レッドスピネル/苦土尖晶石
ミャンマーに所在する世界的な宝石産地『モゴック』で産出したレッドスピネルの八面体結晶です。
彼らスピネルの誇る真紅色も見事なもので、しばしばルビーと誤認され用いられることがありました。
イギリス王室が所有する大英帝国王冠。
その正面中央に座す"黒太子のルビー"の正体が、実はスピネルだったというエピソードが最たる例です。
しかし結晶の発達した原石であれば、ルビーとの結晶系の違いから八面体を成すため判別はそこまで難しくありません。
何らかの鉱物でしょうか。
抉れたような結晶面には黒い粒状物が埋め込まれています。
赤いボディの中でただひとつ、太陽の黒点のようでもあります。
数あるスピネルの中から彼を選んだのは、この包有物の存在感に惹かれたからでもありました。
人によっては単なる不純物でしかないかもしれませんが、自分にとっては魅力的な艶ボクロなのです。
宝石
鉱物標本
7.5~8
2018年
テッツァライト