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Lepidoproetus lahceni
特徴的な大き目の吻と幅広体形で、この仲間としては大き目の体。長い頬棘も太くしっかりした物で体の大きさからは明らかに比率が大きいです。またProetidae(科)では珍しく背軸の棘を持ちます。ただPhaetonellusの様に全ての節にあるのではなく、後半の4つ程度に留まります。この種類は、Rken Tafraout産でも産出するようです。
Lower Devonian Proetidae,Proetoidea,Proetina,Proetida TRI-548 ‐Trilobites
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Crotalocephalina(Pilletopeltis) apheles
Crotalocephalina sectaなど比較的大型の産出が見られる福地のCrotalocephalinaですが、この個体は極めて小型の種類の様です。また本標本は岩質が異なり、同じ場所からの産出では無さそうです。Pilletopeltisといえば、モロッコ産の牙付の同種が有名ですが、本種も外観的には近似だと思われます。同一個体かは分かりませんが、頭部と尾部が同産しています。
Lower Devonian Cheiruridae,Cheiruroidea,Cheirurina,Phacopida TRI-587 FukujiTrilobites
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Gerastos prox
ベルギー、アンデンヌ地方の三葉虫です。アンデンヌは、ベルギーだけでなくフランス、ルクセンブルクに跨るエリアであり、更に隣接するドイツまでのエリアでデボン紀の三葉虫を産出します。ベルギー産といえば石炭紀の三葉虫が比較的有名ですが、このエリアからのデボン紀産は入手難易度が高いです。見た目は変哲もないGerastosであり、良質なモロッコ産が入手できれば上がり的な種類なのかもしれません。ベルギー産でもGerastosは、リンクの論文の様に幾つかの種類が知られているのですが、この中で一番近いと思い私が同定しているので、間違っている可能性はあります。 【参考リンク】Taxonomy and biostratigraphy of some proetid trilobites in the Middle Devonian of the Ardennes and Eifel (Rhenohercynian Zone) https://www.researchgate.net/publication/256475419_Taxonomy_and_biostratigraphy_of_some_proetid_trilobites_in_the_Middle_Devonian_of_the_Ardennes_and_Eifel_Rhenohercynian_Zone
Lower Devonian Proetidae,Proetoidea,Proetina,Proetida TRI-612 -Trilobites
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Reedops cephalotes hamlagdadianus
モロッコのReedopsは、私が初めて購入した三葉虫でした。この標本は、そこから買い替える事、4代目ではあります。この種類を手にした事で、何かに取りつかれ様に三葉虫を収集する事になる元凶となった三葉虫であります。一般種ではありますが、所謂ファコプス系のMorocops, Pedinopariops、Austeropsなどとは姿が異なる事が素人でも分かると思います。これらファコプス系の中では、産出量はそれ程多産する訳では無い種類だと感じます。近年、この標本の様な大型のReedopsの保存の良い個体は、入手が難しくなってきています。 【標本リンク】FossilEra https://www.fossilera.com/fossils/2-9-detailed-reedops-trilobite-atchana-morocco
Lower Devonian Phacopidae,Phacopoidea,Phacopina,Phacopida TRI-1 LhandarTrilobites
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Reedops cephalotes
モロッコ産であったら廃棄されそうなレベルの標本かもしれませんが、こちらは本種の命名の元祖ともいえるチェコ産です。既に新規産出が無いチェコ産にあってカンブリア紀やシルル紀産、以外の時代の三葉虫は入手難易度が高いです。姿自体は、モロッコ産と違いが判らないレベルです。母岩の質感もモロッコ産に近いのですが、型抜きに微妙に失敗したチョコレートみたいな質感です。
Lower Devonian Phacopidae,Phacopoidea,Phacopina,Phacopida TRI-660 ProkopTrilobites
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Huntoniatonia(Huntonia) lingulifer
デボン紀オクラホマ産の人気種の一つで、ダルマニテスの代表的な姿をしています。一昔前は、Huntoniaという属名でしたが、近年はHuntoniatoniaとされています。H.huntonensis(Ulrich & Delo,1940)やH.oklahomae(Richardson,1949)と比較すると明らかに尾棘が長いので見分けがし易い種類と言えます。
Lower Devonian Dalmanitidae,Dalmanitoidea,Phacopina,Phacopida TRI-486 HaraganTrilobites
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Crotalocephalina (Pilletopeltis) japonica
日本にもデボン紀の地層が少ないながら存在し、モロッコのCrotalocephalusに近縁の種類が産出していた時期がありました。岐阜県の福地が比較的有名ですが、福井県の上伊勢でも同種が産出していましたが、いずれも現在では採取できません。1970年代に採掘されたこの標本は頭部だけですが、かつては佃煮状に産出したようです。推定する体長は10㎝を超える立派な三葉虫だった様です。剖出は分離が悪く熱処理を行ったとのことですが、途中でボロボロになってしまうケースも多かったそうで、この標本も裏面がレジンで補強されています。
Lower Devonian Cheiruridae,Cheirurina,Phacopida TRI-560 Kamianama(上穴馬層)Trilobites
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Akantharges mbareki
Akanthargesという三葉虫を始めて目にしたのは、Jorf産が出回り始めてしばらくした2011年終り頃だったと記憶しています。今までの三葉虫とは一線を画す厳つい姿、モロッコ産に想像もしていなかった造形があったのに驚きを覚えました。更にHammi氏の標本は世界に数個しかない頃、車でも買えそうな価格にも二度驚愕したのを覚えています。まるでイラガの幼虫のような棘とイボの装飾は、毒でも持っていそうな位に不気味な姿だと思います。2013年に2種類あるAkanthargesは、この標本のAkantharges mbarekiとやや平滑な種類のBasseiarges mellishae(Corbacho&López-Soriano2013)とに記載されています。
Lower Devonian Lichidae,Lichidae,Lichida TRI-443 -Trilobites
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Adrisiops weugi
この種類を始めて目にした時は、頭部の粒々が水膨れが沢山あるように見えて、病的過ぎて嫌いなタイプでした。その頭部が他のPhacopsと明らかに違い特徴的なので、見分けが付きやすい種類であります。サイドから見ると頭部が丸くなく垂直に近くに切り立っていて、頭部の粒々が滑らかに潰れており下側に行くほど細くなっていきます。複眼の下に横にライン状の隆起列も見られます。頭鞍自体も他のPhacopsより小さめで、胸部と尾部には粒々がありません。 2022.1標本を入れ替えました。
Lower Devonian Phacopidae,Phacopoidea,Phacopina,Phacopida TRI-584 -Trilobites
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Morocops spinifer
Assaの"Bumpy phacops"の中では、最も粒々の度合いが高く、特に頭部の粒々は気持ち悪い位に密集しています。2012年位に突如登場した時には、Phacopsがこの様な姿で登場するとは想定しておらず、衝撃的でした。クリーニングも相当集中が必要とのことで、本標本では2体あるとはいえ名手Hammi氏でも述べ30時間かけてクリーニングしたそうです。また比較的柔らかい石質のため、欠けやすく通常のクリーニングより困難を極めることが分かります。本種だけは黄土色の母岩が特徴のため、他の"Bumpy phacops"とは産出エリアが異なると思われます。
Lower Devonian Phacopidae,Phacopoidea,Phacopina,Phacopida TRI-450-2 KhebchiaTrilobites
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Basseiarges mellishae
2011年頃に突如として彗星のごとく現れて、三葉虫コレクターを震撼させたAkantharges mbarekiと同時期に市場に現れ、もう一つのAkanthargesとして当初はAkantharges mbarekiよりも安価で数も多く出回っていましたが、2013年にBasseiarges mellishaeとして命名されると、今度は市場に出回る事が殆ど無くなってしまいました。初期のJorfの産地が消滅したことが大きいですが、その後、新Jorfの産地が見つかり再び姿を見かけます。Akanthargesより扁平な姿をしていますが、他の三葉虫とは違う独特の形態をしています。
Lower Devonian Lichidae,Lichioidea,Lichida TRI-446 -Trilobites
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Dicranurus hamatus elegantus
Dicranurusは、三葉虫収集家が収集に引き込まれる引き金となったという人もいるほど特別の種だと思います。モロッコ産のD.monstrosusと米国オクラホマ州産のD.hamatus elegantusが代表的です。体格は、モロッコ産の方が骨太でがっしりしているのに対し、オクラホマ産は華奢で棘が長いのが特徴で名前の通りエレガンスです。どちらも多くは産出しませんが、オクラホマの方が圧倒的に数が少なく、近年はレベルの高い標本の価格は高止まりであります。
Lower Devonian Odontopleuridae,Lichida TRI-210 HaraganTrilobites
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Eoharpes sp.
巷にあるモロッコ産Eoharpesは、オルドビス期とされるものが優勢に思いますが、石質や産地のMarakibなど考慮していくとデボン期で合ってる様です。EoharpesはHarpetida(目)の中では希少なタイプであり、丸く膨らんだ鰐の形状も、細かく見ていくと幾つかのタイプがあります。産状は鍔(頭部)の部分だけである事が圧倒的に多い産状です。特徴の鰐の小孔は、貫通はしておらず、何か生活するのに役立っていたのか不明であります。因みにEoharpesという属名は通称で呼ばれていて、正式には何も記載されていません。
Lower Devonian Harpetidae,Harpetioidea,Harpida TRI-387 -Trilobites
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Lanceaspis hammondi
2013年位に突如出現し、世界のコレクターに衝撃を与えた新種です。産地は一瞬で枯渇し、完全体のレベルの高い標本は、本標本を入れて世界に数個しかないと言われます。僅かに産出した個体の多くも部分化石であり、一時期コンポジット個体まで高額で取引されていました。モロッコ産は絶産と言われても待てば、その後に少し離れたエリアから産出するパターンもあるのですが、本種はピタッと出てきません。頭部の吻ばかりが注目されますが、尾部も特徴的です。
Lower Devonian Acastidae,Acastoidea,Phacopina,Phacopida TRI-614 -Trilobites
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Cheirurus sp.
Jorf最希産種の一つです。これより一回り以上小型の個体は偶に見かけますが、このサイズの個体はほんの僅かな期間に採取できただけでした。Cheirurus sp.もそうですが、まだ正式な名称が決定されておらず、CrotarocephalinaやCyrtometopusなど仮称で呼ばれます。姿としては、CyrtometopusとCrotalocephalusを足して二で割ったような姿です。異なるのは、大きさが巨大である事、触ると痛い位に背中が三角に尖っています。実に存在感のある種で、神秘性やカリスマ性をも持ち合せております。数あるモロッコ産の三葉虫の中でもトップクラスにカッコよい種類だと思います。
Lower Devonian Cheiruridae,Cheirurina,Phacopida TRI-444 -Trilobites