DVD「ジャズ・シンガー」(1980年の映画)

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 本展示アイテム収録作と同名の作品が映画史上に重要な位置を占める作品であることは、すでに当ミュージアムの他フロアに、その1927年のアル・ジョルスン主演の作品を収録したアイテムを展示の紹介文で触れましたが、その際に本展示アイテム収録作がどのような立ち位置か、について僅かに触れましたので、ここはその延長線上の話をしていきます。
 ストーリー自体は本家本元の『ジャズ・シンガー』と基本的には同じ筋立てになっており、それならばもう少しドラマティックな展開もできたはずなのですが、それが果たされなかったのは情けない限りで、結論から言ってしまうと、ニール・ダイアモンドを主役に起用した時点で破綻していました。公開当時、本作を観る前でもニール・ダイアモンドはポップスの歌手であって、いわゆるジャズ歌手ではないことはさすがに認識していましたから、そんなダイアモンドがこの作品の中ではジャズ歌手に扮しているのか、と思いつつ劇場に行って観たら、相変わらずポップス歌手の役だったわけで、『ジャズ・シンガー』というタイトルと矛盾を感じずにはいられませんでした。要するに、この作品のセールスポイントの一つに、あの映画史上にその名を刻む『ジャズ・シンガー』のリメイクであることを掲げたかったがために、ニール・ダイアモンド主演作という企画の映画に無理やり同名のタイトルになるような筋書きのものをブッ込んだように思えてしまったわけです。
 その他、個々のスタッフ・キャストについても言いたいことはありますが、幸か不幸か本展示アイテム収録作について語れる機会はまだまだありそうなので、そちらに譲るとして、本展示アイテムそのものについてですが、この紹介文を作成している時点では、Amazonでは元の販売価格の約2倍の値付けが出品者によりなされています。要するにメーカーに在庫がなく、中古市場にも商品が少ないことを見越してつけられた、いわゆる「俺様価格」なのですが、そこまでの金額に見合う価値のあるアイテムなのか、私は懐疑的です。
https://www.youtube.com/watch?v=bXiJAlFYfXs
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