アンカーウーマン

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 野暮ったい女性が年長の男性の影響下で洗練されて社会的にも成功する、ありがちなストーリーであり『マイ・フェア・レディ』『スター誕生』『プリティ・ウーマン』などがその範疇の作品として挙げられるでしょうか。本作もその手法に則った話の作りなのですが、この種のストーリーの映像化に常に付きまとう欠点は、画面にヒロインが登場した瞬間から本来意図したであろう「野暮ったさ」が感じられない、ということです。オードリー・ヘップバーン、バーブラ・ストライサンド、ジュリア・ロバーツ、そして本作のミシェル・ファイファーのいずれもが、その派手な顔立ちも手伝って成功者オーラが出まくりで、正直言ってリアリティが感じられません。ですので、結局はファンタジーになってしまうという、まさに映画の王道を行く作品ということになり、本展示アイテムの帯に印字された「女性たちが一度は夢見る、ファンタジックなラブ・ストーリー。」というのも、ある意味正鵠をついているのでしょう。
 本作でのレッドフォードですが、ミシェル・ファイファーの引き立て役に徹している、という感じで、ある意味大人の立ち回りをしているとも言えますが、この頃、レッドフォードは還暦になるくらいでしたから、若い女性(といってもミシェル・ファイファーも撮影時は37歳)の恋人役もそろそろきつくなっていたわけで、主役を張り続けるだけでは立ち行かなくなり始めていた時期に差し掛かっていたのでしょう。そういう意味では、レッドフォードの俳優としてのキャリアのターニングポイントの一つとなった作品であったといえます。
 あと本アイテムには吹替も収録されていますが、野沢那智、小山茉美各氏はベテランだけあって、無難な仕上がりだったと思います。
https://www.youtube.com/watch?v=WpgSvgwe0ng
#DVD #ロバート・レッドフォード #アンカーウーマン #ジョン・アブネット #ミシェル・ファイファー #野沢那智 #小山茉美 #吹替 

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    オマハルゲ

    2019/11/08

    レッドフォードも俳優業引退、声の方の野沢氏は既に遠い所に…。寂しくなりました。

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      woodstein

      2019/11/09

       omaharuge102さん、コメントありがとうございます。まったく同感です。
       レッドフォードについては八十路も超えたことだし、「お疲れさまでした。」と言いたい反面、「クリント・イーストウッドは九十路にならんとして、まだ現役だぞ。」とも言いたい気分です。
       また、野沢氏については、レッドフォードの吹替に関しては必ずしも適任ではなかったと個人的には思っていますが、それ以外の功績が大きく、これからも機会があれば氏の偉業については語っていきたいと思っています

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      オマハルゲ

      2019/11/09

      レッドフォードに関しては広川派ですけど、どのみち吹き替えでは叶わぬ夢ですね…。

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