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山口県岩国市二鹿 喜和田鉱山本坑 鋭錐石付き煙水晶
ミネラに掲載した際には、そのままでも僅かに紫色をしていたこちら。暗所保管にも関わらず、その色が薄くなってきてしまいました。 喜和田鉱山は東洋一のタングステン鉱山と呼ばれ、平成4年頃まで稼働していました。ここの灰重石は銘柄品として、最高級品の扱いをされることも。水晶も採取され、僅かに紫水晶の採取記録もあります。 こちらは有名鉱物愛好家が採取した、稼働当時の標本とのこと。これはほぼ薄い煙水晶という扱いで、2021年冬の入手当時、本邦初公開!のような勢いで複数販売されていた記憶があります。 サイズは大きく、手のひらと同じほど。平行連晶のフラワー気味水晶で、裏側の石英には鋭錐石が見られます。
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新潟県岩船郡関川村金丸 金丸鉱山 煙水晶③
こちらも同じ場所で60年代に拾われた煙水晶。細身の個体になりますが、やはりこちらも透明感が素晴らしい。 10cm超で、頭部分は濁りのファントム、真ん中付近は透明な煙水晶、光を当てると美しく白いモヤとファントム。ややエンジェルラダーにも見える、光を当てないと現れないファントムになります。 現在では、関川村の金丸鉱山という存在自体が歴史に埋もれてしまっているようで、情報も乏しくなりつつあります。調べてみると、観世音鉱山という金丸鉱山付近の場所では、巨大な煙水晶が採れたようです。金丸は日本一の長石鉱山で、水晶が採れないことで知られていましたから、もしかすると観世音鉱山産の水晶なのかもしれません。
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新潟県岩船郡関川村金丸 金丸鉱山 煙水晶②
前掲の巨大煙水晶の項にて説明をした、60年代の金丸鉱山で、発破による入手という特異な産出をしたものの別個体。割れや欠けはどうしても否めませんが、この美しさは特筆に値します。 手のひらと一緒に映している2枚目を見ると分かりますが、大きい煙水晶です。それでいてこの透明感。ファントム部分もしっかりと分かります。一部は本当に曇り一つない煙水晶になっています。 通常時は黒い煙水晶なのですが、光が当たると赤茶色で美しい色になります。クラックによる虹も鮮やか。海外産であればアイリススモーキークォーツという名称になるでしょう。
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高知県幡多郡大月町一切 水晶クラスター②
2019年冬ヤフオクで入手したこちら。前掲の物と一緒にまとめての入手だったように思います。 2020年に入ってすぐ、もうここの水晶は採れなくなったと地元の方から話を聞きました。ほぼ石英塊で、僅かに水晶の錐面が見られたり、埋没したクリアな水晶が数本見られるものです。 土の影響でオレンジ色になっており、隙間に入り込んだために脆くなっています。扱いが少し難しい水晶です。
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広島県安佐南区奥畑 窓ヶ山 ファントム煙水晶クラスター
水晶が採れる山として、中国地方では知られているようです。調べてみると「水晶ケ城址」という名前の城跡があるくらい、水晶が有名な様子。 こちらはヤフオクにて放出されていた、窓ヶ山の煙水晶です。大きさは12cmと、広島県の水晶としては現段階で最大です。ペグマタイトから複数の煙水晶とカリ長石が生え、うち2本がファントム水晶と良く分かるものです。モヤではなく、しっかりとした内包が見られるファントムになっています。カリ長石はややピンク色。 横から見ると文象花崗岩と言えます。中国地方、特に山陽はペグマタイト鉱床が広く分布しており、広島市内ではあちこちで水晶が採れると聞きますが…これまで入手できたものはこれ含め数点しかありません。
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岐阜県飛騨市神岡町 神岡鉱山 円山坑350m15番 ファントム紫水晶
神岡鉱山の産、とだけであれば色々とネットで見つけられる水晶ですが、こちらのように細かくどこの坑、何mかまで記載がある標本はかなり稀。 3cm程の小粒の紫水晶ですが、擦りガラス状の石英をまといつつもクリアな水晶、かつ紫の山がはっきり分かります。この紫水晶に魚眼石が付いたものが、当地の最高級品として出回っています。これはその標本から外れたものでしょう。 透明、白いモヤ、鮮やかな紫と、層になっているように見えるのも奥ゆかしい標本です。
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長野県南佐久郡佐久穂町灰立沢 エレスチャル水晶
2020年のヤフオク入手品。当時は長野のエレスチャルは初めて見た!と興奮して落札したのですが、錐面が大きく割れパカパカ動く残念な水晶で幻滅した記憶。 今のところ、この産地の水晶は唯一これだけ。購入時の産地ラベルには灰立山とありました。ですが有名なのか無名なのか、情報がありません。 飴色のような、薄紫のような。不思議な色合いの水晶です。黄色い部分がまるでオイル入り水晶なのですが、蛍光は見られず。
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福岡県糸島市二丈 鹿家 濁沸石付き紫水晶
こちらは鹿家の水晶としては破格の500円での入手。見た目が悪い、母岩が脆い、紫水晶として不完全ということで安価でした。 とはいえこの濁沸石との組み合わせはあまり聞きませんし、どのような産状だったのかを知るには丁度良いサンプル標本。 細い脈に生えていたのでしょう、水晶の頭部分が母岩に干渉されています。これは前掲の紫水晶でも同様の部分がありました。 鹿家の大きい紫水晶はかなり貴重なのでしょうね。
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福岡県糸島市二丈鹿家 水入り紫水晶
ヤフオクでの価格乱高下が大幅だった時期、こちらは3000円程の額で入手できました。2cm無いのですが、濁った柱面を注意深く探すと、気泡が見られます。 水入り水晶として入手しながらも、水を発見できたのが2年後の2023年。目を酷使してようやく見つかるこの小さな部分。撮影も難しいサイズでした。 紫水晶としてはファントム気味の地味めなものではあります。柱面がガサついているため不人気だったのか、入札も少なかったように思います。
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福島県福島市松川町日向山 金谷川鉱山 カクタス水晶
鎌倉時代に発見され、大正時代〜戦後までは小規模に開発されていた金鉱山。そちらで採られた水晶とのこと。 水晶自体はあまり産出しなかったようですが、紫水晶も採られた記録があります。 最大3mmの細かい水晶の錐面がキラキラと輝き、一部は被膜により虹色。東北地方でよく見られる細かい水晶クラスターながら、単結晶の周りに水晶がついたようなカクタス水晶になっています。
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山梨県北杜市白州町白須 鞍掛鉱山(駒ヶ岳) 白水晶
横から見ればまるでピラミッドのような印象があるこちら。見る角度によっては単なる山にも。 錐面の端は蝕像に見える溝があります。こちらは成長度合いの違いによる段々。柱面がほぼ見られませんが、破断面が再結晶されているのを見るに、大きい水晶が折れたものと思われます。 タングステン(灰重石)の鉱山として知られていた鞍掛鉱山。大きな水晶、透明な水晶、松茸水晶など、最近になって販売される姿を見かけるようになりました。極稀に、灰重石が付いている水晶も見られますが、高値で取引されています。
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福岡県北九州市小倉南区 貫 水晶山 日本式双晶
厚みは4mmと、上八重程ではないにしろ、立派な日本式双晶。欠けや割れがあり不完全ではありますが、稀に採られた水晶山の日本式双晶。放出品ですが状態の悪さから安価で手に入れられたものです。 完全であれば両翼2.5cmほど。乙女鉱山の日本式双晶のように、雲母の共生が両面に見られます。日本式双晶に限らず、ここの水晶は乙女鉱山のものにそっくりな部分が多いです。僅かに煙ががっている雰囲気が見られる部分は旧水晶峠のものでもありましたが、全体的に山梨のものに似ているのが、ここ水晶山の特徴でもあります。
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滋賀県大津市南比良 比良山 正面谷 放射状平行連晶を伴う白水晶
御徒町のクリスタルワールド、2階に国産鉱物が段ボールに詰められているのですが、その中で数少ない水晶として残っていたのがこちら。地味な水晶かと思いましたが、1mm程の幅の細い結晶が平行連晶して母岩についていました。 平行連晶自体はあちこちで確認されていますし、田上山、比良山でも出ています。大きいものは販売されています。ここまで細くなったものは見向きもされないのか、あまり見られません。 放射状と言える部分もあり、500円で購入したものですが意外に良いものと思います。
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滋賀県甲賀市信楽町黄瀬 不動寺 鉄電気石入り煙水晶
聖武天皇が一時期、都として住まいを移した(離宮の一つだったかな)紫香楽宮のすぐ横で採られた、電気石を内包した水晶です。 不動寺といえば田上山の方が知られているかもしれません。こちらの不動寺は別の産地。 そのままであれば黒い煙水晶ですが、中を透かすと赤みがかった色に。電気石は内包しているものもあれば、表面だけ付いているものも。物としてはサンプル程度の質なのか、柱面が割れたり不完全なもの。大きい物が4cm。不完全ながら最大だと5.5cmの半分石英状態のものもあります。
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山梨県山梨市牧丘町柳平 乙女鉱山 日本式双晶(ドイツ里帰り標本「金峰山産日本式双晶」)
乙女鉱山の日本式双晶が海外に出回るきっかけの一つ、パリ万国博覧会(明治33、1900年)。その滞在費の捻出の際に、当時の乙女坂鉱山(甲府市側の乙女鉱山、明治時代の名称)の日本式双晶をフランスの標本商に売りに出したそう。極稀に、海外からの里帰り標本として、乙女鉱山の日本式双晶が出てくることがあります。明治17(1884)年に和田維四郎がドイツに持っていった乙女鉱山の日本式双晶をはじめ、1890年代に出回った日本式双晶など、小さいものはミネラルショーでかなりの高値で販売されていたり、現在でも立派なものは世界の博物館に展示されているものもあります。 ちなみに、乙女坂鉱山は明治初期からの名称で、明治32(1899)年から、鳳鉱山の名前に変えられています。 こちらの標本は、ドイツからの里帰り標本。ラベルに書いてあるのを訳すと、 第一質料 日本式双晶、金峰山 甲斐地方 日本 1900年発見 あとは人名と販売元の地域。postf.1918は、postfach「私書箱1918番」。ラベルの産地が"Kinpozan"=金峰山となっていますが、形状からして乙女鉱山のものでしょう。この点は割と疑わしい部分もありますけれど、特徴は乙女鉱山のそれです。1900年採取であれば、鳳鉱山時代の標本でしょうか。 全体としては、横4cm、両翼は2.9cm、厚みは薄いところで0.8cm、厚いところで1.2cmあります。角度はやや見にくいですが、84.33°ではなく「補角」のようで、その場合であれば95.27°です。厚みの違いから、双晶の接合面がはみ出しており、6枚目の画像、下半分にある片翼の右側から、奥にあるもう片翼方面へ上に見ていくと、うっすらながらξ面(クシー面)が確認できます。 2024年3月のさいたまミネラルマルシェでこちらを見つけ、無理を言って取り置きをお願いしてまで購入したかったこちら。5月に入りようやく入手ができました。乙女鉱山の日本式双晶としては4つ目ですが、厚みと大きさで言えば現在のところ最大のサイズ。値段に関しても、私の単品での購入物では4番目に高額なものとなりました。
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