スニーカーズ

0

 このタイトルを最初に見たとき、「これは運動靴の映画なのか?」とはさすがに思いませんでしたが、「sneak」「sneaker」という英単語には自身の薄学もあり、馴染みがありませんでした。ただ、わずかに聞き覚えがあったのは、映画の宣伝手段のために行われる試写会の中でごくたまに行われる「sneak preview」、直訳すれば「こそこそ行うプレビュー(内覧)」、すなわち客の反応を見るためにどの映画かを予告なしに行なわれるプレビュー(試写会)で、一般的には「覆面試写会」と言われています。という内容を何かの酒の席で語った時に、同席した若い女性が「覆面試写会」という言葉だけを聞いて、「それって、観客が覆面をして参加する試写会ですか」と尋ねてきたときは閉口しましたが…。
 要するに「スニーカーズ」というのは「こそこそしている人々」で、過去の経歴に傷を持つ面々が集まり、企業のセキュリティーの欠陥を指摘する仕事をしていた面々が、その過去の傷を詳らかにされると脅しをかけられて引き受けた仕事から波及して、さらなるオペレーションを実施するわけですが、ラストのオチが政治係ってしまったことに賛否が分かれることを除けば、快作といっていい出来で、フィル・アルデン・ロビンソン監督の手腕の確かさ、すなわち『フィールド・オブ・ドリームス』がまぐれではなかったことの証左ともなりました。ですので、これ以後、ロビンソン監督の作品があまり残されていないのは残念でなりません。また、スニーカーズの面々、ダン・エイクロイド、リヴァー・フェニックス、シドニー・ポワチエ、デヴィッド・ストラザーン、そして渋々協力する羽目になったメアリー・マクドネルはそれぞれ個性的で適材適所といった感じでしたし、敵役のベン・キングスレーもレッドフォードと互角の存在感を示し、ジェームズ・アール・ジョーンズでとどめを刺されました。
 あと蛇足ですが、リヴァー・フェニックスとシドニー・ポワチエは、本作品の4年前に『リトル・ニキータ』(1988年)で共演していますし、さらにレッドフォードとポワチエは第74回アカデミー賞授賞式(2001年)でアカデミー名誉賞を同時に受賞した、という縁もありました。
 ストーリーに関することやジェームズ・ホーナーの音楽に関しては別に機会に述べるとして吹替に関してですが、本展示アイテムに収録されている版は、レッドフォードが野沢那智氏、シドニー・ポワチエが田中信夫氏でここまでは世間的にはフィックス、素晴らしかったのがベン・キングスレーを担当した大木民夫氏の吹替で、本人以上に憎々しげであり、また哀れな心情を巧く演じていました。
https://www.youtube.com/watch?v=G_XRqJV2zdk
#DVD #ロバート・レッドフォード #スニーカーズ #フィル・アルデン・ロビンソン #ジェームズ・ホーナー #ダン・エイクロイド #ベン・キングスレー #リヴァー・フェニックス #メアリー・マクドネル #シドニー・ポワチエ #デヴィッド・ストラザーン #ジェームズ・アール・ジョーンズ #野沢那智 #田中信夫 #大木民夫 #吹替 

Default