Dindymene didymograpti
『三葉虫の中で、最も好きな名前の種を挙げてください』
そう聞かれれば、私はこの種を推薦します。
ディンディメネ・ディディモグラプティ(Dindymene didymograpti) 。やたら『ディ』が多い種ですが、語感が良いので、発音はし易く、覚え易くもあると思います。
ディンディメネというのは、アナトリア地方の大地の神で、地母神 (the mother of the Gods) の一人の、ディンディメネから取ったものと思われます。この神は別名キベレ (Cybele) とも言います。ちなみに、三葉虫界でキベレと言えば、ロシアの奇妙なカタツムリのような三葉虫 (Cybele panderiなど) を表す属名でもあります。学名はその生物の特徴を表しているものが多いですが、人名、地名や神の名由来だったりして、思わぬところで色々な雑学が繋がるのも、古生物をやっていて面白いなと感じる点であります。
さて、この種はイチゴ頭の三葉虫、エンクリヌルスの仲間なのですが、面白い事に眼がないのです。エンクリヌルスと言えば、ぶつぶつの頭鞍以外に種によっては、ニョキッと伸びた、眼が特徴的であります。この種にはそんな眼が存在しません。多分、光の届かない大陸棚よりも深部、若しくは洞穴環境で生きていたのでしょう。他、写真ではほぼ捉えられないのですが、頭部の最後部より垂直に伸びた避雷針のような棘もあるようです。写真頭鞍後方のピンボケしている部分がそうです。
実は8mmととても小さい標本なのですが、とても見所の多い種であります。
Ordovician, Abereiddian Stage
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artus Biozone, Hope Shales of Minsterley, Shropshire, UK
Dindymene didymograpti
trilobite.person (orm)