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Remopleurides deani
遊泳型三葉虫の防御態勢化石です。頭鞍部には大きな複眼の痕跡があり、視覚に優れた三葉虫とされています。 素人の私よりも参考になるリンクがあるので、以下ご参考下さい。 参考:静岡大学鈴木先生の研究グループによる、Remopleurides複眼のジャイロ機能検証と進化の裏付け https://www.sci.shizuoka.ac.jp/news/1434.html 参考:Remopleurides の分類(本標本の種名について命名者本人が解説しています) http://www.geologi.no/images/NJG_articles/NGT_62_4_231-329.pdf
Upper Ordovician Acton Scott Beds Acton Scott, Shropshire, UK Remopleurides deani (Nikolaisen 1983)tatsutoy
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Remopleurides colbi
遊泳型の三葉虫の仲間で、有名な種はロシア産のRemopleurides nanusがいます。ロシア産の標本を見る限り、尾部にはアンテナの様に張り出した一本の長い棘があったのではないかと推測します。この標本はRemopleuridesとしては大型です。また同種は北欧やアイルランドでも見つかっており、生息域が広かった三葉虫なのだと想像します。 参考:British Geological Surveyのバーチャル標本(レクトタイプ) http://www.3d-fossils.ac.uk/fossilType.cfm?typSampleId=29843
Upper Ordovician ? Corwen, North Wales, UK Remopleurides colbi (Portlock 1843)tatsutoy
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Toxochasmops extensus
ロシアや北欧で見つかるChasmopine三葉虫の仲間です。イギリスではあまり産出される事がなく、完全体は見た事がありません。本標本は比較的大型で、その特徴である、盛り上がった複眼や、頬棘を観察する事ができます。 産出地であるアクトンスコットはバーミンガム近郊のシュロップシャーヒルズ自然保護区近くの村になります。牧場、農場体験が出来る場所の様ですが、私が訪れれば化石掘り体験に転向してしまいそうです。
Upper Ordovician ? Acton Scott, Shropshire, UK Toxochasmops extensustatsutoy
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Microparia speciosa
遊泳性とされる三葉虫、Cyclopygeの仲間になります。標本の頭部右側に大きな複眼が残っており、チェコ産の三葉虫化石としては保存状態が良いものになります。母岩がかなり脆く、薄いプラスチックのケースに収められ、まわりを樹脂で充填し保護された状態で受け取りました。ケース裏面には1995年にレヴィーンにて採取されたメモが残されていました。
Upper Ordovician Králodvor Levìn, Czech Republic Microparia speciosa, Hawle-Corda, 1847tatsutoy
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Platylichas laxatus
West Shropshire産の「リカス」にしては比較的ポピュラーな種になります。とはいえ、完全体の標本はなかなかお目にかかれないです。ごつい頭部と棘が目立つ尾部の部分化石になります。
Upper Ordovician ? Shropshire,England,UK Platylichas laxatustatsutoy
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Achatella retardata
ロシアや北欧でまれに採取されるプテリゴメトプスの仲間の三葉虫です。更に近縁となると、New YorkのWalcott-Rust QuarryのAchatella achatesがいるのですが、あまり名が知られていないため、イメージしにくいかもしれません。 他のScotland Girvan産同様、見た目がボロボロなものの、運良く複眼が残っており、細部の美しさが良く見て取れます。
Upper Ordovician Starfishbeds Girvan, Ayrshire, Scotland Achatella retardatatatsutoy
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Amphilichas panoplos
スコットランド、South Ayrshire州の町、Girvanから東に8kmほどの地層から1972年頃に採取された標本です。学名が付与されたのが1980年なので、最初は単にリカスの一種として見つかったのだと思います。Girvanのstar fish bed層の化石同様、外殻は融けてしまっています。尚、正確な産地はSouth Dew Burn, near Balclatchieなのですが、現在は貯水池になってしまい、水の底です。このため、ラベルはGirvanとさせて頂きました。
Upper Ordovician Balclatchie Mudstones Formation Girvan, Ayrshire, Scotland Amphilichas panoplos Tripp, 1980tatsutoy
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Ityophorus undulatus
スウェーデンもゴットランド島を始め、古生代地層が広がる地域です。ノルウェーに隣接するスウェーデン、ダーラナ県ボーダ石灰岩からは、後期オルドビス紀の小さな三葉虫達が見つかります。これらは目が退化しており、暗所で生活していたのだとされます。恐らく深海ではなく、海底洞窟の様な場所ではないかと思います。 標本を見るとハルぺスに良く似ています。目が退化していると言われればそうなのかもしれませんが、標本が小さくはっきりしません。資料を見るとプチコパリアの仲間とあります。ハルぺスが古い分類だとプチコパリアに含まれていたせいなのか、それともハルペスとは異なる種なのかどうなのでしょうか?
Upper Ordovician Leptaena-Kalk Kalholn, Dalaene, Sweden Ityophorus undulatustatsutoy
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Pseudosphaerexochus densigranulatus
展示出来る標本も残りわずかですが、段々紹介文を掲載できるほどの情報がない三葉虫達になりつつあります。 どうぞお付き合い下さい。 種名から読み解くと、顆粒のあるボール状の頭を持つ、偽スファエロコリフェといったところでしょうか。元々、北欧で種名が与えられ、英国でも見つかるので、そのままこの名前を用いたのではないかと思います。論文やデータベースを参照しても、エコプトキレの仲間である事。Pseudosphaerexochus octolobatusに関連する事くらいしかわかりませんでした。 https://www.gbif.org/ja/species/8701778
Upper Ordovician Rhiwlas Formation Rhyd-uchaf, near Bala, Gwynedd, North Wales, UK Pseudosphaerexochus densigranulatus (Nikolaisen, 1965)tatsutoy
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Phillipsinella parabola
スコットランド、Girvan産です。この種が属するコリネクソチダ目(Corynexocheeda)三葉虫は、カンブリア紀からデボン紀まで生息し、多様な形をした三葉虫の仲間です。カンブリア紀ユタ州のドリピゲ、オルドビス紀のイラエヌス、デボン紀のスクテルムやパラレジュルスが仲間と言われても、どれも形が違い過ぎて同じ仲間とは思えません。掲載した標本は本種の特徴であるこんもりとした頭鞍部が良く判ります。
Upper Ordovician South Threave Girvan, Ayrshire, Scotland Phillipsinella parabolatatsutoy
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Sphaerocoryphe maquoketensis
頭部部分化石です。見た目は「ダイフォン」と呼ばれる、頭がボール状で、胴体部が魚の骨の様な、大変珍しい三葉虫なのですが、2010年の系統発生分析によると、本標本は普通のスファエロコリフェの仲間との事でした。 アメリカアイオワ州を含むUpper Mississippi Valley and Western Superior Basinと呼ばれる、古生代の地層(ウィスコンシン州、ミネソタ州、アイオワ州)は、イソテルス、セラウルス、エンクリヌルス、リカスなど、バラエティに富んだ三葉虫化石を産出するのですが、実際の標本を見ることは少ないです。
Upper Ordovician Maquoketa Clermont, Elgin, and Bloomfield, Fayette county, Iowa, US Sphaerocoryphe maquoketensistatsutoy
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Tariccoia arrusensis
イタリア、地中海サルディーニャ島でも化石が見つかります。激しい大陸移動の影響による島だからこそ古生代地層が露出したのではないかと考えます。当種は三葉虫近縁の節足動物だと考えられています。また、イタリア固有の化石なのか、他の地域でこの種が話題になった記憶がないです。一般向け書籍では2010年のThe Back to the Past Museum Guideがデビューでしょうか。 特徴は、全体がのっぺりしていて、尾部よりも大きくて丸い頭部、少ない体節ですが、三葉虫感はあります。
Upper Ordovician Monte Argentu Sardinia, Italy Tariccoia arrusensistatsutoy
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Primaspis girvanensis
Odontoplleuroidea科に属する三葉虫は、オルドビス紀からシルル紀、デボン紀と長期に渡り、その姿をほとんど変えずに生存し、かつ化石は世界中で見つかります。有名なものは、モロッコ産のレオナスピスや、オクラホマ産のケトネラスピスです。Girvan産の当標本も小さいながらも頬まわりの細かな棘などその特徴は良く判ります。母岩からそのまま割って取り出したのか、一部欠けはありますが、仮に自分で採掘した際に、プレパレーションなしで化石の全容が出てくるときっとワクワクする事でしょう。
Upper Ordovician Starfishbeds Girvan, Ayrshire, Scotland Primaspis girvanensistatsutoy
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Lonchodomas drummuckensis
Raphiophorus科に属する、目が退化、前方に向かって一本の剣状の棘、両サイドから後方に向かってそれぞれ棘が伸びる(当標本は欠けています)のが特徴の三葉虫です。二枚目以降のネガ画像では、前方の棘のあとが観察出来ます。同科ロシア産完全体標本ですと、棘の魅力を余すところなく鑑賞出来ますが、保管が難しそうです。私はこの部分化石ですら怖くて、画像の通り、運送されてきた時の小さなプラケースに収まったままです。
Upper Ordovician Starfishbeds Girvan, Ayrshire, Scotland Lonchodomas drummuckensistatsutoy
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Parillaenus davidis
1枚目画像の右端(完全体)、真ん中(尾版が90度ずれている)が該当の化石で、左端は別種です。産地はウェールズ、デンビーシャー州で、グラビカリメネ密集化石が多く見つかる場所です。また、付近にキャンプ場がある森林地帯なので、勝手に掘りにいけるのかと思いきや、既に保全地区指定を受け採取不能です。 本を見ると現在はIllaenus davidisと名前が短くなっており、特徴は頭部と尾版が約1:1でのっぺりとした、イラエヌスと判別がつきやすく、また複眼がはっきりとして「眠そう」な表情をしています。何かに似ているなと思えば、モロッコ、デボン紀のParalejurusの複眼ですね。
Upper Ordovician Dolhir beds Corwen, North Wales, UK Parillaenus davidistatsutoy