あみん「メモリアル」

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1983年発売のあみんの2枚目のアルバム
1stアルバムでは自分たちで作った楽曲を中心に作られましたが
この2ndアルバムは全曲、ヤマハ音楽振興会所属アーティストが
制作もしくは発表した楽曲…
つまりレコード化したかどうかはともかく
ポプコンで入賞した曲のカバーとなっています。
あみんの二人(特に孝子さんは)オリジナル曲で
2ndアルバムも作りたかったのだと思われますが
レコード会社としてはいろいろな楽曲を歌わせたかったようで
今回はそれが反映された感じになっています。

…結局…これが「あみん」としては
最後のアルバムになってしまったのですよねぇ
2007年の再結成後はまた違う話だと思うので…
ハコさんが学業に専念したいということと
そもそもこの世界が合わない…と
当時思わされることが多かったことが原因と言われています
孝子さんが他の人と組んで「あみん」を継続させるという提案も
あったらしいのですが
孝子さんは「ハコ以外の人と組むことは考えられない」ということで
結局デビュー後の活動期間は約2年
シングル4枚アルバム2枚で「あみん」としての活動は
終止符を打つことになりました。
その最後の作品がこの「メモリアル」です。

二人のヴォーカル・ハーモニーは前作以上に冴え渡っています
さらに今回の楽曲はポプコンで賞を取った曲ばかりなので
楽曲gふぁバラエティーに富んでいる上に
それぞれのレベルがめっちゃ高いです!
比較的、地味目の何度も味合わないと良さがわかりにくいものもありますが
私は個人的には前作以上に大好きなアルバムです。

A-1「白いページの中に」
原曲「柴田まゆみ(1978年/第15回ヤマハポピュラーソングコンテスト出場作・入賞)」

オープニングにふさわしい透明感のある美しい1曲
炭火のようにじわりと明るく温かい味わい深い楽曲です

A-2「朝」
原曲「坂本忬誌子(1982年/第23回ヤマハポピュラーソングコンテスト出場作)」

これもA-1に続いて透明感があってさらに爽やかさが上乗せされた曲です。
全体的にこのアルバムは比較的マイナー調の曲が多い中
眩しい日差しを感じさせる貴重な楽曲です。

A-3「来夢来人」
原曲: 大友裕子(1980年/アルバム『傷』に収録)
同タイトルの曲が尾崎亜美さんとか小柳ルミ子さんとかの曲にありますが
全くの別物です
きましたきました!ここからズドーーーーンと暗くなります
ひとりでじっくり聴いているといい意味でテンションが下がります。
やたらと哀しくなりたいときにおススメです
でも本当にめちゃくちゃいい曲です!

A-4「ボヘミアン」
「原曲: 安田慧子(1980年/第19回ヤマハポピュラーソングコンテスト出場作)」
こちらも葛城ユキさんのあの同名曲とは全くの別モノです
さらにこの曲で奈落の底に突き落とされる感じです!
このA-3、A-4の並びは暗い曲大好きな私としては最強のコンビです!
メンタル弱ってるときにこの並びで聴くとちょっとヤバいレベルです。
でもイントロの美しさ、Aメロの切なさ、サビの美しさ
もう文句ナシの名曲です。
個人的な感覚ですがA-3「来夢来人」が午前0時だとすると
この「ボヘミアン」午前3時です
もう草木の眠る丑三つ時に静かに鑑賞して涙する曲だと思います

A-5「リベルテ」
「原曲: 松永千鶴(1979年/第17回ヤマハポピュラーソングコンテスト出場作・入賞)」
これも孝子さんがその後ソロで出した同名曲とか別物です。
A-3,A-4でどん底に落ちていつのまにか眠ってしまい
その後、穏やかな朝が来る…というイメージです。
おもわずほっとする温かさがある曲なのですが…
実はこの曲、1日の終わりの曲なのですよね(苦笑)
前の曲までが明らかに淀んだ深夜のイメージなので
この透明感のある楽曲のイメージがどうしても朝に感じてしまいます
伸びやかなサビのフレーズとさりげないハーモニーが非常に美しい1曲です。

B-1「追想」
「原曲: セシル(1981年/第21回ヤマハポピュラーソングコンテスト出場作・優秀曲賞)」
さてサイドも変わって仕切り直しです!
ガラリと雰囲気も変わって明るくて元気の出る楽曲です
真夏の雰囲気ですねぇ…ジトっとした暑さではなくて
カラッとした初夏のイメージ…ひたすら青い空と白い雲のイメージです
普段やさぐれた私の心も洗い流さられるような気がします…(笑

B-2「青いクレヨン」
「原曲: 菊池弘子(1976年/シングル曲)」
さぁ!でもそんな爽やかな明るい時間はそんなに続きません
どこにもやりようのない切なさを
青いクレヨンでひたすら塗りつぶす時間がやってまいりました
こんな風に書いていますが
私、本当にこういうどこにもやりようのない解決の糸口の見えない
哀しさとか切なさを歌った曲が本当に好きなんです。
だからこの曲も大好きなのです!
ちなみに映画とかもいわゆるバッドエンドな結末が好きなんです(苦笑)

B-3「そよ風の妖精」
「原曲: トゥインクル(1979年/第18回ヤマハポピュラーソングコンテスト出場作・入賞)」
あ…残念ながらどん底にくらいのは今回は続きませんでした
爽やかで繊細なまさにタイトル通りのイメージの曲です。
80年代に入るとこういう曲はちょっとウケなくなると思うのですが
今聴くとまた1周して非常に新鮮です
おまけに二人のハーモニーが全編にわたって絶妙に美しいです
じっくり聴き入っているとホントに引き込まれます。

B-4「想い」
「原曲: 藤田久美子(1981年/第21回ヤマハポピュラーソングコンテスト出場作・入賞)」
ここで初めて気づいたのですが
切々と思いを歌い上げるラブソングってこの曲だけかも…
思いのたけを相手に次々と浴びせかけていくような
ラブソングの王道ですが
いや文句ナシに美しいです。。。
これ目の前で歌い上げられて思いにこたえられない男なんていないでしょう
それほどまでに見事なラブソングです

B-5「サルビアの花」
タイトルの通りかわいらしさと爽やかさのある曲なのですが
実はこんこんと切なくて哀しい曲です。
前曲とはある意味正反対で届かない思いを訴え続ける内容です。
やっぱり叶わないから美しいともいえるかもしれません…
で、この曲も二人のハーモニーがどこまでも響き渡る聴きごたえのある曲です。
あぁ、やっぱりこういう切ないのがいいなぁ

B-6「六月の子守唄」
「原曲: みにくいあひるのこ(1973年/第5回ヤマハポピュラーソングコンテスト出場作)」
アルバムのラストを飾るにふさわしい
とにかく美しくどことなくはかない哀愁溢れる1曲です
こういう昔話っぽい雰囲気の楽曲には弱いです。
何だか意味もなくどこにもやりようのない切なさややるせなさが溢れてくるようです
文句ナシに名曲です!

しかし、よくここまで絶妙に切なさ溢れる曲を集めたものです。
また孝子さん、ハコさんの歌声がめちゃくちゃ合っています。

発売から何十年も経っているのに
未だに無性に聴きたくなって夜中に一人で聴きこんでしまうアルバムです。
深酒になりやすいので要注意です!

1983年12月20日リリース

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