Sao hirsuta

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チェコで三葉虫研究史に功績を残したJoachim Barrande(1799-1883)が、本種の成長段階を詳細に記載した図版(※1)が有名です。この書籍には約20もの個体が描かれているのですが、実は成体の完全な個体は描かれていません。当時から成体の状態の良い標本は少なかったと思われます。当時ですら完全体の入手が困難なので、閉鎖産地となった現在、図鑑の中でしか見ることが出来ない様な種類であり、多くのコレクターは名前は知っている物のコレクション出来ていない代表的な種類かと思います。一般的に見れば地味で頭部から胸部まで全身がツブツブで覆われていて、見方によっては不気味で気持ち悪さを覚える方もいるかと思いますが、三葉虫研究史に名を残した種類という事で、募集価値のある種類です。因みにSaoという短い属名は、全三葉虫の中でも最も短い名前です。

※1:SYSTEME SIKURIEN DU CENTRE DE LA BOHEME Vol.Ⅰ.Planches.Crustaces:Trilobites(1852)

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    Trilobites

    2020/06/27

    citarius 2017年09月02日 09:08
    ほんとにめったに見かけませんよね、完全体。私がバランドの図版集から得た教訓は「完全体にこだわる必要はないよ」ということですが、こういう標本を見るとさすがに心が動きます。

    2017年09月02日 18:08
    > citariusさん 
    これも古いコレクションの放出ですね。チェコの図鑑に出ている様な標本を望んでたら一生入手することが出来ませんので、ある程度の時点で妥協するよりありませんね。

    ORM 2017年09月03日 23:48
    個人的には部分化石でもまあ別にいいかなと思えるような三葉虫と、この種は完全体を手に入れておきたいなという三葉虫があり、それらが私の頭の中で何となく分類されているのですが、サオヒルスタに関しては、まず部分化石しか見つからないからそれで満足せざるを得ない種に仕分けされておりました。それだけにこのような完全体の標本は驚きですね。

    2017年09月04日 20:25
    > ORMさん 
    確かに部分なら偶にebayで見かけますが、どうも触手が伸びませんよね。長い事ウォッチしてはいますが、これぞと思う標本は、これくらいしかありませんでしたので、本当に産出しないか有名種が故、コレクターが放出しないんでしょうね。私は本種に関しては、一時期、諦めて図鑑で我慢しようと思っていました。

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