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Olenellus clarki
ロサンゼルスから東へカリフォルニア州の端にあるSan Bernardino郡モハべ砂漠にあるマーブルマウンテンには、レーサム頁岩と呼ばれる緑茶色-赤茶色の板状地層があります。ここからは初期カンブリア紀三葉虫を始め、腕足類や棘皮動物の化石が見つかります。三葉虫は部分化石がほとんどですが、面白い事にオレネルスの仲間にほぼ特化しており、Bristolia bristolensis, Bristolia insolens, Bristolia anteros, Olenellus nevadensis, Olenellus mohavensis, Olenellus fremonti, Olenellus clarki, Olenellus gilberti, Peachella iddingsiなどが見つかっています。
Lower Cambrian Latham shale Marble Mountains, California, USA Olenellus clarki(RESLER,1928)tatsutoy
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Ceraurus globulobatus
以前紹介した、Xylabion sp.と同じ産地であるカナダ、オンタリオ州ボブケイジョン層からの化石です。こちらは過去、多産しており良質な標本が多いです。現在、新規の採掘は出来ないのですが、時折古くからのコレクターさんの放出で目にする事があるのではないかと思います。特徴的な頬と尾部の棘があり、人気のある種だと思います。
Middle Ordovician Bobcaygeon Simcoe Co, Ontario, Canada Ceraurus globulobatus Bradley, 1930tatsutoy
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Cummingella belisama
フランスに接するベルギー西部は石炭紀の地層が多く、詳細な研究が行われています。エノー州アントアン近郊の採石所Lemayも古くから石灰岩が採掘され、それに伴い三葉虫化石が見つかっています。当標本は新潟県でも見つかるカミンゲラの仲間になります。 参考:ベルギー鉱物学・古生物学センターのサイト http://www.cmpb.net/en/index.php
Lower Carboniferous ? Lemay, Antoing, Belgium Cummingella belisama (Hahn & Brauckmann 1985)tatsutoy
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Prionocheilus vokovicensis
Pharostoma pulchrum vokovicenseとも言われるチェコのPrionocheilusです。表面が顆粒で覆われ、部分化石ながらも保存状態が良好です。ロキツァニ近郊で採取され、ノジュールの母岩です。 1000種も見つかっているボヘミアの三葉虫達は古くから研究され、この地層の丸いノジュールに収まった本種はオルドビス紀の浅瀬で暮らしていた事が判明しています。 最近の研究では消化管位置まで特定されており、チェコボヘミア三葉虫研究が脈々と今日まで続いている事に驚きます。 Geologica Acta, Vol.16, Nº 1, March 2018, 65-73 DOI: 10.1344/GeologicaActa2018.16.1.4
Middle Ordovician Šárka Formation Díly, near Rokycany, Plzeň, Bohemia Prionocheilus vokovicensis (Šnajdr, 1956)tatsutoy
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Cybele bellatula
小さい、を意味するbellatulaの種名を冠するロシア産キベレです。30㎜ほどしかなく、bellatulaの中でも更にbellatulaです。破損の懸念から、ロシア産の細やかなプレパレーションを施した化石は入手をためらうのですが、この標本は珍しく母岩に密着した状態で仕上げられていたので、三葉虫の巣穴さんからお譲り頂きました。
Middle Ordovician Volkhov Saint Petersburg region, Russia Cybele bellatulatatsutoy
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Elrathia alapyge
三葉虫化石の代表種であるElrathia kingiiがアメリカユタ州Wheeler層で見つかる唯一のElrathiaであるのに対して、Marjum層からはE. kingii, E. alapyge, E. marjumiの3種が見つかります。Elrathiaの種の同定は専門家でも困難であり、幼体や成体が入り乱れる様な化石だと、更に識別は困難です。かつてElrathiaの事を専門家が「ごみ箱属」と呼称したほど、どれも同じに見える玄人泣かせの三葉虫です。
Middle Cambrian Marjum Millard County,Utah,USA Elrathia alapygetatsutoy
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Koneprusites sp.
比較的大きくて派手目な種類が多いデボン紀モロッコ三葉虫ですが、本標本は1センチに満たない小さな化石です。プロエタスに似た形状をしていますが、側葉の後ろから一対の長い棘が伸びています。 最近では暫定として、Koneprusites aff. baconi(Pribyl, 1965)の小種名が与えられている模様ですが、詳しくはわからないです。
Devonian Hamar Laghdad Jbel Issimour, Morocco Koneprusites sp.tatsutoy
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Anataphrus vigilans
アメリカ中西部、Upper Mississippi Valley域とよばれる、ミネソタ州、アイオワ州、ウィスコンシン州には古生代地層が広がります。その中でオルドビス紀のMaquoketa層がミネソタ州とアイオワ州境にあります。イソテルスと並びこのAnataphrusが多く、次いでカリメネやセラウルス、中には珍種もいます。ただ、採取機会が限られ、かつ、完全体標本があまり出ないので、マニアックな産地です。 なお、Anataphrusは何度か種名が変わっています。面白い事に、見つかる化石は丸まった防御姿勢が多く、伸びた状態で見つかるオクラホマ州のホモテルスとは対照的です。
Ordovician Maquoketa Fayette County, Iowa, US Anataphrus vigilanstatsutoy
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Isoteloides flexus
アメリカユタ州オルドビス紀のアサフスの仲間です。産出するミラード郡の西にはネバダ州ユーレカ郡があり、同じオルドビス紀地層が続いていると推察出来ます。 ユタ州オルドビス紀三葉虫はサイズが小さくなりますが、ネバダ州オルドビス紀地層同様、ロシアのSt.Petersburg産化石と良く似ています。
Ordovician Fillmore Ibex Area, Millard Co., Utah, US Isoteloides flexustatsutoy
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Solenopleuropsis marginata
スペインレオン州、ロス・バリオス・デ・ルナのカンブリア紀地層から産出する三葉虫ですが、フランスでも見つかります。頭部、そして一部胸部にかけて顆粒状のつぶつぶに覆われているのが特徴です。保存状態が良いと、軸(真ん中の背骨のところ)や側葉に棘が残っている化石もあります。 また、初期の三葉虫にしては珍しく、丸まった状態で見つかる標本もあります。カンブリア紀でも既に三葉虫は捕食者から身を守らなければいけない時が多かったのではないかと想像します。
Middle Cambrian Oville Barrios de Luna, Leon, Spain Solenopleuropsis marginatatatsutoy
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Calyptaulax callicephala
ファコプスの仲間になりますが、オルドビス紀と時代が古く、初期のファコプスです。カナダでは比較的多く見つかる種類ですが、イギリスでも見つかっており、別ページ、Parillaenus davidis標本の隣に頭部だけ画像が映っています。カナダ、トロント近郊にあるシムコー湖周辺のVerulam層からは様々な種類の三葉虫化石が見つかっており、別途Publicationsのフロアにて参考資料を掲載致します。
Ordovician Verulam Brechin, Ontario, Canada Calyptaulax callicephalatatsutoy
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Selenopeltis macrophthalma
チェコ、ボヘミアの中でもピルゼン(プルゼニ)寄りにあるロキツァニ産のセレノペルティスです。頭部、胴体、尾部のバラバラの部分化石ですが、組み合わせた全長サイズはそこそこ大きいです。別ページのイギリス産ネセウレトゥスと並び、寒水域に生息する三葉虫の代表になります。また、浮遊しながら生きていたのではないかとされます。 標本には1999年採取とラベルが貼ってあり、比較的近年に採取されたものです。
Middle Ordovician Šárka ? Rokycany, Bohemia, Czech Selenopeltis macrophthalmatatsutoy
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Neseuretus parvifrons
カリメネによく似たネセウレトゥスはオルドビス紀初期の極地近くから見つかります。化石の見つかる場所はオルドビス紀の代表的な棘有三葉虫、セレノペルティスと同じで、これらの化石はオルドビス紀の冷水域の海を示すのに役立っています。ネセウレトゥスもセレノペルティスも比較的世界の様々な場所から見つかり、標本数も多い事から、当時の海の様子を伝えるメッセンジャーです。フランス産が有名な本種ですが、これはイギリスウェールズ産で2体並んでいます。
Lower Ordovician Henllan Ash Gwynedd, North Wales, UK Neseuretus parvifronstatsutoy
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Diademoproetus holzapfeli
ベルギー、ルクセンブルク国境近くのドイツ西部はアイフェル丘陵やフンスリュック山地にデボン紀地層が存在します。また、それら著名な産地の近くである、ライン川東のラーン川付近にもデボン紀三葉虫が産出する場所があります。採取される種類はファコプスやケトネラスピスなど、モロッコ産出化石と同じです。コルヌプロエタスによく似た本種もモロッコ産と相違はありません。
Lower Devonian Rupbach-Schiefer ? Lahn Basin,Germany Diademoproetus holzapfelitatsutoy
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Lioharpes venulosus
イベリア半島の大部分は古生代に形成された古い地域です。その半島北部に東西300㎞に渡って広がるカンタブリア山脈内にあるフエンテスカリオナスが産地となる、ハルぺスの仲間です。部分的に欠損があるものの、特徴となる大きな「つば」や、損なわれやすい尾部が残っています。
Middle Devonian Abadia Formation Fuentes Carrionas, Palencia, Spain Lioharpes venulosustatsutoy