國民の創生

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 言わずと知れたD・W・グリフィスの代表作であり、また問題作でもあり、その双方に意味においてアメリカ映画史に記録されるべき作品であることは異論のないところですが、この辺りのことはすでに語り尽くされている感もありますので、特には触れません。
 このフロアの展示アイテムに収録されている作品の多くはサイレント映画で、その映像を見る際の音の背景は音楽です。つまり、本編内で人の声は聞こえてこないわけですが、いわゆるトーキー映画が上映される以前は、活動弁士なる者がサイレント映画の上映と並走する形で当該作品の狂言回しをする、というスタイルが定番で、現在我々が映像ソフトを通じてサイレント映画を観るのとは異なった環境が存在していたわけです。今でも、一部ではサイレント作品を弁士の語り付きで鑑賞するという催しはマツダ映画社が中心となって行われていますが、一般的ではありませんよね。と、何故活動弁士の話を持ち出したかというと、実はこの作品を大きなホールで活動弁士付きで上映するというイベントで観たことがあり、現在まで活動弁士付きでサイレント映画を観た経験はこの際しかないのですが、楽しかったですね。弁士は大半が現在第一人者となっている澤登翠氏、終盤が二代目松田春翠氏が担当でした。活動弁士については詳しくないのでこれ以上は申し上げられませんが、無声映画を活動弁士の語りで観る、というのは、その当時においては極上のエンターテイメントであったことが彷彿できたのは、いい体験でした。
#DVD #淀川長治 #國民の創生 #D・W・グリフィス #リリアン・ギッシュ 
https://www.youtube.com/watch?v=a9UPOkIpR0A

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    woodstein

    2019/09/04

     今年(2019年)の暮れに周防正行監督の『カツベン!』なる作品が公開されるそうで、今から楽しみです。
    https://www.youtube.com/watch?v=mgOJZ-FE9e4

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