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Cernuolimbus ludvigseni
マッケイ (Mckay) グループの、ケルヌオリンブス・ルドヴィグセニ (Cernuolimbus ludvigseni) です。一見地味な種にも見えますが、20mmに達しない小型の種類が多いこの産地では、本種は大型の部類で目立つ存在です。 特徴は楕円形の外径に、体の全長に達する長い頬棘があることです。それだけと言ってしまえば、それだけなのですが、大型で流線型の美しい本体に加え、黒く美しい母岩に映える事、希産種である事などの複数の要因が絶妙に絡み合った結果 ? 、特に (おそらく‥) 蒐集歴が長めのコレクターには人気のある種となっております。 私はアサフス目の一種として認識していましたが、新分類(adrain, 2011) ではオレヌス目に分類されているようで、特にカンブリア紀後期の種にありがちですが、その分類は揺れているようです。
Upper Cambrian (Furongian, Jiangshanian)) McKay Group Cranbrook, British Columbia, Canada Cernuolimbus ludvigsenitrilobite.person (orm)
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Liolophops sublevatus
ドイツの有名古典的産地アイフェル (Eifel) 産、リオロフォプス・サブレバトゥス (Liolophops sublevatus) の紹介です。 ファコプスの仲間でありますが、モロッコの種々のファコプスや北米のエルドレドジオプス (Eldredgeops) 系と比較して、全体的に細身で体高が低い印象です。それに対して、複眼の全体に占める割合は比較的大きく、頭鞍には細かな顆粒が観察できます。 モロッコの種との比較で言えば、最多種モロコプス (Morocops) やアドリシオプス (Adrisiops) よりも、アウステロプス (Austerops) やボエコプス (Boeckops) が印象としては近いなと思います。 古典的産地であるにもかかわらず、細部まで保存状態が良く残っています。アイフェル産としては、比較的、市場に出回る機会の多い種であるように思いますが、全体数が少なく希産である事に変わりはありません。
Middle Devonian Freilingen Rommersheim, Eifel region, Germany Liolophops sublevatustrilobite.person (orm)
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Spinamacropyge daliens
こちらは、スピナマクロピゲ・ダリエンス (Spinamacropyge daliens) 。 中国でも南に位置し、ベトナムとも接している、広西チワン自治区のサンドゥ累層 (Sandu formation) 産の種であります。サンドゥ累層はカンブリア紀でも、オルドビス紀にほど近い時代の産地であり、カンブリア〜オルドビスの生物の変遷がよく分かります。最近研究もホットになりつつある時代であります。 本種はそんなサンドゥの、それなりの希少種。半円状の頭部、長い頬棘、美しく流れるような胸棘と、なんとも美麗な種であります。サンドゥ産は妙な形状の種が多いのですが、そんな三葉虫群の中にあって、この種は正統派な見た目です。ぼんやりとした、境界不明瞭な保存状態の標本が多いのですが、この標本は細部に至るまで奇跡的な保存状態で残っています。 スピナマクロピゲ (Spinamacropyge) の名が示すように、棘を持つ (spina) 大きな (macro) 尾部 (pyge)が特徴的で、特に尾部の形は団扇のようで、面白い見た目だと感じます。 正直、パッと見はレドリキア類に見えます。しかしどうやら、他のサンドゥの多くの種同様、アサフス目 (Asaphida) のようなのです。超科で言えばAsaphoidea。アサフス目は、そもそもが、かなり範囲の広い分類群であります。サンドゥと同時代のフーロンギアン (Furongian) の産地である、カナダのマクケイ産 (Mckay) の種々の三葉虫も、殆どがアサフス目ですが、見た目は凡そアサフスらしくありません。アサフス目とはそういうものなんだろうなぐらいの気持ちで考えております。
Upper Cambrian Sandu (Guole biota) Jingxi county, Guangxi Province, China Spinamacropyge dalienstrilobite.person (orm)