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Viking Chieftain 9th バイキング首長 9世紀 70㎜ 2008年作
ずいぶんと前に作り未発表だった作品ですが、故人となった世界的名ペインターでありこの日本におけるパイオニア、松岡寿一氏の訃報にあたり、師に多少ゆかりのあるこの作品をご紹介いたします。 このキットは日本では最高レベルと言われている「喜屋戦車模型コンテスト」で金賞をいただいた際、お祝いとして古い友人であり、かつ、フィギュア塗装の師匠である「小高洋一氏(戦車親爺)」より頂いたもの。 スケール的には少しイレギュラーな70㎜(約1/30)ベースにはケルト式の十字が付属している豪華なキットです。 高価で希少なフィギュアを失敗したくないので、松岡氏の著書「深淵なる甲冑模型の世界」の作例を参考に塗装、少しオリジナリティを加えるためグラウンドワークはお得意の切り株をパテにて作成してあしらい、タイトルプレートもこれも小高氏から頂いた鋳造のものを使い、ベースもすこし奢ってローズウッドの1点もので仕立てました。 当時はヒストリカルフィギュアの塗装が楽しくてたまらず、そのバイブルと言われている松岡氏の著書は擦り切れるほど読みました。 その著書で紹介されているキットをすべて集めようと意気込んだのですが、そのようなキットはもともと少数生産であるため市場には出回らず、見かけたところでかなり高価なのでその計画はこの作品1点だけでとん挫しました。 現在はフィギュア作成もせず「地べた」だけを懸命に作っていますが、出戻りモデラーのすこっつが一定の方向性が持てたのは、松岡氏との出会いがあったことと言っても過言ではありません。 地べた作成も、この著書と氏との出会いの賜物と考えています。 この場をお借りして松岡氏のご冥福をお祈りするとともに厚くお礼を申し上げます。
ヒストリカルフィギュア ポスト三リテール 2004年すこっつぐれい
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ドイツ騎士団長 Teutonic Order Commander
この趣味に出戻った十数年前、キットの大半は直立ポーズなどの堅い雰囲気ものが大半でした。 もちろん、それはそれでかっこよかったのですが、やはり「お人形的」なイメージが強く、少し物足りなさも感じることが多かったのです。 それが、振興メーカーが多数現れるようになったころから徐々に様子が変わり、ダイナミックなポーズ、それと伴い正確なデッサン力から来る非常にドラマティックかつリアルなキットがリリースされるようになりました。 前出のヤングミニチュアの「バイキング」やヒストリックアートの「クルセーダー」もこの部類に入るキットと言ってもよいでしょう。 今回紹介する作品、「ドイツ騎士団長」はそんなキットの代表格スペインの新興メーカー「スケール75」のキットです。 抜き身の剣を片手に矢を縦で受けつつ突進するそのポーズはモデラーの心を鷲づかみにするに十分な魅力を持っています。 しかも、北アフリカの十字軍を彷彿させるターバン姿のヘッドとフードを目深にかぶったヘッド二種類が入っていて選べる内容、どちらを選んでも映画の一シーンのようなドラマが簡単に再現できるようになっています。 今回は、ターバンを巻いたヘッドをチョイス。 ほぼパッケージのチャート通りに塗装しましたが、盾とチュニックの文様はドイツ騎士団の騎士団長のものとしました。 ただ、思ったよりも塗装が難航し、服も楯も二度塗り直すこととなりました。 グラウンドワークは前回の「モヒカン族」で味を占めた「盆栽方式」舎利の部分を螺旋状に作り前回よりもダイナミックな動的表現をしてみました。 半身を古木と楯で身をかばいながら猛然と突進するダイナミックな騎士団長をお楽しみいただければ幸いです。 2016作
ヒストリカルフィギュア スケール75すこっつぐれい
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バイキングDC95 Viking Warrior
ご存知の方も多いでしょうが、韓国のスケールモデル界は日本よりヨーロッパ寄りの雰囲気があり、世界最高峰と言われるミリタリーモデルのコンテスト「ユーロミリテール」も韓国のモデラーが多く遠征し、すばらしい結果を出しています。 また、小さなメーカーがすばらしいヒストリカルフィギュア製品を精力的にリリースしています。 このキットはそんな元気な韓国のメーカー「ヤングミニチュア」の名キット「バイキングC950」です。 作ったのは2010年ですが、買ったのは2006年に初めて行った静岡ホビーショーのフリーマーケット。 確か香港から来たベンダーさんからでした。 買ったのは良いのですが、キットの出来のよさに気後れし「うまくなってから作ろう」と、そのまま封印(笑) それから四年、大して腕が上達したわけではないのですが、棚から出したとたん作りたくなってしまい、ご覧のとおりあっという間に完成させました。 グラウンドワークに、切り株を配置、フィギュアを軽くオフセットにして、完成した段階ですべてのバランスが取れるようにする今のレイアウト方法を始めた最初の作品です。 ベースも紫壇の高級なものを使用、フィギュアの存在感とよくマッチしています。 結局キットとベースがよければ、ほぼその作品のよさが決まってしまうと言うことにつくづく納得した次第です。 2010年作
ヒストリカルフィギュア ヤングミニチュアすこっつぐれい
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旧四季シリーズ「初雪」First snow
フランスの兵隊さんが移動中、端のふもとで見つけたのは・・ 1/72スケールでナポレオンの兵隊さんを使ったシリーズ2作目。 前作に味を占め、さらに冒険的な作成方法を行った意欲作です。 と、言っても、バークチップをがけに使ったり、水の流れを立体的に表現したりなど、今になっては当たり前の方法ばかりなんですが、かなりの表現方法がこの時に初めて試され、ある意味すこっつの作風を固めた作品と言っても良いかもしれません。 ストーリーにも少し工夫があります。 初雪の降り積もる森の中を行くフランス軍輸送部隊。 橋に差し掛かったとき吼える狼のつがいを見つけ、兵士はあわてて銃を準備します・・・ 狼の吼える方向には、狼から逃げおおせ安堵する大鹿が・・・ 追うものが急転直下、追われるものになり、しかも双方が事の本題が見えていない・・ 寓話的な、設定です。 ちなみに狼に視線をあわせて橋を覗くと大鹿が見えるレイアウトになっていて、この辺りはミニスケールならではの工夫があります。 橋はいつものスチレンボード、がけはバークチップで荒々しい雰囲気に、狼のオスはパテで自作してみました。 フィギュアと馬車はドイルレベルのフランス輜重兵セット、兵士は少し改造して場面に合わせています。大外套と帽子の羽飾り(コケルド)がかわいいですね。 この作品は、偶然なんですが、手芸用品や画材などを手広く扱う「ヤザワヤ」さんのコンテスト「ユサワヤ大賞」と言うのを知り、それのレギュレーションぎりぎりOkだったのでエントリーしました。 ちなみに結果は「佳作」完全な異種格闘技にも関わらず高評価をいただけ、とれもうれしかったです。 1/80スケール 2008年8月作
ジオラマ ヒストリカルフィギュア ドイツレベルすこっつぐれい
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旧四季シリーズ夏「橋が落ちる!」 The bridge is falling down!
滝壺の壊れた橋をおっかなびっくり渡るフランスの兵隊さんたち。 おやおや滝の下で熊の親子がお昼ごはんが落ちてくるのを待ち構えていますよ。 旧作の四季シリーズの夏 当時橋を作ることに執着していて木の橋、石の橋を完成させたので次は・・と言うことでつり橋に挑戦してみました。 華奢な構造なので強度を出すため真鍮線を半田付けして作成、絡まるツタも真鍮のエッチング製で強度の一部となっています。 ロバさんと熊さん親子はプライザー社製、フィギュアはエッシー社のものを改造。 滝の流れはレジン製、滝はコルクの樹皮を使用しました。 1/80スケール 2009年㋅作
ジオラマ ヒストリカルフィギュア プライザーすこっつぐれい
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クルセーダー Crusader
買ってからなぜか作る気になれぜ丸二年ほど放置していました。 ある日衝動的にストックから取り出しサフを吹いてみたところこれがなんともかっこいい。 猫背と思われていた姿勢は実は剣を抱えているからだといことがわかり、しかもヘゲ傷だと思っていたお顔の傷は、「刀傷」だったり、マントやチュニックがよれよれだったりと新興メーカーらしい冒険心たっぷりのキットでした。 サフを吹くまではキットの素性はなかなかわからぬものです、しみじみ・・・ 作ることを決めて手持ちのベースからマッチするものを探したのですが、このスケールの手持ちはなく、おりしも、北海道の大先輩「能天気師匠」から少し大振りな素敵なベースをいただいたばかりなので、それに合わせることとしました。 当然フィギュアを載せるだけだと寸法的にもゴージャスなベースにも負けてしまうので、それに見合うグラウンドワークとして考え付いたのがこの古木を背後に設置して全体の高さとボリュームを稼ぐ方法です。 実はフィギュアの押し出しがよければ、意外と大きなグラウンドワークにも負けずかえって面白いものに仕上がります。 小柄でも押し出しの良い役者さんが広い舞台を独り占めするのと同じですね。 これ以降木をあしらうレイアウトにこだわるようになり、現在の古木や奇木をあしらう盆栽的なアレンジを加えるようになった記念すべき作品です。 2014年2月作
ヒストリカルフィギュア ヒストリックアートすこっつぐれい
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北欧神話「ベオウルフ」 Tales of the North
以前なら考えもつかなかったことですが、小さいメーカーと直接インターネットでつながることが出来るようになり、面白い製品が簡単に手に入るようになりました。 これはロシアの新興メーカーキャッスルミニチュアの名品です。 主人公は、イギリス最古の叙事詩の主人公「ベオウルフ(らしい)」フィギュアのカテゴリーからすると、厳密にはヒストリカルフィギュアと言うよりもファンタジーフィギュアなのかもしれませんね。 キットはレジン製なので重量感がなく、少し残念ですが、シリコンで抜ける限界の超精密な造形これはもう、芸術作品としか言いようの無いものです。 主人公の服装から年代を推測するとローマ時代の終わりぐらい、ちょうどアーサー王伝説のころの装束でしょうか?グラディエーターを髣髴させる肩のプロテクター、ぼろぼろの毛皮のチュニック、手に持つ角の杯、そしておじさんの表情!!! 付属のベースも巨人の(主人公が倒したと思われる)骸骨が付属していたりと、やる気にさせてくれる内容です。 オリジナルを最大限生かすようにして、地面部分は朽ち木をあしらうぐらいの軽めに改造、木製べースは「屋久杉の敷台」をニス仕上げにして森の雰囲気に仕立てました。 うれしいことに、なんとなく名刺代わりに持っていった関西AFVの会でフィギュア賞をいただけました。 でも、これ、すこっつの実力と言うよりも、このフィギュア自体が持っている存在感が出した結果です。 海外のサイトでもよく取り上げてもらう愛着のある作品の一つです。 2011年8月作
ジオラマ ヒストリカルフィギュア キャッスルミニチュアすこっつぐれい
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「リトルビッグホーンの戦い」 アンドレア54mm Battle of the Little Bighorn
リトルビッグホーンの戦いは、言わずとしれた、カスター将軍が率いる第七騎兵隊が、ネイティブアメリカン連合に全滅させられた戦い、白人の行き過ぎた優越感が大きな失敗を生んだ歴史のエピソードです。 傷を負い倒れ、息も絶え絶えの愛馬を盾に最後の抵抗を試みる騎兵。 周りにはネイティブアメリカンの放った矢や槍が恐ろしげに突き立っています。 まさに危機的な動きのあるシーンです。 たぶん日本人には、このようなキット作成は考えられないでしょう・・と、言うか開発しても売れないでしょうねぇ・・ 大半が海外のメーカーのヒストリカルフィギュアならではのキットです。 これを作る直前、韓国の名モデラーダグラ・スリー師と静岡ホビーショーで拙作にいろいろとアドバイスをいただく機会があり、そのモチベーションで作った作品です。 小さいですが、遠目からも目立つようなハイコントラスト、そして色調。 オリジナルは平面なのですが、あえて傾斜させたグラウンドワークにレイアウトし、不安定かつ動きのある表現。 ミリタリーモデルコンテストの最高峰、ユーロミリテールのウイナーならではのアドバイスを生かしました。 ベースに手ごろなものがなく、少し小ぶりなものの上にはみ出してセットしたレイアウトもわれながらなかなか面白いものに仕上がったと自負しています。
ジオラマ ヒストリカルフィギュア アンドレアミニチュアすこっつぐれい
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「りんごの木の下で」 "Under the old apple tree" フェニックス54mm
おおよそ15年前、ヒストリカルフィギュアの先輩であり師匠である小高洋一氏よりいただいたキットです。 実は、いただいて早速パッケージを開けたその時の「がっかり」感がかなり強かったのです(笑) 頂いたキットはパッケージもなく、パーツは一体整形のフィギュア2体と銃一個、そしてお粗末なベースが入っているだけ。 一体整形ですから、当然、それなりのクオリティ、寝そべる兵士にいたっては、お顔の中心に接合線が入っていて、お世辞にもモチベーションがあがるようなものではありませんでした。 かろうじてメーカーがフェニックスと言うイギリスの会社のもの、そして1978年製であることがわかるだけでそのキットの兵士はどこのいつの軍隊かさえわかりません、言い方は悪いのですが、かなり得体の知れないキットでした。 確か頂いたことに関しては、しっかりお礼をしたはずですが、「作るぞリスト完全番外」となり、かなり奥まったところにしまってしまっておりました。 それから数年、久々にこのキットを見て、いきなりやる気になってしまいました。 たぶん、緻密な作成に少し疲れてきたからでしょうか? ゆるめのモールドにあわせる訳ではありませんが、お気楽に作成をはじめました。 ベースは作り置きのもの、そして樹も後ろの柵も未完成のストックからのコンバート、リンゴの実さえ、作り置きストックのものを流用してお手軽に仕上げました。 ただし、手を加えてみると、素朴な中にもほのぼのとしたなんとも言えぬおかしみと温かみのある愛すべきヴィネットに仕上がりました。 タイトルは「リンゴの木下で」 もちろん往年の名曲をオマージュしたもの、この若い兵士はリンゴの木下でどんな夢を見ているのでしょうか・・・ 調べているうちに兵士は Caught nappingと言うれっきとしたキット名があり、兵士もアメリカ独立戦争時代のイギリス軍で、頂いた主も北海道の小高師匠であることが判明。 現在はふるさとである北海道の小高師匠の元に里帰りしています。 敬遠していた古いキットでしたが、記憶に残る愛着のある作品となりました。
ジオラマ ヒストリカルフィギュア フェニックスすこっつぐれい