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ノーオイルエメラルド/緑柱石
紀元前より人類史に登場し、かの有名なエジプトの女王・クレオパトラ7世も愛したと伝えられる高貴な結晶です。 発色因子として微量のクロムやバナジウムを含有し、鮮やかな緑色を呈したベリルが『エメラルド』と呼ばれます。 新緑のかおり爽やかに漂う5月の誕生石です。 この鉱物を宝石として評価する場合、重視される要素は輝きより寧ろ "色"。 そのため、彼のように緑味を広く平面的に見せるための研磨形が適用されます。 丹念に研磨されたテーブル面は静止した水面のように澄み渡り、目だけでなく心まで鎮めるかのようであります。 ちなみにこちらのエメラルド。 タイトルに「ノーオイル」と付けているとおり、油浸の痕跡が確認されなかった無欠の一石であります。 天然エメラルドには必ずと言って良いほど亀裂が内在するため、これに油剤を浸透させキズを視認し難くする「オイル含浸」が施されるのが一般的です。 そういった改善処理が通例となっている中、オイルを浸透させる必要がない(或いは内部に浸透して行かなかった)ほどに無疵な個体に出会えたことは大変な喜びでありました。 #ベリル
宝石 鉱物標本 7.5~8 Al₂Be₃Si₆O₁₈テッツァライト
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エメラルドキャッツアイ/緑柱石
《当館の2019年投稿アイテムいいね!No.1》 千里を見通すごとく清澄なこの翠眼は、言わずと知れた宝石界の女王。 ベリルの中でもクロム(或いはバナジウム・鉄)を含有し、美しい緑色を呈したものがエメラルドと呼ばれます。 和名で『翠玉』とも称される5月の誕生石です。 ベリル群、延いては緑色鉱物の中でも格別の知名度を誇っており、古くから五大貴石の一角を担ってきました。 古代エジプト女王・クレオパトラ7世もこの石を溺愛し、鉱山そのものを手中に収めていたというお話はとても有名です。 こちらは光学効果『シャトヤンシー』の現れた、猫目タイプのエメラルド。 石の内部で光が反射し、それが球面に収束して瞳孔を成す様がしっかりと確認できます。 何かと "眼" に纏わる伝承の多い宝石なだけに、このキャッツアイとは運命的な取り合わせなのでしょう。 ミューゼオ展示にあたり初めてこのエメラルドを写真に収めてみましたが、実に蠱惑的な輝きを見せてくれました。 こんな美しい女王様のためならば私は喜んで下僕になりましょう。 #ベリル #キャッツアイ
宝石 鉱物標本 7.5~8 2013年テッツァライト