜が明けるように始まる。突然眩しい光に目をやられそうな音楽。
この作品がピアノ協奏曲であることを思い出す。
それでも、ピアノが旋律を高く抜け出す部分はあまりない。
そんな必要はこの曲にはないのだろうね。
決して美しいとは言わないけれど、何て言うのかね。音楽の線が太い。
トスカニーニが好みそうな気質。
全体の構成は味付けは相当違うけれど、ブラームスと同じ匂いがするね。

Youtubeにはいろんなピアニストの演奏がある。ここでは自分の手持ちのソースのものを紹介。
「追憶の歌」(ドラクエじゃないよ。)のほうは全7曲のリートをフルオケで管弦楽の美しさは出色。よくわかりません。オペラは苦手なので肉声を楽器として聴くのですが、詩が分らないので何とも言いようがない。

https://youtu.be/61bPIEXra-0?si=vG9CfIq1Efj-un8N

Default