アバロニパール/赤アワビ真珠
孔雀色に艶めく海の秘宝。
カリフォルニア近海に生息し、大きなものでは殻長30cmにも達するというお化けアワビ「レッドアバロン」から採取された真珠です。
私たちからすると高級珍味として“食べる”イメージが強い存在ですが、実はアワビも美しい宝珠を生成することが知られています。
青味がかった光沢層に赤・紫・黄・緑の鮮やかな干渉色が現れるのがアワビならではといった印象。
このように他の真珠には見られない色彩の豊かさは、虹色石の代表格であるオパールやアンモライトをも彷彿とさせます。
また真珠といっても正統的な真円ではありません。
アワビの場合、生殖腺の中に形成される関係でサメの歯に似た鋭角状に育つことが多いらしく、綺麗な球形になることは非常に稀。
いわゆる「バロックパール」と呼ばれる形態が大多数を占めます。
この先細りした流線型のフォルム。
例えるとしたら何が一番近いのでしょう。
鉤爪のような、肋骨の先端のような。
私の目には不揃いな柿の種に映って仕方ありません。
この不思議なカタチから何を連想するのかは、きっと見る人により様々なのでしょう。
想像力を刺激するところがバロック真珠の面白いところだと思います。
まん丸な真珠も王道的で美しいですが、個人的にはこういった遊び心のある珍品に惹かれます。
宝石
鉱物標本
2.5~4.5
2013年
テッツァライト