痴人の愛/谷崎潤一郎

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新潮文庫

谷崎 潤一郎(1886年7月24日 - 1965年7月30日)は、明治末期から第二次世界大戦後の昭和中期まで、戦中・戦後の一時期を除き終生旺盛な執筆活動を続け、国内外でその作品の芸術性が高い評価を得た小説家。初期は耽美主義とみなされ、過剰なほどの女性愛やマゾヒズムなどのスキャンダラスな文脈で語られることが少なくありませんが、その作風や題材、文体・表現は生涯にわたって様々に変遷しました。『痴人の愛』『春琴抄』『細雪』などの作品は、情痴や時代風俗などのテーマを扱う通俗性と、文体や形式における芸術性を高いレベルで融和させた純文学の秀作とされています。

『痴人の愛』は、1924年3月20日から6月14日まで『大阪朝日新聞』に連載し、いったん中断後に雑誌『女性』11月号から翌1925年7月号まで掲載された長編小説。カフェーの女給から見出した15歳のナオミを育て、いずれは自分の妻にしようと思った真面目な男が、次第に少女にとりつかれ破滅するまでを描く物語。小悪魔的な女の奔放な行動を描いた代表作で、「ナオミズム」という言葉を生み出しました。

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