フランスのアンティークな活字箱

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推定19世紀頃のフランスの活字箱。コンパクトな中に金色の混じった文字とピンセットが収まっていて美しい。

活字は基本的に鉛合金だが、金色のは真鍮か合金に銅を含んでいるのだろうか?

ハンコのように文字を彫り込んだ活字を並べて版を作り、インクをつけて印刷する手法を「活版印刷(かっぱんいんさつ)」という。

15世紀にドイツのグーテンベルクが近代的な活版印刷技術を開発してから、20世紀半ばまで印刷の主流だった。

活字をひとつずつ拾う作業は大変だが、『銀河鉄道の夜』でジョバンニがその「文選」というアルバイトをしている描写がある。

---ジョバンニはすぐ入口から三番目の高い卓子(テーブル)に座った人の所へ行っておじぎをしました。その人はしばらく棚をさがしてから、「これだけ拾って行けるかね。」と云いながら、一枚の紙切れを渡しました。

ジョバンニはその人の卓子の足もとから一つの小さな平たい函をとりだして向うの電燈のたくさんついた、たてかけてある壁の隅の所へしゃがみ込むと小さなピンセットでまるで粟粒ぐらいの活字を次から次と拾いはじめました。---宮沢賢治『銀河鉄道の夜』より

実用品ではないのだけど、ジョバンニの気持ちで文選をしてみたくて。

文選をしてみた動画はこちら。

https://www.instagram.com/reel/CeIhWXdFxbj/?igshid=YmMyMTA2M2Y=

活字を見ると、フランス製なのでフランス語独自のアルファベットもあるけれど、残念ながらXだけなかった。

また、正確な生産年代はわからないが、箱に使われてるのがマイナスネジ。基本マイナスネジが使われる時計や楽器でもないため、プラスネジが普及する1935年(特許)前のものと思われる。

以前投稿した、フランスの19世紀末の望遠鏡の箱に似てるので、それくらいの時期と推定。

https://muuseo.com/Mayu_I_ofugutan/items/75?theme_id=33900

活版印刷は20世紀後半になって、DTPや複写機の発達で衰退。しかし、温もりのある味わいが欲しいと名刺や芸術の分野で残っている。

歴史と当時の技術のコレクション。仕事でDTPをやってたことも思い入れに影響してるかも。

分類は博物が正しいのだろうが、文字というジャンルから、文房具や印刷物の隣が合う気がする。とりあえず「文房具」のコレクションルームに入れる。

#技術 #印刷

19世紀末頃のフランス製の望遠鏡
19世紀末〜20世紀はじめ、100年以上前に作られたフランス製の望遠鏡。 顕微鏡のアンティークはけっこう市場に出るが、天体望遠鏡は非常に珍しい。ebayでたまにでるのを見てもリプロダクトかジャンクの実用不可のもの。 本体に書かれたE.Vionというメーカー名を調べると海外の掲示板がヒット。1900年頃製造されたリアルアンティークで、少なくとも10万以上の価値があることがわかった。 接眼レンズをひねると、レンズカバーがスライドされるようになっている(写真3、4)ギミックも良い。 ヤフオクで「知識はないけど蔵から出て来た」との説明だけあり、絶対に落札する!といさんだが3万円台で落とせた。 精密機器なのでやはりオーバーホールに出したくて調べると、香川県にある天体望遠鏡の設計制作やメンテナンスを行うヨシカワ光器研究所が信頼できそうで相談したら引き受けてくれた。 通常の接眼レンズのほか、太陽観察レンズらしきものがついていたので、それの使いかたや、構造について教えてほしいとも頼んだ。 すると、なんと返却の際、それらだけでなく、どんなメンテナンスをしたのかの詳細レポートが送られてきた! 複数枚の写真がはられ、手書きでかかれた8枚以上の素晴らしいもので、これだけで1万円払ってもいいくらい(写真6~8)。 そしてオーバーホールをして思うに、この望遠鏡は大量生産されたものではなく、当時の職人が時間をかけて作ったもので工芸的価値がある貴重なもの(写真7)と感じるそう。 同じ職人として、100年以上前の職人の仕事ぶりに時代をこえて共感するものがあったのかもしれない。 それも合わせて、ヨシカワ光器研究所の職人さんの仕事ぶりにも非常に感銘を受けた。さらに会計の詳細も明確で、26000は安い。 なお、望遠鏡の倍率は20~30くらいかと思う。経年で自然に変色した真鍮の雰囲気もよく、これで月を見るのは何とも贅沢なのだ。 #博物 #天文 #科学 #天体望遠鏡 #理科 #サイエンス #アンティーク #ヨシカワ光器研究所 #職人の本気
https://muuseo.com/Mayu_I_ofugutan/items/75

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