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Amecephalus laticaudum
不思議な頭部をもつ三葉虫、アメセファルス・ラティカウドゥム (Amecephalus laticaudum) です。 アメリカのスペンス頁岩の産でありますが、その色合いと形状は、モロッコなどのHarpesとHarpidesを足して、2で割ったような見た目です。ただ、Harpesのように、例えば鍔の部分に細かな窪みが無数に存在するという訳ではなく、細部は似ておりません。新分類上でも、目レベルで異なる種類であり、他人の空似であるようです。 アメセファルスには様々な種類がいますが、本種と、逆三角形なフォルムが特徴的なアメセファルス・イダホエンセ (Amecephalus idahoense) が代表する二種であります。イダホエンセと比べても、本種の方が市場で見かける機会は少ない印象です。 この標本は、母岩が大きくて格好いいものの、入手後はや3年にもなりますが、これを納める為の良いサイズの標本箱が未だ見つかっておりません。置き場所が定まらず、あっちへふらふら、こっちへふらふらと収納ケースの中を常に移動させております。 母岩の裏には、歴代の所有者の方の管理者番号や巡見時のメモが記載されており、そのまま残しております。
Middle Cambrian (Series3, Wuliuan) Spence shale Wellsvile Mt., Box Elder County, Utah, USA Amecephalus laticaudumtrilobite.person (orm)
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Actinopeltis sp.
初めて見た方は『何だこのお茶の水博士のような鼻の三葉虫は?』と思われるかもしれません。 この頭部のでっぱりは、正確には、鼻ではなく頭鞍といいます。この頭鞍が大きく膨らんだ、奇怪な風貌の本種は、アクチノペルティスの一種 (Actinopeltis sp.) と呼ばれます。モロッコのオルドビス紀産の三葉虫です。 このような頭鞍を持つ種は、アメリカ、ロシア、英国など、世界に複数種が居て、その見た目からコレクターの間では、頭ボール/ボール頭などと称されます。奇妙ながらも、どこかコミカルで愛らしい風貌から、非常に人気の高い種でもあります。 モロッコ産の本種は、他の産地の類似種に比べると、比較的入手し易くも、入手機会はそこまで多くはありません。本標本は、風化したかのような茶色の発色ですが、産地によっては真っ黒な標本もあり、さらにサイズや特に尾部の形状もまちまちで、モロッコだけでも複数種類がいるようです。ただ、現時点では、いずれも正式な学名はついておりません。 この不思議なボールの機能については、大食説 (ボールの部分が胃)、抱卵説など様々ですが、いずれも仮説に留まります。特にカンブリア紀の何種かの三葉虫では頭鞍は、一種の消化器官 (Crop:素嚢) であることが確認されており、個人的には後者 (抱卵説) よりは、前者 (大食説) がもっともらしいかなとは感じます。
Ordovician - Zagora, Morocco Actinopeltis sp.trilobite.person (orm)