大いなる勇者

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 ジョン・"リヴァー・イーティン"・ジョンスンなる歴史上の人物について、レイモンド・W・ソープとロバート・バンカーが著した『クロウ族殺し』(『Crow Killer: The Saga of Liver-Eating Johnson』)を映画化した作品で、レッドフォードにとっては『雨のニューオリンズ』に続くシドニー・ポラックとのコンビということになります。レッドフォードがアメリカを代表するスターの地位を確立する大きな礎となった出演作は言うまでもなく『明日に向って撃て!』ですが、その後に出演した『夕陽に向って走れ』『白銀のレーサー』『お前と俺』に関しては作品的にはともかく興行的には成功と言えず、その流れを引きずっての本作はレッドフォード、ポラックともそれなりの覚悟で取り組んだものだっただろうことは想像に難くなく、結果的には作品的にも興行的にも成功をおさめたことで彼らの地位は不動のものとなった、と言えるでしょう。また、作品全体のトーンを支えたジョン・ミリアスの脚本も見事でした。
 内容的にはジョン・"リヴァー・イーティン"・ジョンスン(映画では「ジェレマイア・ジョンソン」)の半生を、彼が様々な事象に遭遇することでどのように人生の信条が移り行くのか、その変遷の過程が主題(もちろん私見です)で、具体的には身内を殺したクロウ族に対して復讐となる対決を重ねるうちに、その宿敵への心持が変化するわけですが、いわゆるアメリカン・ニュー・シネマという土俵で西部劇の表現にどう取り組むか、勧善懲悪ではない結末をどうするか、その試行錯誤が如実に感じ取れる作品でした。
 あと、この映画は70年代の作品としては珍しく、本編前に序曲、本編中に間奏曲が入るという上映形式を採用しています。60年代以前の大作映画にはよく見られたもので、私個人は1980年の『アラビアのロレンス』のリバイバル公開の際に最初に経験したのですが、何か一時代前の優雅でゆとりのあった娯楽としての映画上映の雰囲気を感じたものでした。本アイテム収録版やBSなどでの放送では、この上映形式にのっとったもので、そのあたりは少し粋な計らいでした。
https://www.youtube.com/watch?v=QFLwH-ZZ1MY
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