李陵・山月記/中島 敦

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新潮文庫

中島 敦(1909年5月5日 - 1942年12月4日)は、日本の小説家。『李陵』他いくつかの作品は、遺作として没後発表されました。漢文調の格調高い端正な文体とユーモラスに語る独特の文体を巧みに使い分けています。没後1948年、『中島敦全集』全3巻が筑摩書房から刊行され、毎日出版文化賞を受賞。以後、国語教科書に『山月記』が多く掲載されたため広く知られた作家となりました。

『李陵』は、『漢書』(「李広蘇建伝」「匈奴伝」「司馬遷伝」)、『史記』(「李将軍列傳」「太史公自序」)、『文選』(「答蘇武書」「任少卿報書」)等を典拠とした短編小説。没後の1943年、『文學界』に発表されました。前漢の武帝から昭帝の時代、匈奴と戦い俘虜となった李陵のことを中心として描かれています。李陵、司馬遷、蘇武の3名が主要人物として登場します。

『山月記』は、1942年に発表されたデビュー作。唐代、詩人となる望みに敗れて虎になってしまった男・李徴が、自分の数奇な運命を友人の袁傪に語るという変身譚で、清朝の説話集『唐人説薈』中の「人虎伝」が素材になっています。「山月記」の題名は、虎に変わった李徴が吟じる詩の一節「此夕渓山対明月」から取られています。

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